夜職の中でも、初期費用を抑えてはじめられるスナック営業ですが、初めての開業では何から始めて良いか分からない方も多いでしょう。
スナックを開業するためには、どのような準備や許可申請、手続きが必要になるのでしょうか。
本記事では、スナックを開業する流れや必要な資格・届出について詳しく解説します。
スナックを開業するメリットについてもご紹介しますので、スナックの開業・経営を考えている方はこの記事を参考に、開業に必要な知識を身につけていただけたら幸いです。
スナックとは
スナック(正式名称:スナックバー)には明確な定義はありませんが、日本では一般的に、女性がカウンター越しに接客する飲酒店を指します。
「ママ」と呼ばれる女性の責任者や従業員が軽食やお酒を提供し、店員との会話やカラオケなどを楽しむケースが多いです。
近年ガールズバーやラウンジなど、スナックに似た業態の店が増えていますが、これらは比較的若年層から中年くらいをターゲットにしているのに対し、スナックの主な客層は50代~70代ぐらいと、中高年向けの酒場というイメージが定着しています。
バーとの違い
スナックとバーは法律的に明確な違いはありません。
しかし、一般的な認識では、スナックはママと呼ばれる中心的存在がいる店で他の女性スタッフと共にお酌をしたり、談笑したりするもので、酒類だけでなく軽食も提供される点が特徴となっています。
一方でバーは、バーテンダーがお酒の提供をするのがメインであり、客はお酒や客同士での会話を楽しむのが一般的です。
スナックを開業するメリット
スナックを開業・経営することは、他の飲食業態にはない様々なメリットがあります。
ここでは、スナックを開業する主なメリットをご紹介します。
初期費用を抑えられる
スナックの大きなメリットとして、開業・経営するための資金が比較的低く済むという点が挙げられます。
軽食を提供するスナックは、他の飲食店と比べて大規模な厨房やキッチンが必要ないため、初期費用を抑えられます。
また、スナックは小規模な店舗で営業するケースが多いため、内装コストや賃料も安く抑えられるでしょう。
利益率が高い
利益率が高い点もスナックを開業するメリットです。
利益率とは、売上に対する利益の割合を示す指標のことで、スナックで提供する軽食や酒類は比較的原価が低く、コストを抑えて運営できるため、他の飲食店よりも高い客単価や利益率を確保しやすくなります。
また、客にボトルキープをしてもらえるとリピート率も上がるため、売上も安定してくるでしょう。
日中の時間を有効に使える
スナックの営業時間は基本的に夜間であるため、日中は自由に活動できます。
特に、朝早く起きるのが苦手な人や、満員電車に乗るのが苦痛に感じる人にとっては自分のペースで仕事に取り組めるため、ストレスを感じにくいでしょう。
ただし、スナックの開業によって生活リズムが昼夜逆転し、家族や友人との時間がとれなくなる恐れもあるので注意が必要です。
スナックを開業するまでの流れ
スナックを開業するまでの主な流れは以下の通りです。
- コンセプトの決定
- 店舗となる物件を探す
- 店舗の内装や設備の準備
- 開業資金を調達する
- 開業に必要な資格の取得
- 開業に必要な届出・許可の申請
- 集客・宣伝
- 仕入先の選定
- 従業員の採用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①コンセプト設定
まずは、開業するスナックをどのような病院にしていきたいかはっきりさせるために、コンセプトを設定します。
店のコンセプトは、客に提供するサービスや接待、スタッフの人数にも関係してくるため、明確に設定しておく必要があります。
スナックのコンセプト設定では、以下の視点から考えるのがおすすめです。
- 目的(スナックを開業して何を達成したいか)
- 誰に(どの層をターゲット層にするか)
- どこで(どのような場所で営業したいか)
- 何を(どのような接客スタイルにするか)
- どのように(どのような形態、システムで営業するか)
- いくらで(価格設定や料金体系はどうするか)
②店舗となる物件を探す
コンセプト設定後は、コンセプトに沿って物件探しを進めていきましょう。
開業する地域にもよりますが、スナックはビルの一部のスペースを借りて経営するケースが多いです。
同様の店の設備などが残された居抜き物件等を利用すると、初期費用を抑えることができます。
ただし、立地は集客にも影響するため、慎重に検討する必要があります。
③店舗の内装や設備の準備
スナックの内装や設備は、スナックを印象づけるための重要な要素です。
スナックは他の飲食店と比べると規模が小さく、大掛かりな設備も必要ないため、内装や設備に掛ける費用は少なく済みます。
ただし、内装にこだわりすぎると工事に多額の費用がかかってしまいますし、妥協しすぎると店の印象が悪くなる恐れがあるため、予算を考慮しながらコンセプトに合った内装や設備を考えましょう。
④開業資金を調達する
スナックを開業するうえで資金調達は重要な項目です。
スナックの開業資金は、規模や開業する場所、営業スタイルによっても異なりますが、一般的には最低500万円程度必要となります。
開業してからすぐに経営が軌道に乗るとは限らないため、お店の売上に関わらず家賃・光熱費・人件費などの運転資金も用意しておく必要があるでしょう。
金融機関の融資や親族・知人などからの借入などのほか、以下の融資や補助金などを活用すると、足りない資金を補うことができるため、必要に応じて相談してみるのがおすすめです。
- 日本政策金融公庫
- 国や地方自治体の補助金・助成金
- クラウドファンディング など
⑤開業に必要な資格の取得
資金調達と並行して、スナックの開業に必要な資格やスキルを取得しましょう。
後述しますが、スナック開業に必要な資格は以下のものがあります。
- 食品衛生責任者資格
- 防火管理者資格
⑥開業に必要な届出・許可の申請
資格やスキルを取得したうえで、スナックの開業に必要な届出・許可の申請を行います。
申請が必要となる届出・許可は以下のものがあります。
- 飲食店営業許可
- 防火対象物使用開始届
- 防火対象物工事等計画届
- 深夜酒類提供飲食店営業届
- 風俗営業1号営業許可
また、飲食店の開業には開業届や税務関係書類、社会保険の加入なども必要になるため、書類を準備しておきましょう。
⑦集客・宣伝
開業の1〜3ヶ月前には、集客や宣伝方法について考えることも大切です。
開業後に売上を安定させるためには、開業前から集客のためのアクションをしていく必要があります。
オフラインのほかインターネットやSNSを活用した集客はもちろん、リピーターを獲得するために開業後も積極的に集客・宣伝していきましょう。
⑧仕入先の選定
スナックでは酒を提供するため、どの種類の酒を揃えるかを考えます。
そして、安定したサービスを提供するために、酒や食事の材料、おしぼりなどの仕入れ先を選定し、確保しておきます。
仕入費用は店の利益率にも影響するため、できるだけ費用を抑えた仕入れ先を選定するのが望ましいです。
また、品質や安全性を高めるためにも、複数の業者から見積もりをとり、比較しましょう。
⑨従業員の採用
スナックの場合、ママ一人で店を経営するケースもありますが、接待を伴う業態の場合は、複数人の従業員を採用する必要があります。
スナックの給料は、時給に加え、指名料やドリンクオーダー料のバックがあるのが一般的であるため、従業員の給料は他の飲食店に比べると高い傾向にあります。
そのため、売上と給料のバランスを考えて必要な従業員の数を検討しましょう。
スナックの開業に必要な資格と届出
スナックを開業するにあたり、様々な資格や届出が必要です。
開業する地域によっても異なりますが、ここでは、スナックの開業に必要な主な資格や届出について説明していきます。
食品衛生責任者資格
食品衛生責任者とは、飲食店などの食品営業施設において衛生管理を担う責任者のことで、食品衛生法により、店舗ごとに1名以上の食品衛生責任者を置くことが義務付けられています。
そのため、経営者が自身で取得するか、従業員に取ってもらうか、もしくは、資格保有者を雇わなくてはなりません。
資格を取るためには、開業する店舗がある地域を管轄する保健所が行う食品衛生責任者講習を受講終了し、保健所に申請する必要があります。
飲食店営業許可
飲食店を営業するため、飲食店営業許可を保健所に申請する必要があります。
大きな流れとしては以下の通りです。
- 保健所に事前相談
- 飲食店営業許可申請
- 施設検査日時の予約
- 施設検査
- 営業許可書交付
店舗の工事後に指摘を受けた場合、設計や工事のやり直しをしなければならない恐れがあるため、はじめの事前相談で工事前に設計図を持っていき、管轄の保健所に確認してもらうのが望ましいです。
防火管理者
スナックの規模によっては、防火管理者の資格と選任が必要なケースもあります。
防火管理者とは、消防法によって定められている資格であり、飲食店の火災を防ぐための必要な業務をおこなう責任を持つ人です。
防火管理者が必要な飲食店の条件としては、防火対象物全体の収容人数が30人以上の建物となっています。
この資格は、都道府県知事や消防長などが行う講習会を受けると取得可能です。
防火対象物使用開始届
飲食店を開業する際、営業を始める日の7日前までには消防署に対し、防火対象物使用開始届を提出する必要があります。
これは、管轄の消防署が、どの建物(もしくは建物内)を誰がどのように使用しているか、消防法で規定されている消防用設備等の設置がされているかを確認するためのもので、必ず申請しなければなりません。
防火対象物使用開始届出書を提出し、消防署による検査を受け、検査に合格すると検査済証が発行されてその建物や一部を使用できるようになるのです。
防火対象物工事等計画届
飲食店を開業する前に必ず提出しなければならない防火対象物使用開始届がありますが、店舗の一部を修繕したり、模様替えをしたり、間仕切をしたりするような場合には、消防署に対し、防火対象物工事等計画届の提出も併せて必要になります。
これは、店舗の内装工事や設備の変更が消防法に適合しているかどうかを確認するためのもので、工事を始める7日前までに消防署へ提出しなければなりません。
飲食店を開業する際には必ず防火対象物使用開始届が必要で、工事が伴う場合には併せて防火対象物の工事等計画届も必要になると覚えておきましょう。
深夜酒類提供飲食店営業届
深夜0時以降も営業し、酒類を提供するのであれば、所轄の都道府県の警察署へ深夜酒類提供飲食店営業届出書を提出し、許可をとる必要があります。
ただし、後述する風俗営業許可を取得しなければ、接待を伴う接客は行えません。
両方の許可を取得することはできないため、スナックを開業する際は深夜酒類提供飲食点営業届、もしくは風俗営業許可、この2つのうちどちらの許可を取得するか、営業スタイルを検討しなければなりません。
風俗営業1号営業許可
日本で営業しているスナックの大半は接待行為を行うため、風俗営業1号の営業許可を取る必要があります。
ここでの接待行為とは、主に以下の項目です。
- スキンシップ
- 談笑・お酌
- ダンス・ショー
- 遊戯・ゲーム
- カラオケでのデュエット・手拍子 など
風俗営業は1号から8号までに分類され、風俗営業1号は、キャバレー、パブ、スナック、キャバクラなど、キャバレー等の設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業にあたります。
ただし、風俗営業許可を取得した場合、深夜0時以降の営業は違法となるため、注意しましょう。
スナックの開業に必要な準備を進めよう
スナックをはじめとする飲食店の営業には、様々な資格や届出が必要になります。
特に、スナック営業では深夜酒類提供飲食店営業届を出すか、風俗営業1号営業許可を取得するかは、経営スタイルが大きく変わる重要な要素ですので、開業前によく検討しておくのが望ましいです。
また、開業にあたっての細かい条件や出店地域独自のルールなどがあるため、各機関に相談しながら正しく進め、スムーズに開業できるようにしましょう。
免責事項
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。