
多くの企業では銀行振込で給料が支払われますが、一部の夜職では直接手渡しで給料が支払われているケースがあります。
しかし中には、「手渡しでもらっているから確定申告しなくてもバレないだろう」と無申告でいる人もいるようです。
本記事では、夜職における給与手渡しのメリットやデメリット・確定申告の必要性について詳しく解説します。
結論として、たとえ現金手渡しでも一定の所得がある場合には確定申告しなければならず、無申告でいるとペナルティが課されます。
夜職で確定申告をしない場合のリスクや税務調査対策についても説明していきますので、ぜひこの記事を参考に、正しい税の知識を身につけていただけたら幸いです。
そもそも夜職とは
基本的にお客さんとの会話を楽しみながら、お酒を飲むのがメインの仕事を基本的に夜職といいます。
代表的な夜職としては以下の通りです。
- キャバクラ
- ラウンジ
- 高級クラブ
- スナック
- ホストクラブ
夜職は昼職に比べて時給が高く、実力主義の世界であるという特徴があり、人気があれば短期間でまとまった収入を得ることが可能な仕事です。
夜職の給料は現金手渡しでも問題ない
短期や単発のアルバイトで現金手渡しで給料を受け取るケースがありますが、夜職の場合でも手渡しで給料を支給する店もあります。
夜職においては、働くキャバ嬢などが途中で急にいなくなるのを防ぐために手渡しにしている店もあるようです。
給料の現金手渡しは、法律上特に問題はありません。
ただし、後述しますが、主に税金の面で気を付けなければならないことが多い点に注意が必要です。
給料の現金手渡しのメリット
キャバクラなどの夜職で給料を振込ではなく、現金でもらっている方も少なくありません。
現金手渡しで給料を受け取る場合、以下のメリットがあります。
- 現金がすぐ手に入る
- お金を引き出す際の手数料がかからない
- 働いた実感を得やすい
メリットについて、詳しく見ていきましょう。
現金がすぐ手に入る
現金手渡しの大きなメリットとして、給料日に現金がすぐに手に入ることが挙げられます。
近年はコンビニエンスストア等で気軽に引き出すことができますが、銀行やATMからお金を引き出しに行く時間がない緊急時にも助かるでしょう。
給料を現金で受け取った後、生活費など必要な分だけ財布に入れて、貯金する分を口座に入れておけば管理が可能です。
お金を引き出す際の手数料がかからない
ATMでは、時間帯や曜日によっては引き出しに手数料がかかるケースもあります。
基本的には、夜間や土日祝の利用時にATM利用手数料がかかる場合が多いです。
本業や夜職の副業で時間に追われ、手数料がかからない時間帯に銀行やATMに行きづらい場合もあるため、お金を引き出す際の手数料を考えなくて済む現金手渡しの方が便利だと思う人もいるでしょう。
働いた実感を得やすい
給料を手渡しでもらうと、大金を受け取ったという実感を得やすいため、仕事に対するモチベーションが上がる効果も期待できます。
夜職は個人の働きによって給料が増えたり減ったりするため、厚みのある封筒を給料日に受け取ると、実感が湧きやすいです。
このように、「今月も頑張って働いた」と思えて、自身の飛躍に繋げられるのはメリットであると言えます。
給料の現金手渡しのデメリット
給料の現金手渡しにはメリットがある一方で、以下のデメリットも存在します。
- 現金を持ち歩く必要がある
- 自身で口座に入れる手間がかかる
- 現金を使い過ぎてしまう
- 記録に残しにくい
特に、税務関係で苦労することがあるでしょう。
デメリットについて詳しく説明していきます。
現金を持ち歩く必要がある
給料を手渡しで受け取ると、銀行口座に預けたり、自宅に保管したりするまでに現金を持ち歩かなければならず、紛失や盗難のリスクが高まります。
夜職の給料は人によっては数十万、数百万と高額になるため、紛失や盗難は大きな痛手となるでしょう。
そのため、お金から目が離せなくなってしまいます。
特に、給料額が多い人、職場から自宅まで距離がある人は注意が必要です。
自身で口座に入れる手間がかかる
お金を現金で受け取ると、ATMで自らお金を振り込む手間が発生します。
例えば、携帯電話料金や水道光熱費、クレジットカードの支払いなどを口座振替にしている場合、毎月給料から口座に入金しなければなりません。
このように、口座を自身で管理したい人にとってはデメリットが大きいです。
現金を使い過ぎてしまう
現金のまま持っていると、手元で支出管理を行わなければなりません。
しかし、財布の中に多くの現金があるとつい管理が甘くなり、使い過ぎてしまうケースが多くあります。
お金の管理や計画的に使うのが苦手な人は、口座振込にした方がお金の無駄遣いがしにくくなるでしょう。
記録に残しにくい
現金で給料を受け取ること自体は問題ありませんが、銀行振込と違い、記録に残りにくいデメリットがあります。
第三者が確認するのが難しければ、仮に税務調査に入ることになった場合に、収入の証明をするのは容易ではありません。
また、給与を支給する側と受け取る側との間に支払いの有無や金額についてトラブルに発展するケースも考えられます。
手渡しの給料は確定申告すべき?
キャバクラやホストなどの夜職の場合、現金で給料を受け取るケースも珍しくありません。
では、手渡しの給料の場合、確定申告すべきなのでしょうか。
手渡しで現金を受け取っている夜職の人の中には、「口座に記録が残らないから無申告でもバレないだろう」と考えている人もいるかもしれませんが、その考えは誤りです。
ここからは、手渡し給料での確定申告の必要性について説明していきます。
手渡し給料でも確定申告の対象になる
手渡しであっても、銀行振込と同様に一定の所得があれば確定申告は必要です。
手渡しだとしても、給料を支払っている側は人件費を計上しているため、記録に残っています。
夜職で確定申告が必要なケース
確定申告が必要か不要か、夜職の方で判断が難しく思う人もいるでしょうが、勤務先から給料として源泉徴収されたお金をもらっている場合、確定申告が不要なケースが多いです。
一方、夜職を副業としている場合、年間所得が20万円を超えると所得税を納めなければなりません。
また、個人事業主として本業で夜職を行っている方は、年間48万円を超える場合、基本的に確定申告が必要です。
手渡し給料の無申告はバレる可能性が高い
「手渡しなら確定申告しなくてもバレない」と思われがちですが、脱税が発覚するケースが多い夜職に対しては、税務署は常に目を光らせており、たとえ現金手渡しであっても無申告を見逃しません。
逆に、税務署に不審に思われ税務調査の対象となる場合もあるのです。
夜職の無申告がバレるケースとして、第三者からの密告や銀行口座の履歴、SNSへの投稿などさまざまです。
また、キャバクラやホストクラブなどには税務調査が入りやすいとされており、店側の税務調査によってキャバ嬢やホスト個人の脱税行為が発覚するケースもあります。
夜職が確定申告をしなかった場合のリスク
夜職の人が行うべき確定申告をしなかった場合、以下のリスクがあります。
- 必要以上の税金を納めなければならない
- 本業に夜職がバレる可能性がある
- クレジットカードやローン審査に不利になる
たとえ手続きが面倒だと思っても、多くの税金を払わなければならなくなったり、信用情報に傷が付いたりする恐れがあるので注意が必要です。
確定申告をしなかった場合に考えられるリスクについて、詳しく見ていきましょう。
必要以上の税金を納めなければならない
夜職は特に税務調査が入りやすい職種だと言われており、「確定申告をしなくてもバレないだろう」と思って申告を怠ると、税務調査が入る可能性があります。
その結果、本来納めなければならない税額に加えて、無申告加算税や延滞税などを納税しなければならなくなるほか、脱税と判断されると重加算税という思いペナルティが課されたり刑事罰の対象となったり恐れもあるのです。
確定申告の手続きが分からない、難しいという方は放置せず、税務の専門家である税理士に相談するのがおすすめです。
本業に夜職がバレる可能性がある
副業としてキャバクラなどで働いている方は、確定申告をしないことで副業が本業の会社にバレる可能性が高まります。
基本的に、住民税は会社の給与から天引きされる特別徴収となっており、副業での所得が増えると、それに応じて住民税額も増額しますが、その際、本業の会社に副業で稼いだ額が加算された住民税額が通知されるため、給与担当者に副業の存在を知られてしまう恐れがあるのです。
副業バレのリスクを軽減させるためには、確定申告を行い、特別徴収から自身で納付する普通徴収に切り替える必要があります。
クレジットカードやローン審査に不利になる
確定申告をしていなければ、所得ぶん納税しないと言えるため、働いていないことになります。
そのため、夜職を本業としている人は、無申告だと無職扱いされ、クレジットカードやローンの審査が通りにくくなってしまうのです。
確定申告しなければ収入が証明できず、社会的信用を失い、様々な面で不利な状況になってしまうと覚えておきましょう。
給料の現金手渡しも注意!夜職の税務調査対策
夜職の給料を現金手渡しで受け取っている場合、税務署に疑われて税務調査が入る恐れがあります。
正しく申告・納税を行っているのであれば問題ありませんが、無申告が発覚すれば、重いペナルティが課される恐れがあるので注意が必要です。
ここでは、夜職の人がやっておいた方が良い税務調査対策について説明していきます。
出納帳に金額を毎回記録する
現金手渡しで給料を受け取ったら、税務調査対策として、出納帳に毎回金額を記録しておくことが大切です。
給料に限らず、経費などの支払いもあれば、その都度最低でも以下の項目を記入しましょう。
- 日付
- 勘定科目
- 収入額または支出額
現金でのやり取りは銀行振込と比較して記録に残らないため、このように自身で管理する必要があります。
そのため、面倒に感じるかもしれませんが、忘れずに記入して漏れなく申告するようにしてください。
銀行振込に変えるのがおすすめ
「どうしても手渡しで給料を貰いたい」という人は仕方ありませんが、そうでなければ給料の受け取りを銀行振込に変えるのがおすすめです。
銀行振込であれば、毎回自身で記録する手間も省けますし、確定申告の際に確認しやすくなります。
店側の都合で現金手渡しになる場合には、給与明細などの証明書類をもらい、しっかり保管しておきましょう。
事業用とプライベート用で通帳を分ける
収入はもちろん、支出に関しても事業用とプライベート用に通帳を分けることも夜職の税務調査対策として有効です。
プライベート用の口座であっても、仕事に関する取引が一つでもあれば、税務調査の際に提出を求められます。
特に、夜職では衣装代や美容代などさまざまなものを経費にできますが、口座が同じであれば仕事とプライベートとが混同してしまい、帳簿付けが難しくなります。
通帳を分けると、帳簿に記帳すべき取引が分かりやすくなり、明確に切り分けて考えられるでしょう。
手渡しの給料でも関係ない!忘れずに確定申告をしよう
夜職は税務調査が入りやすい職種であり、受け取り方法が現金手渡しだからといって無申告がバレないわけではありません。
ですから、手渡しで給料を受け取っている方は銀行振込に変えるなど、税務調査対策を行うのが望ましいです。
正しく確定申告を行っていれば、そこまで心配する必要はありませんが、面倒で申告していない、もしくは知識がなく正しく申告できているか分からないという方は要注意です。
税務処理に不安がある方は、夜職に強い税理士に相談すると良いでしょう。
無申告は税務署にすぐにバレてしまいますし、後々に重大なペナルティを課されてしまう可能性が高いので、夜職の方はぜひ確定申告の必要性を理解し、期限内に適切に申告するように心がけていただけたらと思います。
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