モデルとカメラマンが1対1で行う「個人撮影会」。
その報酬(ギャラ)は、当日現金での手渡しというケースが少なくありません。しかし、手渡しであるか否かに関わらず、その収入は課税対象となり、確定申告が必要となる場合があります。
「現金だから税務署には把握されないだろう」という安易な判断は、後々大きなトラブルを招きかねません。 本記事では、個人撮影会モデルが知っておくべき確定申告の知識と、無申告のリスクについて解説します。
目次
個人撮影会のギャラ
個人撮影会のモデルへのギャラは、主に以下のような形で受け渡しされます。
- ・現金手渡しですぐにもらえる
- ・銀行振込やPayPayなど
現金手渡しですぐにもらえる

個人撮影会のモデルとして活動するには、モデル募集のサイトやマッチングサービスなどに登録するか、個人SNSなどで撮影希望のカメラマンを募るといった方法があります。
どちらの方法でも、ギャラ(報酬)は現金手渡しという場合が多いようです。個人撮影会のモデルとしては、当日すぐに現金が受け取れるのでモチベーションになりますし、未払いのトラブルを回避できるというメリットがあります。
銀行振込やPayPayなど
現金以外では、銀行振込やPayPayなどの電子マネー送金が利用される場合もあります。これらは入出金の履歴(証跡)が明確に残るため、いつ、誰から、いくらの入金があったかを事後確認しやすい利点があります。
個人撮影会とポートレート撮影会との違い
撮影会は、大きく分けて個人撮影会とポートレート撮影会の2種類があります。何がどのように違うのか、要点ごとに比較をしてみましょう。
- ・主催者の有無が違う
- ・ギャラの受け渡しが違う
- ・安全性の違い
- ・撮影した写真の取り扱いが違う
主催者の有無が違う

モデルやカメラマンではなく、主催者が存在するのがポートレート撮影会です。管理者となる立場の人がいるのでルールが明確になりますが、受け取るギャラは少なくなってしまいます。ポートレート撮影会はモデル1人に対してカメラマンが複数人となりますが、1対1の個人撮影会が行われる場合もあります。
一方、個人撮影会はSNSやDMでやり取りをし、モデルとカメラマンで直接やり取りをして撮影のスケジュールを立てていきます。自由度が高く、価格設定が自由で100%がモデルの手元に入りますが、管理者がいないとルールが曖昧になってしまう可能性があります。
ギャラの受け渡しが違う
ポートレート撮影会だと主催者がお金の管理を行ってくれます。カメラマンは主催者に参加費を払い、モデルは主催者からギャラを受け取ります。個人撮影会だと、カメラマンからモデルが直接お金を受け取らなくてはいけません。お金のやり取りをしたくないという場合は、ポートレート撮影会の方が向いているかもしれません。
安全性の違い
個人撮影会のモデルが安全性を重視するのであれば、ポートレート撮影会の方がいいでしょう。カメラマンとモデルの個人間でのやり取りだけだと、双方の意識が高くないとルールがなし崩しになってしまうかもしれません。
特に個室などの密室での撮影を行う場合は、きちんと安全確保をしておかなければいけません。個人撮影会をするのであれば、“ルールを明確に設ける”や“人の通行がある場所でのみ可能”とするなど、ボーダーラインを確立させておきましょう。
撮影した写真の取り扱いが違う

撮影に関するルールだけでなく、撮影した写真の取り扱いについても違いがあります。ポートレート撮影会は主催者がルールを設定していますので、よく確認してください。
- ・SNS掲載の可否
- ・商用利用について
- ・著作権の所在について
- ・撮影した写真を販売していいか
- ・特定のサイトへの掲載は禁止
というような内容でルール設定があります。
個人撮影会であれば、これらのルールを個人間のやり取りで決めてよいという状態です。撮影した写真は一生残るものなので、撮影後の写真の取り扱いについてもきちんと考えておきましょう。
個人撮影会のギャラは確定申告を
個人撮影会では手渡しで即日現金がもらえるケースが多いためか、気軽なお小遣い稼ぎ感覚になってしまう人がいるようです。しかし個人撮影会のモデルは立派なお仕事であり、その収入は確定申告の対象となります。個人撮影会のモデルを専属として活動している方は、意識を高くもっているかもしれません。
しかし学生さんのお小遣い稼ぎのように気軽にスタートした場合だと、確定申告までするという認識が薄いようです。「知らなかった」という抗弁は税務署には通用しません。無申告が発覚した場合、本来の税額に加え、ペナルティとしての加算税が課されることになります。正しい知識を持ち、適正な納税を行いましょう。
モデルとしての雇用形態を確認しよう

個人撮影会のモデルで得た収入は確定申告が必要だとお伝えしましたが、詳しくは雇用形態によって異なります。自身で確定申告が必要なのか?を考えるために、雇用形態についての違いを確認しておきましょう。
- ・雇用契約がある場合
- ・業務委託・出演契約の場合
雇用契約がある場合
雇用契約を結んでいる状態であれば、会社で年末調整があるはずなので自身での確定申告は不要となる場合が多いです。ただし個人撮影会のモデルで雇用契約を結んでいる状態の人は、かなり稀であると考えられます。
雇用契約とは、わかりやすく説明すると会社の社員のような状態です。個人撮影会のモデルは案件ごとに報酬が発生する仕組みであり、雇用契約を結んで給料制で働いているモデルさんは少ないでしょう。
業務委託・出演契約の場合
出演報酬としてギャラを受け取っている、マネジメント契約のような状態であれば、モデル自身で確定申告が必要です。個人事業主として、複数個所からギャラを受け取っている場合も確定申告が必要です。個人撮影会のモデルは多くが個人事業主という形態になるため、ほとんどの人が確定申告が必要になると考えられます。
確定申告に必要な書類

では確定申告を行うためには、何を準備すればいいのでしょうか。確定申告とは1年に1回行うもので、1年分の収支を計算して所得に応じて納税を行うものです。1年分の収支がわかる書類が必要となりますので、以下のものを準備しましょう。
- ・支払調書(法人から発行された場合のみ)
- ・各種控除証明書(国民年金、生命保険料など)
- ・確定申告書
- ・青色申告決算書または収支内訳書
- ・1年分の経費でかかった領収書
確定申告の時期に慌てて必要書類を集めようとすると大変です。1年に1回とはいえ、毎年必ず必要になるものなので、領収書などは整理して保管しておくよう心掛けましょう。
参考:確定申告|国税庁
手渡しで源泉徴収されていない場合
源泉徴収とは、報酬を受け取るときに引かれている10.21%の税金です。手渡しで即日ギャラを受け取っている方は、明細などの書面は確認しているでしょうか?全額ギャラを受け取っていて、源泉徴収されていない場合の確定申告についてお伝えします。
- ・源泉徴収とは
- ・現金手渡しならバレないのでは?
- ・個人間のやり取りでも確定申告が必要
- ・確定申告で所得税を納めよう
源泉徴収とは
源泉徴収とは、支払側があらかじめ報酬から税金(通常10.21%)を天引きし、国に納める制度です。相手が法人や事業者の場合、報酬から税金が引かれて支払われることがありますが、相手が趣味で撮影を行っている一般個人の場合、源泉徴収義務はありません。
そのため、報酬全額がそのまま支払われるケースが一般的です。
参考:国税庁|No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
現金手渡しならバレないのでは?

銀行振込やPayPayでの送金だとお金の流れの履歴が残ります。しかし現金手渡しであれば履歴は残らないので、「税務署に申告をしなくてもバレないのではないか」と考える方がいるようです。
しかし払った側がきちんと申告をしているはずであり、カメラマン側が経費として記録を残している可能性があります。税務署には強力な調査権限がありますので、調査が入れば必ずバレてしまうでしょう。お金のやり取りは1人で行うものではなく、相手がいて成立するもの。「自分だけが黙っていればバレない」というような甘い考えは、捨てるようにしましょう。
個人間のやり取りでも確定申告が必要
個人撮影会のモデルは、個人事業主。個人撮影会に参加するカメラマンも個人で活動している人が多いのが現状でしょう。カメラマン側は趣味で撮影をしている、というケースも少なくないかもしれません。
「相手も個人なので領収書は不要だと思っていた」という主張をする方がいますが、実際にお金が動いているのであれば所得として扱われる可能性が高いです。
確定申告で所得税を納めよう
個人撮影会のギャラを手渡しで受け取っても、銀行振込で受け取っても、税務上は何も変わりません。源泉徴収されていない=所得税を納めていない状態であれば、自身で所得税を納めるために確定申告をしていきます。
もし源泉徴収がすでに引かれており、引かれすぎている状態であれば確定申告で還付金が受け取れます。
個人撮影会モデルは副業になる
会社員として仕事をしている人が、個人撮影会のモデルをすると副業という扱いになります。副業として個人撮影会のモデルをしている方のケースを確認しておきましょう。
- ・副業所得が20万円を超えたら確定申告を
- ・経費がかかっていたら計上しよう
副業所得が20万円を超えたら確定申告を
会社員は会社で年末調整が行われますが、副業で稼いだ分は自分で確定申告をしなくてはいけません。本業の会社では、あくまでも本業の会社分のみの年末調整となるためです。
副業所得は年間20万円を超えたら確定申告が必要です。つまり、年間所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。※ただし、住民税の申告は別途必要になる場合があります。副業を複数している場合は、合算した所得が20万円を超えたら確定申告が必要になるので注意しましょう。
経費がかかっていたら計上しよう
個人撮影会モデルをするためにかかった費用は、経費として計算できます。報酬から経費を引いた“所得”を正しく計算するためにも、経費をきちんと計算してください。
- ・撮影会場までの交通費
- ・衣装代
- ・イメージ作りのためのヘアメイク代
- ・連絡調整のための通信費
これらのものが経費として認められる可能性が高いです。プライベートな支出は、仕事の経費にはなりませんので注意してください。
参考:必要経費の知識|国税庁
確定申告の時期とは
確定申告には期限があり、毎年2月16日~3月15日の期間で行われます。思いついた時にやればいいわけではなく、この時期に前年1月1日~12月31日までの収支を計算し、確定申告書を提出します。締め切りがあるので、締め切りをすぎるとペナルティが発生してしまいます。
確定申告のペナルティ

確定申告の期限を過ぎたり、意図的な隠蔽があったりした場合、以下の行政処分が科されます。
- ・無申告加算税:期限内に申告しなかったことに対する罰金
- ・延滞税:納税が遅れた期間に対する利息
- ・重加算税:悪質な隠蔽・仮装工作が認定された場合の重いペナルティ
これらは本来納めるべき税金に上乗せして徴収されます。「知らなかった」では済まされないため、必ず期限内に申告を行いましょう。
参考:加算税の概要|財務省
確定申告のために何から始めればいい?
前年まで個人撮影会の所得を申告していなかったという方は、まず何から始めていけばいいのでしょうか。まずは、ご自身は確定申告をする必要があるのか、を確認してみましょう。
モデルの雇用形態や、本業の有無、年間の経費を計算した上での所得がいくらなのか?確定申告をすべきなのに、過去数年分が無申告であるという場合は、1日も早く確定申告をした方がいいかもしれません。納税が遅れるほど、ペナルティは高額になってしまいますので、まずは状況を確認するところから始めてみましょう。
個人撮影会モデルの確定申告は税理士にご相談を
自分で確定申告をしても構いませんが、「何から始めればいいのかわからない」という方は、税理士にご相談ください。税理士に依頼すると費用がかかるため躊躇する方がいますが、税理士に依頼しなければ自身で取り組まなければいけなくなります。
確定申告のための勉強や書類の作成に時間がかかるようであれば、プロに依頼するのも手段のひとつです。確定申告書作成のための時間や手間が軽減されるので、スムーズに確定申告を終えられるでしょう。
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