「マイナンバーがあると、夜職の収入は全部バレるのでは?」「申告していなかったら脱税になる?」
夜職をしている人で、このようなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。特にデリヘルや風俗などの夜職は、働き方が一般的な会社員と異なるため、税金や申告の仕組みが分かりにくく、不安に感じやすいものです。
本記事では、マイナンバー制度の基本と税金との関係を解説します。夜職で得た収入がどのような場面で問題になりやすいのかについても説明しますので、今の状況を整理するための参考にしてください。
目次
マイナンバーの基本的な役割

マイナンバー制度は、税金や社会保険、行政手続きを効率的に管理するために導入された個人識別番号です。
マイナンバーの主な目的は、申請や手続きを簡素化し、行政側の確認作業をスムーズにすることにあります。そのため、マイナンバー自体が個人の収入を常に監視する仕組みになっていたり、すべての収入を自動的に把握していたりするわけではありません。
実際の税務処理においては、確定申告や支払調書、銀行口座の動きなど、複数の情報をもとに判断が行われます。夜職や風俗で働く場合でも、マイナンバーを持っているだけで収入の詳細が即座に把握されるわけではありません。
しかし、税務署が必要に応じて情報を整理・確認するための手がかりとして、マイナンバーが利用されることがあります。
キャバ嬢はマイナンバーの提出が必要?
キャバ嬢やホステスなど、夜職で働いてる人が受け取る収入について、キャストが必ずしもお店にマイナンバーを提出しなければならないわけではありません。ただし、働き方や手続きの場面によっては、提出が必要になるケースもあります。それぞれ詳しく説明します。
個人事業主として働く場合
キャバクラやラウンジなどの夜職では、雇用契約を結ばず、個人事業主(業務委託)として働くケースが多いです。この場合、一般的な会社員のように入店時点でマイナンバーの提出を求められないことも多く、マイナンバーを出さなくても働けるという人も少なくありません。
しかし、マイナンバーが不要というわけではありません。確定申告を行う際には、申告書にマイナンバーを記載する必要があります。そのため、夜職で得た所得が一定額を超える場合や、副業として働いている場合は特に注意が必要です。
参考:国税庁|所得税の確定申告
雇用契約を結んでいる場合
夜職の中でも一部では、キャストと店舗の間で雇用契約を結んでいるケースがあります。この場合、法律上の扱いは一般的な会社員と同じになり、店舗は「雇用主」、働く側は「従業員」として位置づけられます。
雇用契約がある場合、店舗側は以下のような法定の事務を行う必要があります。
- ・給与支払いに伴う源泉徴収
- ・年末調整
- ・社会保険や雇用保険の手続き など
そのため、税務・社会保険の各種書類にマイナンバーを記載する必要があり、店舗側がキャストに対してマイナンバーの提出を求めるのが一般的です。
この場合、マイナンバーの提出は法律上の手続きに必要なものであり、提出を拒否したまま働き続けるのは難しくなります。万が一キャスト側が提出しない場合、給与の支払い方法や雇用継続に影響が出る可能性があります。
ただし、店側と雇用契約を結んでいることから収入は「給与所得」として扱われ、税務署や自治体に収入情報が整理された形で伝わりやすくなる点はメリットです。業務委託とは異なり、申告や手続きの自由度は低くなりますが、その分、税務処理が明確になる働き方といえます。
雇用契約の有無については、実態として店舗の指揮監督下にあるか、勤務時間や場所が拘束されているかといった「労働者性」に基づいて判断されます。
参考:労働基準法における労働者性判断に係る 参考資料集|厚生労働省
税金・住民税の手続きでも必要になる
夜職で得た収入は、原則として課税対象となります。そのため、確定申告のときだけでなく、住民税の申告でもマイナンバーの記載が求められます。なお、副業として夜職をしている場合、住民税の金額が増えることで、本職の会社に副収入があることが推測される可能性があります。
本職の会社に夜職がバレたくない方は、住民税の徴収方法を特別徴収から普通徴収に切り替えるのが有効です。ただし、副業が給与所得(雇用契約)である場合は自治体の運用により切り替えが認められないケースもあるため、自身の所得区分と自治体のルールを事前に確認するようにしましょう。
夜職の収入はマイナンバーで把握される?

夜職で働いている人の中には、「マイナンバーがあることで収入がすべて把握されてしまうのではないか」と不安を感じている人も多いかもしれません。特に、現金手渡しや業務委託といった働き方が多い業界では、一般的な会社員とは仕組みが異なるため、情報がどのように管理されているのか分かりにくい部分があります。
結論から言うと、マイナンバーだけで夜職の収入が自動的に把握される仕組みではありません。ただし、マイナンバーの導入によって、情報連携が強化され、税務署が収入情報を確認・照合しやすくなっています。
ここでは、マイナンバーで夜職の収入が税務署に伝わりやすい理由を解説します。
店舗側が行う税務申告
夜職の店舗が、キャストに支払った報酬を「外注費」「業務委託費」として処理する場合、その支払い内容は税務署に申告されます。特に、同一人に対する年間の支払合計額が50万円を超えるホステス等への報酬・料金については、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成し、税務署へ提出する義務があり、その中に受取人のマイナンバーが記載されるのが原則です。
この支払調書が提出されると、税務署は「どのキャストに、いくらの報酬が支払われたか」を正確に把握できる状態になります。その情報をもとに、税務署は本人が確定申告をしているか、申告額と支払額に差がないかを確認することが可能になります。
つまり、マイナンバーで即座に収入を把握できるわけではありませんが、店舗側の申告情報と本人の申告内容を結び付ける役割を果たしています。
銀行口座への入金
銀行口座が常にマイナンバーで監視されているわけではありません。ただし、税務署が調査を行う必要が生じた場合、口座名義人の情報とマイナンバーを用いて、取引履歴を確認することができます。
このとき、支払調書に記載されたマイナンバーや、確定申告書に記載されたマイナンバーと、銀行口座の名義情報を照合することで、特定しやすくなります。
その結果、継続的な入金があるにもかかわらず申告が行われていない場合、申告漏れの可能性が高いケースとして把握されることがあります。収入が現金手渡しであっても、最終的に口座に入金されていれば、確認の対象になる点は理解しておく必要があります。
住民税や扶養に関する情報
住民税や扶養に関する情報は、市区町村がマイナンバーを使って一元的に管理しており、扶養に入っている人の所得状況や、住民税の課税額などは、番号によってひも付けられています。
そのため、扶養に入っているのに一定以上の収入があったり、申告されている所得額と生活実態が合わなかったりすると、税務署から確認されることがあります。副業として夜職をしている場合も、住民税額の変化が番号情報をもとに管理されるため、結果として収入の存在が浮かび上がるケースがある点に注意が必要です。
マイナンバーだけではない!税務署が収入を把握する主な方法
「マイナンバーが完全にひも付いていなければ大丈夫なのでは」と思われがちですが、税務署が収入を把握する手段はマイナンバーに限られません。マイナンバーはあくまで補助的な手段のひとつであり、それがなくても調査は行われることがあります。
代表的なのが、店舗への税務調査(いわゆる反面調査)です。その際にお店の帳簿や経理資料を確認すれば、どのキャストに、いつ、いくら支払ったかが把握できます。ここから支払いを受けた側の申告状況が確認され、無申告や申告漏れが判明するケースもあります。
そのほか、高額サービスを利用したり、高級ブランド品を頻繁に購入したりしている場合、支払先への調査を通じて、生活実態と申告内容に差がないかが確認されることもあります。高額な支出が続いている場合など、収入との整合性が見られることがある点に注意が必要です。
さらに、同僚や知人、辞めたお店のキャストなど第三者からの情報提供(密告)をきっかけに調査が行われるケースも存在します。このように、何がきっかけで発覚するか分からないため、働き方に応じた正しい申告を理解しておくことが重要です。
確定申告をしないまま放置するとどうなる?

確定申告が必要な状況でありながら、申告をしないまま時間が経過すると、後からまとめて対応する必要が出てくることがあります。
特に数年分を一度に整理することになると、収入や経費の記録が曖昧になり、当時の状況を正確に説明できなくなるケースも少なくありません。また、放置期間が長いほど心理的な負担や実務的な負担が大きくなりがちです。
そのため、早い段階で状況を把握し、必要に応じて申告や修正を行うほうが、結果的に負担を抑えやすくなります。申告をしない状態が続いた場合、次のようなペナルティが発生する可能性がある点も理解しておきましょう。
- ・無申告加算税(本来納めるべき税額に対して、一定割合の加算税が課される)
- ・延滞税(納付期限を過ぎた期間に応じて、税金とは別に延滞税が加算される)
加算税に関しては、自主的に申告するか、指摘を受けてから申告するかで、負担が変わる場合もあります。なお、令和6年(2024年)1月1日以後に法定申告期限が到来する国税より、納付すべき税額が300万円を超える部分に対する無申告加算税の割合が30%(自主的な期限後申告の場合は25%)に引き上げられており、高額な未申告に対する制裁が強化されています。
税務署から連絡が来た場合の対処法
税務署からの連絡というと、不安を強く感じる人も多いですが、最初から厳しい対応がとられるとは限りません。
多くの場合は、収入状況や申告内容について確認を求められるところから始まります。その際、過去の状況を整理し、説明できる準備があれば、落ち着いて対応することが可能です。連絡が来た時点で慌てるのではなく、状況に応じて税理士に相談するなど、冷静な対応を心がけることが重要です。
確定申告が必要だったにもかかわらず、申告をしていなかったことに気づいた場合、税務署から指摘を受ける前に、自主申告を行うことが可能です。自主的に申告を行った場合、調査や指摘を受けてから申告する場合と比べて、加算税が軽減される場合があります。過去分についても、さかのぼって申告や修正を行うことが可能です。
そのため、「今さら申告しても意味がないのでは」と感じる人もいますが、何もしないまま放置するより、自主的に対応したほうが負担やリスクを抑えやすくなります。
「脱税」と判断されやすいケース
確定申告をしていない状態であっても、すべてが「脱税」と判断されるわけではありません。
脱税として重く判断されやすいのは、一定期間にわたって高額な収入を申告せずに放置していた場合や、収入を意図的に隠す行為が見られる場合です。例えば、虚偽の説明を繰り返したり、指摘を受けた後も対応しなかったりすると、悪質性が高いと判断される傾向があります。また、複数年にわたる未申告や、明らかに生活水準と申告内容が一致しないケースも、確認の対象になりやすいとされています。
こうしたケースでは、通常の無申告加算税に加えて、重加算税が課されることがあります。重加算税は、意図的な隠蔽や仮装があったと判断された場合に適用され、税負担が大きくなりやすい点が特徴です。さらに、金額や悪質性の程度によっては、刑事罰の対象となる可能性もあります。
所得隠し等の悪質な脱税行為は、所得税法違反等の罪に問われるリスクがあり、法務省の管轄する検察当局による立件対象となり得ます。適正な申告は法的リスクを回避するための最低限の義務です。
夜職でよくあるマイナンバーと税金の誤解

夜職の税金に関して「こうすれば大丈夫」「これはバレない」といった話を耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、たとえマイナンバーがなくても無申告はバレてしまいます。
制度を正しく理解しないまま判断してしまうと、思わぬリスクにつながる可能性があります。ここでは、夜職で働く人が誤解しやすいポイントについて説明します。
マイナンバーを提出しなければバレない?
「店舗にマイナンバーを提出していなければ、税務署には分からない」と考える人もいますが、それは確かではありません。マイナンバーはあくまで個人を識別するための番号であり、提出していないからといって収入の存在自体が消えるわけではありません。
税務上は、確定申告の内容や支払側の申告、その他のさまざまな情報をもとに状況が確認されます。そのため、マイナンバーを出さないこと自体が安全策になるとは限らず、提出していない場合でも正しく申告することが重要です。
現金手渡しならバレない?
夜職では、報酬が現金で支払われるケースもあり、「口座を使わなければ把握されないのでは」と思われがちです。しかし、現金であっても収入であることに変わりはなく、税務上の扱いが免除されるわけではありません。
実際には、店舗側の申告内容や生活状況との整合性など、別の要素から確認される場合もあります。
現金手渡しは記録が残りにくい反面、収入管理が曖昧になりやすく、後から説明が難しくなることもあります。そのため、「現金だから安心」と考えるのではなく、収入としてしっかり整理しておくことが重要です。
関連記事:夜職の手渡し給料は確定申告しなくても大丈夫?リスクや効果的な税務調査対策を解説
副業や出稼ぎなら関係ない?
「本業ではない副業だから」「短期間の出稼ぎだから税金は関係ない」と考えてしまう人もいますが、税務上は働き方や期間ではなく、年間の所得額が重視されます。たとえ一時的な出稼ぎであっても、条件によっては確定申告が必要になるケースがある点に注意が必要です。
また、複数の地域や店舗で得た収入は合算して考える必要があります。
マイナンバーと税金を正しく理解しよう

マイナンバー制度は、収入を自動的にすべて把握する仕組みではありませんが、収入を把握するための手段として使われる場合があります。夜職や風俗の働き方は一般的な雇用形態と異なるため、税金や申告の判断が難しくなりやすいですが、不安なまま放置し続けるのではなく、自分の状況を正しく把握し、必要な対応を知ることが重要です。
早めに税理士に相談することで、将来的なトラブルや精神的な負担を減らすことにもつながります。
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