社交飲食店(スナックやキャバクラ等)を開業する際、営業時間を何時頃に設定するかは、実は非常に重要な事をご存じでしょうか。
ここでは、スナックやキャバクラといった社交飲食店の営業時間に注意が必要な理由や、開業時に必要な手続きなどについて解説しています。経営で困った場合の対処法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
社交飲食店とは?
社交飲食店とは、通常の飲食以外に「接待行為」も提供している飲食店でキャバクラ、ホストクラブ、ラウンジ、クラブなどが該当します。具体的には、以下のような定義となるでしょう。
接待を伴う飲食業の総称
社交飲食店として挙げられる代表的な業種は、ホストクラブやキャバクラなどです。アルコールや食事を出すのとは別に、ホストやキャバ嬢などが席について会話などで接待を行うスタイルのお店は、社交飲食店に含まれます。
スナックやキャバクラ以外に、ガールズバーやクラブ、ラウンジといった名称で営業している場合も同様です。飲食の提供と接待業務が行われているなら、社交飲食店と言えるでしょう。
何をすると「接待」になるの?
たとえば、カウンターだけのスナックで、ホステスを置かずにママ1人だけで営業している場合でも、社交飲食店となるのは何故なのでしょうか。
接待の定義について、風俗営業法では以下のように定められています。
この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。(風営法第2条3項)
少しわかりにくい表現ですが、一般的に以下のような行為は、風営法における接待とみなされます。
・店員がゲストの側でお酌をしたり、水割りを作ったりする
・ゲストと継続的に談笑をする
・ゲームをしたり、カラオケを一緒に歌ったりする
レストランや喫茶店などで注文を取る、テーブルまで食事を提供する、お店や食事に関する簡単な会話をするといった、通常の飲食店で見られる接待とは別に、多くの接待時間を設けているかどうかがポイントとなるということが理解できるでしょう。
社交飲食店の営業時間に注意が必要な理由
上記であげた社交飲食店を開業するにあたり、営業時間に注意が必要な理由として、以下のような点があげられます。
風俗営業と深夜営業の営業時間が異なる
風営法で定められた風俗営業と深夜営業の営業時間は、それぞれ以下のようになっています。
風俗営業:深夜0時まで
深夜酒類提供飲食店営業:制限時間なし
接待行為のないバーや居酒屋などの場合は、時間に制限を受けることなく営業することが可能です。
しかし、接待行為のあるお店を開業する場合には、風俗営業として深夜0時までしか営業することができなくなっています。
深夜営業の届出のみで開業すると違法となってしまう
たとえば、スナックを開業する場合「深夜にお酒を販売するお店だから、深夜営業の届出だけでいいだろう」と考え、深夜営業の届出だけで済ませてしまうと、風俗店の無許可営業となってしまいます。
また、風俗営業の許可を得たとしても「営業時間を深夜2時までにしよう」といった条件で開業すれば、これも違法となって摘発の対象となるのです。
風俗営業は許可申請が必要
深夜営業は届出だけで開業できますが、風俗営業は許可申請が必要です。許可申請の際には、警察による立ち入り検査も受ける必要があります。
申請して許可が得られていないうちに営業してしまえば、これも無許可営業となってしまいます。
社交飲食店を開業する際に必要な手続きや対策は?
ホストクラブやキャバクラなど、これから開業しようとする店舗が社交飲食店にあたる場合、必要となる手続きや対策は以下のようになります。
風俗営業の許可申請
ホストやホステスのいるホストクラブ、キャバクラ、カラオケのあるスナックなど、接待行為があるとみなされる店舗の営業には、風俗営業の許可申請が必要となります。
申請には申請書や店内の図面などの準備に加え、警察の立ち入り検査も必要です。営業開始予定日の55日前までに申請が必要ですが、許可が下りないケースもあります。
なお、深夜営業の場合は届出のみでよく、営業開始予定日の10日前までに届出をすればよいため、風俗営業店の方が開業のハードルは高いでしょう。
深夜0時までの営業
風俗営業の許可が出た場合、営業時間は深夜0時までとなります。深夜0時を過ぎて営業していた場合、風営法違反として摘発を受けることとなるため注意が必要です。
風営法違反に関する取り締まりは非常に厳しく、警察も積極的に摘発の対象としています。「このくらいは大丈夫だろう」という思い込みで開業したばかりに、思わぬペナルティを受けてしまうケースも多いのです。
仮に「深夜0時以降はホステスを帰して、接待をしない」という営業スタイルにしたとしても、それが摘発時に認められるかは難しいところでしょう。
アルコールを提供して深夜0時直前まで接待が行われていたものが、0時を過ぎた瞬間に接待がストップするとは考えにくいと予想されます。
経営について相談できる税理士へ相談する
社交飲食店は、営業時間や無許可営業への取り締まりだけでなく、税務調査でもマークされやすい業種となっています。
ホストクラブやキャバクラの開業を検討する際には、申告や経営方法も含めて相談に乗ってくれる税理士事務所を探すのがおすすめです。
警察からの摘発や税務署からの税務調査では、客を装った覆面調査が行われるケースも少なくありません。
安心して営業するためには、開業や経営、申告や節税といった専門知識が必要となります。早めにプロのアドバイスやサポートを受ければ、安心して営業することができるでしょう。
まとめ
社交飲食店とは、風営法で定められた接待行為のある飲食店のことで、ホストクラブやキャバクラなどが代表的な業種となります。
風俗営業とみなされる店舗の開業には許可申請が必要で、営業時間も深夜0時までとなるため注意が必要です。
特に風俗営業店は税務調査でもマークされやすくなっています。社交飲食店の開業を検討するなら、店舗経営や開業、税務調査への対応などに多くの取扱実績を持った税理士事務所へ一度相談してみましょう。