水商売とは、お客を楽しませることが稼ぎにつながる、収入が不安定な職業を指します。一般的に、キャバクラやスナック、ホストクラブなどのナイトワークを水商売と呼ぶことが多くなっています。
何かの事業を始めようとする場合、開業時にはまとまった額の資金が必要になります。自己資金だけで開業資金を賄えない場合は、金融機関に融資を申請することが一般的です。しかしながら、水商売には融資を受けられない業種があることをご存じでしょうか。
今回は、水商売で融資を受けられる業種と受けられない業種の違いなどについてご説明します。

開業時に利用できる融資とは

融資とは、事業のために金融機関からお金を借りる行為を指します。融資には審査があり、審査に通らなければ融資を受けることはできません。審査の結果、融資を受けられることが決定すると、申請額が申請者の口座に振り込まれ、融資を受ける側は元金に利息を加え、分割で返済をすることになります。

公的融資と民間融資

公的融資とは、公的機関が行う融資のことです。公的融資には、政府系金融機関である日本政策金融公庫が行う融資と地方自治体と信用保証協会、金融機関が一体となって行う制度融資の2つがあります。
一方、民間融資は、銀行などの民間金融機関が行う融資のことです。民間融資の条件は厳しく、これから事業を始めようとする人は、事業の実績がないため、民間融資を受けることは難しくなります。
しかし、どのような事業を開始するにあたっても開業資金は必要になるため、融資を受けられなければ、新たに事業を興すことができなくなってしまいます。そこで、日本政策金融公庫や制度融資では、民間金融機関の取り組みを補完し、民間融資を受けにくい事業者などをサポートする取り組みを行っています。したがって、公的融資であれば、これから創業する事業者や創業間もない事業者でも融資を受けられる可能性があるのです。

日本政策金融公庫は水商売でも融資を受けられる?

日本政策金融公庫は、ホームページに融資対象となる業種を公開しています。融資対象業種として飲食店営業が掲げられており、その中に「社交業」という区分があります。社交業の業種例には次のような記載がなされています
「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」による風俗営業の許可を得ている飲食店営業であって、スナック、バー、その他これに類するもの
この内容を見ると、水商売であってもスナックやバーは、融資対象業種であることが分かります。

制度融資は水商売でも融資を受けられる?

日本政策金融公庫では水商売でも融資を受けられる業種があることが分かりました。では、制度融資はどうなのでしょうか。
東京信用保証協会のホームページを見ると信用保証対象外業種一覧の中に「飲食業のうち右に該当するもの」とあり、「風営法第3条第1項の風俗営業の許可を受けているもののうち、公序良俗に反するなどの社会的批判を受けおそれのあるもの」と記載されています。
風俗営業のうち、接待飲食等営業に該当するのは、客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業、喫茶店やバーのうち低照度で営業を行う飲食店、他から見通せない広さ5㎡以下の客席で営業する区画席飲食店です。
風営法の許可を受けている飲食店であっても、公序良俗に反するものでなければ、融資の対象となる可能性があります。しかしながら、現実的には、トラブルが発生した場合のことを考慮し、水商売の場合は融資を断られるケースが多くなっているようです。

水商売でも融資を受けられる可能性が高い業種

制度融資については判断が難しいところになりますが、風営法の許可を受けている水商売の場合、確実に融資を受けられるとは言い切れない部分があります。したがって、水商売の方が創業時の融資を申請するのであれば日本政策金融公庫を選択した方が賢明でしょう。
ここでは、融資を受けられるのか受けられないのか、水商売の具体的な業種についてご説明していきます。

バー

バーの場合、接待を伴わず、カウンターからお酒を提供する業態であれば、風営法の許可も不要です。したがって、バーの場合は、日本政策金融公庫の融資を受けられるでしょう。また、バーは飲食店であり、風俗営業には該当しないため、制度融資も受けられる可能性があります。

ガールズバー

女性がバーテンダーとなりカウンター越しにお酒の提供や接客を行うガールズバーも、接待を伴わなければ風俗営業の許可は不要です。したがって、バーと同様に日本政策金融公庫の融資も制度融資も受けられる可能性があります。
ただし、お客の隣に座って接客をしたり、カラオケを一緒に歌ったりという行為があれば、接待とみなされるため、ガールズバーであっても風俗営業の許可が必要です。その場合は、融資を受けるのは難しくなるでしょう。

スナック

日本政策金融公庫の融資の対象業種には「スナック」との記載があるため、スナックは問題なく日本政策金融公庫の融資を受けられると考えられます。
スナックについての明確な定義があるわけではありませんが、スナックとは一般的にお店を切り盛りするママがカウンターの中から接客をする形態です。客席の隣に座って接客をするような接待を伴わなければ、スナックは風俗営業の対象とはなりません。したがって、そのようなスナックであれば制度融資も受けられる可能性があります。
ただし、ママは接待をしなくても、接待をするスタッフが在籍するようなスナックは風俗営業の許可が必要となり、制度融資の利用は難しくなるでしょう。

キャバクラ

キャバクラの場合は、接待を伴う飲食店になるため、風俗営業の許可が必要です。風俗営業の場合、日本政策金融公庫も制度融資も利用は難しくなると考えられるでしょう。

ホストクラブ

ホストクラブも接待を伴う飲食店になるため、風俗営業の許可が必要となり、キャバクラ同様、融資を受けるのが難しい水商売の業種になるといえるでしょう。

まとめ

水商売の中でも、融資を受けられる可能性がある業種と融資を受けるのが難しい業種があります。具体的には、バーやスナックなど、接待を行わない、飲食店に該当する業種であれば水商売でも融資を受けられる可能性が高くなります。反対に、キャバクラやホストクラブなど、接待を伴う風俗営業に該当する業種の場合は、融資を受けることは難しいでしょう。スナックやバーであっても、風俗営業の許可を取得している場合は、融資を受けられる可能性は低くなります。水商売でも融資を受けられるかどうかは、風俗営業に該当するかどうかによって判断される可能性があるのです。
しかしながら、水商売の融資については明確な線引きが示されているわけではありません。融資が可能かどうかの判断に悩む場合は、水商売の融資に詳しい税理士法人松本までご相談ください。

 

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