
給料を現金で直接受け取ったとしても、税金を納める義務がなくなるわけではありません。
税金を支払わない場合には、ペナルティが課されてしまい、追加で税金を支払うリスクがあるのも事実です。
本記事では、給料が手渡しなら税金を支払わなくてもバレないかどうかについて紹介します。
他にも「給料手渡しで確定申告が必要になるケース」や「給料手渡しで脱税がバレた際のペナルティ」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、給料手渡しの税金について理解を深めてみてください。
給料手渡しなら税金を支払わなくてもバレない?
給与を現金で受け取る場合、税務署にバレてしまうことがほとんどです。
企業は、人件費を経費として計上する際、給与の支払額や受け取り手について税務署に報告する義務があります。
そのため、給与の支払い状況は「源泉徴収票」や「支払調書」を通じて税務署に届け出られます。
支払い方法が現金であっても、この報告の仕組みが変わることはありません。
さらに、日本ではマイナンバー制度が導入されており、税務署は個人の収入状況を簡単に追跡できるようになっています。
たとえ現金で給与を受け取っていても、確定申告を行わずに放置していると、最終的には調査を通じて発覚する可能性があります。
税務署は多様な手段で個人の収入を把握する能力を持っているため、正確に確定申告を行い、適切に納税することが重要です。
このように、後々のトラブルを防ぎ、法的な責任を果たすことができます。
給料手渡しで脱税がバレるパターン
給料手渡しで脱税がバレるパターンについては、以下の2つが挙げられます。
- 支払調書や源泉徴収票
- 税務調査
それぞれのパターンについて解説していきます。
支払調書や源泉徴収票
給料手渡しで脱税がバレるパターンとして、支払調書や源泉徴収票が挙げられます。
企業は、従業員に支払った給与額やその対象者の情報を「支払調書」という形式で税務署に提出します。
この書類には、給与を受け取った人の名前や住所などの詳細が記載されており、もし確定申告を行っていない場合、税務署にすぐに把握される可能性があります。
さらに、パートやアルバイトの給与を現金で受け取っている場合でも、事業主は通常「源泉徴収票」を作成して税務署に報告しているため、現金での収入が隠れることはほとんどありません。
そのため、適切な確定申告を行うことで、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
税務調査
給料手渡しで脱税がバレるパターンとして、税務調査も挙げられます。
実際に、税務調査は、申告漏れや未申告の状況を発見する点において非常に高い能力を持っています。
この調査は、税務当局が納税者の申告内容や税金の納付状況に不正や誤りがないかを確認するために実施されます。
たとえ現金での取引であっても、不自然な金銭の動きや申告の不足が疑われる場合には、調査対象となる可能性が高くなります。
また、税務当局はさまざまなデータや情報を活用して、収入を隠していないかを精査します。
このように、確定申告をしていない場合、税務調査によって問題が速やかに明るみに出ることも珍しくありません。
給料手渡しで確定申告が必要になるケース
給料手渡しで確定申告が必要になるケースについては、以下の3つが挙げられます。
- 副業収入が20万円を超えた
- 複数の収入源がある
- 年末調整を受けていない
それぞれのケースについて解説していきます。
副業収入が20万円を超えた
副業による収入が経費を差し引いた後で年間20万円を超える場合には、確定申告を行う必要があります。
給与所得や退職所得以外の所得が20万円を超えた場合に税務署への申告義務が発生します。
副業とは、給与所得以外の収入が対象となります。
例えば、業務委託契約や個人事業主としての収入は給与所得ではないため、経費を差し引いた額が年間20万円を超えた時点で、確定申告が必要となります。
特に、現金手渡しの報酬であっても、税務署はさまざまな手段で所得を把握できるため、確定申告を行うことが必要です。
また、年間20万円未満であっても、医療費控除を受けたい場合や住宅ローン控除の適用を受ける場合などでは確定申告を行う必要がある場合もあります。
複数の収入源がある
複数の収入源がある場合、確定申告が必要になることが多いです。
年末調整が基本的に1つの勤務先でしか行えないため、他の収入については自分で申告する必要があります。
収入額が少なく、複数の収入からすでに源泉徴収されている場合、確定申告が不要な場合もあります。
しかし、必要以上に税金が差し引かれている可能性があり、確定申告を行うことで払い過ぎた税金が返還されるケースもあります。
還付のチャンスを逃さないためにも、申告を検討する価値があります。
特に、複数の雇用先で働いており、年間の合計収入が103万円を超える場合は注意が必要です。
この場合、扶養控除から外れることになり、所得税が課される可能性があります。
このように、正しい税務処理を行うためには、適切に確定申告を済ませることが大切です。
年末調整を受けていない
年末調整を受けていない場合は、確定申告が必要になる場合があります。
例えば、年の途中で退職し、その後新たな職場で働かないまま年末を迎えた場合などが該当します。
このような場合、収めた所得税が多すぎることがあり、確定申告を行うことで税金が還付される可能性があります。
また、給料を手渡しで受け取っているケースであっても、会社側で年末調整が適切に行われており、源泉徴収が正確に処理されている場合は、追加で確定申告をする必要は基本的にありません。
給料手渡しで脱税がバレた際のペナルティ
給料手渡しで脱税がバレた際のペナルティについては、以下の5つが挙げられます。
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 延滞税
- 不納付加算税
- 重加算税
それぞれのペナルティについて解説していきます。
無申告加算税
無申告加算税とは、申告期限を過ぎても手続きを行わなかった場合に課される税金のことを指します。
税率は、申告のタイミングによって異なるため注意が必要です。
もし税務調査の通知を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合、未納税額の5%が加算されます。
しかし、税務調査の通知を受けた後、調査による更正が予測される前に申告を行った場合には、50万円以下の部分について10%、50万円を超える部分については15%が課されます。
そして、調査による更正が予測される段階になってからの申告の場合には、50万円以下の部分が15%、50万円を超える部分が20%となるなど、状況によって税率が変動します。
このように、余計な負担を避けるためにも、できるだけ早めの申告をするようにしましょう。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、申告期限内に適切な申告を行った場合、納付した税額の不足分に対して課される税金を指します。
不足額の10%相当が基本となりますが、納めるべき不足額が50万円を超える場合(申告時に50万円を超える税額を納付していた場合はその金額を基準として)、その超過部分については15%の税率が適用されます。
しかし、税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告を行った場合、過少申告加算税は発生しません。
さらに、税務調査の通知を受けた後であっても、調査結果による更正や追加課税を予期する前の段階で修正申告を行った場合、過少申告加算税の税率は軽減され、50万円以下の不足部分は5%、50万円を超える部分は10%になります。
延滞税
延滞税とは、相続税を納期限までに納められなかった場合、その遅延に対して課せられる税金です。
延滞税が発生する主な状況は次の通りです。
- 納期限までに申告はしたものの、税金の支払いが遅れた場合
- 納期限を過ぎてから申告や修正申告を行った場合
- 税務調査により更正や決定処分が下された場合
この延滞税は、納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて計算されます。
不納付加算税
源泉徴収などで発生する国税を、納付期限を過ぎても支払わなかった場合、一定の税金が課されます。
課税率は10%に設定されています。
また、不納付加算税は、やむを得ない事情がある場合や遅延の程度が軽微である場合などに適用が免除されることもあります。
重加算税
重加算税とは、納税を逃れるために虚偽の申告や事実の隠蔽といった不正行為を行った場合、通常の納税額に加えて課される税金です。
本来の納税額の35~50%に達する非常に重いペナルティとして知られています。
さらに、重加算税の対象となるような状況に至った場合、罰則は金銭的な負担だけではなく、調査期間が延長される可能性があったり、税務調査が行われる頻度も増えるリスクがあります。
加えて、不正が悪質だと判断されると、『10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金』(法人税法159条第1項)が科される刑事罰の対象となる場合もあります。
給料手渡しで受け取るメリット
給料手渡しで受け取るメリットについては、以下の2つが挙げられます。
- ATMの手数料がかからない
- 銀行口座を作る必要がない
それぞれのメリットについて解説していきます。
ATMの手数料がかからない
ATMの利用手数料は、銀行によって異なりますが、基本的に手数料が発生します。
給料が銀行振込で支払われる場合、こうした手数料を避けるためには、平日の日中に銀行やATMを利用する必要がある場合があります。
しかし、学校や仕事の都合で平日の日中に銀行やATMへ足を運ぶことが難しい方が多いのも事実です。
一方、給料が手渡しの場合には、ATMの利用手数料や利用可能時間を気にする必要がないメリットが挙げられます。
銀行口座を作る必要がない
給料を現金で手渡しでもらう場合、銀行口座がなくても給与を受け取ることが可能です。
銀行口座を開設する際には、さまざまな手続きや準備が必要ですが、現金での受け取りであればそのような手間を省くことができます。
しかし、現在多くの企業では給与の支払いに銀行振込を採用しているため、銀行口座を開設することを検討することをおすすめします。
給料手渡しで受け取るデメリット
給料手渡しで受け取るデメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- 収入証明が難しくなる
- 税金の管理が難しくなる
- トラブルが起こりやすくなる
それぞれのデメリットについて解説していきます。
収入証明が難しくなる
給料を現金手渡しで受け取る場合、記録が残りにくいというデメリットが挙げられます。
銀行振込とは異なり、現金でのやり取りでは第三者が確認できる証拠が少なく、透明性に欠ける点が問題と言えます。
このような状況は、雇用主にとっても労働者にとっても、後々トラブルの原因となる恐れがあります。
たとえば、給与が正しく支払われたかどうかやその金額が適切であったかについて意見が食い違った場合、記録がないため事実を証明することが難しくなります。
また、税務署の調査が入った際に、収入を裏付ける書類がないと問題が複雑化する可能性もあります。
こうしたリスクを防ぐには、給与明細の発行や受領サインの取得など何らかの方法で取引の記録を残すことが重要です。
しっかりとした記録を確保することで、将来のトラブルを回避し、適正な税金を納付するための証拠としても活用できます。
税金の管理が難しくなる
現金で直接給与を受け取る場合、税金の管理が複雑になるというデメリットが挙げられます。
銀行振込とは異なり、収入の履歴が明確に残らないため、確定申告の際に正確な収入額を把握するのが難しくなるのも事実です。
特に、複数の副業を持っている場合や収入が不規則な場合には、税務管理においてさらに慎重な対応が求められます。
さらに、現金払いでは源泉徴収が行われていないことが多いので、自身で所得税の計算を行い、納税する責任を負うことになります。
そのため、給与を受け取るたびに金額や支給日を正確に記録しておくことが不可欠です。
また、可能であれば、支払元に給与明細や支払調書の発行をお願いすることで、収入の管理が一層スムーズになります。
トラブルが起こりやすくなる
給料を直接手渡しで受け取る場合、トラブルが起こりやすくなるデメリットが挙げられます。
例えば、約束された金額が支払われないなどのトラブルです。
また、事情があって給料を受け取りに行けない場合、給与の受け取りがそのまま滞ってしまうリスクもあります。
さらに、労働時間や残業代の計算ミスが発生しやすい点も懸念されます。
こうした問題を防ぐためには、給与明細の発行を会社にお願いするほか、自分自身で働いた時間や支払われるべき金額を記録しておくことが重要です。
給料手渡しでもしっかりと税金を支払おう!
今回は、給料が手渡しなら税金を支払わなくてもバレないかについて紹介しました。
給与を手渡しで受け取る場合、税務署にバレてしまうことがほとんどです。
企業は、人件費を経費として計上する際、給与の支払額や受け取り手について税務署に報告する義務があります。
また、一定以上の収入がある場合には税金の支払い義務が生じるため、正確な確定申告を行うことが必要です。
今回の記事を参考にして、給料手渡しでもしっかりと税金を支払うようにしましょう。
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