「先輩から確定申告しなくていいって聞いたけど本当?」
「もしバレたらどうなる?」
スナックやキャバなどの水商売で働く人の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論、ホステスやキャバ嬢として働く人の中には確定申告が必要な場合があり、確定申告をしていない場合には罰則を受けるケースもあります。
今回は、スナックで働く人で確定申告が必要なケースに始まり、確定申告をしないことで発生する罰則や確定申告をするメリット、分かりやすい確定申告の方法について解説します。
スナックで働く人で確定申告が必要なケースとは
スナックで働く人で確定申告が必要なケースは、主に以下のような場合です。
- ・給与明細で所得税や住民税が徴収されていない
- ・副業として年間20万円以上の収入である
- ・年間110万円以上の収入である
- ・個人事業主として働いている
それぞれ詳しく解説します。
給与明細で所得税や住民税が徴収されていない
まずは給料明細を確認してみましょう。
給与明細で「所得税」と「住民税」が天引きされている場合は、税金を納めていますので問題ありませんが、給料明細上に記載がない場合は、確定申告が必要となります。
副業として年間20万円以上の収入である
バイトなどの副業としてスナックで働いている場合、年間20万円以上稼いでいるか否かで確定申告の必要性が変わります。
副業として働いている場合、副業している企業では確定申告は行われないため、本業の源泉徴収と副業の源泉徴収を使って確定申告を行う必要があります。
この時、本業で年末調整が行われていること且つ、副業としてのスナックの収入が年間20万円以下の場合は確定申告をする必要はありません。
年間110万円以上のプレゼントをもらった
お客様などから戴いた物の総額が110万円を超えた場合、贈与税がかかることをご存知でしょうか。
贈与税の対象となるのは、チップなどの現金はもちろん、ブランド物や車、宝石、不動産などが挙げられます。
これは一度の金額ではなく、その年の1月1日~12月31日の1年間でのプレゼントの金額を合算したものとなります。
1年間で110万円以上の戴きものをした場合、110万円を超えた分の金額に贈与税がかかるということを覚えておきましょう。
個人事業主として働いている
個人事業主としてスナックで働いている場合は、青色申告や白色申告を選択肢、個人で確定申告を行う必要があります。
この場合は、自分で細かな収支計算や利益の計上などを行う必要があるため、会社勤めをしている場合と比べ、作業量は多く、作業内容も煩雑になります。
確定申告をしていないことで発生する罰則とデメリット
確定申告をしていないこと(無申告)で、どのようなリスクがあるのでしょうか。
ここでは、無申告がバレることで考えられる罰則とデメリットについて、以下の項目に分けて解説します。
- ・将来への影響
- ・刑事罰
- ・罰金
それぞれ見ていきましょう。
刑事罰
故意に確定申告をしていなかった(脱税)と判断された場合、刑事罰が科せられる可能性があります。
具体的には、所得税法に違反したとされる場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金あるいはその両方が科せられるリスクがあります。
ただし、脱税の意図がなく、単なる申告漏れであると判断された場合には刑事罰の対象にはなりません。
罰金
無申告がバレた場合、以下のような追徴課税を支払う必要があります。
- ・無申告加算税
- ・過少申告加算税
- ・延滞税
- ・重加算税
それぞれ見ていきましょう。
無申告課税
無申告課税とは、申告期限までに申請しなかった場合に課せられる罰金であり、納税額によって以下のような違いがあります。
納税額 | 無申告課税の税率(原則) |
50万円以下 | 15% |
50万円~300万円以下 | 20% |
300万円以上 | 30% |
ただし、税務署に指摘される前に自己申告した場合には、無申告課税は5%に軽減されます。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、期間内に申告した金額が本来の納税額よりも少なかった場合に課せられる罰金です。
税率は原則として追加で納税する金額の10%ですが、期限内申告税額と50万円のどちらか多い方を超える分に関しては15%に増加します。
ただし、こちらも税務署から指摘を受ける前に自己申告した場合には、過少申告加算税は課せられません。
延滞税
延滞税とは、期限内に納めるべき税金を納めなかった場合に課せられる罰金です。
延滞税の金額は納付期限の翌日から納付した日までの日数に基づいて計算され、延滞期間が長くなるほど高額になります。
ただし、延滞税額が1万円以下の場合には納付義務は発生しません。
重加算税
重加算税は、納めるべき税金額を故意に偽るなど、悪心な申告漏れや脱税だと判断された場合に課せられる罰金であり、加算税率は以下の通りです。
状況 | 税率 |
偽りなどはあったが申告書は提出していた場合 | 35% |
申告書の提出もしていなかった場合 | 40% |
隠ぺいなどを繰り返している場合 | 上記に加え更に10% |
このように、重加算税の税率は35~40%と高額であり、そのペナルティは非常に大きいものとなっています。
将来への影響
確定申告を怠った場合、将来にも影響を及ぼす懸念があります。
具体的には「ローン審査が通りにくくなる」「賃貸契約を断られる」「悪質な場合には財産が差し押さえられる」などが考えられます。
このように、確定申告をしないことで多くの重大なリスクが発生します。
「税金を払いたくない」「めんどくさい」「よくわからない」などの理由から、確定申告をしていない方もいらっしゃると思います。
しかし、確定申告にはメリットもあることをご存知でしょうか。
次項では確定申告をするメリットについて解説します。
確定申告をするメリット
スナックで働いている人が確定申告をすることで得られるメリットには、以下のようなものがあります。
- ・払いすぎた税金が戻ってくる
- ・出費を経費として計上できる
以下で詳しく解説します。
払いすぎた税金が戻ってくる
自分で確定申告をすることで、払いすぎた税金が戻ってきます。
給与形態や雇用形態によっては、スナックで働いている給与から所得税が天引きされていることがありますが、所得金額によっては税金を多く払いすぎている場合があります。
本業の企業で支払われる給料に関しては年末調整で払いすぎた税金が戻ってきますが、副業としてスナックで働いている場合は、自分で確定申告をしなければ払いすぎた税金は戻ってこないということです。
出費を経費として計上できる
スナックで働く上で必要な出費に関しては、かかった金額を必要経費として計上することができます。
ただし、経費として計上できるものは「スナックで働く上で必要なもの」に限定され、経費として認められるものは以下のようなものです。
- ・仕事用のドレス代
- ・仕事のためのヘアセット代
- ・仕事用のスマホ料金
- ・お客様との飲食代
- ・お客様へのプレゼント代
- ・通勤時に利用したタクシー代 など
つまり、「私生活でも使用できるものではなく、あくまでも仕事で必要なもの」であれば経費として計上できます。
働く上で上記のような出費が多い方にとっては、確定申告をする大きなメリットがあると言えるのではないでしょうか。
分かりやすい!確定申告のやり方
とは言え、「確定申告ってどうやってやるの?」「何をしたらいいか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、確定申告における「用意するもの」と「申告方法」、「申告期日」について解説します。
用意するもの
確定申告では、事前に以下のものを用意しておくようにしましょう。
- ・所得額(収入)が分かるもの
- ・領収書やレシート
- ・銀行口座が分かるもの
- ・本人確認書類(マイナンバーカード推奨)
まずは1月~12月のお給料(売上)が分かるものを用意しましょう。
こちらはお店にお願いしすれば「源泉徴収票」を発行してもらえるので、それがあれば大丈夫です。
次に領収書やレシートですが、こちらは一年間に仕事のために使った金額(経費)を把握するために必要となります。
課税される正しい金額は、「売上」から「経費」を引いた金額で計算されるため、経費が多いほど支払いすぎた税金が戻ってくるということですので、1年でかかった経費をきちんとまとめられるようにしましょう。
銀行口座は税金を払いすぎていた場合に還付される口座になり、本人確認書類に関しては申告の手軽さからマイナンバーが推奨されますが、顔写真がついているものであれば問題ありません。
申告方法
確定申告の申告方法としては、以下の4つが挙げられます。
- ・税務署に行く
- ・e-Taxを利用する
- ・郵送する
それぞれ見ていきましょう。
税務署に行く
確定申告では「確定申告書」という書類を記入する必要がありますが、初めて確定申告をする場合は、分からないことも多いため税務署の確定申告会場で直接税務署の方に相談するのも良いでしょう。
必要な書類さえ揃っていれば、どこに何を書けばいいのかを詳しく教えてくれます。
ただし、確定申告会場は大変混雑しますので、税務署の方に相談できるまでにかなりの時間待たなければならないことが予想されます。
e-Taxを利用する
e-Taxとは、税金などに関するさまざまな手続きをインターネット上で行えるサービスです。
会計ソフトサービスや国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して、スマホやパソコン上で必要書類を作成したのち、e-Taxでネット申請します。
e-Taxの利用はIDやパスワード設定でも可能ですが、マイナンバーカードがあるとスムーズです。
郵送する
e-Taxでご紹介した確定申告書は、お近くの税務署に郵送で提出することもできます。
この時、封筒の大きさと送り方には注意してください。
封筒の大きさは「クラフト封筒角型2号」、送り方は定形外郵便となり、ゆうパックなどは利用できませんので注意しましょう。
税理士に頼ることもおすすめ
ここまでの解説で、「自分でやるのはハードルが高い」「時間が作れない」という方は税理士に確定申告の代行を依頼することも検討してみてください。
税理士に確定申告の代行を依頼する大きなメリットとして、正確な申告ができるということが挙げられます。
また、税理士と顧問契約を結ぶことで確定申告のみならず、節税のアドバスや、ナイトワークではありがちな「税務調査」の立ち合いなども行ってくれます。
税務に関わる部分はさまざまな知識が必要となる部分もありますので、専門家は力強いサポートとなるでしょう。
スナックで働く人も確定申告は必要な場合がある!不安な方は税理士に依頼を
スナックで働く人の中には、確定申告が必要な場合とそうでない場合があり、給与形態や雇用形態、年間の収入によって異なります。
もしも確定申告が必要にも関わらず行っていない場合には、罰則や罰金、将来への悪影響が生まれる懸念がありますので、必ず確定申告は行うようにしてください。
なお、ご自身での確定申告に不安があるという方は税理士に代行を依頼することもおすすめです。
税理士に依頼することで、正確に申請できることはもちろん、節税対策のサポートも行ってくれるというメリットがあります。
確定申告についてお悩みの方は是非お気軽にご相談ください。
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