「給料を現金で手渡しでもらっていれば、銀行口座を介していないため、税務署にバレないだろう」と考える方も多いでしょう。
しかし、現実は給料の手渡しでも税務署にバレる可能性は非常に高くなっています。
そこでこの記事では、給料の手渡しがバレる理由やバレた場合のペナルティ、扶養から外れる年収・所得の目安などを解説します。
扶養から外れないための対処法もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
いますぐ無申告に関する対応が必要な場合は、気軽に税理士法人松本までご連絡ください。
目次
給料の手渡しはバレる
給料を現金で手渡しされる場合、「銀行口座を通さないからバレないのでは」と考える人も少なくありません。
しかし、実際には手渡しであっても税務署に知られる可能性は十分にあります。
その理由は主に2つです。
ひとつ目は、勤務先が市区町村に提出する「給与支払報告書」です。給与支払報告書には従業員ごとの収入額が記載され、市区町村がこれをもとに住民税を計算します。つまり、現金で受け取っていても役所を通じて収入が把握されるため、扶養判定にも必ず反映されます。
もうひとつは、勤務先が作成する「源泉徴収票」です。これは税務署に提出される義務があり、給料の支払い方法が現金であっても必ず作成されます。そのため、税務署側でも収入状況を把握することができ、申告内容との不一致があれば調査の対象となり得ます。
このように、「手渡しだから安心」「バレないだろう」という考え方は非常に危険です。
給料が手渡しであっても、法的には銀行振込と同様に記録が残り、税務署や市区町村に情報が伝わる仕組みになっているためです。
給料の手渡しがバレたらどうなる?
給料の手渡しが税務署にバレたら、追徴課税といったペナルティが科せられるほか、金額によっては扶養から外されることになります。
ここでは、それらについて詳しく解説します。
一定額を超えていたら扶養から外される
給料の手渡しが130万円を超えている場合、扶養から外され、自身で国民健康保険と国民年金加入の手続きをしなければいけません。
月の所定労働日数が正社員の4分の3以上か、週の所定労働時間が20時間以上である場合は、勤務先の社会保険に加入できます。
また、結婚しており配偶者の扶養に入っている方で以下の条件を満たしている場合は、106万円でも配偶者の扶養から外れる場合があります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8.8万円以上
・2か月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
・従業員(被保険者数)が151人以上の事業所に勤めている
無申告加算税が科せられる
手渡しで受け取っている給料を申告していないことが発覚すると「無申告加算税」が科せられます。
無申告加算税とは、本来の確定申告を法定期限内に行わなかった場合に課されるペナルティで、追徴課税の一種です。
税率は、期限後申告を行ったタイミングや、税務署からの調査が入ったかどうかによって変わります。
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50万円以下 |
50万円超300万円以下 |
300万円超 |
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税務署の調査前に自主的に期限後申告(1か月超え) |
5% |
5% |
5% |
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事前通知後〜実地調査前 |
10% |
15% |
25% |
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実地調査後 |
15% |
20% |
30% |
ただし、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告を行った場合や、期限内に申告する意思があったと認められた場合は、無申告加算税が科せられないことがあります。
詳しくは税理士に相談するとよいでしょう。
重加算税が科せられる
重加算税は、手渡しで受け取った給料を意図的に隠したり、虚偽の申告を行った場合に科せられる、最も重いペナルティです。単なる申告忘れや遅れではなく、税務署に「隠ぺい・仮装」と判断されたときに課されます。
課税割合は通常の加算税よりもはるかに高くなっています。
・過少申告者や不納付加算税に該当する場合:35%
・無申告者に該当する場合:40%
たとえば、納めるべき税額が100万円だった場合、重加算税(無申告者に該当)としてさらに40万円が上乗せされ、合計140万円を支払う必要があります。
無申告加算税のような免除措置はなく、一度「重加算税」と判断されると原則として免れることはできません。
そのため、重加算税が課されると経済的な負担が非常に大きくなるだけでなく、税務署から「悪質な納税者」と見なされ、将来的に税務調査を受けやすくなるリスクも高まります。
重加算税に該当する可能性があると感じたら、決して放置せず、早急に税理士へ相談することが重要です。
専門的なアドバイスを受けながら、追徴課税や差し押さえなど、最悪の事態を回避できるように対処しましょう。
延滞税が発生する
延滞税は、無申告加算税や重加算税とは別に課される「利息」のようなペナルティです。
本来の税金を納付期限までに支払わなかった場合、法定納期限の翌日から実際の納付日までの日数に応じて自動的に加算されます。
そのため、対応が遅れるほど延滞税は日々膨らみ、結果的に高額な負担となってしまいます。
【令和3年1月1日以降の計算方法】
・納期限の翌日から2か月以内まで:年7.3%または延滞税特例基準割合+1%のいずれか低いほう
・納期限の翌日から2か月を超えた日以降:年14.6%または延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低いほう
つまり、納付が2か月を超えて遅れれば、2か月以内の納付と比べて倍近い利率がかかる可能性があります。
延滞税は加算税と違い「悪質性の有無」に関係なく必ず発生するため、放置するほど負担が増していく点が大きな特徴です。
少しでも延滞の可能性がある場合は、まずは税務署に相談しましょう。
延滞税が高額で、一括払いが難しい場合は分割納付などの制度を利用して、早期に対応することが重要です。
延滞税を軽視すると、最終的には本来の税額を大きく上回る支払いになるリスクがある点を理解しておきましょう。
参照:国税庁|延滞税の計算方法
給料の手渡しで扶養から外れた場合のデメリット
給料の手渡しで扶養から外れた場合のデメリットを3つ紹介します。
所得税・住民税が発生する
扶養から外れる最大のデメリットのひとつが、自分自身に所得税や住民税が課されることです。
これまでは親や配偶者の扶養に入っていたため、一定の収入までであれば税金がかからず、給料がそのまま手取りになっていたケースも多いでしょう。
しかし、年収が106万円または130万円を超えると税法上の扶養から外れ、給与所得控除などを差し引いたあとの所得に対して課税されます。
さらに、翌年からは住民税の負担も発生します。
たとえば、年収150万円の場合、所得税・住民税合わせて年間数万円から十数万円程度を納めなければならないケースが一般的です。
特に、住民税は前年の収入をもとに計算されるため、「翌年になってから急に大きな金額を請求される」という負担感も少なくありません。
つまり、扶養から外れると単に社会保険料だけでなく、税金面での負担も大きく増える点を理解しておく必要があります。
国民健康保険料が発生する
社会保険上の扶養から外れると、自分で国民健康保険に加入する必要が出てきます。
その場合、保険料は収入に応じて算定され、年間数十万円規模の負担になることも珍しくありません。
たとえば、年収130万円をわずかに超える程度の人であっても、住んでいる自治体によっては年間数万円から数十万円以上の保険料を支払う必要が出てきます。
さらに、扶養に入っている間は家族の保険証を使えていたのが、自分自身で国民健康保険証を持つ形になり、納付を怠ると延滞金や差し押さえのリスクが生じます。
会社勤めで条件を満たしている場合は勤務先の社会保険に加入できますが、その場合も保険料は給与から天引きされるため、手取り額が大幅に減ることは避けられません。
つまり、扶養から外れると健康保険の自己負担が一気に増えるため、収入増より支出増のほうが大きいという事態になることもあります。
そのため、損しない金額を事前に把握したうえで、稼ぐ必要があるでしょう。
扶養者の税負担が増える
扶養から外れることで本人への影響以外に、扶養していた親や配偶者の税負担も増えます。
扶養控除や配偶者控除を受けられなくなることで、扶養者の所得税や住民税が上がる仕組みです。
たとえば、配偶者控除を受けられる場合には最大38万円の所得控除が適用されますが、扶養から外れた時点でこれがなくなり、扶養者の課税所得が増加します。
その結果、扶養者の年間税額が数万円単位で高くなることもあるので、注意しましょう。
さらに、配偶者特別控除が使えるケースでは、年収160万円を超えると控除額が徐々に減っていき、約201万円を超えるとゼロになるため、世帯全体での税負担が大きく増加します。
このように、手渡しで給料を受け取っていても、扶養から外れることで自分だけでなく家族全体の家計に影響がおよびます。
扶養から外れる基準を意識せずに働いてしまうと、結果的に世帯全体の手取りが減ってしまうという逆効果になりかねないため、事前に自分で把握するか、税理士に相談することがおすすめです。
給料の手渡しで扶養から外れないための対処法
手渡しに限らず、給料を受け取る際に税負担が増えないようにするためには、扶養から外れない対処法を理解しておくことが重要です。
給料を160万円以内に収める
これまでは「103万円の壁」と呼ばれ、年収103万円を超えると親や配偶者の扶養から外れるのが原則でした。
しかし、令和7年度(2025年度)の税制改正により、この基準が「160万円の壁」に改正されました。
これにより、以前よりも多く働きながら扶養内に収まることが可能になっています。
具体的には、年収160万円までであれば、所得税の負担が発生しません。
ただし、社会保険の扶養については従来どおり130万円の壁が存在するため、収入が130万円を超えると国民健康保険や国民年金への加入義務が発生します。
つまり「税制上の扶養は160万円、社会保険上の扶養は130万円」と2つの基準がある点を理解しておくことが大切です。
手渡し給与であっても収入は役所や税務署に把握されるため、壁を超えないよう注意して調整することが扶養維持のための有効な対処法となります。
事業所得48万円以内に収める
給料ではなく、フリーランスや副業などで得た収入は「事業所得」や「雑所得」として扱われます。
この場合の扶養判定基準は、基礎控除額である48万円です。
つまり、事業所得が48万円を超えると扶養から外れる可能性が高くなります。
たとえば、ホステスやパパ活などを行い、経費を差し引いたあとの所得が50万円となれば、扶養から外れてしまい、自分で所得税などの税金を負担しなければなりません。
ただし、48万円以内であれば、たとえ売上自体が大きくても経費計上によって所得を圧縮でき、扶養に留まることも可能です。
事業所得の場合は、収入ではなく「所得」で判定される点が会社員の給与収入と異なる部分です。
そのため、事業所得で扶養に収まりたい場合は、経費管理をしっかり行い、48万円以内に収める工夫をすることが重要になります。
青色申告控除を活用する
扶養に入っている状態でも青色申告控除を利用することは可能です。
青色申告を選択すると、最大65万円の控除が適用されるため、所得金額を大幅に減らすことができます。
たとえば、実際の所得が100万円あったとしても、青色申告特別控除65万円を引けば所得は35万円となり、結果的に48万円以内に収まるため、扶養の範囲に留まることが可能です。
これは副業を行っている人や個人事業主にとって大きなメリットであり、扶養を維持しつつ活動を広げたい場合に有効な方法です。
ただし、青色申告控除を受けるには事前に税務署へ承認申請を行う必要があり、帳簿付けや申告書の作成も正確さが求められます。
扶養を維持するための節税策としては有効ですが、誤った処理をすると重加算税の対象になりかねないため、確定申告の際は注意が必要です。
まとめ
手渡しで給料をもらっていても税務署にバレる可能性は非常に高いでしょう。
勤務先が提出する「給与支払報告書」や「源泉徴収票」によって、市区町村や税務署に収入を必ず把握されるためです。
申告を怠った場合には、無申告加算税や重加算税、延滞税といった追徴課税が課され、本来納めるべき税額に加えて数十%もの負担が上乗せされるリスクがあります。
また、一定の年収額を超えると扶養から外れるため、稼ぐ金額の目安をあらかじめ把握し、勤務先に伝えておくとよいでしょう。
協力的な勤務先であれば、扶養から外れないラインでシフトを組んでくれる可能性があります。
業務委託で個人事業主として働く場合は、事業所得を48万円以内に収めると扶養から外れません。
そのためには、必要経費や青色申告控除を上手に活用して、所得を抑える工夫が有効です。
ただし、このような税制度は時代にあわせて頻繁に変化し、複雑でわかりにくいため、税務のプロである税理士に相談し、正しい方法で申告・納税を行うことが最も安心といえるでしょう。
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