厚生費とは ホステス

ホステスの厚生費とは、店舗運営にかかる諸経費や職場環境の維持費用として、給与から差し引かれる場合がある費用のことを指します。

出勤するたびに一定の金額が差し引かれる場合もあれば、売上や給与の何%といった割合で控除されるケースもあります。

本記事では、ホステスの厚生費について紹介します。

他にも「ホステスに確定申告が必要な場合」や「ホステスが確定申告するメリット」についても解説していきます。

ぜひこの記事を参考にして、ホステスの厚生費について理解を深めてください。

ホステスの厚生費とは?

ホステスの厚生費とは?

ホステスの厚生費とは、店舗に支払う会費のような費用です。

給与から差し引かれる形で徴収されることが多く、出勤1回ごとに定額、あるいは給与の一定割合として設定されている場合があります。ただし、これらの費用は、店舗との契約内容に基づき同意のうえで運用されるのが一般的です。

店舗ごとに条件が異なり、料金の計算方法や引かれる条件に違いがありますが、いずれも報酬から控除される点は共通しています。

また、厚生費は税金や社会保険料のように国に納めるものではなく、店舗の収入の一部として扱われます

実際には、店舗が運営にかかる雑費や消耗品代、水道光熱費などを補う目的で徴収されています。

なお、厚生費の徴収には明確な法的規定がなく、店舗ごとに運用方法や契約条件が異なる場合があります。厚生費の内容や扱いは店舗によって異なり、法的に統一された定義はありません。

ホステスで厚生費以外に天引きされる費用項目

ホステスで厚生費以外に天引きされる項目

ホステスにおいては、厚生費以外にも差し引かれることがある費用項目が存在します。

天引き内容や金額については、店舗ごとに違いがあるため、事前に確認することも重要です。

具体的に、ホステスで厚生費以外に天引きされる費用項目については、以下の4つが挙げられます。

  • 税金
  • ヘアメイク代
  • 衣装レンタル代
  • 積立金

それぞれの項目について解説していきます。

税金

ホステスとして働く場合、差し引かれる項目として所得税が挙げられます。

所得税は、国に納める義務のある税金であり、店舗によって異なることはありません。

基本的には、ホステス自身が支払う税金ですが、実際にはお店側がその分を給料から差し引いて国に納税している仕組みになっています。

この差し引かれる金額は所得税法第204条第1項第6号に基づき、報酬から「計算期間の日数×5,000円」を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて計算されます。

参考:所得税法 | e-Gov 法令検索所得税の税率|国税庁

ヘアメイク代

ホステスで厚生費以外に天引きされる項目として、ヘアメイク代が挙げられます。

実際に、ホステスで働く際に欠かせないのが、ヘアメイクの準備です。

多くの店舗では提携美容院や店舗専属のスタイリストがおり、そのサービスを利用するとヘアメイク代が発生します。

店舗によって異なりますが、基本的に利用回数に応じて給料から差し引かれる仕組みです。

衣装レンタル代

ホステスとして働いたばかりで、まだ自前の衣装を用意していない場合は、お店の衣装を借りることが一般的です。

その際に発生する可能性があるのが衣装レンタル料金です。

中には無料で貸し出している店舗もありますが、1回の利用ごとに料金が発生するケースもあるので、事前に確認することが重要です。

積立金

積立金とは、店舗が企画する各種イベントの費用を、従業員全員で事前に分担して準備しておくための費用です。

毎月少額をスタッフから徴収し、その資金で年に一度の社員旅行や年末の忘年会といった行事を実施する場合があります。

積立金は店舗やイベント参加者全員で負担するケースが多いですが、店舗によって異なり、参加しない場合は免除される場合もあります。

ホステスで確定申告が必要な場合

ホステスで確定申告が必要な場合

ホステスで確定申告が必要な場合については、以下の3つが挙げられます。

  • 副業でホステスをしている
  • ホステス専業の個人事業主
  • 年間給与が2,000万円を超える

それぞれの項目について解説していきます。

副業でホステスをしている

ホステスとしての副業の所得が年間20万円を超える場合には、所得税の対象となり、確定申告が義務づけられます。

確定申告を怠った場合には、追徴課税や罰則の対象となることがあるため、十分な注意が必要です。

参考:確定申告|国税庁加算税の概要|財務省

ホステス専業の個人事業主

ホステスとして仕事をする際、店舗と正式な雇用契約を結ばず、個人で事業を営む形を選んだ場合は、税務上の手続きとして確定申告が必要になることがあります。

個人事業主の場合、基礎控除48万円を超える所得がある場合に確定申告が必要です。

また、業務にかかった支出を必要経費として扱い、それを収入から差し引くことで、課税対象となる所得額を減らすことが可能です。

しかし、これらの費用を正当に控除対象とするためには、確定申告を通じてしっかりと申告をおこなうことが前提となります。

年間給与収入が2,000万円を超える

正式に雇用契約を結んで勤務する場合、一般的には店舗側が給与から源泉徴収を行い、年末にはその情報をもとに年末調整がおこなわれます。

この手続きによって、原則として働く本人が個別に確定申告をおこなう必要は生じません

年間給与収入が2,000万円を超える場合、所得税は源泉徴収されますが、確定申告も必要となるケースがあります。

さらに、年度の途中で職場を離れた後に他の勤務先で年末調整を受けていないケースなどでも、自身で確定申告をおこなう必要があります。

参考:源泉分離課税制度|国税庁

ホステスが確定申告するポイント

ホステスが確定申告するポイント

ホステスが確定申告するポイントについては、以下の3つが挙げられます。

  • 領収書などの証明書類を準備する
  • 提出期限を守る
  • 青色申告か白色申告かを選ぶ

それぞれのポイントについて解説していきます。

領収書などの証明書類を準備する

ホステスが確定申告をおこなう際には、自身の収入や各種控除を裏付けるための証拠書類が求められます。

具体的には、以下の証明書類が挙げられます。

  • 生命保険料控除の証明書
  • 住宅ローンに関する明細
  • 医療費の領収書

上記の資料は、税務署が申告した内容の正当性を確認する上で欠かせないものです。

提出された書類によって、所得や控除の妥当性が審査され、不備であったり欠けていたりすると、確認の連絡が来たり、状況によっては税務調査の対象となることもあります。

そのため、申告時には必要な書類をあらかじめ整えておくことが大切で、日付ごとやカテゴリ別に分類しておくと、手続きをスムーズにおこなうことができます。

さらに、申告が終わったあとも、これらの証明書は最低でも5年間、場合によっては7年間の保存が義務付けられているので、万が一の紛失や破損に備えて、事前にコピーを保管しておくことをおすすめします。

提出期限を守る

確定申告を行う際には、提出期限を守るのが重要です。

通常、申告の締切日は毎年3月15日ですが、これが土日と重なる場合には翌営業日まで延長されます。

また、期限内に所轄の税務署へ書類を提出する必要があり、提出が遅れてしまうと、期限後申告となり、延滞税が発生するリスクがあります。

申告書の提出先は、原則として現在の住まいの所在地を管轄する税務署です。

参考:確定申告を忘れたとき|国税庁

青色申告か白色申告かを選ぶ

確定申告を行う際には、「青色申告」と「白色申告」のどちらかの方法を選ぶ必要があります。

それぞれの申告方式には特徴とメリット・デメリットがあり、自分の状況に合ったものを選ぶことが大切です。

青色申告は、帳簿をしっかりと付けることが求められますが、その分、所得から差し引ける控除額が多く、税制上の優遇を受けられる制度です。

具体的には、青色申告特別控除により最大65万円の控除が可能となります。

また、赤字が出た場合、その損失を翌年以降に繰り越して税金を調整することもできます。

しかし、利用には事前に所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があるので注意が必要です。

一方、白色申告は青色申告ほどの記帳義務がなく、手間をかけずに申告ができるのが特徴です。

申請手続きも不要で気軽に始められますが、控除額は10万円で、損失の繰越は認められていません。

このように、申告にかかる手間と得られるメリットを比較し、経済状況や事業規模に応じた方法を選ぶようにしましょう。

参考:青色申告制度|国税庁白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁

ホステスが確定申告するメリット

ホステスが確定申告するメリット

ホステスが確定申告するメリットについては、以下の4つが挙げられます。

  • 節税できる
  • 副業がバレてしまうリスクを減らせる
  • 払いすぎた税金が戻ってくる
  • 損金を繰り越しできる

それぞれのメリットについて解説していきます。

節税できる

ホステスが確定申告をおこなうことで得られるメリットの一つに、仕事に必要な支出を経費として扱えて、節税できることが挙げられます。

経費は収入から差し引くことができ、その差額が所得として課税対象になります。

経費を適切に申告すれば、その分だけ課税される金額が少なくなり、結果として将来の納税額の軽減につながります

また、経費として申告する際には、領収書や記録を残しておくことが重要です。

記録が整っていれば、経費として適切に認められ、不要な税負担を防ぐことができます。

参考:必要経費の知識|国税庁

副業がバレてしまうリスクを減らせる

ホステスが確定申告するメリットとして、副業がバレてしまうリスクを減らせることが挙げられます。

副業がバレてしまうリスクを減らすには、確定申告を活用することで対策が可能です。

具体的には、住民税の納付方法を特別徴収から普通徴収に変更することで、副業収入が本業に通知されるリスクを減らすことができます。

ただし、自治体や勤務先の運用によっては、必ずしも普通徴収が認められるとは限りません。また、副業収入が「給与所得」の場合は原則として特別徴収となるため、普通徴収が選べないケースもあります。

そのため、副業収入の住民税を確実に普通徴収にできるかどうかは、事前に自治体などに確認しておくことが大切です。

参考:個人住民税と特別徴収について|東京都主税局

払いすぎた税金が戻ってくる

ホステスが確定申告を行うことで、前もって多く支払っていた税金が戻ってくる可能性があります。

特に、年間の所得や支出を予測して税金を納める予定納税をおこなっている方に当てはまります。

予定納税とは、その年の収入や経費を見積もり、年に数回に分けて税金を先払いする制度です。

大きな納税額を一度に支払う必要がないため、資金繰りがしやすくなるというメリットがありますが、見積もりに基づいて税額を算出するため、実際の収支とずれることもあります。

こうした差異が生じた場合には、年末の確定申告で正確な金額を申告することで、過払い分が還付されることがあります。

損金を繰り越しできる

ホステスが確定申告をおこなうことにより、事業で発生した損失を翌年以降に持ち越して差し引けるというメリットがあります。

特に青色申告を選択した場合、欠損金の繰越控除という制度が利用可能です。

これは、事業年度内に赤字となった際に、その赤字分を将来の所得から差し引いて計算できる仕組みです。

例えば、ある年に衣装購入費や交通費などで支出がかさみ赤字となった場合、その分を次年度以降の利益から差し引いて税額を抑えることができます。

結果として、将来の納税額を軽減できるので、節税に直結するメリットがあります。

しかし、青色申告を利用するためには、開業届の提出後2ヵ月以内に税務署へ届け出る必要があるので、あらかじめ注意が必要です。

参考:青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁

ホステスが確定申告する際の注意点

ホステスが確定申告する際の注意点

ホステスが確定申告する際の注意点については、以下の2つが挙げられます。

  • 高価なプレゼントは贈与税の対象になる
  • 業務費用とプライベート費用を明確に分ける

それぞれの注意点について解説していきます。

高価なプレゼントは贈与税の対象になる

ホステスとして確定申告をおこなう際には、高価なプレゼントは贈与税の対象になってしまう場合があるので注意が必要です。

例えば、顧客から高価なプレゼントを受け取った場合、それが無償であるならば贈与と見なされ、一定額を超えると贈与税が課せられます。

贈与税の対象となるものとしては、高級ブランドのバッグや宝飾品、車や住宅といった高額品が該当します。

贈与税率は受贈財産の金額に応じ、段階的に10%~55%の間で課税されます。

また、贈与税の申告および納付は、通常の確定申告と同様に「翌年の3月15日まで」に行う必要があるので、見落としがないように事前に確認しましょう。

参考:贈与税がかかる場合|国税庁

業務費用とプライベート費用を明確に分ける

ホステスとして確定申告をおこなう際には、仕事に関わる支出と私的な出費を明確に区別するようにしましょう。

私生活で使ったお金は経費としては認められず、業務に密接に関連する支出のみが対象になります。

しかし、仕事に関連しているからといって、全ての出費が無条件で経費として認められるわけではないので注意が必要です。

経費として妥当な範囲を自分で判断するのが難しいと感じる場合には、税務の専門家である税理士に相談することをおすすめします。

ホステスで働く前に天引きされる内容を確認しよう!

ホステスで働く前に天引きされる内容を確認しよう!

今回は、ホステスの厚生費について紹介しました。

ホステスで働く際に発生する厚生費は、在籍しているキャストや店舗運営に関連した支出に充てられる費用です。

ほとんどの店舗で導入されており、請求された場合も、原則として返金されることはありません

また、実際の給与から差し引かれる項目については、事前に把握しておかないと、手取り額が思ったよりも少ないと感じてしまうリスクがあります。

今回の記事を参考にして、ホステスで働く前に天引きされる内容を確認しましょう。

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