メンズエステのセラピストとして働く中で、技術向上や接客スキルを磨くために「講習」や「セミナー」に参加することは、売上アップに直結する重要な投資です。 これらにかかった費用は、一定の条件を満たせば確定申告において「必要経費」として計上することができます。
適切に経費を処理・管理することで、課税所得(税金の計算対象となる金額)が抑えられ、結果として所得税や住民税の負担を適正化することにつながります。
本記事では、税務のプロフェッショナルの視点から「メンズエステの講習費を経費計上するための判断基準」について解説します。 他にも「経費として認めてもらうための証拠の残し方」や「誤った申告によるペナルティのリスク」についても詳しく紹介します。
目次
メンズエステの講習費は経費として計上できる?

業務に関連するものであれば、メンズエステの講習費は経費として計上することが可能です。例えば、お客様の満足度を高め、リピート率や指名数を増やすために受ける技術講習や接客セミナーは、事業を行う上で必要な支出(研修費)と考えられます。
一方で、業務と直接関係のない内容の講習や、単なる趣味の延長とみなされるものは経費になりません。 また、プライベートで同業他社の店に行った際の利用料を「勉強のため」として全額経費にするケースが見受けられますが、これは「家事関連費」とみなされ、税務調査で否認されやすいポイントです。
あくまで「客観的に見て、事業の売上獲得に貢献するもの」であることが、経費計上の大前提となります。なお、金額の上限自体はありませんが、売上規模に対してあまりに高額すぎる研修費は、税務署から内容の確認を求められる可能性があるため、説明できる資料を準備しておくことが大切です。
経費として認められる「講習」の判断基準

メンズエステの講習と一口に言っても、その内容は様々です。税務上、経費として認められやすい講習には、主に以下の3つの特徴(目的)があります。
- 特徴①:施術スキルの習得・向上
- 特徴②:接客・マナー・心理学の学習
- 特徴③:業務開始に必要な法定・必須研修
それぞれの特徴について解説していきます。
特徴①:施術スキルの習得・向上
最も経費として認められやすいのが、施術技術そのものを学ぶための講習です。 「新しい手技を覚える」「オイルマッサージの技術を高める」といった目的は、セラピストとしてのサービス品質に直結します。 店舗が主催するものだけでなく、外部のスクールや有名講師による有料セミナーであっても、自身の業務に活用するものであれば問題なく経費となります。
特徴②:接客・マナー・心理学の学習
メンズエステの仕事は、施術技術だけでなく、接客スキルも売上に大きく影響します。 そのため、お客様とのコミュニケーション能力を高めるための話し方講座や、ホスピタリティを学ぶためのマナー研修なども、業務遂行上必要なものとして経費性が認められます。 また、心理学や営業トークに関する書籍代やセミナー代も、指名獲得のための研究費として計上可能です。
特徴③:業務開始に必要な法定・必須研修
店舗やフランチャイズ本部と契約する際、業務を開始する条件として受講が義務付けられている研修(初期研修など)があり、その費用を自己負担した場合も経費となります。 特に未経験から始める場合、これらの研修費は「開業費」として繰延資産に計上し、数年にわたって償却(経費化)することも可能です。
経費計上の対象となる講習の種類と勘定科目

実務上、よく発生する講習費の種類と、それぞれの考え方について解説します。
- ・種類①:新人講習
- ・種類②:定期講習
- ・種類③:有料講習
種類①:新人講習
多くの店舗ではデビュー前に新人講習が行われます。 この費用が無料であれば問題ありませんが、有料で自己負担した場合は経費になります。 勘定科目は「研修費」を使用するのが一般的です。また、講習会場までの交通費も「旅費交通費」として経費計上できるため、忘れずに記録しておきましょう。
種類②:定期講習
技術の確認や新メニュー導入のために定期的な講習が行われることがあります。 これらも当然、経費として計上可能です。 日々の業務に慣れてくると自己流になりがちですが、定期講習でプロの指導を受けることは、サービスの質を維持するために重要であり、税務的にも「事業に必要な活動」として説明しやすい支出です。
種類③:有料講習
店舗外で開催される高額な有料講習や、関連する民間資格の取得費用も経費になります。 ただし、金額が大きくなる場合は、その講習を受けたことで「実際にどう売上に貢献したか」を説明できるようにしておくことが重要です。 例えば、「この講習を受けて新メニューを作った」「単価を上げることができた」といった実績があると、税務調査時の説得力が増します。
メンズエステの講習費を経費計上するポイント

メンズエステの講習費を経費計上するポイントについては、以下の4つが挙げられます。
- ・領収書を保管しておく
- ・事業との関連性を明確にする
- ・帳簿は定期的につけるようにする
- ・専門家にアドバイスをもらう
それぞれのポイントについて解説していきます。
領収書を保管しておく
メンズエステの講習費を経費として処理するためには、支出の証拠となるレシートや領収書を適切に管理・保管しておくことが重要です。領収書やレシートが揃っていないと、税務上で経費として認められないリスクがあります。
また、税務調査の際には過去数年分の帳簿や証憑が求められるケースもあります。そのため、紙媒体だけでなく電子データも含めて、法定保存期間に従い、一定期間きちんと保管しておくことが求められます。
事業との関連性を明確にする
経費を申告する際には、その支出が業務にどう関係しているのかをはっきりさせることが大切なので、事業との関連性を明確にしましょう。実際に、内容が曖昧なままだと、税務調査の際に経費として認められないおそれがあります。
そのため、支払いの目的や使用された状況についての記録を残しておく必要があります。領収書や簡単なメモだけでなく、その支出が事業のどの業務や成果に結びついたかを具体的に説明できるように準備しておけば、税務署からの問い合わせにもスムーズに対応できます。
帳簿は定期的につけるようにする
メンズエステの講習費を経費計上するポイントとして、帳簿は定期的につけるようにすることが挙げられます。確定申告は毎年、基本的に2月16日から3月15日までの期間におこなうことが定められています。
実際に、短い期間にまとめて処理しようとすると、時間がかかるうえに、過去の支出を忘れてしまっている場合もあり、ミスの原因となりやすいです。申告内容に誤りがあると、必要な経費が正しく反映されずに納税額が増えてしまったり、後日税務署から修正を求められる可能性もあります。そのため、帳簿管理は後回しにせず、日常的に記録をおこなうことが重要です。
参考:確定申告|国税庁
専門家にアドバイスをもらう
メンズエステの講習費を経費計上する際には、税理士などの専門家にアドバイスをもらうこともポイントです。経費の取り扱いやその計上時期について迷うことがあれば、税理士などの専門家に相談するのが安心です。
自己判断で処理を進めた結果、誤った経理処理となってしまい、かえって税務調査の対象になったり、経費として認められない可能性も出てきます。専門家の意見を取り入れることで、正しい経費処理をおこないながら、節税することにもつながります。
参考:必要経費の知識|国税庁
メンズエステの講習費を経費計上する際の注意点

メンズエステの講習費を経費計上する際の注意点については、以下の2つが挙げられます。
- ・書類の保存期間と電子帳簿保存法
- ・誤った申告をおこなった際のペナルティ
それぞれの注意点について解説していきます。
書類の保存期間と電子帳簿保存法
メンズエステの講習費を経費計上する際には、領収書の保管を徹底するようにしましょう。
経費として処理した費用は、帳簿に記録するだけでは終わりではなく、購入時に受け取ったレシートや領収書など支出の根拠となる書類はきちんと保管しておく必要があります。領収書やレシートは、その支出が事業に関連していることを証明するための重要な資料です。
個人事業主の場合、原則として書類の保存期間は5年間(青色申告の場合は7年間)と法律で定められています。税務調査が実施された際には、これらの証憑が確認されることになりますので、書類をいつでも提出できるよう整理・保管の体制を整えておくことが大切です。
しかし、以前は税務書類はすべて紙で保管するのが原則でしたが、電子帳簿保存法の改正により、紙の領収書をスキャンして保存することも認められるようになりました。さらに、電子メールやオンライン決済などによって受け取ったデジタル領収書は、2024年1月から電子保存が義務づけられているので、制度変更にも対応できるよう、保存方法の見直しも必要になります。
誤った申告をおこなった際のペナルティ
確定申告の内容にミスがあった場合、その訂正方法には主に二通りの対応が求められます。
まず、納税額を本来よりも多く支払ってしまった場合には、「更正の請求」と呼ばれる手続きによって税務署に申請し、内容が認められれば「減額更正」として過払い分の税金が返金される可能性があります。
一方、必要な申告を忘れていたり、税額を少なく申告していた場合は、対応方法が2つに分かれます。自分で間違いに気づいて修正申告をおこなうケースと、税務署の調査などで誤りを指摘されるケースです。
具体的なペナルティについては、以下の4つが挙げられます。
- ・過少申告加算税
- ・無申告加算税
- ・不納付加算税
- ・重加算税
【過少申告加算税】
過少申告加算税とは、納税者が本来支払うべき税額よりも少ない金額を申告していた場合に、その不足分に対して課される追加の税金です。特に、税務調査の結果として申告内容に誤りが見つかり、その後に修正申告や税額の更正がおこなわれた際に課税されるケースが一般的です。
この加算税の基本的な計算方法は、不足している税額に対して10%を加えるというものです。しかし、新たに納めることになった金額が、元々の申告額または50万円のどちらか高い方を超える場合、その超過部分に関しては15%の税率が適用されます。
【無申告加算税】
無申告加算税とは、確定申告を期限内に行わず、本来納めるべき税金の申告を怠った場合に科される追徴課税の一種です。申告を忘れていたり、意図的に申告しなかった場合などに適用されます。
この加算税は、本来納めるべき税額を基準として計算され、まず50万円までの部分に15%が上乗せされます。また、その超過分に対しては、より高い税率である20%が適用される仕組みになっています。なお、納付すべき税額が300万円を超える部分については、さらに高い30%の税率が適用されます。
【不納付加算税】
不納付加算税とは、給与などから源泉徴収した所得税を、法律で定められた納期限までに納付しなかった場合に課される追加の税金です。通常、未納金額の10%が課されますが、税務署から指摘される前に自主的に納付を行った場合には、税率が5%に軽減されます。
しかし、過去1年以内に同様の納付漏れがなく、かつ納期限から1ヶ月以内に納税を完了している場合や加算税の額が5,000円未満にとどまる場合は、不納付加算税は免除されることがあります。
そのため、源泉徴収分の納付をうっかり忘れていたとしても、速やかに対処すれば余計な負担を回避できる可能性があります。
【重加算税】
重加算税とは、納税に関連する重要な情報を故意に隠したり、虚偽の内容で申告をおこなった場合に科される重い追徴課税です。例えば、経費の実態を意図的に偽って申告したようなケースでは、税務調査によってその事実が判明し、重加算税が課される可能性があります。
税率は非常に高く設定されており、過少申告の場合は本来納めるべき税金の35%、申告自体をおこなっていなかった場合(無申告)には40%が上乗せされます。 さらに、過去5年以内に同様のペナルティを受けたことがある「反復者」に対しては、税率がそれぞれ10%加算(45%・50%)される厳しい措置も設けられています。
参考:加算税の概要|財務省
経費を正しく計上して節税しよう!

今回は、メンズエステの講習費における経費計上の可否について解説しました。
講習費は、自身のスキルアップのための投資であると同時に、正しく申告すれば節税効果のある重要な経費です。 ただし、経費として認めてもらうためには「事業との関連性」を証明する資料の保管と、正しい帳簿付けが不可欠です。
誤った知識で申告を行うと、思わぬペナルティを受けることになりかねません。 判断に迷う場合や、確定申告の手続きに不安がある場合は、早めに税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。正しい税務処理を行い、安心して業務に取り組みましょう。
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