キャバクラやラウンジなどでは、「体験入店」といって女性がお試し勤務をして店の雰囲気や客層、従業員の様子を確認できる制度がありますが、体験入店で働いたときに受け取れるお金には税金が引かれるのでしょうか。

本記事では、キャバクラ等の体験入店時の税金や確定申告について解説します。

結論として、体験入店であっても通常と変わらず源泉徴収されて支払われます。

また、キャストの働き方によって確定申告の必要性や経費の取り扱い方が変わるので、ぜひこの記事を参考にして夜職で働く場合の不安を解消しましょう。

キャバクラの体験入店とは

キャバクラの体験入店とは、キャバクラで本格的に働く前に、キャバ嬢として試しに働くことを指し、「体入」「一体」とも呼ばれます。

一般的なアルバイトでは、面接に合格すると雇用されてすぐに働く、もしくは数週間〜数ヶ月にかけて研修を行ったあとで働きますが、キャバクラなどの夜職の場合、面接で合格した後、1日間〜数日間体験入店で働くケースが多いです。

体験入店は、キャバクラの他にもラウンジやガールズバーなどにもあります。

体験入店の目的

キャバクラなどの夜職で体験入店を取り入れる主な目的は以下の2点です。

    • キャストが店の雰囲気や職場環境を体感し、自身に合っているか確認する
    • 店側がキャストの接客能力などを確認する

体験入店では、店側が仕事の説明や接客のサポートを行い、キャストは実際に働いて店の雰囲気や客層、仕事内容を確認します。

双方にメリットがあるのが体験入店の特徴です。

体験入店でも給料が発生する

キャバクラなどでの体験入店で、給料がもらえるのか心配される方も多いかと思いますが、体験といっても女性の労働に対してきちんと給料が支払われます。

体験入店で働いた分の給料は、全額日払いで支給されるのが一般的です。

また、給料を手渡しで支給されるケースが多いです。

体験入店の時給

体験入店で気になるのは給料ですが、体験入店の時給相場は3,000〜4,000円程度で、勤務時間は3〜5時間程度が一般的です。

しかし、具体的にはキャストや勤務場所によっても大きく異なります。

店側が「この人に働いてもらいたい」と思った場合、たとえ体験入店であっても高い時給を提示するケースも多いです。

体験入店後に店側と揉めることがないよう、面接時に給料面やノルマ、体験入店の時給についても確認しておくようにしましょう。

体験入店の給料も税金が引かれる?副業バレはあるのか

キャバクラなどの体験入店を検討している方で、「体験入店でも給料から税金が引かれるのか」「キャバクラで働いたことが本業にバレないか」と不安になる方は多いでしょう。

ここでは、体験入店でのキャバ嬢への給料(報酬)や天引きされるものについて解説します。

体験入店でも所得税が引かれる

体験入店のキャストであっても、給料(報酬)から所得税が引かれます。

経営者側がキャストの代わりに所得税の納付を行う必要があり、キャストへの支払いの際に所得税および復興特別所得税を源泉徴収しているのです。

キャバ嬢などの夜職の人が受け取る報酬から差し引かれる源泉徴収は10.21%(報酬が100万円を超える場合は20.42%)となっていますが、これは所得税を対象とした通常の所得税10%に、復興特別所得税として2.1%が加算された数値です。

引かれるものは税金だけではない

体験入店時に報酬から引かれるものは税金だけではないため、「思ったよりも稼げなかった」と感じてしまう方も多いです。

店によっても異なりますが、主に以下のものが報酬から天引きされます。

    • ヘアメイク代
    • 衣装レンタル代
    • 送迎代
    • 厚生費

体験入店のときでもかかる税金や引かれるものがあるため、あらかじめ知っておくと手取り額が把握できます。

それぞれ詳しく説明していきますので、チェックしてみてください。

ヘアメイク代

キャバクラでスタイリストを雇っている場合、開店時間や出勤に合わせてヘアメイクを行ってもらえます。

また、ヘアサロンと提携している場合はキャスト自身がヘアサロンに出向き、ヘアメイクをしてもらいます。

お店で雇っている場合、キャストは無料でヘアメイクをしてもらえると思われがちですが、ヘアメイク代は報酬から引かれるのが一般的です。

ヘアメイク代の相場は1回あたり1,000〜2,000円程度となっています。

衣装レンタル代

接客時に着用するドレス、ワンピース、靴などの衣装を店でレンタルした場合、店によってはレンタル料を報酬から引かれます。

1回あたり500〜1,500円程度が相場です。

送迎代

夜職の人は夜遅くまで働くため、仕事が終わる頃には電車がない場合もありますし、一人で帰るのが難しい場合もあります。

そのため、店側がキャストを自宅近くまで送迎してくれるケースも多いです。

送迎代は無料のお店もありますが、1回500〜1,500円程度、店から自宅までが遠い場合はそれ以上かかる場合があります。

他のキャストと複数人で相乗りする送迎システムを採用している場合が多く、タクシーで帰るよりも安く済ませられますが、送迎料金は店によっても異なるため、あらかじめ確認しておくのがおすすめです。

厚生費

税金と同じく、厚生費もほとんどの店で給料から引かれます。

ここでいう厚生費とは、キャストのため、もしくは店の運営に関するもののために使われているお金です。

厚生費の使い道に明確な決まりはありませんが、お店の光熱費や消耗品・雑費などを報酬から負担しているケースが多いです。

厚生費は1回の出勤で500〜2,000円程度、パーセンテージで言うと報酬の10%程度引かれます。

体験入店が会社にバレるリスクは少ない

副業として1日キャバクラへ体験入店で働いたとしても、本業にバレてしまうリスクはほとんどありません。

副業が会社にバレるリスクが高いのは住民税で、住民税は年間の収入に応じて金額が変わり、それを会社が納めるのが一般的ですが、その際、副業の収入が加算され、本業の収入と釣り合わなくなると副業がバレる恐れがあるのです。

しかし、副業の年間所得が20万円以下の場合は住民税の支払い義務がないため、体験入店だけでは20万円を超えることは少なく、会社に副業をやっていると知られるリスクもほぼゼロに近いでしょう。

キャバ嬢も確定申告が必要?

キャバクラで働く多くのキャストは、店側が代わりに税金を納めてくれるため、自身で確定申告をする必要はないと思いがちです。

しかし、実際はキャバ嬢であっても自分自身で確定申告を行う必要があるケースが多いです。

ここでは、キャバ嬢が確定申告を行う必要性について解説します。

確定申告が必要なキャバ嬢とは

キャバクラで働くキャストで、確定申告が必要なケースは以下の2通りです。

    • 個人事業主としてキャバクラで働く場合
    • 副業としてキャバクラの所得が20万円以上の場合

それぞれについて説明していきます。

個人事業主としてキャバクラで働く場合

キャバクラのみで収入を得ており、かつ店と雇用契約を結んでいない場合、キャバ嬢は個人事業主という立場となります。

また、雇用契約ではなく業務委託契約を店側と結んでいる方も個人事業主の扱いです。

その場合、年間48万円以上の所得があれば、確定申告が必要です。

ただし、個人事業主であれば事業に使った費用を経費計上できるため、経費を差し引いた所得が48万円に満たない場合は確定申告をしなくても良いことになっています。

副業としてキャバクラの所得が20万円以上の場合

店と雇用契約がなく、副業としてキャバクラで働いている方は、所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。

ただし、先述した通り店と雇用契約を結んでいない場合は個人事業主という扱いになるため、経費計上ができます。

自身が雇用契約をしているのか、それとも個人事業主なのかは確定申告する際の重要事項になるため、必ず店側に確認しておきましょう。

キャバ嬢が確定申告をするメリット

キャバクラで働いているキャストの中には、「確定申告は難しそう」「面倒だからやりたくない」と思っている方も多いでしょう。

個人事業主として働き、一定の所得を得ている場合は自身で確定申告をしなければならないのはもちろんですが、実は様々なメリットがあるのです。

ここでは、キャバ嬢が確定申告をするメリットについて説明していきます。

節税できる

個人事業主として働くキャバ嬢の場合は、給与所得者と違い、経費を自ら計算して税金を少なくすることができます。

客への接待が必要なキャバ嬢は、身だしなみを整えることも仕事上大切な要素であるため、衣装代や化粧品代、美容院代の一部は経費として認められます。

このような経費を引けば、実際の所得が少なくなり、結果として所得税や住民税などの税金を節約できるのです。

副業バレを防げる

体験入店だけでは副業がバレる心配はそれほどありませんが、副業としてキャバクラで本格的に稼ぎたいと思ったときに、本業にキャバクラで働いていることが知られてしまうのを心配する方もいるでしょう。

しかし、確定申告をうまく活用すれば、副業の収入が本業の勤務先に分かりにくくすることが可能です。

確定申告をして住民税を特別徴収から普通徴収に変更すると、副業で得た分の住民税を自分で直接払えるようになり、副業がバレてしまうリスクを減らせます。

扶養内で働ける

給与所得者の場合、年間収入103万円以内でないと扶養に入れないとされています。

しかし、個人事業主として働くキャバ嬢の場合は、年間の売り上げから業務に使った経費を差し引いた所得が38万円以下であれば、親や配偶者の扶養家族として認められるのです。

つまり、確定申告を正しく行えば、節税しつつ扶養家族としてのメリットを得られる可能性が高くなります。

キャバ嬢が確定申告しないとどうなる?

キャバ嬢が確定申告をするメリットをお伝えしましたが、では、確定申告をする必要があるにも関わらず、それをしなかった場合にはどうなるのでしょうか。

ここでは、キャバ嬢が確定申告をしなかった際に起こり得るケースについて解説します。

還付金が戻ってこない

確定申告をしなければ、多く支払った分の所得税の還付金を受け取ることはできません。

源泉徴収された金額はみなし年収から算出された税金額であり、実際の年収がそれよりも少なければ、多く納税していることになります。

確定申告を行えば、過不足が調整され、納めすぎた税金が戻ってきますが、確定申告を怠ると結果的に損をしてしまうのです。

副業がバレてしまう恐れがある

万が一、本業として他の仕事をしている場合、確定申告をしないことでキャバクラでの副業が知られてしまう恐れがあるため、副業禁止の会社で働いている方は注意が必要です。

先述した通り、住民税は年間の収入に応じて金額が変わるもので、本業はもちろん、副業のキャバクラで源泉徴収が行われている場合も、その記録が市区町村に通達され、本業と副業の給料を合わせた金額から住民税を算出し、本業の勤務先に税額通知書を知らせています。

本業と副業、2つの勤務先からの給料から住民税が算出されているため、住民税額が本来の額よりも多いと本業の経理担当者が気づけば、副業がバレてしまうでしょう。

税務調査で脱税とみなされる恐れがある

キャバクラやラウンジは、税務調査が入りやすい職種だと言われています。

キャバクラやラウンジに対して税務調査が入りやすいということは、そこで働いているキャストも調査対象になる可能性があるということです。

内偵調査のほか、高額な買い物やSNSへの投稿や他の従業員や客からの密告などから確定申告をしていないことが発覚する恐れがあり、相当な所得があるにも関わらず確定申告をしていないことが発覚すると、高額な追徴課税や刑事罰のリスクがあります。

過去5年間に遡って追徴することも可能なので、注意が必要です。

体験入店で働いた給料から税金が引かれる

キャバクラやラウンジなどのキャストが体験入店で働く場合、給料から所得税や厚生費などが引かれて支給されます。

働いた後に「思ったよりも金額が少ない」ということにならないよう、体験入店であっても支払われるお金についてはあらかじめ店側に確認しておくのが望ましいです

また、体験入店を経てキャバ嬢として働きたいと思った場合は、店側の雇用契約の有無や働き方などを確認し、確定申告が必要かどうかも把握しておきましょう。

キャバ嬢が確定申告をするメリットは多くあり、副業として働いている方も本業の勤務先にバレるリスクを減らせるため、ぜひこの規模を参考に、税金や確定申告についての理解を深め、正しく申告・納税していただけたら幸いです。

免責事項
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。 当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。