ラウンジを経営するうえで必要な開業資金や開業に向けて準備すべきかわからないとお悩みを抱えている方もいらっしゃることでしょう。
ラウンジを開業するためにかかる開業資金や開業準備に必要なことについて、ここでは解説します。



ラウンジの開業資金はどのくらいかかる?

ラウンジの開業資金は借りるエリアや店舗の坪数にもよりますが、最低でも1,000万円の準備は必要でしょう。開業資金は、開業の際にかかる初期費用と運営にかかるランニングコストの2種類があります。
初期投資を考えるうえで重要なのが、どこまで具体的に考えるかです。開業までにすべきことを時系列で整理し、調査や見積りの準備をすることが大切です。

例えば、物件の敷金や家賃などが適切かどうか、内装や設備が必要な場合にはどの程度時間をかけて調べ、比較し、検討するかということです。計画に表れる項目の一つ一つに経営者の事業にかける想いがあればこそ、その計画は実現性も高くなるものです。複数の業者に見積りを依頼をすることや事業主が現地や現物に触れておくことをおすすめします。

ラウンジの初期費用として押さえておきたい項目

まず、ラウンジの開業時に一般的にかかる費用の種類を見てみましょう。

賃借物件の敷金・保証金や礼金

店舗を借りる場合には、初期費用として敷金・保証金、礼金などがかかります。

内装・リフォーム費用

店舗として利用できるように内容やリフォーム工事費等がかかります。

パソコンやレジなどの機器の購入・リース費用

開業すれば、パソコンやレジ、その他のOA機器が必要になります。このような機器は、購入する以外に、リースやレンタルで調達する方法もあります。

通信回線などの工事費用

電話やインターネットを使うための工事費用もかかります。

ホームページやチラシの制作費用

ホームページを作る場合には、サーバーのレンタル料やドメイン取得費用が発生します。チラシやホームページの制作を専門の業者に依頼することもできますが、もちろん制作費用がかかります。
また、集客のためにチラシを作る場合には、紙代や印刷代が発生します。

運転資金はどれくらい用意が必要?

運転資金とは、事業を継続するために必要なお金のことです。
開業後、すぐに事業が軌道に乗るとは限りません。
通常の取引では先に「仕入」や「経費」の支払いが発生し、その後に売上が回収されます。そのため、先に支払うための運転資金が必要になります。現金が不足して支払いが滞ることのないように運転資金を準備しておきましょう。
少なくとも3カ月分の支払いができる程度の運転資金を用意しておくと安心です。運転資金は、売上が回収されるまでの期間に左右されます。回収サイクルが短ければ運転資金を軽減することも可能です。

ラウンジの開業準備に必要なこと

ラウンジを開業するにあたり、さまざまな準備が必要です。開業準備に必要なリストを以下に作成しました。

お店のコンセプトやターゲットを設定する
開業資金を調達する
物件を選定する
印鑑を作成する
開業に必要な書類を提出する

各作業について理解し、開業に備えるようにしましょう。

お店のコンセプトやターゲットを設定する

「誰に」「何を」「いつ」「どこで」「どのように」提供する店なのかというコンセプトを決めます。「儲かるラウンジを始める」というだけでなく、どの年齢層や客層に向けて、どんなコンセプトのお店を、◯時から△時の営業時間に、中心市街地で、どのように提供することまで決めておけば、これから何をしなければならないかが具体的に見えてくるでしょう。
ターゲットが決まれば、ターゲット層に合わせたマーケティングもできます。ターゲット層を惹きつけやすい広告媒体は何かを考えることも集客として有効でしょう。

開業資金を調達する

ラウンジのなかでもいわゆる「風俗営業店」ではなく「飲食店」に近い場合は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が利用できる可能性があります。この制度では、無担保・無保証人で最大3,000万円まで融資を受けることができます。利用したい場合は行政書士や税理士に事前相談することをおすすめします。民間の金融機関や信用保証協会の利用は難しいのが実情です。

物件を選定する

ラウンジとして利用する物件を選定します。ラウンジの場合、店舗物件を選定してから契約するまでは以下のような流れが一般的です。
1.ネットで該当しそうな物件を検索してみる
2.不動産会社を訪問する
3.内見する
4.希望の条件にある程度合致する物件であれば申し込み、入居審査を受ける
5.審査が下りれば、賃貸借契約を締結する

物件を選定する際、ポイントとなるのが物件の立地や面積、賃料などです。立地は、集客できそうな場所、面積は広いとその分の売上が期待できる反面、人件費や光熱費などのコストも上昇する点に注意しましょう。賃料は、毎月かかるであろうコストを計算し、事業を継続できそうな範囲で選ぶようにしましょう。

印鑑を作成する

開業準備中も開業後も、さまざまな場面で印鑑が必要になります。印鑑には、さまざまな種類が存在します。

実印:実印は不動産契約やローン契約をする場合に必要な印鑑。
銀行印:銀行印は銀行などの金融機関に届け出る印鑑。
角印・社印:角印は見積書・納品書・請求書・領収書などに押す印鑑。
住所印・社判:住所印は封筒やチラシ、領収書などに押す印鑑。

開業に必要な書類を提出する

ラウンジの開業時に必要な資格と申請書類についてご紹介します。

食品衛生責任者
ラウンジではお酒やおつまみを提供するため、食品衛生責任者 (経営者本人でなくても可能)の資格保持者が必要です。 各都道府県の食品衛生協会が開催する養成講習を受講すれば、どなたでも取得することができます。申込みは、最寄りの保健所で講習会受講申込書を入手するか、インターネットから申込むこともできます。

防火管理者
防火管理者の配置基準は消防法と関連法令によって定められており、防火建築物の用途と面積、収容人数によって異なります。
防火管理者は、管理する施設の消防計画を作成し、管轄する消防署に選任届を提出する必要があります。

飲食店営業許可
ラウンジではお酒やおつまみを提供するため、飲食店営業許可も必要です。飲食店営業許可は、管轄の保健所へ申請しましょう。
保健所に営業許可を申請してから許可が下りるまで、数週間以上かかる場合があります。許可がないと営業ができないためスケジュールを確認しておきましょう。

風俗営業許可
風俗営業許可は、飲食だけではなく接待を提供する店舗に必要です。風俗営業許可のお店は深夜0時以降の営業はできません。

参考:警視庁(申請様式一覧)

開業届
個人事業の開業届には、税務署に提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」があります。開業届の提出期限は開業日から1ヶ月以内です。
法人は税務署に提出する「法人設立届出書」があります。提出期限は法人設立の日以後2か月以内です。添付書類として、定款等の写しの提出が必要になります。

参考:国税庁(個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき)

まとめ

ラウンジを経営するにあたって開業資金は最低1,000万円の準備が必要になります。
開業資金には、初期費用と運営にかかるランニングコストの2種類があり、それぞれの資金を用意する必要があります。
また、ラウンジの開業準備に必要なお店のコンセプトやターゲットを設定することはもちろん、開業に必要な資格や申請、届出についても合わせてご確認いただき、開業に向けてサポートが必要な方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。