ホステスとして働く人の多くは、自分で確定申告をしなければなりませんが、確定申告においては、税務署から指摘を受けた際に経費の説明がしっかりできるよう、帳簿はもちろん、経費を支払った際に受け取る領収書もきちんと保管しておかなければなりません。
では、経費の証明に必要な領収書がない場合はどうすれば良いのでしょうか。
本記事では、ホステスの確定申告で領収書がない場合の対処法について解説します。
また、夜職で経費に計上できる項目についてもご紹介しますので、ぜひこの記事を参考に確定申告における経費の計算をスムーズに行なっていただけたら幸いです。
ホステスも確定申告が必要?申告が必要なケースとは
「ホステスも確定申告しなければならないの?」と気になる方もいるでしょう。
納税は国民の義務であり、所得を得ているホステスも確定申告や納税を行わなければなりません。
ただし、確定申告においては、所得がある全ての人が対象になるわけではなく、ホステス業などの夜職で働く人の場合は、雇用形態や本業か副業かによっても必要がどうかが異なります。
ここでは、ホステスで確定申告が必要なケースについて説明していきます。
本業でホステスをしていて店と雇用契約がある場合
ホステス業を本業としていて、店との雇用契約があり、給料としてお金をもらっている場合は、一般的な給与所得者と同じ扱いとなり、店が年末調整を行うため、基本的に確定申告は必要ありません。
ただし、以下の場合では確定申告が必要になるので注意しましょう。
- ・年の途中で退職するなどして年末調整を受けていない場合
- ・給与が年間2000万円を超える場合
- ・年末調整で適用されない所得控除を適用したい場合 など
本業でホステスをしていて店と雇用契約がなく個人事業主として働く場合
本業でホステス業をしていて店との雇用契約がない場合、個人事業主という扱いになります。
この場合、1年間の所得額が48万円を超えると、確定申告が必要です。
ここでの所得額とは、収入から必要経費を引いた金額をいいます。
ただし、お店側は年間報酬額が50万円を超えているホステスについては支払調書を提出する義務があるため、税務署は該当するホステスの報酬を把握しているということを覚えておきましょう。
副業でホステスをしている場合
ほかに本業があり、副業としてホステス業をしている場合、所得額によっては確定申告が必要です。
ホステスとしての所得が20万円を超えた場合、超えた分について税金を計算し、申告する必要があります。
ただし、上記で説明したように、所得が20万円以下であっても、年間報酬額が50万円を超えている場合は、店が提出する支払調書によって税務署が把握してきるため、領収書等は捨てずに保管しておいた方が良いでしょう。
ホステスが必要経費にできるもの
ホステスが確定申告をする場合、収入と経費の額を計算し、差額から所得を求める必要があります。
ホステスやキャバ嬢などの夜職の人が確定申告に含められる経費は、以下のようにさまざまなものがあるので覚えておきましょう。
- ・美容代
- ・衣装代
- ・交通費
- ・贈答品代
- ・通信費
- ・交際費
- ・書籍代や新聞代
- ・名刺代
ただし、内容によっては経費と認められなかったり、家事按分しなければならなかったりするので、あらかじめ把握して領収書を管理し、スムーズに確定申告できるようにするのが望ましいです。
ホステスが必要経費にできる項目について、詳しく説明していきます。
美容代
一般的に美容代は経費計上するのが難しい項目です。
しかし、ホステスやキャバ嬢などの夜職の人は、自分自身が商品となるため、化粧品代や美容院代は一部が経費として計上できます。
この項目に関してはプライベートでも使う可能性があるため、仕事とプライベートで家事按分する必要があります。
また、自分磨きのために美容整形をしている方もいるでしょうが、この項目について経費となるかどうかは税理士によっても判断が分かれるため、全額は経費と認められないと思っておいた方が良いでしょう。
衣装代
明らかにクラブでしか着ない着物やドレスなどの衣装の購入費用は、全額経費として計上できます。
ただし、仕事とプライベートの両方で着られるような衣装については経費にならないと考えたほうが良いでしょう。
あくまでも夜職でのみ必要な衣装代を経費として計上するようにしましょう。
交通費
お店に出勤・退勤するときのタクシー代や電車代は経費として計上できます。
ただし、経費と認められるのはあくまでも自宅から店に通うための通勤費です。
また、同伴やアフターでの移動に交通費がかかった場合も経費にできますが、お客さんにタクシー代を出してもらった際は計上しないようにしてください。
贈答品代
ホステスやキャバ嬢などの夜職の人は、常連のお客さん、または懇意にしているお客さんにプレゼントをあげる場合もあるでしょう。
お客さんへの贈答品代は原則として経費として計上できます。
ただし、お客さんにお店で使ってもらえる金額にそぐわなかったり、事業関連性が認められなかったりすると、認められないこともあるので注意が必要です。
通信費
お客さんに対して営業の電話をかけたり、メッセージのやり取りをしたりした際ににかかる通信費は、ホステスやキャバ嬢などの夜職の人にとっては仕事に欠かせないものなので、経費となります。
スマートフォンの購入費用も経費と認められる可能性もありますが、プライベートでもそれを使っているのであれば、家事按分が必要です。
そのため、スマートフォンやインターネットの契約は、仕事用とプライベート用で分けると管理をしやすくなるでしょう。
交際費
ホステスなどの夜職の人で、お客さんと食事をしたり、同伴やアフターに行ったりした際に自分で支払った飲食代については、業務に必要な支出だと判断できるため、経費に計上できます。
ただし、飲食代をお客さんに支払ってもらった場合は、その領収書を使って経費にしないように注意してください。
書籍代や新聞代
自分のトークスキルを高めて売上を伸ばすために購入した書籍代は経費として計上できます。
また、夜職の人はお客さんの時事関連の話や経済の話についていくために購読している新聞代も経費と認められます。
ただし、プライベートで読むために購入した書籍代は経費とはなりませんので、しっかり区別しましょう。
名刺代
夜職の人にとって、自分の顔と名前を覚えてもらうことは重要な仕事のひとつです。
自分の源氏名が記載された店の名刺はプライベートで使うとは考えづらいため、一般的に名刺代は全額経費と認められます。
そのため、業務上必要な経費として忘れずに計上しましょう。
夜職の確定申告で領収書がないとどうなる?
個人事業主として働くホステスの方は様々支出が経費となりますが、確定申告の際に必要となるのが領収書です。
ここでは、ホステスをはじめとする夜職の人の確定申告における領収書の必要性についてご説明します。
経費を正確に計上するために領収書が必要
夜職の支出を経費にしたい場合、領収書を保管しておくのが不可欠です。
なぜなら、領収書は業務に使うためにその商品やサービスを購入または利用したという証明となるからです。
確定申告の際は、経費を正確に計上するために領収書をもとに金額を入力します。
そのため、仕事と関係のある領収書は少額であっても必ず取っておきましょう。
領収書がなければ税務調査で指摘を受ける
領収書があればホステス業務に関わる支出を経費として計上できますが、もし領収書を保管してなければ、本来認められるはずの支出が経費として認められない恐れがあり、損をすることになります。
また、税務調査で指摘を受けた際、どこで何を買ったのか、本当にホステスとしての出品なのかを証明できず、脱税とみなされてペナルティを課される恐れもあるのです。
そのため、経費として計上するからには領収書はしっかりと保管しなければいけません。
領収書の保管期間
個人事業主における領収書の保管期間は、所得税法で決められており、青色申告と白色申告とで期間が異なります。
白色申告の場合の領収書の保管期間は5年、青色申告の場合は7年となっています。
ただし、帳簿の保管期間は白色申告の場合でも7年ですので、何かあった時の場合に備えて領収書は7年間保管しておくのが望ましいです。
領収書は紛失を防ぐために、別紙に貼ってバインダーに閉じて分かりやすくまとめるか、領収書を電子データ化して社内サーバーやクラウドなどに保管しておくのも良いでしょう。
領収書の再発行は原則不可能
領収書を発行してもらうのを忘れてしまった場合や紛失してしまった場合は、領収書の再発行を依頼してみるのも一つの方法です。
「再発行」と記載された領収書を発行してもらえるケースもあります。
ただし、領収書を再発行した側には、脱税をほう助したと税務署から疑われるリスクがあるため、領収書の再発行は基本的に不可能だと思っておいた方が良いでしょう。
領収書がない場合の対処法
領収書がない場合は、以下のもので代用できる可能性があります。
- ・出金伝票
- ・クレジットカードや電子マネーの利用明細
- ・納品書・請求書
- ・ネットショッピングの購入メール
- ・レシート
ただし、金額が大きいものはこれらがあっても経費と認められない可能性があるため、できるだけ領収書をもらい、紛失しないようしっかり保管しておくようにしてください。
領収書がない場合に代用できるものについて、詳しく説明していきます。
出金伝票
出金伝票は、事業者が取引時に現金を相手に払う際に用いる伝票のことです。
領収書を紛失した場合や領収書がもらえない場合などに出金伝票を起票し、領収書の代わりとして使えます。
ただし、出金伝票は本来支払いをした側が発行するものであり、多くを出金伝票で処理していると、経費の水増しなどを疑われる恐れがあるので注意が必要です。
また、税務調査においては普段の取引や金額などを精査したうえで、経費として確実なものだと判断できない場合は、出金伝票のみでは経費として認められない可能性があります。
クレジットカードや電子マネーの利用明細
クレジットカードや電子マネーの利用明細があれば、領収書の代わりとして使える場合があります。
ただし、利用明細だけでは何に使ったお金か、それがホステスの経費となるか分からない場合、品目や取引先の名前などの詳細を別で記載し、保存しておかなければなりません。
納品書・請求書
領収書がなくても納品書や請求書があるならばそれを証拠としましょう。
しかし、納品書や請求書は商品を受け取った事実は証明できますが、支払いが完了したことの証拠にはならないため、経費として計上したものが正しいと主張する根拠にはならず、確定申告では経費と認められない可能性が高いです。
納品書や請求書のほかに、クレジットカードの利用明細などがある場合は、支払いの証明として一緒にして保管しておきましょう。
ちなみに、納品書と領収書とを兼用している「納品書兼領収書」領収書として使用できます。
ネットショップの購入メール
業務に必要な備品などをネットショップで購入した場合、商品を購入した際に送られてくる取引内容の確認メールや、ウェブ上に表示された取引画面のプリントしたものも領収書の代わりとして利用できます。
メール上では商品名や購入した日付、金額はもちろんのこと、誰が支払いを行ったのかという個人名も記載されているため、情報量が多い点もメリットです。
そのため、領収書がない場合は購入したことが把握できるメール画面をプリントアウトして保管しましょう。
レシート
「領収書をもらい忘れてレシートしか手元にない」という場合もあるでしょう。
その場合はレシートをそのまま領収書として利用できます。
ただし、レシートを経費の証拠とするためには、レシートに日付や商品名、取引の内容、金額、発行者の住所氏名が記載されていなければなりません。
また、領収書とレシートの大きな違いは宛名が記載されているかどうかであり、消費税法においては経費精算には「原則として宛先が必要」とされているので、宛名のないレシートは有効な証拠書類とはならない点を留意しておきましょう。
領収書がなければ別の方法で経費を証明しよう
個人事業主として働くホステスは確定申告が必要になるケースが多いため、経費計上に必要な領収書はしっかり保管しておきましょう。
ホステスの支出で領収書がない場合は、以下のもので代用できる可能性があります。
- ・出金伝票
- ・クレジットカードや電子マネーの利用明細
- ・納品書・請求書
- ・ネットショッピングの購入メール
- ・レシート
経費として証明するために、「いつ」「どこで」「誰が」「いくら」「どういった内容で」支払ったのか分かるようにしておくのが望ましいです。
ただし、税務調査においては領収書以外のものでは経費と認められない場合もあるため、大前提としてお金を使った際に領収者は必ずもらっておくようにしてください。
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