「確定申告をしていないが、税務調査が来ないまま何年も経っている。このまま放置しても大丈夫だろうか」と不安に思う方は少なくありません。
確かに、無申告のまま長期間税務署の調査対象とならないケースもあります。収入規模や取引の性質、申告記録の状況などにより、優先順位が変わるためです。
しかし、税務署は様々な情報を基に照合を行う仕組みを持っており、将来的に過去の申告状況が確認される可能性は否定できません。その結果、過少申告や無申告が見つかった場合には、追徴税や加算税、延滞税などが発生することがあります。
本記事では、「無申告でも調査対象になりやすいパターン」をわかりやすく解説します。また、問題が発覚したときに不利にならないための対応策についても説明しますので、参考にしていただけたら幸いです。
目次
無申告でも税務調査が来ない可能性が高い人の特徴

税務調査は、すべての無申告者に必ず行われるわけではありません。税務署は、限られた人員で効率的に徴税を行うため、調査対象に優先順位をつけています。
一般的に、以下のような状況では調査が行われる可能性が比較的低いとされることがあります。
- ・収入が少ない
- ・お金の流れが明確で透明性が高い
- ・顧問税理士に相談している
※上記はあくまで「可能性が低い場合がある」という指標であり、無申告や申告漏れが発覚した場合には、調査が行われることがあります。無申告は法律違反であり、発覚すれば追徴課税や延滞税などのペナルティが課される可能性があるため、早めの申告・相談が重要です。
それぞれのケースについて詳しく説明します。
参考:国税庁|税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
収入が少ない
税務署は限られた人員で効率的に税金を徴収する必要があるため、徴収できる税額や過去の申告状況などを総合的に判断し、調査対象の優先順位を決めています。そのため、収入が比較的少額の場合は調査の優先順位が低くなる場合があります。
ただし、少額であっても無申告は法律上の義務違反となります。金額にかかわらず、確定申告は適切に行うことが重要です。
税務署の調査が将来的に行われる可能性もあるため、未申告のまま放置せず、早めに対応してください。
お金の流れが明確で透明性が高い
収入や支出の記録が整理され、銀行口座の入出金や取引先との関係が明確である場合、税務署が疑わしい点と判断する可能性は比較的低くなることがあります。
しかし、無申告の状態である以上、税務調査の対象となる可能性や追徴課税・延滞税などのペナルティは常に存在します。
現金取引が少なく、記録が整っている場合でも同様です。税務上の安全性を確保するためには、早めに申告を行うことが重要です。
顧問税理士に相談している
顧問税理士がいる場合、日頃の申告や会計処理が適切に行われているか確認されやすく、税務署からの問い合わせにも適切に対応できる可能性があります。
ただし、税理士がついていても、無申告は違法です。申告がまだの場合は、速やかに手続きを行うことが重要です。
無申告で税務調査が来やすい人の特徴

税務調査はすべての納税者に平等に行われるわけではなく、税務署は限られた人員で効率的に調査を行っています。そのため、以下のような場合には、調査対象になる可能性が相対的に高くなることがあります。
- ・一定以上の収入がある
- ・過去に確定申告をした経験がある
- ・不動産取引など大きな経済活動をしている
一定以上の収入がある
年間の収入が一定額を超える場合、税務署の調査対象となる可能性が相対的に高くなることがあります。例えば、個人事業主で年間300万円以上、給与以外の所得が年間20万円以上ある場合は、税務署の関心が向きやすいと考えられます。
税務署は効率的な徴税の観点から、比較的税額の大きい案件を優先的に確認することがあります。フリーランスとして継続的に収入を得ている方は、帳簿や記録を適切に整理しておくことが重要です。
過去に確定申告をした経験がある
過去に確定申告を行ったことがある方が、しばらく申告を行わない場合、税務署が過去の申告状況と照らし合わせて確認することがあります。
特に毎年申告していた方が申告を途切れさせた場合、税務署は事業や収入の状況を把握することがあるため、注意が必要です。
無申告が長期間続くと、税務署から確認の連絡が入る可能性がありますので、収入や事業の状況に応じて適切に申告することが大切です。
参考:国税庁|所得税の確定申告
不動産取引など大きな経済活動をしている
不動産の売買や相続、高額な資産の購入など、大きな経済活動を行った場合、税務署はこれらの取引情報を把握できることがあります。たとえば、不動産の登記情報や高額な取引記録は税務署に届くため、申告内容との整合性が重要です。
そのため、こうした経済活動を行った場合は、取引に見合った収入や資産状況を適切に申告しておくことが望ましいとされています。必要に応じて税理士に相談することで、申告漏れや誤解による税務上のトラブルを防ぐことができます。
無申告でも税務調査が来ない人のリスク

無申告の状態が長期間続く場合、将来的に税務調査が行われる可能性や追徴課税が発生するリスクがあります。
以下の点に注意して、早めの対応を検討しましょう。
- ・数年後にまとめて調査が来る可能性がある
- ・ペナルティが増加する
- ・悪質だと判断される可能性がある
数年後にまとめて調査が来る可能性がある
税務署がすぐに調査に入らない場合もありますが、必ずしも見逃されているわけではありません。
税務署は調査対象の優先度を判断しており、過去の申告内容や収入規模などをもとに、一定期間後にまとめて確認されることもあります。
この場合、延滞税や加算税が発生する可能性があるため、長期間の無申告や誤申告を放置することはリスクとなります。税務署からの調査がなくても、早めに申告や相談を行うことが重要です。
ペナルティが増加する
無申告の期間が長くなればなるほど、延滞税や無申告加算税といったペナルティは増え続けます。例えば、延滞税が年利最大14.6%で計算された場合、5年間放置すると本税の70%以上にもなる恐れがあります。
さらに無申告加算税として15%~30%が課される場合があるため、無申告の状態を放置すると、当初納める予定だった税額に加え、追加の税負担が生じる可能性がある点に注意が必要です。
早めに申告・納付することで、ペナルティを最小限に抑えることができます。
参考:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき
参考:国税庁|No.9205 延滞税について
悪質だと判断される可能性がある
無申告の期間が長ければ、意図的に申告を避けていたと判断される場合があります。もし悪質と判断されると、重加算税として35%~40%という重いペナルティが課されることがある点に注意が必要です。
最悪の場合、国税査察が検察へ告発し、刑事処分につながる可能性もあるため、適切な対応をとることが重要です。
参考:国税庁|源泉所得税の重加算税の取扱いについて
無申告が税務署にバレる4つの理由

税務調査がすぐに来ない場合でも安心せず、正しい申告を行うことが大切です。税務署は様々な情報をもとに確認を行っており、無申告の状態が長期間続くと指摘を受ける可能性があります。
なぜ発覚することがあるのか、主な要因を整理すると以下の通りです。
- ・取引先や銀行など第三者からの情報提供がある
- ・過去の申告内容や同業他社との比較に違和感がある
- ・税務署からのお尋ねの無視や不誠実な対応をしている
- ・マイナンバーで個人の収入が把握しやすくなりつつある
取引先や銀行など第三者からの情報提供がある
取引先が税務署に提出する支払調書や、銀行からの一定額以上の入出金情報により、申告漏れが把握される可能性があります。
原則として、企業やフリーランスに報酬を支払った取引先は、年間の支払額を記載した支払調書を税務署に提出する義務があります。また、銀行も法令に基づき一定額以上の入出金について報告を行います。
これらの情報は税務署が申告状況を確認する際の参考となるため、事業で収入を得ている場合は、適切に申告しておくことが重要です。
参考:国税庁|法定調書(源泉徴収票、支払調書)の作成と提出
過去の申告内容や同業他社との比較に違和感がある
税務署は過去の申告データや同業他社の申告内容と照らし合わせ、申告内容に大きな変動がないかなどを確認する場合があります。たとえば、以前は年間500万円の収入を申告していた方が申告をされない場合、事業の状況の変化や申告漏れの可能性などが考えられます。
また、同じ業種・規模の事業者の平均的な収入と比べて極端に少ない場合なども、注意が必要なケースとして挙げられます。年度ごとの収支には幅がありますので、必ずしも問題とは限りませんが、申告内容を整理しておくことが望ましいでしょう。
税務署からのお尋ねの無視や不誠実な対応をしている
税務署から「お尋ね」という文書が届いた場合は、必ず内容を確認し、誠実に対応することが重要です。
「お尋ね」とは、申告内容に確認が必要な点がある場合や、未申告の可能性がある場合に税務署から送られる文書です。内容を無視したり、適切な対応を怠ったりすると、場合によってはより詳細な調査につながることがあります。
適切な対応を心がけることで、不要な誤解や手続きの負担を避けることができます。必要に応じて税理士に相談することも有効です。
参考記事:税務署からのお尋ねって何?来たときにはどう対応すればよい?
マイナンバーで個人の収入が把握しやすくなりつつある
マイナンバー制度により、税務当局が利用できる情報は年々拡充しています。2025年現在、以下のようにさまざまな経済活動にマイナンバーが紐付けできるようになっています。
- ・給与や報酬の支払い
- ・銀行口座の開設
- ・不動産取引
税務署はこうした情報を活用して、申告内容と実際の収入を照合しています。そのため、無申告が発覚するリスクは高いといえます。
無申告からの対応|リスクを抑え、負担を軽くするための3つの方法

無申告の状態から正しく対応することは、将来の税務リスクや追加の負担(延滞税・加算税など)を抑えるために非常に重要です。以下の3つの対策は、適切に行えば調査やペナルティの影響を軽減できる可能性があります。
- ・過去分の申告に必要な資料をすべて揃える
- ・税務署から連絡が来る前に自主的に申告する
- ・無申告対応に強い税理士に相談する
過去分の申告に必要な資料をすべて揃える
過去分の申告が未了の場合は、年度ごとの収入や経費を証明できる資料を整理しておくことが重要です。具体的には以下の書類を参考にしてください。
- ・給与明細
- ・報酬の振込記録
- ・請求書
- ・領収書
- ・銀行の通帳
- ・クレジットカードの明細
資料が不足している場合は、銀行に過去の取引明細の発行を依頼したり、取引先に支払調書の再発行を相談したりすることも可能です。
これらの資料を整理しておくことで、正確な申告書の作成がしやすくなるほか、適切な控除や還付を受けられる可能性もあります。
税務署から連絡が来る前に自主的に申告する
無申告の状態が判明する前に自主的に申告すると、無申告加算税は通常5%まで軽減される可能性があります。これに対し、税務調査などで後から発覚した場合、無申告加算税は原則として15%~20%(悪質な場合は最大30%)となるため、負担額に差が出ることがあります。
たとえば、本税が100万円の場合の単純計算では、自主申告なら5万円程度、調査後では最大で30万円程度の加算税が課されるケースもあります。
自主申告は税務署からの印象や手続き上の利便性においてプラスに働くことが多いため、無申告が判明した場合は早めに対応することが推奨されます。税務署からの連絡を待たず、自ら行動することが重要です。
参考記事|加算税制度の概要①(基本情報)
無申告対応に強い税理士に相談する
無申告の対応は、通常の確定申告とは異なる専門的な知識が必要な場合があります。そのため、無申告に関する経験や知識を持つ税理士に相談することが安心です。
こうした税理士は、過去の収入や支出の整理をサポートし、正確な申告書の作成を支援します。また、無申告に伴うペナルティや手続きについてのアドバイス、必要に応じて税務署とのやり取りのサポートも受けられる場合があります。
税理士への報酬は発生しますが、専門家に相談することで手続きや精神的な負担を軽減できるケースもあります。まずはお気軽に相談してみることをおすすめします。
無申告で税務調査が来ない状態を維持するより納税をしよう

無申告のまま税務調査が来ない状態を維持しようとするのは、リスクの高い選択です。むしろ問題を何倍にも大きくする恐れがあります。
税務当局は複数の情報源から照合を行っており、時間が経つほど延滞税や加算税が累積する可能性があります。また、意図的な申告回避と判断されるとより厳しい対応となる場合もあります。
そのため、無申告に気づいた場合は、まずは記録(収入・支出の明細、振込履歴、請求書など)を整理したうえで、税理士に相談することをおすすめします。早めの自主的な申告や訂正は、状況によってはペナルティの軽減につながることがあります。当事務所では事実確認から申告書の作成、税務署とのやり取りまで一貫してサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
免責事項
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。


