「風営法はキャバクラやホストクラブだけの話でしょ」そう思っている店舗経営者は、少なくないかもしれません。しかし、2025年改正風営法の射程範囲は、ホストクラブにとどまらず、広く社交飲食業や遊興性の強い営業手法を採用するカフェやバーなどにも及びます。一見風営法と無縁に見えるお店でも、営業内容によっては規制の対象になる可能性があるのです。
今回の改正では、接待飲食営業において新たな遵守事項や禁止行為が追加され、無許可営業に対する罰則も強化されました。「知らなかった」ではすまされません。そこで本記事では、「風営法の基本的な意味」から「規制対象となる業種」を紹介します。その他、「2025年改正のポイント」や「許可取得の手順」、「日々の店舗運営で守るべきポイント」も解説しています。ぜひ参考にしてください。
目次
風営法とは?2025年改正を含む店舗経営者が知るべき基礎知識

風営法を正しく理解するためには、まず以下の2点を知っておく必要があります。どのような改正がされたのかも含めて、それぞれ確認していきましょう。
- ・風営法の定義と規制対象となる業種
- ・違反した場合の罰則とリスク
風営法の定義と規制対象となる業種
風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」と言います。風俗営業や深夜営業といった業種の健全な運営を目的に、営業時間・営業区域等を制限する法律です。昭和23年の制定以降、社会情勢の変化に合わせて何度も改正が行われています。
規制対象は、キャバクラやホストクラブといったナイト系の業種だけではありません。接待行為を伴う飲食店や客に遊技をさせる営業・深夜における酒類提供を行う飲食店・ダンスやショーを行わせる特定の遊興飲食店営業なども対象です。そのため、自分のお店は関係ないと思い込まず、営業実態をもとに確認するようにしましょう。
参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|e-Gov
違反した場合の罰則とリスク
風営法に違反した場合、経営者には非常に重いペナルティが科される可能性があります。特に2025年の改正によって罰則は大幅に強化されており、無許可営業に対する個人への罰則は「5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金」、法人に対しては「3億円以下の罰金」に引き上げられました。また、違反が発覚した場合は以下のリスクも伴います。
- ・営業停止命令・許可の取消しなどの行政処分
- ・刑事事件として立件される可能性
- ・社会的信用の失墜
- ・許可取消しから5年間は再許可が取得できない
こうした点から見ても、風営法に準拠して健全な営業ができるかが重要になります。
参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第七章 罰則|e-Gov
風営法2025年改正の3つの重要ポイント

2025年(令和7年)5月20日、改正風営法が衆議院本会議で可決・成立し、同年6月28日から施行されました。今回の改正では、店舗経営者にとって特に影響の大きい内容が含まれています。以下の3つのポイントを中心に確認していきましょう。
- ・変更された営業ルールの概要
- ・罰則や指導の強化ポイント
- ・今すぐ見直すべき店舗運営項目
変更された営業ルールの概要
今回の改正では、接待飲食営業に関するルールが大きく見直されています。特に問題視されていた「色恋営業」や、料金の虚偽説明・注文していないドリンクの強制提供など、客の正常な判断を著しく阻害する行為が明確に規制対象となりました。また、性風俗店に対しては、スカウトバック(紹介料)の禁止も新たに導入されています。紹介を受けた店舗側が対価として金銭等を支払った時点で違反です。
さらに、広告表現においても新たな基準が示されています。売上や指名数など営業成績を直接的に誇示する表現や、営業成績や地位を推認させる役職名・称号の表示は禁止です。SNSや店頭の宣伝方法についても、改めて確認した方が良いでしょう。
関連記事:風営法改正とは何か?変更点や求められる対応についても徹底解説
罰則や指導の強化ポイント
2025年の改正では、違反行為に対する罰則が全体的に強化されています。主な変更点は以下の通りです。
| 違反内容 | 改正前 | 改正後 |
| 無許可営業(個人) | 2年以下の懲役・200万円以下の罰金 | 5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金 |
| 無許可営業(法人) | 200万円以下の罰金 | 3億円以下の罰金 |
| スカウトバック | 規制なし | 6か月以下の懲役・100万円以下の罰金 |
また、風俗営業の許可基準としての適格性の審査がより厳格になっています。グループ法人が許可を取り消された場合の他のグループ法人や、警察の立入調査後に許可証を返納した者(処分逃れ)が欠格事由に追加されました。
今すぐ見直すべき店舗運営項目
今回の風営法改正内容を踏まえ、以下の項目を早急に見直す必要があります。
- ・従業員による営業成績のSNS発信内容
- ・接客時の料金説明の正確さ
- ・ドリンクの注文・支払いに関する強制行為の有無
- ・未成年者の雇用・同伴に関する年齢確認体制
- ・スカウトや紹介に関する金銭のやり取り
既に対応している場合でも、定期的に違反していないかを確認し、風営法に準拠した経営ができている状態を維持しましょう。
関連記事:【2026年最新】風営法改正による看板・広告宣伝ルールと対処法を解説
風営法の許可が必要な業種を知る3つの分類

風営法の許可が必要かどうかは、営業の内容・時間帯・設備などによって判断されます。どのように判断されるのか、大きく以下の3つのカテゴリーに分けて確認していきましょう。
- ・接待を伴う飲食店(キャバクラ・ホストクラブなど)
- ・遊技場・ゲームセンター関連の施設
- ・ダンスや音楽を提供する飲食店・クラブ
接待を伴う飲食店(キャバクラ・ホストクラブなど)
接待を伴う飲食店は、風営法では1号に該当します。カフェやバーなどの設備を設けてお客様を「接待」し、遊興または飲食をさせる営業形態です。ホストクラブやキャバクラが代表的な例として挙げられます。
ここで重要なのが「接待」の定義です。特定少数の客の近くに居て、継続して談笑の相手となったり、酒などの飲食物を提供したりする行為は接待と考えて良いでしょう。一方で、カウンター内で注文に応じてドリンクを提供するだけの行為や、速やかにその場を離れる場合は接待に該当しないとされています。自店舗の接客スタイルが接待にあたるかどうかを、今一度確認しておきましょう。
関連記事:風営法1号営業の営業時間は何時まで?
遊技場・ゲームセンター関連の施設
遊技場やゲームセンター関連の施設は、風営法では4号と5号に該当します。主に麻雀店やパチンコ店など、客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業形態です。5号営業はゲームセンターなど、遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗が対象となります。
4号・5号で注意が必要なのは、バーやラウンジにダーツやビリヤード台などを設置しているケースです。店内の客席エリア全体に対して遊技設備の占める割合が10%を超えると、4号営業や5号営業に該当する可能性があります。そのため、設備を増設する際は、面積の比率を必ず確認するようにしましょう。
ダンスや音楽を提供する飲食店・クラブ
特定遊興飲食店営業は、深夜時間帯に「遊興」させながら酒類を提供する営業形態を指します。遊興とは、生演奏やショー・ダンスフロアの提供など、営業者が積極的に客に遊び興じさせる行為のことです。ライブハウスやクラブ・スポーツバーなどが該当する可能性があります。
ただし、単にBGMを流したり、テレビ放送を見せたりする程度は遊興にあたりません。DJによる演出やダンスフロアの提供は該当する可能性があるため、注意しましょう。特に、深夜0時以降に音楽やダンスを提供する予定があるお店は、要注意です。
風営法の許可を取得する3つのステップ

風営法の許可を取得するには、事前準備から申請・審査まで手順を踏む必要があります。許可を得る場合は、以下の3つの手順で順番に進めていきましょう。
- 1.営業所の構造や立地条件の確認と準備
- 2.必要書類の作成と警察署への申請手続き
- 3.審査期間と許可証交付を受ける
Step1.営業所の構造や立地条件の確認と準備
許可を申請する前に、まず営業所が風営法の要件を満たしているかを確認します。主に以下の点を確認してください。
- ・学校・病院・図書館など保全対象施設からの距離制限を満たしているか
- ・客室の床面積が基準を満たしているか
- ・店内の照度が規定に沿っているか
- ・営業所が許可を受けられる地域(用途地域)に該当しているか
特に注意したいのが、居抜き物件を利用する場合です。前の営業者の設備や構造が、現行の基準に合っているかを確認しておかないと、許可取得は難しいケースがあります。
Step2.必要書類の作成と警察署への申請手続き
要件の確認が完了したら、必要書類を揃えて所轄の警察署に申請します。主な必要書類は、以下の通りです。
- ・風俗営業許可申請書
- ・営業所の平面図・周辺地図
- ・営業所の設備詳細図など
- ・申請者の住民票・身分証明書
- ・定款及び登記事項証明書(法人の場合)
- ・営業所の使用権限を示す書類(賃貸契約書など)
書類の種類や様式は都道府県によって異なる場合があります。事前に所轄の警察署に確認するか、行政書士などの専門家に相談しながら準備を進めると安心です。
Step3.審査期間と許可証交付を受ける
申請書類が受理されると、警察署による審査が始まります。審査期間の標準処理期間は55日とされていますが、土日祝日は含まれないため、実際にはそれ以上の日数がかかることもあります。審査中に営業所への立入検査が行われる場合もあるため、申請内容と実際の営業所の状態が一致しているかどうかを確認しておきましょう。
無事に審査が通り、許可証が交付されて初めて営業を開始できます。許可を受ける前に営業を始めると無許可営業になり、厳しい罰則の対象となるため注意が必要です。
参考:風俗営業許可申請(標準処理期間:土日祝を含まない55日)|和歌山県警察本部
風営法を守って営業するための6つの重要ポイント

許可を取得した後も、日々の運営の中で風営法を遵守し続けなければいけません。以下の6つのポイントを意識しながら、適切な店舗運営を心がけましょう。
- ・自店舗が対象かを確認する
- ・必要な手続きと書類を整理する
- ・営業時間や深夜営業の制限を正しく理解する
- ・従業員の年齢確認と18歳未満の雇用禁止を徹底する
- ・定期的な届出と許可内容の変更手続きをする
- ・専門家や行政窓口に相談する
自店舗が対象かを確認する
まず、自分のお店が風営法の規制対象にあたるかどうかを正確に把握しましょう。以下の点を具体的に整理したうえで、必要に応じて許可・届出が必要なのかを判断する必要があります。
- ・何をどの時間帯まで
- ・どのようなスタイルでするのか
特に、営業内容が変わった場合は要注意です。都度確認が必要となるため、手間でも必ず整理するようにしましょう。
関連記事:ガールズバーで風営法違反になる接待行為はどこまで?開業のための注意点を解説
必要な手続きと書類を整理する
許可の種類によって、必要な手続きや書類は異なります。営業内容が変わったり風営法が変わったりした際は、許可申請が必要な業態なのか、届出ですむ業態なのかを必ず確認しましょう。もし対応が必要になった場合は、正確に理解したうえで、漏れなく手続きを進めてください。営業内容を変更する際も、変更届や新たな許可申請が必要になる場合があります。不明な点があれば警察署や行政書士に相談するのもおすすめです。
関連記事:必要な届出は何?風営法に関する届出一覧!
営業時間や深夜営業の制限を正しく理解する

風営法では、業態ごとに営業時間の制限が設けられています。例えば、接待飲食等営業(1号営業)は原則として深夜0時までしか営業できません。ただし、都道府県の条例によって深夜1時まで延長が認められている地域もあります。深夜時間帯に遊興させながら酒類を提供する場合は、特定遊興飲食店営業の許可が必要です。このように地域によって営業時間の制限や許可は異なるため、警察署に確認し、自店舗が守れているかどうかは確認しておいた方が良いでしょう。
参考:風俗営業等の規制概要と営業申請(届出)手続|神奈川県警察
従業員の年齢確認と18歳未満の雇用禁止を徹底する
風営法では、18歳未満の従業員による接客は禁止されています。年齢確認と雇用禁止は徹底するようにしましょう。18歳未満の従業員による接待があった場合は風営法違反となり、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科されます。また労働基準法により、18歳未満の深夜労働(午後10時~午前5時)も禁止されています。違反にならないよう、採用時の年齢確認と勤務シフトの管理を徹底しましょう。
参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第二十二条|e-Gov
定期的な届出と許可内容の変更手続きをする
店舗の移転や改装・営業内容の変更などが生じた場合は、速やかに変更届を提出しましょう。変更内容によっては、新たな許可申請が必要になることもあるためです。特に、閑散時間帯の集客策として深夜営業を開始する場合には、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になります。営業内容を変更する際は、事前に確認する習慣をつけておきましょう。
専門家や行政窓口に相談する
風営法は内容が複雑で、業態や立地によって判断が変わることも多い法律です。「自分のお店はどの許可が必要なのか」「この営業内容は問題ないか」と不安を感じたときは、所轄の警察署の窓口や、風営法に詳しい行政書士・弁護士に相談することをおすすめします。特に開業前や営業内容を変更する際は、専門家への相談を積極的に活用しましょう。知らないうちに風営法に抵触していたといったリスクを防げます。
風営法の正しい理解と対応が経営の安定につながる

風営法は、店舗経営者にとって避けて通れない法律です。2025年の改正によって規制の範囲や罰則が大幅に強化された今、「知らなかった」「自分には関係ない」という認識には注意が必要かもしれません。
まずは自分のお店が規制対象かどうかを確認し、必要な許可や届出の手続きを適切にとることが、お店を守るために必要になります。さらに、日々の運営の中でも従業員への教育や広告表現の見直しなど、継続的な対応も求められます。不安な点は「大丈夫だろう」ですまさず、専門家や行政窓口を積極的に活用しながら、法令を遵守した安定した経営を目指していきましょう。
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