「風営法が変わってから、看板でアピールしにくくなった」という声を多くの方から耳にします。実際に看板が変わったと感じている方も多いのではないでしょうか。
看板は店の顔であり、通行人の目を引くための最大の武器です。しかし、改正後のルールは設置場所や表示内容に細かな制限を設けています。もし知らずに新基準に違反した看板を出し続けていれば、最悪の場合、許可の取り消しや重い罰則を科される可能性も否定できません。看板による集客と法律を守るという二つの課題に、どう折り合いをつければよいのか悩むのは当然のことです。
本記事では、「風営法改正によってどのように看板が変わるのか」をテーマに、「法的に安全な表現方法」や「設置場所」について解説しています。法律の範囲内で最大限に目立つためのデザインの工夫についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
風営法改正で何が変わった?看板規制の基本と変更点

2025年6月28日に施行された風営法改正では、街の景観維持や少年の健全育成への配慮がより強く打ち出されました。中でも特に大きく変わったのが、店舗の外側に掲示する広告物。つまり看板の表示内容や設置の仕方です。以前よりも厳格に見直される形となりました。
そのため、これまでは見逃されていたような過激な写真や、公道にせり出したのぼり旗なども、今では取り締まりの対象となり得ます。看板は単なる集客ツールではなく、公共の場にある広告物として、社会的なマナーを遵守することがこれまで以上に求められるようになったのです。
風営法改正後の看板ルールで押さえるべき3つのポイント

風営法改正後の看板ルールを押さえるべきポイントとして、以下の3つがあります。それぞれどのようなポイントなのか、詳しく見ていきましょう。
- ・店頭広告に使える表現の明文化
- ・動く看板に対する規制の明確化
- ・違反した場合の罰則と行政処分
店頭広告に使える表現の明文化
2025年の風営法改正によって、店頭広告に使える表現が明文化されました。当然、看板にも適用されており、以下の表現が使用できなくなっています。
- ・売上・収入に関する表現
- ・ランク表現
- ・キャラ系の表現
- ・順位・記録に関する表現
- ・数値を比較する表現
- ・競争イベント
- ・煽り系
- ・プレイヤー称号
具体的には、「No.1」「神」「キング」「推せ」などが当てはまります。これまで使われてきた誇張表現や業界用語であっても、警察の解釈次第で違反になる可能性があるため、表現には気を付けなければいけません。
参考:接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて(通達)|警視庁
動く看板に対する規制の明確化
LEDビジョンや液晶モニターを用いた「動く看板」に対する規制も詳細化され明確になっています。景観的な問題だけでなく、交通安全や近隣住民の睡眠障害の発症防止といった、より直接的な公害対策としての意味を持ちます。
ただし、地域によって制限が異なるため、設置する際は確認しておく方が良いでしょう。例えば、新宿区の場合、以下のような独自ルールが設けられています。
- ・歌舞伎町や新宿駅東口エリアは「特別管理地区」とされ、許可制限が厳しい
- ・24時間点灯には許可が必要
- ・住居地域に面する場合は画面を消す時間帯が定められている
動く看板を設置する際は、こうしたルールに抵触しないようにするのも重要です。
違反した場合の罰則と行政処分
看板のルールを無視し続けると、厳しい罰則が待っています。一般的に、以下の段階を踏んで重くなっていくのが通例です。
- 1.指示処分(改善命令)
- 2.営業停止命令(最大6ヶ月)
- 3.許可取消・再取得の制限
初回の違反や軽度なケースは、まず行政から指示処分が出されます。いわゆる改善命令です。命令に従わない場合は、第二段階の営業停止命令が課されます。期間は最大6ヶ月と、経営上のダメージが非常に大きく、廃業の可能性もあります。
さらに重大な違反、もしくは改善命令に従わなかった場合は、営業許可そのものを取り消されます。再取得も5年間はできず、グループ会社全体が対象となるため、非常に厳しい罰則といえるでしょう。
参考:e-Gov | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
風営法改正に対応する看板見直しの手順

風営法改正に対応するには、これまでの看板を見直す必要があります。以下の手順で、看板を変えていきましょう。
- 1.現在の看板が新基準に適合しているか確認する
- 2.所轄の警察署に相談して必要な変更内容を把握する
- 3.業者に依頼して基準に合った看板へ交換する
Step1.現在の看板が新基準に適合しているか確認する
まずは、自店の看板を客観的にチェックしましょう。使用禁止の言葉が使用されていないかを確認します。自分たちでは大丈夫だと思っていても、第三者や警察の目線では違法と判断されるケースは少なくありません。特に改正前から長年使っている看板は、知らぬ間に古い基準のまま放置されていることが多いため、真っ先に確認が必要です。
Step2.所轄の警察署に相談して必要な変更内容を把握する
この表現で良いのか判断に迷ったら、自分たちで決めつけずに所轄警察署の生活安全課へ相談に行きましょう。図面や写真を持参して「今の看板で問題ないか」「どう直すべきか」を事前に確認すれば、後から抜き打ちで指導を受けるリスクを減らせます。法律を守ろうとする前向きな経営者には、警察側も丁寧にアドバイスをくれるものです。何かあるのではと恐れるのではなく、透明性の高い対応を心がけましょう。
Step3.業者に依頼して基準に合った看板へ交換する
修正内容が決まったら、風営法に詳しい看板業者へ依頼します。一般的な業者だとデザイン性を優先してしまい、結果的に基準をオーバーしてしまう恐れがあるからです。法改正の内容を理解しているプロであれば、規制の範囲内で最も効果的な見せ方を提案してくれます。知らずに風営法を破ってしまっていたといった事態になる可能性も低いでしょう。
風営法改正後も使える看板表現3つの方法

風営法改正によって使えない表現が増えたものの、アピールする方法はまだまだあります。どのように表現するか迷った場合は、以下の方法を参考にしてみてください。
- ・サービス内容の伝え方を工夫する
- ・誤解を招かない言葉を選ぶ
- ・店の安心感を伝える
サービス内容の伝え方を工夫する
効果的な方法として、直接的な表現を避け、間接的にサービスを連想させる手法があります。例えば、過激な文言の代わりに「癒やしの空間」や「極上のひととき」といった、安心感や高級感をイメージさせる言葉を選ぶといった形です。売上重視から、空間価値やサービス品質へのシフトと考えるとわかりやすいでしょう。
外の看板はあくまで「入りやすさ」と「清潔感」を伝えたり、「空間演出」や「コンセプト」を魅せる場所とすると、風営法にも対応した看板になります。
誤解を招かない言葉を選ぶ
看板で使用する表現は、誰が見ても不快感を抱かない、健全な言葉選びを徹底しましょう。ダブルミーニング(二重の意味)を持つような際どい言葉遊びは、警察の審査で厳しくチェックされる可能性があります。
シンプルでわかりやすく、かつ公序良俗に反しない文言を使うことで指摘を受けにくくなるのはもちろん、初めてのお客様にも安心感を与えられます。結果的にリピート率の向上にも繋がるでしょう。
店の安心感を伝える
看板を使って、店の安心感を伝えることもできます。看板の役割は集客だけではなく、その店がいかに安全で、明朗会計であるかを伝える重要なメディアだということを意識しましょう。
例えば、許可証の番号を記載したり、「初心者歓迎」といった優しさを感じるフレーズを添えたりする工夫が考えられます。派手さで勝負するのではなく、信頼感で選ばれる看板作りを意識しましょう。清潔感のある色使いや丁寧なフォントを選ぶだけでも、店の品格を保ちながら規制をクリアできます。
風営法改正後に看板で集客力を維持する3つの工夫

風営法の改正によってこれまでのように看板が使えなくなったとはいえ、集客する力はまだまだあります。以下の点を意識して、目に止まる看板にしていきましょう。
- ・法律の範囲内で目立つデザインを採用する
- ・店舗入口付近の合法的な案内表示を活用する
- ・WebサイトやSNSと連動した情報発信を強化する
法律の範囲内で目立つデザインを採用する
規制が厳しいからといって、看板を地味にする必要はありません。法律の範囲内であっても、配色やライティングを工夫することで十分に目立たせることが可能です。
例えば、落ち着いた中にも目を引くコントラストのある色使いや、上品な電飾を活用することで、夜間でも通行人の印象に残る看板になります。もしくは、お店のコンセプトを引き立てるような色合いやデザインにするのも良いでしょう。派手さではなく「センスの良さ」で他店との差別化を図るのがポイントです。
店舗入口付近の合法的な案内表示を活用する
大きな屋外看板が制限された分、店舗の入り口付近での案内表示を充実させる方法もあります。ドアの内側や敷地内の目立たない場所で、看板よりも少し踏み込んだ情報を提供してみましょう。
ただし、店内であっても風営法の規制対象となっているため、外から見えなければOKというわけではありません。風営法が許している範囲で案内表示を活用し、入店を迷っているお客様の背中を優しく押すようにしてみましょう。
WebサイトやSNSと連動した情報発信を強化する
看板で伝えきれない情報は、WebサイトやSNSで補完するのが今の時代の鉄則です。看板には店名とQRコード、あるいは検索窓のデザインだけを載せ、詳細はネットで見てもらう導線を作るのも良いでしょう。
ただし、リンク先に規制対象の表現が含まれていれば、広告宣伝ルールに違反したとみなされます。直接的な表現がなくても、写真やデザイン、QRコードなどの誘導の仕組みを通じて、接客従業員間の優位性を強調している場合は、規制違反に該当します。WebサイトやSNSでも法令を守っていると示せるかどうかが重要になるでしょう。
風営法改正の看板ルールを守って安全な店舗運営を続けよう

風営法の改正は経営者にとって厳しいものになりますが、ルールを正しく理解して対応すれば対応できる範囲です。むしろ、法律を守ることで健全な店としての信頼を獲得し、長期的に安定した経営を続けるためのチャンスともいえます。
看板の見直しをきっかけに、今の時代に合った集客スタイルを確立し、地域社会と調和しながら、従業員とともに誇りを持って営業を続けていきましょう。
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