夜職税務調査

夜職の人が税務調査の対象になると、追徴課税といったペナルティが課される可能性があります。

確定申告をしている人でも、無申告の人でもペナルティの可能性がありますが、無申告の人の方が深刻です。

ただし全ての人に税務調査が入るわけではありません。

税務調査の対象になりやすい人の特徴とは?

無申告の人が今すぐすべきこととは?

夜職の人の税務調査やその対処法について、分かりやすく解説します。

税務調査とは?

税務調査とは、正しく収支の申告や納税がされているかを確認する調査であり、税務署の調査担当職員が訪問し、帳簿や領収書の確認を行います。

納税は国民の義務と法律で決められており、どんな職業の人であっても正しく納税をしなくてはいけません。

申告した納税額と相違があれば指摘され、正しく納税を行うという流れになります。

税務調査は、申告内容や業種の傾向など複数の要因をもとに実施されます。収入が多いと確認対象になる可能性が相対的に高くなる傾向があります。

税務調査で納税の指摘を受けると、ペナルティを課されて負担が大きくなってしまいます。

参考:第1章 法第74条の2~法第74条の6関係(質問検査権)|国税庁

なぜ無申告が税務署にバレるのか

夜職無申告バレる

なぜ夜職の無申告は税務署に把握されてしまうのでしょうか。

以下のような理由がありますので、「自分から言わなければバレない」という考えは改めなければいけません。

  • 手渡しだからバレないは嘘
  • お店に税務調査が入るから

手渡しだからバレないは嘘

夜職の人の中には「確定申告は必要ない」「手渡しで報酬を受け取っている(振込のように記録が残らない)からバレない」と思っている人がいるかもしれません。

しかし報酬が手渡しであったとしても、お店側は経費として記録しています。

お店に税務調査が入ると、調査官は経理資料からキャストの報酬の一部または全体を把握する可能性が高いです。

そこからは簡単に、税務署のシステムで確定申告が行われているかがわかってしまいます。

お店に税務調査が入るから

「じゃ、お店に税務調査が入らなければバレないのでは?」と思うかもしれませんが、この考えは危険です。

税務署は過去のデータから申告漏れ所得金額が多い職業を把握しており、1位がキャバクラ、2位が風俗業となっています。

参考:国税庁|事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

数年分を遡って過去の分も調査されると、数年分のペナルティを課される可能性があります。

定期的にお店に税務調査が入ると考え、早めに自主申告をしておくべきです。

税務調査が入りやすい夜職の人の特徴

ではお店でなく、キャストを1人の個人事業主としてみた時に、どんな人が税務調査の対象になりやすいのでしょうか。

いくつか傾向がありますので、確認していきましょう。

  • 無申告である
  • 申告漏れやミスがある
  • 収入が激増した
  • SNSで派手な生活を投稿してる
  • 不透明な経費がある

無申告である

確定申告無申告

そもそも確定申告をしていない、無申告の人は税務調査が入る可能性が高くなります。

お店の記録から、調査官の方でも報酬額を把握していますので、言い逃れはできません。

無申告の場合、多くの場合は無申告加算税が課されることとなります。

また延滞税もプラスされますので、納税が遅れるほどに支払い額が大きくなってしまいます。

税務調査が来た夜職の人は、みんな「確定申告をしておけばよかった」と後悔しています。

申告漏れやミスがある

確定申告をしていたとしても、収入の申告漏れや計算ミスがあると税務調査の対象になりやすいです。

もちろん人間なので間違えてしまう場合もありますが、ミスが故意か不意かは関係なく、間違いがあれば指摘されてしまいます。

収入を少なく見積もれば納税額が少なくなりますので、故意に収入を隠そうとしたのではないかと疑われてしまう可能性があります。

収入が激増した

夜職は収入の増減が大きな世界です。

前年と比べて収入に大幅な増減があった場合は、税務署から確認が行われる可能性があります。

変動の幅が大きいと不自然に見えますので、なぜ収入の変動が生じたのかという理由を説明できるようにしておきましょう。

SNSで派手な生活を投稿してる

SNSは大切な集客・情報発信ツールです。

「お店でSNSを運営している」「個人で発信している」というケースが少なくありません。

税務調査においては、公開されている情報や周辺状況も含め、総合的に判断される場合があります。SNSの内容が実際の申告と著しく異なる場合には、説明を求められることがあります。

羽振りの良い生活をしている、お客様が高額ボトルを開けてくれている、という情報があれば、収入があると判断されるでしょう。

SNSで派手な生活を投稿していて、申告内容と著しく乖離がある場合は税務調査で調べられることがあります。

不透明な経費がある

夜職経費

確定申告では経費を計上し、収入から差し引いて所得を計算します。

経費が多ければ最終的に所得が少なくなるので、納税額が少なくなります。

仕事で使用したものであれば経費として申告できるケースが多いですが、夜職の人は経費の判断が難しいものが多くなります。

例えば化粧品やカラーコンタクト、美容院代など、プライベートでも使用しているものは経費か否かの線引きが難しいです。

業務に直接関係のないと判断されかねない経費がある場合、税務署は「本当に事業に必要だった支出かどうか」を確認するために、税務調査を行うことがあります。

税務署から指摘されない確定申告を

確定申告をしていたとしても不審な点があれば、税務調査の対象になってしまいます。

指摘を受けない確定申告をするには、どんな点に注意すればいいのでしょうか。

  • 収入を正しく申告する
  • 経費を正しく申告する
  • 税理士に相談する

収入を正しく申告する

収入を少なく申告すれば納税額が減るため、まずは正しく収入を申告しているかという点をチェックされます。

隠ぺいや証拠の仮装など、正しく収入が申告されていないとわかると、過少申告加算税が課せられてしまいます。

また、お客様からのプレゼントの年間合計額が110万円を超えた場合は、贈与税の申告義務が発生する場合があります。

経費を正しく申告する

夜職経費

所得を少なく見せるために、経費を過大に計上しようとするケースは少なくありません。特に夜職の方の場合、仕事道具や衣装などが私的利用と混在しやすく、経費としての線引きが難しいことも事実です。

しかし、「少しくらいなら」「申告しなければ分からない」といった気持ちから不適切な処理を行うと、税務調査の対象となり、追徴課税などのペナルティを受ける可能性もあります。

そのため、経費に計上する際は、「どのように業務に必要だったか」を明確にし、レシートや領収書に用途をメモして保管することが大切です。

税理士に相談する

正しく確定申告をしたつもりでも、意図しないミスによって追徴課税が課されるケースがあります。

もし「確定申告に自信がない」「税務調査に不安を感じている」という場合は、税理士に相談するというのも選択肢のひとつです。

税理士が作成した確定申告書は税理士の記名や押印がされます。

税理士が作成した申告書は専門家による記名押印があるため、税務署にとっても信頼性が高い資料とみなされやすい場合があります。

税務調査の対象になったら

税務調査の対象になり、調査を受けたら、どうなってしまうのでしょうか。

どのようなペナルティが考えられるのかをご紹介します。

  • ミスがあれば追加で納税
  • 延滞税がかかる
  • 銀行口座を差し押さえられる

ミスがあれば追加で納税

税務調査を行った上で、誤りがあるとわかれば追徴課税が課されます。

確定申告時に個人事業主としてすでに所得税を納めているかもしれませんが、さらに追加で納税を行わなければいけません。

本来納めるべき税金との差額を徴収するものであり、主に以下のようなものがあります。

過少申告加算税 申告額が少なかった
無申告加算税 申告が遅れる・申告がない
不納付加算税 納期限までに納付しなかった
重加算税 仮装・隠ぺいなどの不正事実

延滞税がかかる

上記の加算税に加え、延滞税がプラスされます。

延滞税とは税金の納付が遅れた時に課されるもので、日割で増加していきます。

追徴課税の内容に納得したら、早めに対応をし、正しく納付を行いましょう。

銀行口座を差し押さえられる

税務署は納税義務を履行しない場合、滞納処分として、債権差押えや給与の差押えを行う場合があります。

納税は法的義務であるため、誠実な対応が重要です。

税務調査がきても追徴課税がない人

追徴課税なし税務調査

税務調査が来ると、100%追徴課税が課されるのかと聞かれれば、そういうわけではありません。

税務調査は正しく申告や納税が行われているかのチェックをするものであり、調査の結果、間違いがなければ追徴課税はありません

そのため、正しく確定申告をし、正しく納税していれば、過度に恐れる必要はありません。

つまり、日頃から正確な帳簿管理と適切な確定申告を行うことが大切です。

無申告の夜職の人がすべきこと

現状無申告だという方も、焦らずにひとつずつやるべきことを確認していきましょう。

まずは過去数年間(通常5年から7年程度)の収入を確認してみてください。

指摘されていないから無申告のままでいい、というわけではありません。

遅れて自主的に申告した場合は、税務署によってはペナルティが軽減される可能性があります。

確定申告の時期は通常毎年2月16日頃から3月15日までですが、土日祝日の場合は翌営業日が期限となります。

遅れて申告しても受け取ってもらえますので、まずは早めに自主申告を行いましょう。

遅れて確定申告をすると

自主的に申告した場合でも、無申告加算税や延滞税が課されることがありますが、対応が早いほど負担は軽減されやすいです。

「自分からわざわざ税金を払いにいくなんて…」と抵抗を感じるかもしれませんが、自主的に申告をしていればペナルティは軽いのです。

無申告が続くと、青色申告特別控除が減額されることがあり、節税面で不利になる場合もあります。

遅れて確定申告をする時の対処法

期限から遅れて確定申告をする行為に、メリットを感じられないと思う人がいるかもしれません。

無申告加算税や延滞料の負担を少しでも軽くするために、以下の対処法を覚えておきましょう。

  • 猶予制度をチェックする
  • 延納制度で納付期限の延長をする
  • 修正申告書の記入方法

猶予制度をチェックする

国税庁では、期限内に納付をするのが難しい人向けに国税の猶予制度を設けています。

まとめて納税が難しい場合は積立納税、所得が減って納税が難しい方には減額申請などの対処法があります。

参考:納税に関する総合案内

災害や盗難、病気などの事情がある場合にも、猶予制度が適用される可能性があります。

延納制度で納付期限の延長をする

延納制度とは、確定申告時に申請することで、税務署の承認を受けて納付期限を延長できる制度です。

納付する税金の半分以上を期限内に収める必要がありますが、残りの額の期限を延長できるようになります。

参考:国税庁|延納の届出

希望する場合は、確定申告書第一表「66番の申請期限までに納付する金額」と「67番の延納届出額」に数字を記入して提出しましょう。

修正申告書の記入方法

確定申告を提出した後に金額の訂正を行いたい場合は、修正申告書を提出します。

修正申告を行う場合は、確定申告書の第一表と第二表を用いて「修正申告書」として提出します。

用紙の上部に「〇〇申告書」と記載する場所がありますので、「確定」ではなく「修正」と記入して修正申告書にしましょう。

種類欄には、「修正」に〇をつけます。

青色申告書や収支内訳書も再度作成し、正しく修正申告書を作り直します。

確定申告をやり直す状態となりますので、手間と時間がかかるかもしれませんが、できるだけ早く取りかかるようにしましょう。

まずは正しく確定申告を

夜職は、無申告の人が多い傾向があります。

税務調査で追徴課税を課されて後悔する前に、自身で修正申告を正しく行うべきです。

自主申告でもペナルティは課されますが、少しでも負担を抑えられる方法です。

修正申告についてもご紹介しましたが、確定申告や修正申告について「よくわからない」という方は、税理士にご相談ください。

税理士法人松本は、夜職に強い税理士として、業界の知識を持ち合わせています。

ご自身が「これは経費にならない」と思うものが、経費になるかもしれません。

夜職として働く、個人事業主の方のサポート実績がありますので、是非、税理士法人松本にご相談ください。

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