ホストクラブのホストの多くは個人事業主のプレイヤーとして業務委託契約を締結している場合がほとんどです。ホストクラブから支払われる報酬額から経費を差し引いて所得を計算し、確定申告を行います。
確定申告を行ううえで、「ホストはどんなものが経費になるの?」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、ホスト業界の税金事情と、経費にできるものについて解説します。



そもそも確定申告とは?

確定申告とは「所得税」の申告のことをさします。ホストのような個人事業主が働いて得た所得に課される税金を「所得税」といい、確定申告を簡単に言うと「所得税を納めるための申告」です。
個人事業主であるホストは、稼いだ所得に対して「所得税」と「住民税」という税金が課されます。個人事業主の場合、所得税は自分で申告しなければなりません。所得税と住民税は連動しているため、所得税の確定申告をすることで、住民税も自動的に申告される仕組みになっています。

サラリーマンの場合は、会社が給与所得から所得税を源泉徴収し、年末に1年分の税金をまとめて年末調整してくれるため、サラリーマンが個人で確定申告する必要はありません。
ここが個人事業主がサラリーマンと違い、確定申告しなければならない部分です。

所得税額はどのように決まるのか?

所得税というのは、その年の所得(儲かったお金=利益)に対してかかる税金です。住民税も基本的には同じ所得に対してかかる税金になります。

確定申告では、まず最初にその年に儲かったお金(所得)を計算します。
これは、売上から必要経費を差し引いて計算します。儲かったお金(所得)がわかったら、所得控除と言われる基礎控除や社会保険料控除、生命保険料控除などを差し引きます。
所得控除を差し引いた残額(課税される所得)に税率を掛けると所得税が決まります。

たとえば、売上が1,000万円、経費が400万円、所得控除が100万円の場合、課税される所得は500万円になります。
この500万円に税率を掛けたものが所得税になります。

ホストが経費にできるもの

ホストをしているプレイヤーの多くが経費にしているのは以下のようなものです。

・広告宣伝費
・消耗品費
・接待交際費
・旅費交通費
・通信費
・地代家賃
・雑費

・広告宣伝費

ホストクラブで女の子に配る名刺や宣伝写真代などがこれにあたります。

・消耗品費

お客様との同伴やアフターでの飲食代やお客様誕生日に渡すプレゼント代は、接待交際費に計上されます。
飲食接待費を経費にするには、領収書やレシートの保存だけではなく、あとで説明できるように領収書とともに、以下の情報を領収書の裏などに記載しておくようにしましょう。

(1)飲食等の年月日
(2)参加した取引先の人の名前とその関係
(3)参加した人数
(4)金額と飲食店等の名称・所在地

・旅費交通費

仕事に向かう際に利用する電車代やタクシー代の移動費を計上します。

・通信費

スマホの通信費用は、お客さんに営業電話やLINE、Instagramなどで利用することでしょう。スマホを仕事用とプライベート用で分けておらず、1台持ちの場合は、その頻度の割合によって経費計上する分を計算するようにしましょう。

・地代家賃

ホストクラブが用意してくれている寮を利用しているホストもいるでしょう。ホストクラブと締結した契約書などもきちんと保管しておくようにしましょう。

・雑費

ほかの勘定科目に当てはまらない仕事上の出費は雑費で計上します。

個人事業主であるホストにとっての経費とは?

個人事業主の場合、支出した金額が何の勘定科目に該当するかどうかが問題となるわけではありません。その経費が「必要経費」に該当するかどうかという点が問題となります。
必要経費については、所得税法第37条第1項に

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第35条第3項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする

とされています。
税務調査になった場合、必要経費であるのか、そうでないのかが確認されます。
事業と関連するということが重要となり、得意先や仕入先など事業に関係する者のために支出した経費であることが見られるポイントです。
また、事業の内容や取引規模から判断して「社会通念上」、妥当な金額であるとともに、妥当な支出回数であることなども求められます。
税務上の用語として「社会通念上」という言葉がよく出てきますので、覚えておくとよいでしょう。

まとめ

ホストクラブで働くホストの多くは個人事業主になります。給与所得ではないため、サラリーマンと同じように会社(お店)が年末調整をしてくれるわけではありません。
そのため、個人で確定申告を行う必要があります。
確定申告を行ううえで、個人事業主ができる経費は、その経費が「必要経費」に該当するかどうかという点が重要です。
確定申告や経費計上に不安がある、自分では申告書をつくるやる気がおきないというホストの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。