ライバーとして配信活動を続けるうちに投げ銭やギフトの収入が増えてきたが、「このまま続けると扶養から外れてしまうのか」「いくらまでなら扶養内でいられるのか」の判断基準がわからない方も多いのではないでしょうか。
扶養には「税金上の扶養」と「社会保険上の扶養」があり、それぞれ基準額が異なるため、どちらのラインを気にすればいいのかがわからず混乱してしまう場合があります。しかし、扶養から外れると家族全体の税負担が増えたり、自分で社会保険料を支払う必要が出てきたりするため、正確に把握しておかなければなりません。
そこで本記事では、「ライバーが扶養内でも確定申告が必要になる条件」について解説します。「扶養から外れる収入の判断基準」や「確定申告の進め方」「扶養から外れないためのポイント」も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ライバーが扶養中でも確定申告が必要になるケースとは

ライバー(配信者)で扶養に入っている方の中には、確定申告が必要になるケースがあります。まずはどのようなケースで必要になるのか、以下に分けて詳しく解説します。
・扶養に入っていても収入によって申告が必要になる
・ライバー収入がある場合に確認したいポイント
・確定申告をしない場合のリスクと注意点
扶養に入っていても収入によって申告が必要になる
大前提として、扶養に入っているからといって、確定申告が不要になるわけではありません。ライバーとして得た収入(投げ銭・ギフト・プラットフォームからの報酬等)も所得税の課税対象であり、所得が一定額を超えると確定申告の義務が生じるためです。
専業ライバーの場合、2026年分の所得が104万円(2025年分は95万円)を超えると、原則として確定申告が必要になります。一方で、副業としてライバー活動をしている場合、ライバー収入を含む給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告をしなければなりません。
【扶養から外れる収入の基準額】
扶養から外れる収入の基準額は、税金上の扶養と社会保険上の扶養でそれぞれ異なります。以下の表を見てみましょう。
| 扶養の種類 | 基準額(2026年分) | 基準額(2025年分) | 超えた場合の影響 |
| 税金上の扶養(所得税) | 合計所得金額 62万円以下(給与収入のみなら136万円以下) | 合計所得金額58万円以下(給与収入のみなら123万円以下) | 扶養控除が外れ、扶養している方の税負担が増える |
| 社会保険上の扶養(健康保険) | 年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満) | 年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満) | 自分で国民健康保険・国民年金に加入する必要がある |
令和7年度税制改正により、税金上の扶養に入れる収入ラインが従来の103万円から123万円に引き上げられた点には、注意が必要です。令和8年度には、物価高騰の影響も鑑み、さらに基礎控除が上がっているため、最新の情報を取得するようにしましょう。なお、ライバー収入がある場合は給与収入換算ではなく「合計所得金額」で判断する必要がある点には注意が必要です。
関連記事:扶養から外れるとどうなる?夜職・コンカフェで働く人の税金・保険・年収対策
【税金上の扶養と社会保険上の扶養は違う】
税金上の扶養と社会保険上の扶養は別の制度です。例えば、税金上の扶養が外れると、扶養している親や配偶者の所得税・住民税の負担が増えます。一方、社会保険上の扶養から外れると、自分で国民健康保険料と国民年金保険料を支払わなければいけません。それぞれ基準となる所得が異なるため、ライバー収入が増えてきた場合は、どちらの基準を超えそうなのかを別々に確認するようにしましょう。
ライバー収入がある場合に確認したいポイント

ライバーとしての配信収入で、確認しておきたいポイントは以下のとおりです。
・振込額ではなく「差引前の金額(売上)」で収入を計上する(手数料・源泉徴収税が差し引かれる前の金額が売上)
・プラットフォームによっては運営側でシステム手数料や源泉徴収税が差引かれてから振り込まれるため、振込額と売上が異なる点に注意
・年末に発生した売上の収益認識はプラットフォームにより異なる
中でも混乱しやすいのが、差引前の金額(売上)で考えなければいけない点です。手数料や源泉徴収税は確定申告で必要になるため、必ず差し引かれる前の金額を把握しておくようにしましょう。振込額で考えていると、売上と異なる可能性があります。また、年末に発生した報酬がどの年の収入になるかは、契約内容や収益が確定するタイミングによって異なるため、利用しているプラットフォームの支払条件を確認しましょう。
確定申告をしない場合のリスクと注意点
確定申告が必要な状況で申告を怠ると、以下のリスクが生じます。
・無申告加算税:税務調査の通知前に自主申告した場合は本税の5%、調査通知後は10~30%
・延滞税:短期延滞(2ヶ月以内)は年2.8%、超過分は年9.1%(2026年度分)
・扶養の過誤:配偶者控除や扶養控除を間違えて適用していた状態。誤りを訂正し不足分の税金を納める必要がある
学生ライバーや副業ライバーに限らず、扶養に入りながらライバー活動をしている方は、収入の状況を正確に把握して期限内に申告するようにしましょう。
関連記事:確定申告をしてないとどうなる?無申告や期限に遅れた場合のリスク
ライバーの確定申告が必要かどうか判断する3つの基準

ライバーの方の中には、自身が確定申告が必要かどうか判断しにくい方もいるでしょう。そのような場合は、以下の点を基準に判断してみてください。
・ライバー収入が年間104万円を超えているか確認する
・投げ銭やギフト収入の合算額を正確に把握する
・他の収入と合わせた総所得額で扶養の可否を判断
ライバー収入が年間104万円を超えているか確認する
専業ライバー(個人事業主)として活動している場合、確定申告が必要かどうかの基準は以下のとおりです。
| 年度分 | 確定申告が必要になる所得額 |
| 2024年分まで | 所得48万円超 |
| 2025年分 | 所得95万円超(合計所得132万円以下の場合) |
| 2026年分 | 所得104万円超 |
令和7年度税制改正により基礎控除が引き上げられたため、2025年分から基準額が大幅に変わっています。ただし、この基準は合計所得金額によって異なるため、他に収入がある場合は合算して確認するようにしてください。
【収入ではなく所得で判断する場合がある】
確定申告の要否は、「収入(売上)」ではなく「所得(収入-経費)」で判断します。例えば、ライバー収入が年間100万円あっても、配信機材・通信費・衣装代などの経費が50万円あれば、100万円-50万円で所得は50万円になります。専業ライバーの場合、2026年分であれば所得が104万円以下なら確定申告は不要です。ただし、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になる場合があります。
参考:個人住民税 | 総務省
【ライバー収入以外のアルバイト収入も合算する】
アルバイトをしながらライバー活動をしている場合は、アルバイト収入とライバー収入を合算して判断します。例えば、副業としてライバー活動をしている場合は、ライバー収入の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。学生ライバーの場合も、同様の判断基準が適用されます。なお学生の場合は、勤労学生控除(27万円)を活用できるケースがあるため、確定申告の書き方で迷う場合は税務署へ相談するのも良いでしょう。
投げ銭やギフト収入の合算額を正確に把握する

ライバーの収入は、複数のプラットフォームから得られるケースもあるでしょう。以下のように投げ銭やギフト収入がある場合、すべてを合算して判断する必要があります。
・ライブ配信プラットフォーム(アプリ)からの投げ銭・ギフト収入
・ライバー事務所からの給与・業務委託報酬
・YouTube・TikTokなどの広告収入
・スーパーチャット(スパチャ)・メンバーシップ収入
複数のプラットフォームで活動している場合は、それぞれの収入をすべて合算した金額で判断しましょう。ただし、プラットフォームごとに支払いのタイミングや手数料の扱いが異なるため、月ごとに正確に記録しておく必要があります。
他の収入と合わせた総所得額で扶養の可否を判断
扶養の可否はライバー収入だけでなく、アルバイト収入やその他の副収入を含めた「合計所得金額」で判断します。例えば、ライバー収入の所得が30万円でも、アルバイト収入の所得が35万円あれば合計65万円となり、2026年分の扶養の基準(合計所得金額62万円以下)を超えます。そのため、複数の収入源がある場合は、それぞれの所得を正確に把握したうえで合計所得金額を計算するようにしましょう。
ライバーが確定申告を正しく進めるための手順

ライバーの方が確定申告を正しく進めるためには、以下の手順で進めると良いでしょう。
1. 月ごとの収入と経費をこまめに記録する習慣をつける
2. 確定申告書を作成して必要書類を揃える
3. 期限内に提出して扶養内かどうかを再確認する
Step1. 月ごとの収入と経費をこまめに記録する習慣をつける
確定申告において、月ごとの収入と経費をこまめに記録することは、最も大切な工程です。後でまとめてやろうとすると、記憶が曖昧になり、経費の計上漏れが発生しやすくなります。そのためにも、以下の項目は必ず記録しておきましょう。
・プラットフォームごとの月別収入金額(振込通知・明細を保管)
・差引前の売上金額(手数料・源泉徴収税差引前の金額)
・配信機材・通信費・衣装代等の経費のレシートや領収書
おすすめは、スマートフォンのメモや会計アプリを活用することです。その他、月謝袋や蛇腹ファイルを使って、月ごとにまとめていく方法もあります。いずれにせよ、こまめに記録する習慣をつけておくことで、確定申告の負担を大きく減らせます。後回しにせず、定期的にコツコツと進めていきましょう。
Step2. 確定申告書を作成して必要書類を揃える
収入と経費の整理が完了したら、確定申告書を作成します。必要な書類は以下のとおりです。
・各プラットフォームからの支払い明細・支払調書
・経費の領収書・レシート類
・マイナンバーカードまたは通知カード
・アルバイト収入がある場合は源泉徴収票
ライバーの確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」またはe-Taxを使ってオンラインで作成するのがスムーズです。オンラインの会計ソフトを使っている場合は、そちらを使うのも良いでしょう。なお、確定申告の書類は原則5年から7年間は保存しなければいけません。作成したからといってすぐに廃棄しないようにしてください。
Step3. 期限内に提出して扶養内かどうかを再確認する
確定申告の書類を作成できたら、期限内に提出します。例年、2月16日~3月15日が受付期間(土日祝日に当たる場合は翌平日)となっているため、忘れないようにしましょう。その際、合計所得金額を確認し、扶養の基準(税金上・社会保険上それぞれ)を超えていないかを再確認してください。もし、扶養から外れると確認できた場合は、扶養している親や配偶者の会社への報告が必要になります。
なお、申告の結果、源泉徴収で払いすぎた税金がある場合は、申告後に還付されます。還付金に関しても確定申告書で確認できるので、所得金額と併せて確認しておくと良いでしょう。
ライバーが確定申告で扶養を外れないための3つのポイント

ライバーの方で扶養から外れたくない場合、確定申告の際に以下のポイントを意識してみてください。確実に外れないという方法はありませんが、可能性を高められます。
・経費を正しく計上して課税所得を抑える
・配信機材や通信費など経費にできる項目を把握する
・収入が増えた場合の扶養からの切り替えタイミングを知る
経費を正しく計上して課税所得を抑える
確定申告で経費を正しく計上すれば、課税所得が扶養の範囲に収まる可能性もあります。そのため、経費になるものは経費扱いにしていきましょう。ライバーが経費として計上できる主な項目は、以下のとおりです。
・配信機材:スマートフォン・PC・カメラ・マイク・照明機器等
・通信費:配信に使用したインターネット回線料・携帯電話料金の事業利用分
・衣装・コスチューム代:配信専用の衣装・グッズの購入費
・ヘアメイク代:配信のためのヘアセット・メイクアップ費用
・プラットフォームの利用手数料:システム手数料は経費として計上可能
なお、プライベートと兼用のものは、使用割合に応じた按分が必要です。購入時にレシートや領収書を保管し、何のための支出かをメモしておきましょう。
配信機材や通信費など経費にできる項目を把握する
ライバーにとって、配信機材や通信費は業務上、必須です。そのため、それらを経費に計上することで、課税所得を適正化できます。仕事を始めるにあたっての準備期間に購入していたとしても、開業費として計上できるので、忘れずに経費にしましょう。
また、通信費に関しては、按分が基本となります。例えば、月額の通信費のうち配信に使う割合が50%であれば、その50%分を経費として計上する形です。自宅を配信スタジオとして使用している場合は、さらに家賃・光熱費の事業利用分も按分して計上できます。これらを漏れなく計上できれば、扶養のライン(2026年分:合計所得62万円以下)に収まる可能性が高まります。
収入が増えた場合の扶養からの切り替えタイミングを知る
ライバー収入が増えて扶養から外れることが見込まれる場合は、切り替えのタイミングを正しく把握しておくのも重要です。例えば、社会保険上の扶養(年収130万円未満)を超える見込みになった場合は、速やかに扶養している家族の会社に報告する必要があります。遡って保険料の支払いを求められるケースもあるため、収入が増えた段階で早めに確認して対応することをおすすめします。
税金上の扶養から外れる場合は、確定申告で正しく申告すれば問題ありませんが、扶養している側の年末調整の修正が必要になる点は認識しておきましょう。いずれにせよ、扶養から外れる際は扶養してくれていた方に連絡が必要だと覚えておいてください。
ライバーの確定申告は収入管理と扶養ラインの把握が大切

扶養に入りながらライバー活動をしている場合は、税金上の扶養(合計所得62万円以下)と社会保険上の扶養(年収130万円未満)という2つのラインをそれぞれ確認する必要があります。その際、投げ銭・ギフト収入は振込額ではなく差引前の売上金額で計上し、アルバイト収入と合算した合計所得金額で扶養の可否を判断してください。
確定申告では、配信機材・通信費・衣装代などの経費を正しく計上することで課税所得を適正に抑え、扶養内に収まる可能性を高められます。記入漏れを起こさないためにも、月ごとの収入と経費をこまめに記録し、早めに申告書を作成する習慣をつけるようにしましょう。
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