確定申告をしていないにもかかわらず、6月になると区役所や市役所から高額な住民税の納税通知書が届き、驚いてしまうケースは少なくありません。
「申告をしていないのに、なぜ税金が計算されているの?」「仕事にかかった経費を引けば、本来はもっと安いはずなのに…」と疑問や不安を持つ方も多いかと思います。
本記事では、未申告のままだと住民税が高くなってしまう具体的な仕組みから、届いてしまった通知を適正な金額まで減額するための正しい手順、来年以降の予防策までを分かりやすく整理します。
目次
未申告でも住民税通知が届く仕組み

確定申告をしていなくても住民税の通知が届く背景には、市区町村が個人の所得を把握できる明確なルートが存在するためです。まずはその仕組みを3つのポイントから確認しましょう。
- ・市区町村は支払調書で所得を把握
- ・住民税の特徴「賦課課税方式」とは
- ・毎年6月に届く納税通知書
市区町村は支払調書で所得を把握
夜職や個人事業の収入は、店舗・取引先から税務署へ支払調書として提出されており、税務署から市区町村へ情報連携されます。この情報をもとに、市区町村は確定申告がなくても課税計算を行います。
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・ホステス・キャスト等:同一店舗からの支払いが年間50万円を超える場合、お店側に提出義務があります。
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・一般的な業務委託報酬:年間5万円を超える場合に提出義務があります。
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・給与(ホールスタッフ等):お店から「給与支払報告書」が毎年1月末に市区町村へ直接提出されます。
このように、あなた自身が確定申告をしていなくても、役所側には「誰が、どこで、いくら稼いだか」という情報が最初から揃っている状態なのです。
参考:No.2807 ホステス等に支払う報酬・料金等|国税庁
関連記事:雑所得が20万円以下なら住民税申告は必要?計算方法や住民税を抑えるコツも紹介
住民税の特徴「賦課課税方式」とは
日本の税金には、自分で税額を計算して申告する「申告納税方式」と、役所側が税額を計算して決定する「賦課課税方式」の2種類があります。個人住民税は賦課課税方式を採用しており、市区町村が課税標準を決定して納税者へ通知する仕組みです。所得税の申告納税方式とは異なり、本人の申告がなくても市区町村は課税計算を行います。
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・確定申告がある場合:本人が申告した「収入・経費・各種控除」のデータをそのまま使って住民税を計算
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・確定申告がない場合:お店から届いた「支払調書」に書かれている金額(総収入)だけを使って住民税を計算
毎年6月に届く納税通知書
住民税は、前年(1月1日〜12月31日)の所得に対して、翌年の6月から支払いが始まるスケジュールになっています。
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・通知の時期:毎年6月初旬〜中旬頃に自宅(普通徴収の場合)に届きます。
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・通知の内容:前年の所得額、税額、年4回に分かれた納付書などが同封されています。
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・普通徴収の納期:6月、8月、10月、翌年1月の年4回払い
特別徴収(給与天引き)となっている会社員の副業などの場合は、5月頃に本業の勤務先経由で通知書が渡されます。届いた高額な通知書に動揺してしまいがちですが、どのようなデータをもとに計算されたかは、通知書の内訳(課税明細欄)を見れば確認できるようになっています。
未申告だと住民税が本来より高くなる理由

未申告の状態で届いた住民税が、実態よりも大幅に高くなってしまう理由は主に3つあります。
- ・経費が反映されない
- ・「基礎控除」以外の所得控除がゼロになる
- ・「推計課税」による過大計上のリスク
経費が反映されない|収入=所得で課税
確定申告がない場合、市区町村は支払調書記載の支払総額をそのまま所得として扱います。本来差し引けるはずの通信費・衣装代・交通費などの経費がゼロ計算となるため、所得が実態より大きくなります。
- ・支払総額(収入):例えば年500万円
- ・経費:本来100万円分→ゼロ扱い
- ・所得:本来400万円→500万円扱い
- ・住民税の差:100万円×10%=10万円多く課税
夜職の場合、年間で100万〜200万円規模の経費が発生しているケースも珍しくありません。これらを全く反映させないことで、住民税が年間で数万円〜数十万円も過大に計算されてしまうのです。
「基礎控除」以外の所得控除がゼロになる
市区町村による自動計算では、誰もが一律で引いてもらえる「基礎控除(住民税は43万円)」しか適用されません。あなたが個人的に支払っているはずの、以下のような大切な控除がすべて無視された状態になっています。
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・社会保険料控除:国民健康保険や国民年金の支払額(年間で数十万円になることも多いです)
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・生命保険料控除:民間の生命保険や医療保険の支払額
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・その他の控除:扶養控除、医療費控除、ふるさと納税(寄附金控除)など
これらは自ら申告しなければ適用されないため、本来受けられるはずの税負担の軽減をすべて逃してしまっていることになります。
参考:地方税制度|個人住民税|総務省
関連記事:水商売で稼いだお金を貯金したら税務署にバレる?注意点を解説!
「推計課税」による過大計上のリスク
支払調書すら出ていない収入があるケースなどで、市区町村側が口座の動きや周囲の生活水準、類似業種の平均データをもとに所得を予測する「推計課税(すいていかぜい)」が行われる場合、実態よりも多めに所得を見積もられてしまうリスクがあります。
【具体的な試算の比較例】
夜職の年間報酬が500万円、実際の経費が120万円、社会保険料の支払いが40万円の場合
・正しく申告した場合の住民税:
(500万 − 経費120万 − 基礎控除43万 − 社保40万) × 10% + 均等割等5,000円 = 約30.2万円
・未申告のまま放置した場合の住民税:
(500万 − 基礎控除43万) × 10% + 均等割等5,000円 = 約46.2万円
このように、申告をするかしないかだけで年間16万円もの大差が生じることになります。
高額な住民税を適正な金額に戻す手順

もし6月に高額な住民税の通知が届いてしまっても、諦める必要はありません。以下の手続きを行うことで、過去にさかのぼって正しい金額へ減額(修正)することができます。
- ・確定申告を提出する
- ・住民税の申告書を市区町村へ提出する
- ・過去5年以内なら払いすぎた分が戻ってくる
確定申告を提出する
最も一般的な方法は確定申告を提出することです。確定申告が市区町村へ情報連携され、住民税が再計算されます。所得税側でも還付になるケースが多いため、二重のメリットがあります。
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・提出先:所轄の税務署(e-Tax、郵送、窓口持参)
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・さかのぼれる期間:過去5年分まで可能
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・メリット:夜職のようにあらかじめお店で10.21%の税金が引かれている場合、確定申告をすることで所得税側でも数万円〜数十万円のお金が手元に戻ってくる(還付される)ケースが多い
確定申告書を出してから市区町村の住民税に反映され、新しい(減額された)納税通知書が再発行されて届くまでには、通常2〜3か月ほどかかります。
参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁
関連記事:【必見】確定申告の過去分をまとめて提出する3つの方法と税理士選びのポイント
住民税の申告書を市区町村へ提出する
「所得が少なく所得税の還付も発生しない」という場合などは、税務署ではなく、お住まいの市区町村役所の窓口へ「住民税申告書」を提出して修正することも可能です。
- ・申告先:1月1日時点の住所地の市区町村役所
- ・必要書類:本人確認・収入資料・経費資料・控除証明書
- ・申告期限:3月15日(年4月以降も受理)
- ・提出方法:窓口・郵送・eLTAX(一部自治体)
参考:eLTAX
過去5年以内なら払いすぎた分が戻ってくる
過去の分について住民税をすでに払いすぎてしまっていた場合でも、5年以内であれば、今から申告書を出して払いすぎた住民税を取り戻す(還付してもらう)ことが可能です。
還付される際には、払いすぎていた期間に応じた「還付加算金(利息のようなもの/2026年現在は年約0.9%前後)」が上乗せされて戻ってきます。過去に引っ越しをしている場合は、その年の「1月1日時点で住んでいた地域」の役所に対して手続きを行います。
住民税の通知額に違和感を持ったときの動き方

確定申告をしていない状態で届く住民税が不自然に高くなるのは、役所側があなたの経費やプライベートの控除を知らないまま、お店から出た支払調書の金額(総収入)だけで税金を機械的に計算してしまっている可能性が高いです。
もし届いた通知書の金額が高すぎると感じたら、すぐに過去の通帳や明細を集め、確定申告または住民税申告を行いましょう。過去5年分までであればいつでも適正な金額へ修正し、払いすぎた分を取り戻すことができます。夜職のキャストのように事前に10.21%の源泉徴収がされている場合は、申告をすることでお金が戻ってくるチャンスでもあります。
税理士法人松本では、数年分まとめての確定申告のサポートから、急な税務調査への対応、会社に副業がバレないための住民税の手続きまで、個人事業主の皆様をきめ細かくバックアップしています。「何年も未申告で通知が来てしまった」「どこから手をつけていいか分からない」という段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。
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