キャバ嬢やホステス、ホストなどの水商売をしている人も確定申告をしなくてはいけません。
「報酬を手渡しで受け取っているから無申告でもバレない」という噂があるようですが、手渡しで報酬を受け取っていても確定申告をしなければ税務署に無申告がバレます。
そもそも確定申告しないと、なにがいけないのでしょうか?
また税務署はなぜ無申告や申告漏れを指摘できるのでしょうか?
キャバ嬢が確定申告をすべき理由がわかるよう、基本的な内容をまとめました。
キャバ嬢が確定申告していないと
キャバ嬢やホステスといった夜職で働いている人が、
確定申告をしていないとどうなるのでしょうか?
確定申告をしないと、どのようなリスクがあるのかを理解しておきましょう。
- ・多く税金を払わないといけなくなる
- ・本業の会社にバレやすくなる
- ・昼職に転職するときに不利
- ・ローンが組めない
- ・刑事罰のリスクがある
多く税金を払わないといけなくなる
キャバ嬢などの夜職であっても正しく納税をしなくてはいけません。
もし確定申告をしていないのが税務署にバレると、本来支払うべき税金の額よりも多く税金を払わなければいけなくなります。
確定申告をしないと無申告となり、「無申告加算税」というペナルティが課されるためです。
納税の負担が大きくなるだけでなく、周囲からの社会的信頼を失うというリスクもあります。
本業の会社にバレやすくなる
副業としてのキャバ嬢などの夜職を、昼間の本業の会社に隠しているという人もいるでしょう。
昼間の会社の給料から住民税や社会保険料が引かれている場合、おおよその収入がわかってしまいます。
キャバ嬢という副業により収入が増えると、住民税や社会保険料も増えますので昼間の会社に副業がバレやすくなってしまいます。
自身で確定申告をし、住民税を自身で払うようにしておけば、会社に副業がバレる心配はありません。
キャバ嬢以外の副業でも同じ仕組みとなっていますので、昼間の会社に副業を隠したい場合は自身で確定申告をするようにしましょう。
昼職に転職するときに不利
キャバ嬢として働いている間は、無申告でもバレなければ困ることはないかもしれません。
しかし一生キャバ嬢として働き続けるつもりの人は少なく、今はキャバ嬢一本だとしても将来的には転職をする可能性もあるでしょう。
確定申告をしていない期間があると、税金を払っていないので所得があったという証明ができずに無職であったとされてしまいます。
「無職だった」という経歴は、転職活動においてプラスになるとは考えにくいです。
転職する時に不利な状態となってしまいますので、確定申告をきちんとするようにしましょう。
ローンが組めない
「バレなければ確定申告をしない方がいい」と考える人がいるかもしれませんが、これは大きな間違いです。
確定申告をしないというのは納税をしていないという状態であり、脱税となります。
脱税をすると信用情報に悪い記録が残りますので、車やマイホームを購入したいと思った時にローンが組めなくなる可能性があります。
「車やマイホームを自分の名義で買う予定はない」という人でも、パソコンやアクセサリーの購入でローンを組めないと困るかもしれません。
刑事罰のリスクがある
最悪の場合はペナルティといった金銭的な負担だけでなく、刑事罰のリスクがあります。
過去には、3年分約2億100万円の所得を確定申告せずに、所得税法違反で告発されたキャバ嬢がいました。
このキャバ嬢には、約6200万円の追徴税額が課せられ、刑事裁判にかけられる事態となりました。
実際にこのような事例がありますので、軽い認識では済まされません。
確定申告の基礎知識
キャバ嬢として働く女性の中には、確定申告そのものをきちんと理解していない人がいるかもしれません。
「難しそう」「やったことないから」という理由で確定申告をしないわけにはいきませんので、まずは確定申告について理解していきましょう。
- ・そもそも確定申告とは
- ・キャバ嬢が確定申告をすべき理由
- ・確定申告をしない時のペナルティ
そもそも確定申告とは
確定申告とは、1年分の所得を計算して納税を行うことです。
毎年2月16日~3月15日に確定申告書を管轄の税務署に提出し、納税を行います。
会社員であれば会社が代わりに納税を行いますが、個人事業主やフリーランスの人は自身で確定申告をしなければいけません。
キャバ嬢が確定申告をすべき理由
キャバ嬢の多くは個人事業主となっていますので、自身が得た所得を正しく計算し、申告します。
個人事業主は社長と同じような立場なので、1年間の収入だけでなく経費も正しく計上します。
確定申告は納税をするためのものですが、払った税金が戻ってくるケースもあります。
税金の問題を未然に防ぐために、自ら期限内に確定申告を行うようにしましょう。
確定申告をしない時のペナルティ
確定申告の期日までに申告をしないと、無申告加算税というペナルティが課されます。
無申告加算税は本来納めるべき税金の額に対して、課税割合が変わってきます。
本来の納税額 | 無申告加算税の課税割合 |
---|---|
50万円未満 | 15% |
50万円超300万円以下の部分 | 20% |
300万円超の部分 | 30% |
所得が多く、納税額が多い人ほど、無申告加算税で課されるペナルティも多くなります。
このように結果的に払う税金が多くなってしまいますので、期限を守って確定申告をするようにしましょう。
なぜキャバ嬢の無申告がバレるのか
キャバ嬢の中には、報酬を手渡しで受け取っているという人も少なくないでしょう。
銀行振込のように履歴が残りませんので、「無申告でもバレない」と思っている人がいるようです。
しかし税務署は手渡しで受け取った報酬だからといって、見逃すような真似はしません。
以下のような理由で、キャバ嬢の無申告や申告漏れがバレてしまいます。
- ・税務署の情報と申告書の内容に差がある
- ・生活ぶりと収入が合わない
税務署の情報と申告書の内容に差がある
キャバクラのお店側は報酬をキャストに手渡しで渡していたとしても、事業者の経費として人件費を正しく申告しなければいけません。
銀行の履歴などには残りませんが、お店や事業者側では報酬を支払った記録が残っていますので税務署側はこれらの履歴を把握しています。
さらに内偵調査としてお客として調査官がお店に潜入して、営業時間の様子をチェックする場合もあります。
お客様からチップやプレゼントを受け取っていると贈与税がかかる場合がありますので、脱税の疑いがかけられるかもしれません。
税務署はこのように情報収集をしていますので、本人の確定申告で不審な点があるとキャバ嬢個人が税務調査の対象となります。
生活ぶりと収入が合わない
キャバ嬢個人の申告が少ない、脱税をしているのではないか、という疑いをかけられると、税務署は細かく調査を始めます。
例えば、キャバ嬢個人のSNSや私服、暮らしぶりをチェックして相応の収入があるかを確認します。
頻繁に海外旅行に行っている、ブランド物の買い物が多い、などの派手な生活をしているにも関わらず、申告された収入が低いと、無申告や申告漏れが疑われます。
キャバ嬢が確定申告をするメリット
確定申告をすると税金をとられるばかりかと思われがちですが、そうではありません。
キャバ嬢が確定申告をすると以下のようなメリットがあります。
- ・キャバ嬢に関する出費を経費にできる
- ・税金を安くできる
- ・確定申告で還付金がもらえる場合がある
- ・損失を繰り越しできる
キャバ嬢に関する出費を経費にできる
個人事業主であるキャバ嬢は、確定申告で経費を計上できます。
キャバ嬢の経費として認められるものの例としては、
仕事で必要なドレス代やメイク用具代、ヘアセット代などが挙げられます。
ただしプライベートで使用する服や基礎化粧品などは、経費に認められません。
あくまでもキャバ嬢としての業務に必要なものが経費として認められますので、レシートや領収書を保管しておくようにしましょう。
税金を安くできる
キャバ嬢の仕事に必要な出費を経費とすると、税務上は所得が少なくなります。
収入は手にした金額そのもので、そこから経費を引いた金額が所得となるためです。
所得税や住民税は収入ではなく、所得に対して課税されますので、経費を計上していくと結果的に所得税や住民税が安くなります。
確定申告で還付金がもらえる場合がある
キャバクラの報酬は、受け取る段階で税金が引かれています。
報酬の10%が引かれた状態であり、確定申告をしたらこのお金が還付金として戻る可能性があります。
確定申告で経費を正しく計算し、正確な所得を申告すると払いすぎた税金が戻ってくるという仕組みです。
もし払いすぎていた場合には還付金が戻りますが、当然戻らない場合もあります。
損失を繰り越しできる
キャバ嬢は個人事業主となり、確定申告をする際には
白色申告書と青色申告書を選択します。
青色申告書を使う場合は、欠損金の繰越控除が適用されます。
例えば、ドレスの購入などで多額の経費が必要になった場合に、翌年の所得からその損失分を控除できるようになります。
長い目で見た税務戦略をしていきたい人は、青色申告書を検討してみるといいでしょう。
確定申告をしなくていいキャバ嬢
キャバ嬢には確定申告が必要だとお伝えしてきましたが、中には確定申告が不要なキャバ嬢もいます。
以下のような条件に当てはまれば、確定申告は必要ありません。
- ・副業でキャバ嬢をしていて収入が少ない
- ・給与所得者としてキャバ嬢をしてる
副業でキャバ嬢をしていて収入が少ない
副業としてキャバ嬢をしていて、かつ年間の副業所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。
ただし他にも副業をしていて、合算すると20万円を超えるという場合には確定申告が必要になるかもしれません。
ご自身に確定申告が必要か判断が難しいと感じる場合は、税理士にご相談ください。
給与所得者としてキャバ嬢をしてる
個人事業主としてではなく、正社員やアルバイトとしてキャバ嬢をしている場合は、会社が年末調整をして税金を計算してくれています。
税金がすでに処理されている状態となりますので、自身での確定申告は不要です。
キャバ嬢の確定申告のやり方
キャバ嬢が確定申告をする流れについて、ご説明します。
- ・領収書など書類の準備
- ・白色申告書と青色申告書の選択
- ・期限や申請方法を確認
領収書など書類の準備
まずは1年間の収入と支出がわかる書類の整理をしていきます。
経費にかかったものの領収書や帳簿、生命保険料の控除証明書なども準備しましょう。
これらの書類を全て確定申告書と合わせて提出するわけではありませんが、申告内容が正しいものかを確認する際に必要になる可能性があります。
またこれらの書類は確定申告が終わった後、5年~7年は保管しておくようにしましょう。
白色申告書と青色申告書の選択
確定申告書は、白色申告書と青色申告書の2種類があります。
青色申告書は65万円の特別控除が受けられるなどのメリットがある一方、帳簿を細かくつける必要があり、
事前に青色申告承認申請書の提出が必要です。
青色申告承認申請書の提出をしていなければ、白色申告書で確定申告を行います。
控除は少ないですが比較的簡単にできるというメリットがあります。
どちらのメリットを選ぶべきか考え、ご自身に合う方をえらびましょう。
期限や申請方法を確認
確定申告書は、お住まいの地域の税務署に提出します。
確定申告書を作成し、税務署に郵送するか持ち込む場合は、どの税務署に申請をするのか確認しておきましょう。
e-Taxだとパソコンやスマホで申告ができますので、
税務署に出向く手間が省けます。
確定申告の期限は2月16日~3月15日とお伝えしましたが、納税もこの期日までとなりますので忘れないようにしましょう。
確定申告の相談は税理士まで
キャバ嬢やホステスなど夜職をしている人も、正しく所得を申告して納税をしなくてはいけません。
確定申告は「難しそう」「めんどくさい」というイメージがあるかもしれませんが、無申告のままでいるとペナルティのリスクがありますので毎年期限内に行いましょう。
自身で確定申告をするのが難しいという方は、税理士がサポートをしますのでご相談ください。
「確定申告のために税金の計算をする時間があるなら、お客さんに連絡をとりたい」と感じるキャバ嬢も少なくありません。
自分がするべき業務に集中するためにも、確定申告はプロである税理士に相談し、早めに終わらせられるようにしましょう。
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