ホステスやキャバクラで働く方は、いずれも接客を通じて飲食の提供を行う点で共通していますが、勤務形態やお店のスタイルによって呼称が異なることがあります。
似たようなイメージをお持ちの方が少なくありませんが、具体的にホステスとキャバ嬢ではどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、ホステスとキャバ嬢の特徴や働き方の違いについて解説します。
夜職の仕事を始めようと検討している方は、それぞれの違いや共通点を認識し、自分に合う働き方を選ぶ参考にしていただけたら幸いです。
ホステスとキャバ嬢の違い

ホステスとキャバ嬢は似たような仕事内容だと思われがちですが、以下のような点が異なる場合があります。
- ・勤務する店
- ・料金形態に伴う客層
- ・接客スタイル
- ・”ママ”の存在の有無
- ・服装やメイク
- ・指名制度のルール
- ・給料システム
- ・キャストの年齢層
ホステスの方が歴史が古く、戦後の高級クラブ文化から生まれたとされています。単にお酒を飲む場ではなく、ビジネスの場として利用するお客様が多くいたことから、ホステスはマナーや教養、気配りが求められている傾向にあります。
一方、キャバクラが流行したのは、1980年代後半とされており、。「クラブは敷居が高い」という客層でも、比較的カジュアルに楽しめる場として親しまれています
ここでは、ホステスとキャバ嬢の働き方の違いを詳しく説明します。
勤務する店が違う
ホステスとキャバ嬢は、どちらも接客を伴う「水商売」のお仕事ですが、勤務する店の種類が異なります。
| 業種 | 勤務する店 |
| ホステス |
クラブ |
| キャバ嬢 | キャバクラ |
ホステスはクラブ、キャバ嬢はキャバクラで働くキャストを指すのが一般的です。
また、クラブはキャバクラと比べて料金体系が高めに設定されているケースが多く、接待利用や落ち着いた雰囲気を求めるお客様が多い傾向があります。一方で、キャバクラは比較的利用しやすい価格帯で、幅広い層のお客様が楽しめる場として親しまれています。
料金形態により客層が違う
クラブとキャバクラでは、料金形態の違いから集まるお客様の層にも差がある傾向があります。
| 業種 | 料金形態 |
| ホステス(クラブ) | 最低5万円以上 |
| キャバ嬢(キャバクラ) | 5,000円程度~/1セット |
ホステスが勤務するクラブは高額な料金設定が多く、落ち着いた雰囲気から年齢層が高めのお客様が中心となっています。また、クラブは“一見さんお断り”のように紹介制を採用する店舗もあり、特別感や信頼関係を大切にする文化がある傾向があります。
一方、キャバ嬢が勤務するキャバクラは、時間制のわかりやすい料金設定である場合が多く、比較的カジュアルに利用できます。また、若い男性客も入りやすく、にぎやかで盛り上がる雰囲気があることから、気軽に楽しめる場として幅広い層に親しまれている傾向があります。
接客スタイルが違う
ホステスとキャバ嬢では基本的に、以下のように接客スタイルが異なります。
| 業種 | 接客スタイル |
| ホステス(クラブ) | 複数人で接客 |
| キャバ嬢(キャバクラ) | マンツーマンで接客 |
クラブは一人のお客様に対して、複数のホステスがついて接客を行うのが一般的です。そのため、キャスト同士の連携が必要であり、グループでのコミュニケーション能力や協調性が求められる場合があります。
一方、キャバ嬢は基本的にマンツーマンでの接客となります。自分が担当するお客様のタバコに火をつけたり、お酒を作ったりと、一人で様々な業務をこなすケースが多いです。
このように、ホステスとキャバ嬢では接客スタイルが違うため、キャストに求められる能力も異なります。
“ママ”の存在の有無

クラブには、お店をまとめる“ママ”という女性責任者がいます。ママは一般的にキャストをまとめるだけでなく、店の経営者であり、店の顔としての役割も担います。
| 業種 | ママ |
| ホステス(クラブ) | いる |
| キャバ嬢(キャバクラ) | いない |
ホステスは基本的にママの指導・教育を受けながら接客を学び、ママの方針に従います。
一方、キャバクラにはママがいないため店長や黒服が簡単な指導を行います。そのため、個人の接客スタイルを確立していくことが求められます。
服装やメイクが違う
業界関係者なら一目で見分けがつくと言われるほど、ホステスとキャバ嬢は見た目に違いがある場合が多いです。それぞれの服装やメイクの特徴は以下の通りです。
| 業種 | 特徴 |
| ホステス |
ナチュラルなメイク |
| キャバ嬢 |
華やかな濃いメイク |
ホステスは落ち着いた雰囲気、キャバ嬢は華やかなイメージが特徴です。ドレスやメイクに合わせてヘアスタイルも調整すると、全体の印象がまとまるでしょう。
また、お客様の年齢層やお店の雰囲気に合わせた身だしなみを意識することも大切です。中には「自分がどのような格好をしたいか」という理由で、働くお店を選ぶ女の子もいるようです。
指名制度のルールが違う
ホステスとキャバ嬢では、指名制度に違いがあります。
| 業種 | 指名制度 |
| ホステス(クラブ) |
永久指名制 |
| キャバ嬢(キャバクラ) | 指名制 |
ホステスの場合、一度指名をしたら、そのキャストがやめるまで指名を変更できないのが基本的なルールです。
一方、キャバクラでは気に入った子を自由に指名できるため、指名を変えることも可能です。キャバクラの指名制度には、以下の2種類があります。
- ・本指名:最初からそのキャバ嬢を指名して入店する
- ・場内指名:その場で気に入ったキャバ嬢を指名する
キャバ嬢は他のキャストのお客様から指名を受けても制度上は問題ありませんが、キャスト同士の人間関係に影響することもあるため、注意が必要です。
具体的な制度やルールについてはその店によって異なります。
給料システムが違う
ホステスとキャバ嬢では、指名制度の違いにより給与体系にも差があります。
| 業種 | 給料システム |
| ホステス(クラブ) |
日給制が中心で、指名や同伴によるバックは設定されていないことが多い |
| キャバ嬢(キャバクラ) | 指名や同伴、高額ボトルなどの売上に応じたバックが導入されている場合がある |
ホステスは日給でお給料が決まるお店が多く、高いお酒を入れてもらってもバックが入らない場合が多いです。しかし、キャバ嬢に比べると給料の安定性はあるといえます。
一方、キャバ嬢は多くの指名を獲得し、同伴や高額ボトルのバックを得ることで給料に反映させられる場合があります。そのため、努力が給料につながりやすいといえるでしょう。
給与の仕組みは店舗ごとに異なるため、収入計算や税務上の処理を行う際は、それぞれの契約内容や給与体系を正確に把握することが重要です。
参考:風俗業・キャバクラ・ホストクラブ専門税理士 税理士法人松本
キャストの年齢層が違う
ホステスとキャバ嬢では、働く年齢層やキャリア形成の傾向に違いがあります。
| 業種 | 年齢層 |
| ホステス |
ある程度の接客経験や社会人経験を積んだ方が多く、落ち着いた接客が求められる場合がある |
| キャバ嬢 |
比較的幅広い年齢層の方が働きやすく、未経験からスタートする人も多く見られる |
中には、キャバクラでの経験を経て、接客スキルや業界知識を身につけた上で、クラブでホステスとして活躍するキャストもいます。
キャバ嬢が向いている人の特徴

キャバ嬢とホステスの違いから、キャバ嬢に向いている人の特徴としては、以下のような傾向が見られます。
- ・ 夜職に挑戦してみたい方
- ・自分の個性を活かして接客したい方
- ・お客様を楽しませる華やかさやエンターテインメント性を大切にする方
- ・指名や売上に応じて収入を増やしたい方
キャバクラでは、個人の頑張りや接客スタイルが給与に反映される仕組みであるケースが多いため、自分のペースで目標を持って働きたい方に向いている場合があります。
ホステスが向いている人の特徴

以下のような特徴がある方は、ホステスとして活躍しやすいかもしれません。
- ・落ち着いた雰囲気で接客が得意
- ・お店の方針や雰囲気に合わせた働き方ができる
- ・協調性があり、周囲の空気を読むことができる
- ・基本的なマナーや常識を意識できる
ホステスはお店のスタイルや方針によっても合う・合わないがありますので、自分の雰囲気や考え方に合うお店で働くことが理想です。
また、お客様との会話の中で場の雰囲気を作ったり、気配りを意識した接客ができたりするとより活躍しやすいでしょう。

ホステスとキャバ嬢にはさまざまな違いがありますが、以下のように共通する点もいくつかあります。
- ・接客業として会話やコミュニケーション能力が求められる
- ・売上を上げるための工夫や努力が必要になる
- ・外見や身だしなみに配慮する必要がある
- ・働き方によっては個人事業主として税務申告が必要になる場合がある
それぞれ詳しく説明します。
接客業として会話やコミュニケーション能力が求められる
ホステスやキャバ嬢は、来店されるお客様にお酒を提供しながら会話や接客を通じて、居心地の良い時間を過ごしてもらう仕事です。
お客様に満足していただくための接客力が求められ、リピーターの獲得につなげることが重要です。
業務において重要とされるのが、コミュニケーション能力です。顧客対応では、相手の立場に寄り添いながら信頼関係を築き、円滑なやり取りを行うことが求められます。
特定のスキルや知識も役立ちますが、表面的な対応だけでは信頼は得られない場合があります。常に誠実で丁寧な会話を心がけることが、継続的な関係構築につながるでしょう。
売上を上げるための工夫や努力が必要になる
ホステスやキャバクラなどの接客業では、単に席に座っているだけで売上が上がるわけではありません。
お客様により良い時間を過ごしていただくための接客はもちろん、必要に応じて営業の電話を掛けたり、イベントのお知らせを送ったりと、情報の共有や丁寧なフォローを行うことで、信頼関係を築き、売上につなげることが重要です。
このような日々の努力や計画的な活動が、業界での成果に大きく影響することがあります。
外見や身だしなみに配慮する必要がある
接客業においては、どの業種でも清潔感や身だしなみの維持が基本です。服装や髪型、メイクなどの外見面だけでなく、整った印象や丁寧な振る舞いも、信頼感や安心感につながります。
日々の業務において、細部まで気を配った身だしなみや礼儀正しい態度は、顧客との良好な関係を築く上で重要な要素となるでしょう。
働き方によっては個人事業主として税務申告が必要になる場合がある
ホステスやキャバ嬢の働き方にはさまざまな形態があり、業務委託契約で働く場合には、税務上は個人事業主として扱われるケースがあります。
会社員のように給与から年末調整が行われることはないため、業務委託契約で働く場合は、自身の所得に応じて確定申告を行う必要があります。
なお、必ずしも全員が経営者というわけではありませんが、収入や経費の管理など、個人事業主としての税務知識は役立ちます。
税金の未納や申告漏れを防ぐためにも、事前に税務署や税理士に相談することが安心です。税理士に相談することで、正確な申告や節税の方法を確認でき、安心して仕事に集中できる可能性があります。
参考:国税庁|所得税の確定申告
夜職キャストの確定申告

多くのホステスやキャバ嬢は、業務委託契約などで働くことが多く、実質的に個人事業主として扱われるケースがあります。
その場合、所得税の申告義務が生じるため、確定申告を行う必要があります。
ここでは、個人事業主で働く夜職キャストが把握しておくべき確定申告について説明します。
夜職で確定申告が必要なケース
個人事業主として働く場合、年間の所得を自分で計算して確定申告を行う必要があります。
所得とは、年間の収入から必要経費を差し引いた金額のことです。たとえば、ホステスやキャバ嬢のように売上が日によって大きく変動する業種でも同様です。
原則として、所得が48万円を超える場合には所得税の申告が必要になります。ただし、所得が48万円以下であっても、他の条件により申告が必要になる場合がありますので、詳細は税理士に相談すると安心です。
収入と経費を整理し、必要な書類を準備して、適切に確定申告を行いましょう。
参考:国税庁|所得税の確定申告
確定申告をしないとどうなる?
確定申告を行わない場合、所得税を正確に計算して納付できない可能性があります。
所得や申告状況に応じて、延滞税や無申告加算税といった追徴課税が課されることがありますので、本来納めるべき税額より高額になる場合があります。
また、長期間申告を行わない場合には、金融機関からの信用などに影響が出ることもあります。
そのため、適切に確定申告を行い、正しい納税手続きを進めることが大切です。
参考:財務省|加算税制度の概要①(基本情報)
確定申告の方法
確定申告は基本的に、毎年2月16日から3月15日までに行う必要があります。
申告書は、住所地を管轄する税務署に提出しますので、まずは自分の管轄税務署を確認しましょう。
前年の収入から必要経費を差し引いて所得を計算します。
必要経費として認められるものは業務に直接関係する支出であり、交通費や業務用の衣服代、仕事に必要な美容費用などが該当する場合があります。詳細は税理士に相談するか、国税庁のガイドラインを確認してください。
領収書や請求書など、経費を証明する書類は原則5年間保存する必要があります。日付や金額、内容がわかる状態で整理しておくことをおすすめします。
参考:国税庁|申告の流れ、申告が必要な方
確定申告のご相談は税理士まで

ホステスやキャバ嬢として働く方の中には、確定申告が必要であることをご存じない方もいらっしゃいます。
確定申告は所得に応じて必ず行う必要があり、未申告のままにしておくと、後に追徴課税の対象となる場合があります。
税理士法人松本では、夜職のキャストの方々の確定申告サポート実績が豊富にあり、個々の状況や業務形態に応じた対応が可能です。確定申告書の作成やご相談は、ぜひ専門の税理士にお任せください。
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