ホストクラブの営業時間に制限などはあるのでしょうか。「深夜12時を過ぎてはいけない」などと耳にすることもありますが、深夜から明け方まで営業しているイメージもあります。
ここでは、ホストクラブの営業時間帯や、法律で定められている水商売の営業時間などについて解説しています。

ホストクラブの営業時間に決まりはある?

ホストクラブの営業時間は、風営法によって決められています。ホストクラブに限らず、キャバクラやスナックなどの水商売は、風営法の定めに従って営業しなければなりません。

風俗営業の営業時間は原則深夜12時まで

ホストクラブやキャバクラ、スナックといった水商売(社交飲食店)は、風営法によって営業時間を深夜12時までと定められています。
地域によっては深夜1時までの営業が認められている場合もありますが、ホストクラブの営業時間は原則として深夜12時までと考えた方がよいでしょう。



午前6時以降は営業可能

「深夜12時までの営業」は、厳密に言うと「夜間営業は深夜12時まで」ということになります。風営法では、ホストクラブのような接待行為のある社交飲食店は、深夜12時から午前6時までの時間帯に営業することを禁止しているからです。
そのため、午前6時以降であれば、早朝やお昼、夕方などに営業することも可能となります。

実際に、多くのホストクラブには夕方から深夜12時までを「1部」、早朝から正午までの「2部」、正午から夕方18時までの「3部」という3つの営業時間帯があるのです。

深夜12時を過ぎて営業していたらどうなる?

もしホストクラブを深夜12時(一部地域は深夜1時)過ぎても営業を続けた場合、以下のようになります。

警察による摘発の対象となる

風営法違反に対する警察の取り締まりは、非常に厳しいものです。もし深夜12時を過ぎても営業を続けていた場合、警察の摘発を受ける可能性は高いでしょう。
警察が時間外営業を取り締まる際には、近隣からの苦情や内部告発のほか、定期的な見回りなどで、ある程度情報を掴んでいるケースも多いものです。

摘発を受けると行政処分となるケースも

警察の摘発を受けた場合、指導で済む場合もありますが、警察署へ出頭するよう求められたり、行政処分の対象となったりするケースもあります。
ただ、警察も全ての店舗の時間外営業を取り締まることはできないため、中には摘発を受けることなく時間外営業を続けているホストクラブがあるかもしれません。
たとえ摘発を免れていたとしても、ホストクラブである限り、深夜12時以降の営業が違法であることに変わりはなく、取り締まりの対象であることは理解しておきましょう。

ホストクラブが風営法の規制を受ける理由

ホストクラブなど、接待行為を伴う業種は「接待飲食等営業」として、開業する際に風俗営業の許可申請が必要となります。

風営法の規制を受ける営業店の種類

接待飲食等営業には5つの種類があり、それぞれ以下のようになっています。

・1号店
客に対して接待を行い、飲食を提供する店舗です。ホストクラブやキャバクラ、スナックなどは1号店となります。
接待行為とは、来店した客の側でお酌や水割りを作る、カラオケでデュエットする、長時間談笑するといった接客です。

・2号店
接待行為がなく、10ルクス以下の暗い照明で営業する飲食店です。

・3号店
接待行為がなく、客席が仕切られた「区画席飲食店」は3号店となります。個室居酒屋やインターネットカフェは3号店です。

・4号店
射幸心をあおる遊戯施設を設けている店舗です。雀荘やパチンコ店などは4号店に該当します。

・5号店
射幸心をあおる遊戯施設を設ける店舗のうち、景品を提供しない店舗は5号店です。ゲームセンターなどは5号店にあたります。
ゲームセンターでも景品が提供されるタイプのゲーム機はありますが、パチンコや麻雀のように「お金を稼ぎたい」という欲求に繋がることはないため、4号店とは区別されるものです。

ホストクラブは1号営業の許可申請が必要

風俗店営業として分類される1~5号営業のうち、接待行為を行えるのは1号営業だけです。ホストクラブを開業する際は、必ず1号営業の許可申請が必要となります。
1号営業の申請には、床面積や設備、照明などの細かい規制をクリアする必要があり、許可を得られたとしても、営業時間は深夜12時までと決められているのです。

バーや居酒屋は風営法の申請が不要

なお、接待行為を行わないバーや居酒屋などは、風俗店営業の許可申請をする必要はありません。
その代わりに「深夜酒類提供飲食店営業」としての届出が必要となりますが、こちらは届け出るだけでよく、時間規制も受けずに営業することが可能です。
「1号店の許可と深夜酒類提供飲食店の届出を両方して、深夜12時以降はバー営業にすればよいのでは?」と考えたくなるかもしれません。
しかし、深夜12時まで接待行為のあった店舗が、深夜12時以降に突然接待をストップできる、とは考えにくいとみなされるのが一般的で、取り締まりの対象となってしまいます。

ホストクラブの深夜12時以降営業は犯罪となる

1号営業の許可を得て深夜12時以降営業するのは違法であり、1号営業の許可を得ずに接待行為を行うのも「無許可営業」として違法となってしまうのです。
上記で説明した「1部」「2部」「3部」といった構成でホストクラブを営業するのは問題ありませんが、深夜12時以降、一部地域は深夜1時以降に営業していると犯罪となってしまうでしょう。

まとめ

ホストクラブは風営法によって営業時間が決められており、深夜12時(一部地域は深夜1時)以降午前6時までは営業してはいけないこととなっています。
ホストクラブは接待行為のある飲食店として、風俗店営業の許可申請が必要な業種です。1~5号店営業まである風俗店のうち、接待が行えるのは1号営業のみとなっています。1号営業の許可を取って営業する場合、深夜12時以降の営業は違法となり、許可を取らずに接待を行うのも違法となるため、ホストクラブを営業する際は要注意です。
多くのホストクラブでは、禁止されている営業時間を避けた3部構成の営業スタイルを取るなどして営業しています。