従来は税務署や市役所で確定申告書をもらい、ひとつひとつ手書きで計算しながら行っていた確定申告。現在はパソコンで確定申告ができるのはもちろん、スマホひとつで確定申告書の作成や提出まで可能になりました。実際にスマホで確定申告している人は年々増加しており、令和5年には100万7千人がスマホ申告をしています。20代~40代の人がスマホ申告を積極的に取り入れており、年齢層が上がるほど紙の確定申告を好む傾向があるようです。
スマホで確定申告をすると、どんなメリットがあるのでしょうか。何を準備すればいいのか、どんな点に注意したらいいのか、などスマホでの確定申告について説明をしていきます。
参考:令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について|国税庁
目次
どこまでスマホで確定申告をするか

「スマホで確定申告」とは、どこまでの確定申告を想定しますか。単に申告書を作成するだけなのか、それともe-Taxで送信まで完了させるのか、どこまでをスマホで行うのかを確認していきましょう。
- ・スマホで確定申告書の作成のみ
- ・スマホで申告書作成&電子申請
スマホで確定申告書の作成のみ
スマホで確定申告書の作成のみを行い、確定申告書をプリントアウトして税務署に提出する方法です。マイナンバーカードと紐づけなくてもよいので、インターネット上でマイナンバーの連携に抵抗がある方や煩わしさを感じる方などは、あえてこの方法を選ぶようです。
自身で税務署に確定申告書を持ち込むと、目の前で職員の方が申告書を確認してから受け取ってもらえるので「間違っていない」という安心感があります。収受日付印が押された控えをその場で受け取れますので、「確かに提出した」という証明となります。
スマホで申告書作成&電子申請
スマホで確定申告書を作成し、そのままe-Taxと紐づけて電子申請する方法です。電子申請であれば、税務署まで出向く時間を確保する必要がありませんし、締め切り日間際の行列に並ぶ必要もありません。自宅で24時間好きな時間に申告ができるので、時間の制限がある方や手軽に申請まで終わらせたい方におすすめです。
e-Taxで電子申請をする方が年々増加しており、スタンダードへと切り替わりつつあります。法人税のデータではありますが、令和8年度のオンライン申告目標は92%となっており、ほとんどの申告がオンラインで行われているのがわかります。
参考:令和6年度におけるオンライン(e-tax)手続の利用状況等について|国税庁
スマホで確定申告書を作成する方法

スマホで確定申告書を作成するには、国税庁が提供する確定申告書等作成コーナーを利用する方法と、その他の確定申告書アプリを利用する方法があります。
- ・確定申告書等作成コーナーで申告書を作成
- ・確定申告アプリで申告書を作成
確定申告書等作成コーナーで申告書を作成
国税庁が提供する確定申告書等作成コーナーで、確定申告書を作成する方法です。最も大きな特徴は、無料で利用できるという点です。取引が少ない方や、簡単な申告で済むという方は、確定申告書等作成コーナーがおすすめです。もちろんe-Taxとの連携が可能なので、そのまま申告書作成・申告・納税と自宅で完結できます。
確定申告アプリで申告書を作成
国税庁が提供している以外の確定申告アプリを使う方法です。有名な確定申告アプリには、以下のようなものがあります。
- ・freee会計
- ・マネーフォワード
- ・弥生
- ・タックスナップ
これらはお試し期間があっても、その後は有料となるものが多く、確定申告書を作成するのにお金がかかってしまう場合があります。しかし、帳簿管理や自動仕訳といった機能が充実しており、年次継続性も高いのがポイントです。これらのアプリも、e-Taxからの電子申告が可能です。必要があれば取り入れていけば良いので、ご自身の状況に合うものを選んでください。
スマホ申告に必須な準備

確定申告書の作成のみをスマホで行う場合には、これらの連携はなくても構いません。しかしスマホ申告で確定申告書の作成と提出まで行うのであれば、以下の準備をしておきましょう。
- ・スマホ用のマイナンバーカード
- ・e-Taxにログインする
- ・マイナポータルとの連携
スマホ用のマイナンバーカード
マイナンバーカードは実体のあるカードとして手元にあるものですが、その電子証明書機能をスマホに登録すれば本人確認や保険証としての利用ができるようになります。確定申告時に必要なものというよりは、行政サービスを受ける際に便利になる機能です。iPhoneでもAndroidでも登録が可能で、暗証番号ではなく顔や指紋などの生体認証で安全に本人確認をしていきます。スマホ用のマイナンバーカードを登録しておくと、e-Tax利用時にスマホでカードを読み取る手間が省けます。
e-Taxにログインする
どの確定申告アプリを使うにしても、電子申告をしたいのであればe-Taxの登録が必要です。e-Taxを利用するには、数字16桁の利用者識別番号・パスワードの入力が必要になります。もしくはマイナンバーでログインする方法を選べば、数字16桁の利用者識別番号・パスワードの管理が不要になります。
スマホのマイナンバーカードを利用すると、機種によりますが生体認証ができるようになりますので、利用者識別番号・パスワードの管理が不安という方におすすめです。マイナンバーカードを持っていない・カードの読み取りが面倒という方は、数字16桁の利用者識別番号・パスワードでe-Taxにログインしていきましょう。
マイナポータルとの連携
マイナポータルとは、行政手続きのオンライン窓口です。パソコンやスマホからログインすれば、引越しの転出や転入予約・児童手当の申請・健康保険証情報の確認などができるようになります。マイナポータルを確定申告に活用すると、連携対応している発行元の源泉徴収票・ふるさと納税や住宅ローン控除など、控除関係の情報が自動で取得できるようになります。従来ではひとつひとつ手で確認していたものが、自動で反映されるので確定申告書作成の時間短縮になります。
スマホで確定申告をするメリットとは
従来のように紙で確定申告を行う方がいる一方、スマホ申告で多くのメリットを感じている方もいるのが現実です。スマホ申告にすると、以下のようなメリットがあります。
- ・好きな場所で確定申告が完結
- ・紙の添付書類を省略できる
- ・青色申告決算書・収支内訳書もスマホで完結
- ・書類申告よりも還付が早い
- ・e-Taxなら納付まで自宅でできる
好きな場所で確定申告が完結

スマホで確定申告を行うメリットは、好きな場所で確定申告ができるという点です。自宅はもちろん、カフェや移動中でも、スマホなら自由なタイミングで確定申告書が作成できてしまいます。さらにe-Taxによる電子申告なら、申告まで24時間いつでも可能です。税務署窓口の時間に合わせる必要がなく、確定申告書作成と申告までが手軽に完結します。
紙の添付書類を省略できる
紙の確定申告書を利用する場合、社会保険料控除証明書や源泉徴収票を添付する必要があります。しかしスマホでの電子申告なら、これらの書類を省略できます。ただし、税務署から提出や提示を求められる可能性がありますので、自宅で保管をしておくようにしましょう。
青色申告決算書・収支内訳書もスマホで完結
青色申告決算書や収支内訳表は複雑で、作成するには労力がかかるというイメージがあるかもしれませんが、これらもスマホで作成できてしまいます。国税庁の確定申告書等作成コーナーは無料でありながら、青色申告にも対応しています。ただしスマホは画面が小さいので、複雑な入力が必要な場合は作業がしにくいかもしれません。
書類申告よりも還付が早い
確定申告をすると、税金を払いすぎている一部の方は還付金が受け取れます。スマホで電子申告をすると、税務署での処理も早くなりますので、還付金を受け取るまでの時間が短くなります。紙提出だと還付まで1ヶ月~1ヶ月半程度が目安となりますが、スマホで電子申請をすると3週間程度で還付金が受け取れることが多いようです。
e-Taxなら納付まで自宅でできる
一部還付金が受け取れる方がいらっしゃいますが、確定申告をしたら多くの方は納税をしていきます。スマホで確定申告書の作成と申告まで行い、そのままキャッシュレス納付を選択すれば、納付まで自宅にいながら完結させられます。
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キャッシュレス納付 |
方法 |
| ダイレクト納付 |
口座引落し |
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クレジットカード納付 |
クレジットカード支払 |
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インターネットバンキング |
インターネットバンキング |
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振替納付 |
口座引落し |
| スマホアプリ納付 |
スマートフォンから各種Pay払い |
このような方法を設定しておけば、自宅にいながら簡単に納付できます。
スマホの確定申告に挫折してしまう人

「スマホでの確定申告は簡単だ」といわれますが、挫折をしてしまう人がいるのも事実です。挫折してしまう人の傾向としては、以下のような理由があります。
- ・ログインに時間がかかる
- ・意外と自動じゃない
- ・専門用語がわからない
- ・スマホ画面が小さい
確定申告は重要な個人情報となりますので、強いセキュリティ対策が講じられています。ログインに手間取ってしまうことで、心が折れてしまうという方も少なくありません。さらに「自動」というイメージが先行しすぎて、意外と自分で数字を打つシーンがあるという点にギャップを感じる方がいます。紙の確定申告書作成よりは簡単かもしれませんが、全自動というわけではありませんので必要事項は入力していかなければいけません。
スマホの確定申告で税理士ができるサポート
スマホで行う確定申告は簡単だから税理士は不要でしょうか。確かに、「過去何年も紙の申告書を自分で作成してきた」という方であれば、税理士は不要でしょう。しかしスマホでの確定申告であっても、税理士のサポートが有効なケースもあります。
- ・特例などの相談が可能
- ・夜職など業務委託の人
- ・電子申告を代理で行う
特例などの相談が可能
インターネットでやり方を調べたり、税務署の窓口の人に相談したりすれば、無料で回答が得られます。しかし「この場合はどうなるの?」という特例や、調べても答えが見つからないような複雑なケースであれば、税理士に相談をした方が早く確実な回答を得られます。さらに自分だけで申告書を作成していくと、控除を見逃してしまうというケースがあります。確定申告では賢く節税を行うことが重要ですので、疑問点があれば税理士に相談するのがおすすめです。
夜職など業務委託の人

ガールズバーやキャバクラなど業務委託として働く夜職の人は、会社員とは確定申告の仕方が異なります。源泉徴収の有無や経費のボーダーラインなど、特殊な職業だからこそ必要な知識があります。スマホでの入力そのものは難しくはなくても、経費の判断に迷う場合があるかもしれません。その業種に強い税理士に相談をすれば、正しい申告方法を確認できて安心です。
電子申告を代理で行う
「スマホでの確定申告が簡単でも自分ではできない!」という方は、税理士に代理申告を依頼しましょう。税理士は納税者の代理として電子申告が行えますので、確定申告書の作成から税理士に任せると良いでしょう。ご自身で確定申告書を作成して、内容に間違いがないか確認してもらうという形でも構いません。確定申告は毎年必要なものとなりますので、ご自身で知識をつけていきたい場合はこのような関わり方がいいでしょう。
スマホでの確定申告は税理士にご相談を
従来の紙での確定申告と比較すると、パソコンやスマホで簡単に確定申告ができるようになりました。ただし確定申告の本質が変わったわけではなく、税申告・納税を正しく行う必要があります。「簡単になった=知識がなくてもできる」という意味ではありません。数字を記入する欄の理解や控除書類・経費の計上など、基本的な確定申告の知識がないと、確定申告は難しいものとなってしまうかもしれません。
スマホが全てをしてくれるわけではないと理解してください。スマホを使いこなせれば、確かに確定申告は簡単になりますが、確定申告で不明点や不安な点がある方は、お気軽に税理士にご相談ください。
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