デリヘル、ソープ、ヘルスなどの風俗店で働いている場合でも、稼いで得た利益に応じた税金を納めなければなりません。お店側から税金を納めていると言われたのに、住民税の支払いを求めるお知らせが届いた場合、風俗店側では税金を納めていなかったのでしょうか。
今回は風俗店で働いている方にもぜひ知っていただきたい、税金の知識についてご紹介します。
確定申告をしておらず、税金がどのくらいになるのか不安を抱えている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
風俗店側が納めていると言っていた税金とは
風俗店で働いている人の多くは、お店の社員として雇われているわけではないはずです。一般の会社員のように、企業と雇用契約を結んで働いている人の場合は、会社が個人に代わって所得税や住民税の納付を行っています。したがって、会社員の場合は毎月の給与から所得税だけでなく住民税も天引きされています。
風俗で働く方の場合であっても、お店側から支払われる報酬の明細を見ると、雑費が差し引かれているというケースもあるでしょう。その場合は税金ではなく、お店からの経費控除の場合がほとんどです。
住民税は、前年に得た所得に応じて計算されるものです。したがって、前年の所得がわからなければ計算のしようがありません。お店が税金を納めていると言っていたのに住民税の申告のお願い書類が届いたということは、あなたの所得にかかる所得税は納められていない無申告の状態であることが高いです。この場合、確定申告からご自身で申告をしていくことになります。
所得税と住民税の違いは?
所得税と住民税は、所得を得ている人が支払うべき税金です。それぞれの税金は次のような違いがあります。
所得税
所得税は、1月1日から12月31日の1年間に得た収入からその収入を得るためにかかった経費を差し引いた額に応じて課せられる税金です。所得税は、国に納める国税です。
所得税には累進課税制度という仕組みが用いられており、次の表のように所得が高い人、つまり多くお金を稼いでいる人ほど税率が高くなり、高い税金を納めることが求められています。
<所得税の速算表>
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
国税庁 所得税の税率:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
住民税
住民税も所得税と同じく、1年間に得た所得に対して課せられる税金です。しかしながら、所得税は国に納める国税であるのに対し、住民税は1月1日に住民票のある地方自治体に納める地方税であるといった違いがあります。
住民税は前年の所得を基に税額が計算され、毎年5月ごろに住民税の納税通知書が交付され、6月から1年間納付を行います。住民税納税通知書には支払うべき税金の額が記載されており、金融機関の窓口等で納めていきます。
住民税は、都道府県税と市区町村税の2つに分けられており、それぞれを合算した税額をまとめて納付することになります。住民税の税率は、所得に応じて課せられる「所得割」と所得の額に関わらず一律の額が課せられる「均等割」で構成されます。
住民税の税率は、地方自治体によって異なります。2021年の東京都の所得割の税率は、都民税が4%、市区町村民税が6%の合計10%となっています。住民税均等割の額は、都民税が1,500 円、市区町村民税の税額は3,500 円です。
風俗店側から住民税が納付されていないということは
風俗店からは報酬として支払った額に応じた所得税が徴収されているものの、住民税申告の確認のお知らせが来たということは、風俗店の従業員として年末調整は行われていないということになり、ご自身で確定申告を実施する必要があります。
所得を得ている人は、所得税や住民税などの税金を納付するだけでなく、1年間に得た所得を税務署に申告する義務もあります。この手続きは、確定申告と呼ばれるものです。確定申告を行うことで、1年間の所得が決定し、納付すべき正しい所得税の額が決定します。
所得とは、1月1日から12月31日の1年間に得た収入から仕事に必要なために支払った金額(経費)を差し引いた額です。風俗店では、報酬から10%程度の雑費を引いている場合があります。風俗店で働く女の子の場合は、お店から引かれている雑費や以下のような仕事にかかった出費は経費として扱うことができます。
・お店から引かれている雑費
・衣装代、コスプレ代、下着代
・お店までの通勤交通費、タクシー代
・仕事用の携帯電話料金
・化粧品代
・仕事用備品代
所得税は、報酬からこれらの経費を差し引いた所得額に対して課税されます。したがって、「報酬―経費」で計算される所得の額は、報酬の額よりも少なくなるはずです。所得額を低く抑えることができれば、所得税も低く抑えることができます。
確定申告では、報酬から必要経費を引いた正確な所得額を計算することで、納付すべき正しい税額を計算することができます。
確定申告と聞くと、面倒な手続きだというイメージがあるかもしれませんが、ずっと無申告状態を続けているより、毎年、しっかりと確定申告を行うほうことのメリットが大きいでしょう。確定申告なんて難しそうという場合には、風俗業界に詳しい税理士に相談してみることをお勧めします。
税理士法人松本は風俗・水商売に強い税理士事務所です。初回LINE相談も受付中ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ
風俗店側から税金は全部納めているよと言われたのに、住民税の申告の確認が届いたようなケースでは、店側が所得税は納めていない可能性があります。そのような場合は、ご自身で確定申告を行い、1年間に得た所得とそれに応じた税額を計算する必要があります。
確定申告が初めてで、手続きに不安がある場合は風俗業界に詳しい税理士に相談すると、経費に計上できる出費などについても詳しく教えてもらうことができます。節税につながる可能性もあるため、気軽に相談してみることをお勧めします。