コンカフェ開業資金

アニメやメイドなど何かしらのテーマをもとに独自のコンセプトを持った「コンカフェ」こと、コンセプトカフェ。

店内に1歩足を踏み入れると独特の空気が流れ、日常を忘れられる唯一無二の空間が広がります。

コンカフェを開業するためには、どのような準備が必要なのでしょうか。

本記事では、コンカフェの開業資金の内訳や開業のためのステップ、開業資金の集め方について解説していきます。

コンカフェとは

まずはコンカフェとはコンセプトカフェの概要について解説します。
以下の項目にわけてみていきましょう。

  • 「コンセプトカフェ」という飲食店
  • コンカフェの具体例

「コンセプトカフェ」という飲食店

コンセプトカフェは、独特のテーマや世界観を持ったカフェです。
メニューの内容や内装、従業員の接客に至るまで、世界観を追求します。

飲食店ではありますが、食事そのものよりも雰囲気や世界観を楽しむことを目的に訪れるお客様が多いのが特徴です。他のお店では味わえないような唯一無二の空間・時間を提供するカフェであり、お客様はその空間を求めて来店します。

コンカフェの具体例

人気のコンカフェの具体例をご紹介します。

コンセプト モチーフの例
コスプレ系

メイド
男装

コラボ系

アニメ
人気キャラクター

動物系

爬虫類
趣味系

マジック
探偵

ホラー系

お化け屋敷
吸血鬼

このように独特の世界観を絞り、テーマに沿って楽しめるのがコンカフェです。

コンカフェ経営の魅力

コンカフェ開業

コンカフェの開業・経営には、以下のような魅力があります。

  • 集客力が期待できる
  • 普通のカフェより利益率が高い
  • 開業資金が比較的少ない

集客力が期待できる

コンカフェは独自の世界観が他店にはない最大の魅力であり、集客力が見込めます。
広く多くの人に刺さるというものではなく、ある一定層に深く刺さります。そのため、普通のカフェよりもリピーターを獲得しやすい傾向もあります。
またコンセプトが固まっているため、SNSでの集客をしやすいという特徴があります。

普通のカフェより利益率が高い

コンカフェは付加価値販売によって一般カフェ(原価率30%前後)よりも、利益率が高い場合があります。

例えばメイドカフェなら、メイドさんがオムライスにケチャップでメッセージを書いてくれるというような付加価値を付けて提供します。

それでも人件費は普通のカフェと同等程度となりますので、オーナーへの利益率が高くなるという仕組みです。

開業資金が比較的少ない

キャバクラやラウンジを開業するよりも、コンカフェの方が開業資金を抑えられるというメリットがあります。

内装に求められるのは世界観なので、高級感が求められる商売と比較すると内装費が抑えられるでしょう。

居抜き物件が見つかれば、さらに開業資金を抑えられるでしょう。

コンカフェの開業資金は300万円~1,000万円程度

コンカフェの規模や立地にもよりますが、開業資金は300万円から1,000万円程度が一つの目安とされています。

開業資金として以下のような項目を想定していきましょう。

  • 物件取得費用50~200万円
  • 内装工事費150万~500万円
  • 設備購入費50万~150万円
  • 看板や外装費用10万~50万円
  • 販促・広告費用10万~30万円
  • 許認可申請費用5万~10万円
  • 開業準備費用5万~20万円
  • コンカフェの運転資金は最低3ヶ月分

物件取得費用50~200万円

コンカフェ開業資金

物件取得費用とは、お店の賃料や敷金礼金、仲介手数料などです。
初期費用として保証金や前家賃が必要になり、物件の家賃によって費用が異なります。

内装工事を行うオープン準備期間の空家賃も想定しておかなければいけません。家賃は立地が大きく影響しており、人気のエリアは集客が見込めますが家賃が高額になります。

コンセプトと合うエリアを選び、オープン後の経営を考慮した物件を選びましょう。

内装工事費150万~500万円

内装デザインは、コンカフェの成功に大きく関与する要素となります。コンセプトを明確にし、壁紙や照明で独自の空間を演出することができるからです。

店内で何気なく撮った写真を見るだけで、コンセプトが伝わるように工夫してみましょう。SNSで映えるような内装にすると、それだけで宣伝効果が期待できるでしょう。

設備購入費50万~150万円

カフェの設備費とは、冷蔵庫などのキッチン設備です。
コンカフェでどのような食事を提供するのか、メニューを見据えて設備を整えていきましょう。
凝った料理を作らないのであれば、設備費を抑えられる可能性があります。

看板や外装費用10万~50万円

看板や外装を整えるための費用であり、どの規模のものを作成するかで費用が左右されます。

2階以上でお店をオープンするのであれば、お客さんの足を止めるための看板が必要になるでしょう。例えば、1階に黒板のメニューボードを出すだけであれば、メニューボードとチョークを準備するだけで良いので費用を抑えられます。

手書き看板に魅力を感じる人がいますので、この看板も一つの戦略となります。ただし、目に留まるような工夫は必要といえます。

販促・広告費用10万~30万円

コンカフェ開業資金

コンカフェの集客に欠かせない、ホームページ作成やSNS広告などにかける費用です。TikTokやInstagramで情報収集をして来店するお客様が多いので、SNS運用は必要といえます。

お店の基本情報やメニューはホームページに記載し、SNSではイベントの告知を行うなど、発信したい情報に応じて使い分けていきましょう。予約フォームを用意しておけば、そのまま集客に繋がります。

許認可申請費用5万~10万円

コンカフェは飲食店を開業するための許可や取り扱いテーマに関わる資格が必要です。これらの許可や資格の内容について詳しくは後述します。

費用については以下を参考になさってください。

許可・資格名

概要・対象業種 目安費用 備考

食品衛生責任者

飲食店・食品販売業に必要な資格 10,000円前後

講習の受講が必須。

飲食店営業許可

飲食店を開業する際に必要な許可 16,000円~

費用は地域による。

第一種動物取扱業

ペットショップ、動物カフェなど動物関連事業 15,000円~

費用は地域によって異なる。

動物取扱責任者

動物取扱業者に必要な責任者資格 無料~

費用は地域によって異なる。

風俗営業許可(1号~8号 特定の営業形態に必要 24,000円 地域により異なる。警察署への申請が必要。
深夜酒類提供飲食店営業 午前0時以降に酒類を提供する飲食店 不要

警察署に提出。

 

開業準備費用5万~20万円

実際にお店を運営していくために必要な従業員の制服や、ストローや紙コップなどの備品を準備する費用です。

従業員の制服もコンセプトの一部となるため、できる限り世界観を反映させたデザインを意識すると良いでしょう

コンカフェの運転資金は最低3ヶ月分

コンカフェを開業する前には、状況などにより異なりますが最低でも3ヶ月分以上の運転資金を準備しておくことが望ましいでしょう。

人件費や家賃、水道光熱費や仕入れ費などを想定し、お店が軌道に乗るまでの資金にします。

オープン直後から利益が出続ければ良いのですが、想定外の事態が起きてしまうかもしれません。最初は赤字でもお店を存続させられるよう、経済的な余裕を確保しておきましょう。

コンカフェ開業までの流れ

コンカフェ開業手順

コンカフェを開業するまでの主な流れを確認しておきましょう。

  1. コンカフェの要となるコンセプトを決める
  2. 開業8ヶ月前を目安に物件探し
  3. 開業6ヶ月前を目安に資金集め
  4. 内装や備品など店舗の準備
  5. 届出など行政手続き
  6. 開業1ヶ月前を目安に従業員の採用・教育
  7. オープンに向けた宣伝・集客
  8. 開業1週間前にプレオープン
  9. 課題をクリアにした上で開業

上記の開業までの期間はあくまでも目安なため、できるだけ余裕のあるスケジュールで動けるようにしておきましょう。

コンカフェ開業に必要な資格

コンカフェを開業するには、以下のような資格が必要です。

  • 講習が必要な「食品衛生責任者」
  • 動物系のコンカフェなら「動物取扱責任者」

講習が必要な「食品衛生責任者」

コンカフェ資格

食品衛生責任者とは、食品を取り扱う施設の衛生を担う人を指します。
食品を取り扱う多くの施設で必要になるもので、コンカフェでも必要となる資格です。
各都道府県で実施される講習に参加し、試験に合格すると取得できます。
東京都の場合は、こちらのホームページを参考になさってください。
参考:一般社団法人東京都食品衛生協会|食品衛生責任者会場集合型養成講習会

動物系のコンカフェなら「動物取扱責任者」

猫カフェや犬カフェなど、動物のコンカフェを開業するのであれば動物取扱責任者という資格が必要です。

常勤の従業員の中から専属として専任されるものである点には注意しましょう。動物取扱責任者になるには、実務経験や卒業している教育機関などの要件を満たしている必要があります。

東京都の場合は、東京都保健医療局のホームページを参考になさってください。
参考:東京都保健医療局|動物取扱責任者について

コンカフェ開業に必要な届出

コンカフェ許可

コンカフェを開業するには、以下の届出が必要になります。

どんなコンセプトで開業するかによって必要な届出が異なりますので、該当するものを確認しておきましょう。

  • 飲食店の開業に必須「飲食店営業許可」
  • 動物系のコンカフェなら「第一種動物取扱業」
  • 接待を行うなら「風俗営業許可」
  • 深夜0時以降にお酒を提供するなら「深夜酒類提供飲食店営業」

飲食店の開業に必須「飲食店営業許可」

飲食店営業許可とは、カフェなどの飲食店を営業する際に必須となる公的許可です。
開業予定の店舗の管轄する保健所に申請をし、立ち入り検査を受けます。検査に合格すると営業許可書が交付され、午前0時まで酒類の提供ができる飲食店となります。

食品衛生責任者を設置しているのが条件になりますので、先に食品衛生責任者を取得しておきましょう。

動物系のコンカフェなら「第一種動物取扱業」

第一種動物取扱業とは、営利目的で動物を扱うための届出で、保健所にて申請します。申請のためには動物取扱責任者をもつ者が必要です。

エリアや建物によって動物の取扱いが認められない場合がありますので、早めに相談するようにしましょう。

接待を行うなら「風俗営業の許可」

従業員が店内で接待を伴うサービスをするのであれば、風俗営業の許可が必要になります。

風俗営業の許可とはキャバクラやラウンジで必要になる許可という認識があるかもしれませんが、コンカフェでも必要になるケースがあります。

接待を伴うサービスにはお酌やカラオケなどが該当するとされており、チェキの撮影会なども内容や実施方法によっては接待と見なされる場合があります。詳細は所轄の警察署に事前に確認しましょう。

参考:警視庁|風俗営業、特定遊興飲食店営業(様式一覧)

深夜0時以降にお酒を提供するなら「深夜酒類提供飲食店営業」

深夜0時以降にお酒を提供するのであれば、飲食店営業許可に加えて深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になります。

届出を出さずにお酒を提供していると、罰則の対象となる可能性があります。

警察署の窓口を通じて、公安委員会に提出します。
参考:警察庁|深夜酒類提供飲食店営業(様式一覧)

コンカフェの開業資金を集める方法

コンカフェ開業資金

コンカフェの開業資金を集める方法について、ご紹介します。

  • 自己資金を用意する
  • 金融機関から融資を受ける
  • クラウドファンディングで呼びかける

自己資金を用意する

どんな業種であっても開業には自己資金が必要です。

金融機関から融資を受けるとしても、自己資金があった方が融資が受けやすくなるためです。可能な限り、できるだけ多くの自己資金を用意できるといいでしょう。

知人や親族から借りるという方法もありますが、大切な人とトラブルにならないよう返済計画を明確にしておきましょう。

金融機関から融資を受ける

コンカフェに限らず、どんな業種であっても開業時は融資が資金調達の選択肢のひとつとなります。

銀行などの金融機関、日本政策金融公庫など、メリット・デメリットを比較しながら慎重に融資元を選んでいきましょう。
どんな融資でも申し込みには事業計画書の提出が求められます。事業計画書は融資の審査結果を左右する重要な書類となりますので、丁寧に作成していきましょう。

クラウドファンディングで呼びかける

カフェのコンセプトに賛同してくれる人がいれば、クラウドファンディングで開業資金を集められるかもしれません。

クラウドファンディングをするのであれば支援者へのリターンを工夫してみましょう。割引券だけでなく、プレオープンでの入場券、限定メニューの優待券など、特別感を感じられる要素を意識するのも良いでしょう。

コンカフェの開業は余裕をもって計画を

コンカフェは集客力があり利益率が高いため、簡単に儲かるというイメージを抱いている人がいるかもしれません。

実際は成功事例がある一方で競合激化リスクもあり、いかにコンセプトの世界観を追求できるかがポイントになります。

「どんなコンセプトで開業するのか」という点を大切にしつつ、開業までのステップを確実に踏んでいかなければいけません。

開業や資金調達、経営支援に関してお困りごとがあれば、税理士法人松本にご相談ください。

‐免責事項‐

当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。