水商売と呼ばれるキャバクラやホストクラブ、スナックなどのお店で働いているキャバ嬢やホスト、ホステスの中には、お店から働いた分の報酬をもらっているにも関わらず、社会的に無職の扱いを受ける場合があります。なぜ、水商売で働いているのに無職扱いとなってしまうのでしょうか。これには、確定申告によって所得を申告しているかどうかが関わってきます。
そこで今回は、水商売で働いている人が無職扱いになってしまう理由と無職でいることのリスクについてご紹介します。また、給与をもらうときにお店から徴収されている税金についても合わせて解説します。
役所から申告のお知らせがきた方やこれから申告が必要な方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



水商売での仕事は無職扱いになる?

水商売で働いていてお金を得ているのに、無職の扱いになるとはどういうことなのでしょうか。水商売が無職と扱われる理由についてご説明します。

水商売で働いている人が全て無職扱いを受けているわけではない

キャバクラやホストクラブ、スナックなど、水商売のお店で働き、給与を得ている人の中には無職扱いになる人もいれば、無職ではなく労働者として認められている人もいます。
同じ水商売で働いているにも関わらず、無職扱いとなる人と労働者として認められている人の間には、どのような違いがあるのでしょうか。

水商売でも無職扱いにならない人とは

水商売でも無職扱いにならない人の1つ目のパターンは、お店と労働契約を結んでいる場合です。一般的な会社で働く会社員のように、お店が雇用主となり、お店に雇われて仕事をしている場合は「労働者」として給与を受け取っていることとなります。このようなケースでは、お店側が源泉所得税を給与から徴収し、年末調整を行っているため、キャバ嬢やホストとして働く人が個人で確定申告を行う必要はありません。
水商売でも無職扱いとならない人の2つ目のパターンは、お店と労働契約は結んでいないものの、個人事業主として水商売で得た報酬について確定申告を行っているケースです。お店で得た収入についてしっかり申告し、税金も納めている場合は、水商売で働く人であっても無職の扱いにはなりません。

水商売で無職扱いになる理由とは

水商売でお金を稼いでいるのに無職の扱いをされているという方は、お店と労働契約を結んでおらず、個人事業主扱いであるにもかかわらず自身で確定申告をしていないケースに該当します。
キャバクラやホストクラブでお店から報酬を受け取るときに、所得税として約10%(本来は10.21%)が引かれているから税金を納めていると思っている方も多いかもしれません。しかし、所得税を源泉徴収(報酬から天引きされている)だけでは収入を申告していないため、収入のない、無職の扱いとなってしまうのです。

無職であることのリスクとは

無職扱いであっても特に不便がないために手間がかかりそうな確定申告は、しなくてもいいのではと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、無職であるという扱いを受けることは、収入のない人とみなされるため、今後の生活の中でさまざまなデメリットを感じるシーンが出てくるでしょう。

無職は社会的信用を得られにくい

収入はあるのに無職の扱いとなってしまうと、収入を証明するものがありません。そのため、引越しをしようと賃貸物件に入居する際にも、収入を証明する書類の提出を行うことができないため、家賃を支払う能力がないとみなされ、入居審査に通らない場合があります。
また、無職扱いの場合はクレジットカードを作れなかったり、自動車を購入する際にローンが組めなかったりといったさまざまな弊害を感じることになります。

子供を保育園に預けることができない

子供を持つ方の場合は、認可保育園へ子供を入園させようと考えるでしょう。しかし、認可保育園では、親が仕事に就いている子供に優先して入園許可を与える仕組みとなっています。そのため、無職扱いであれば、子供を保育園に入園させるのも難しくなってしまいます。

水商売でも確定申告は必要

収入があるにもかかわらず無職の扱いとなってしまうことには、先ほども紹介したようなさまざまなデメリットがあります。そのため、水商売で仕事をしている方も社会に認められるためには、収入を正しく確定申告する必要があります。
確定申告のご依頼をご希望の方は水商売・風俗専門の税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



確定申告とは

確定申告は、収入を得ている個人が1年間に得た利益を申告する手続きです。お店と労働契約を結ばずに、個人事業主の扱いで1月1日から12月31日までの1年間の間に48万円以上の利益を得ている人は、確定申告をしなければなりません。副業で水商売をしている方の場合は、水商売での所得が20万円を超えた場合に確定申告の対象となります。

源泉徴収されている税金は、お店から納税されている

キャバクラやホストクラブ、スナックで得た報酬から、支払いの際にすでに所得税が源泉徴収されているのは、お店がスタッフの代わりに所得税の納付を行っているためです。この場合は、確定申告を行っても改めて税金が徴収されることはありません。(※収入が高い場合は追加で納める場合があります。)

確定申告によるメリットも
確定申告を行うと、次のようなメリットも生じます。
・税金が還付されることも
税金を納めすぎていた場合には、余剰に納税した分が還付されます。
・衣装代やヘアメイク代などを経費として処理できる
仕事で使う衣装の購入費用やヘアメイクにかかった費用など、仕事上必要だと認められる出費に関しては経費として処理することができるため、所得税を抑えられる可能性があります。

確定申告に不安があれば税理士に相談を

確定申告は、お店の従業員として年末調整を行っているわけでなければ、水商売で働く人も必ず行わなければならない手続きです。確定申告は、確定申告書を作成して税務署に提出することで手続きが完了します。スマホやパソコンで確定申告書を作成し、インターネットを介して提出することも可能ですが、初めての手続きの場合は経費の扱いなどについて頭を悩ませてしまう可能性もあります。確定申告の手続きに不安があるようであれば、水商売専門の税理士に相談してみることをお勧めします。自分では気が付かなかった出費についても、経費として計上できる可能性もあり、確定申告によるメリットをより強く受けられるようになるかもしれません。

まとめ

キャバクラやホストクラブ、スナックなどの水商売で仕事をして収入を得ているにもかかわらず、無職の扱いとなってしまっている方は少なくありません。無職の場合、賃貸契約を結ぶことができなかったり、子供を保育園に預けることができなかったりなど、さまざまな弊害が生じます。これらの問題は、確定申告を行うことで解消することができます。確定申告を行えば、報酬から天引きされている税金が多すぎる場合に、納めすぎた税金が還付される可能性もありますので、毎年の確定申告を忘れずに行うようにしましょう。