日本では仕事をして収入を得た場合、支払わなければならない税金があります。いわゆるサラリーマンとして企業で働く人の場合は、給料から税金が天引きされ、会社が国や地方自治体に納税を行っています。しかし、チャットレディとして働いている方は、報酬から税金が引かれているケースはほとんどないのではないでしょうか。チャットレディとして収入を得ている場合でも、納税の義務はあります。では、チャットレディの場合、どのような税金をどのようにして納めればよいのでしょうか。
今回はチャットレディにかかる税金とその納税方法についてご紹介します。

チャットレディが支払うべき税金とは

チャットレディが支払うべき税金は主に「所得税」と「住民税」です。それぞれの税金の内容と計算方法をご紹介します。

所得税とは

所得税とは、1年間に得た所得に対して個人に課せられる税金です。所得とは、報酬として得た収入から仕事にかかった経費を差し引いた額です。
所得は、何から得た所得であるかによって次の10種類に分けられています。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得
  • チャットレディの場合、個人事業主として業務を請け負い、働いた分の報酬を得ています。したがって、チャットレディの所得は、事業所得に該当します。

    所得控除と基礎控除

    所得税額は、所得の額に応じて税額が変わります。また、一定以上の医療費を支払った場合の「医療費控除」や、生命保険料や地震保険料を支払った場合の「生命保険料控除」「地震保険料控除」。納税者が1人で子供を育てている場合の「ひとり親控除」など、家族構成や家庭の状況などに応じて税負担を調整する仕組みも取り入れられています。これらは「所得控除」と呼ばれています。また、全ての人に適用される「基礎控除」と呼ばれる控除もあり、2400万円以下の収入の場合、一律で48万円を所得から控除することができます。
    所得税は、所得額から基礎控除と所得控除額を差し引いた課税所得金額に応じて一定の税率をかけることで求められます。

    所得税の計算方法

    2021年の所得税の税率は、次のようになっています。
    所得税の速算表

    国税庁所得税の速算表より
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
    この所得税の速算表を使えば、所得税額を簡単に試算することができます。例えば、課税所得額が3,000,000円の方の場合の所得税額は、3,000,000円×10%-97,500円=202,500円です。

    住民税とは

    住民税とは住民票のある都道府県と市区町村に納める地方税です。住民税は、前年の所得額に応じて課せられる「所得割」と所得に関わらず定額が課せられる「均等割」があります。
    所得割の税率は課税所得金額の10%となりますが、このうち4%が都道府県税、6%が市区町村税に分けられます。(ただし、一部地域では例外もあります)
    例えば東京都世田谷区に住んでいる方の場合は、東京都に納める都民税が4%、世田谷区に納める区民税は6%となります。
    一方、一定の金額が課せられる住民税の均等割の税額は、2023年度までは都道府県税が1,500円、市区町村税が3,500円です。

    チャットレディが税金を納めるためには、確定申告の手続きが必要

    報酬から税金が天引きされないチャットレディは、どのようにして税金を納めるようになるのでしょうか。

    所得税の納税は確定申告で

    所得税も住民税の所得割も、所得額に応じて金額が変わるものです。そのため、チャットレディが所得税や住民税を納めるためには、前年1月1日から12月31日までに得た所得を確定する必要があります。
    1年間に得た収入から必要経費を差し引いて所得額を算出し、基礎控除や所得控除を行って課税所得額を導き出す作業と、課税所得額に応じた所得税額を導き、納税をするまでの一連の作業を確定申告と言います。
    確定申告では、チャットレディの場合、仕事をするうえで必要な衣装代、仕事関係の方との打ち合わせを行った場合の飲食費を経費として扱うことができます。また、在宅で仕事をしている場合は仕事で使用するパソコンやスマートフォンの通信費用、光熱費、家賃なども経費として計上できる場合があります。ただし、経費として認められる内容については税務署によって判断が異なる場合もあります。
    確定申告は、必要書類を作成して税務署に提出することで手続きをすることができますが、経費の判断など、1人で書類を作成することに不安を感じる場合には、税理士に相談することをおすすめします。自分では気が付かなかったような費用も経費として計上できる可能性もあります。そのためにも、普段から仕事のために購入した物品のレシートや領収書、通信費や光熱費の領収書はまとめて保管しておくようにしましょう。

    住民税の納税は市区町村からの納税通知書で

    確定申告で課税所得額が確定されると、その情報を基に市区町村が住民税の計算をします。所得税のように自分で計算する必要はありません。5~6月ごろに住民税の納税通知書が市区町村から送られてくるため、納付書を利用して記載された額を期日までに納付するようにしましょう。

    確定申告をしないままの無申告は、脱税に…

    チャットレディは、確定申告によって課税所得額を申告し、所得税を納付しなければなりません。確定申告を行わない場合は、課税所得額が明確にならないために住民税も支払うことができなくなってしまいます。そのため、確定申告を行わない無申告の状態は、所得税と住民税を納付しない脱税に該当してしまいます。脱税をしてしまうと本来納めるべき税額に加えて、ペナルティ分の税額も加算された多額の税金を納税しなければならなくなります。
    そのような事態を避けるためにも、必ず確定申告を行い、正しい納税を行うようにしましょう。

    まとめ

    チャットレディとして所得を得ている方は、所得税と住民税を支払わなければなりません。所得税と住民税の所得割は、課税対象となる所得額を明確にしないとその額を確定できないため、確定申告を行って課税所得額を算出する必要があります。
    確定申告を行わない場合は、税金を支払っていない脱税の状態に該当します。必ず、期日までに確定申告を行うようにしましょう。確定申告の手続きに不安がある場合には税理士に相談することをおすすめします。