
一般的に「ガールズバー」とは、バーカウンター越しに女性スタッフが接客を行う形式の飲食店を指します。高級なバーと比較するとリーズナブルで敷居が高くないため、近年需要が高まっています。
そのような背景から、ガールズバーの開業を検討している方もいるかと思いますが、ガールズバーの開業にあたってはいくら資金を用意しておく必要があるのでしょうか。
また、ガールズバーなどの業種では開業時に融資を受けられるのか気になる方も多いでしょう。
そこで本記事では、ガールズバーの開業に必要な資金の目安と資金調達方法について解説します。
ガールズバーを開業する手順もご紹介しますので、ぜひこの記事を参考に必要な知識を身につけ、ガールズバーの開業を成功させましょう。
ガールズバーを開業するまでの流れ
ガールズバーを開業するにあたっては、さまざまな準備が必要となります。スムーズに事業を始めるためには、あらかじめ開業手順を把握し計画的に行うことが重要です。
ここからは、ガールズバーを開業するまでの具体的な流れを説明していきます。
①コンセプトを決定して事業計画書を作成する
まず、経営の指針となる店のコンセプトを決定し、事業計画書を作成することから始めましょう。
「どのような店にしたいのか」「どのような客層をターゲットにするか」などを具体的にイメージできれば、お店の規模や内装デザインなどが明確化し、一貫した方向性で開業準備を進められます。
経営戦略を立てる際や資金調達が必要な場合には事業計画書の作成が必要となるため、コンセプトを決めたらそれに沿った事業計画書を綿密に練りましょう。
②開業資金を調達する
店のコンセプトを決定したら、自己資金で開業資金が賄えるのか考えましょう。
ガールズバーの開業資金は、エリアや立地条件、物件の広さなどによっても異なりますが、目安として300万円~500万円程度が相場と言われています。
開業するのに自己資金が足りない場合、資金調達方法を検討しましょう。
後で詳しく解説しますが、開業資金を調達するのに融資や補助金・助成金などさまざまな方法があり、それぞれ特徴が異なるので、メリットだけでなくデメリットも比較して考える必要があります。
③店舗決定
開業資金の調達と並行して、ガールズバーを出す店舗物件の決定・取得を考えましょう。
もちろん資金面を考えるのは大切ですが、立地や競合店舗の数などを考慮せず賃料の安さだけで店舗を選んでしまうと、お店の売上が伸び悩む可能性があります。
店舗を選ぶ際は、その地域に多い年齢層や交通の利便性などを調べたうえで、自分の店のコンセプトに合っているかを確認するようにしましょう。
費用を削減するためには、前の店舗の設備がそのまま使える居抜き物件を選ぶのも有効です。
④内装や外装の工事を依頼
ガールズバーを開業する物件を取得したら、店の内装や外装をデザインし、工事を依頼します。
内装や外装の工事では、コンセプトに基づいてデザインをこだわるのがポイントです。
ただし、内装にこだわりすぎてしまうと費用がかさんでしまうため、こだわる部分と節約する部分とに分けて考えると良いでしょう。
⑤必要な資格の取得や許可申請
ガールズバーの開業に必要な資格の取得や届出・許可申請も行いましょう。
代表的なものとしては以下のとおりです。
- 飲食店営業許可
- 食品衛生責任者資格
- 防火管理者資格(面積による)
- 深夜における酒類提供飲食店営業の開始届出
風営法に基づき、深夜0時以降も酒類を提供するガールズバーを営業する場合は、営業開始前に警察署へ「深夜における酒類提供飲食店営業の開始届出」を申請する必要があります。
⑥備品の購入・仕入れ先の選定
グラスやお皿などの食器類、椅子やテーブル、インテリアなどの備品を購入します。
備品はお店の雰囲気に大きな影響を与えるため、自身のコンセプトに合ったものを選んでください。
また、ガールズバー開業の準備として、提供するお酒や料理の原価率を考慮しながら仕入れ先の選定作業も行いましょう。
品切れによって入荷ができない恐れもあるため、複数の仕入れ先と契約を結ぶのもおすすめです。
⑦人材の採用と研修
ガールズバー開業の数ヶ月前に、従業員の採用と必要に応じて研修を行いましょう。
接客スキルに優れたスタッフは、顧客満足度の向上やリピーターの獲得に寄与し、結果として売上向上に繋がる可能性があるため、複数の求人サイトに掲載したり、他店舗よりも給料を高く設定したりするなどの工夫が必要です。
ガールズバーをはじめとした夜職を専門とした求人サイトもあり、経験者を募集したい場合に役立ちます。
⑧集客活動
開業準備が整ったら、開業前に集客活動を行いましょう。
新しく店を開く場合は他の人から認知されていないため、店の魅力をアピールすることが重要です。
集客のための広告宣伝として、以下の方法があります。
- チラシ
- 情報誌
- インターネット広告
- ホームページ
- SNS
- グルメサイト
近年ではスマートフォンが普及しているため、インターネットを活用した集客が有効です。
ガールズバーの開業にはいくらかかる?必要な費用を項目別に解説
ガールズバーの開業を考えている人で、開業資金がどれくらいかかるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
ガールズバーの開業には、立地や事業規模によっても異なりますが、およそ300万円~500万円の資金が必要です。
項目別には、大きく以下の3つに分けられます。
- 物件取得費
- 設備投資費
- 運転資金
それぞれ詳しく見ていきましょう。
物件取得費
店舗として使う物件を契約するために必要な保証金や礼金、仲介手数料などの費用を物件取得費といいますが、ガールズバーを営業するためには欠かせないものです。
飲食店の保証金の目安として、賃料の6ヶ月から12ヶ月程度で、取得時にはまとまった費用が必要になります。
物件取得費は開業資金の多くを占めているため、これを抑えるためには、店のコンセプトを維持しつつ、家賃のほかに仲介手数料なども考慮しながら比較検討しましょう。
設備投資費
内装工事や外装工事にかかる費用や看板工事費用、厨房設備や冷暖房設備の導入などにかかる費用を設備投資費といいます。
店舗の雰囲気を演出するのに重要な項目で、特に内装工事が多くかかる傾向にあります。
売上にも繋がるため、こだわりを持つ人が多いですが、内装にこだわって豪華にしすぎると予算オーバーしてしまう可能性があるため注意が必要です。
費用を抑えるなら、バーなどの居抜き物件を活用して内装や設備にかけるお金を節約する方法も検討しましょう。
運転資金
内装や外装を整えガールズバーを開業したとしても、すぐに利益につながるとは限りません。
その間にも、以下の経費の支払いが毎月発生します。
- 人件費
- 広告費
- 仕入れ代
- 家賃
- 光熱費 など
そのため、ガールズバーの開業にあたってはある程度の運転資金を用意しておくのが望ましいです。
飲食店の開業時に準備したほうが良い運転資金は毎月発生する費用の約6ヶ月分が目安とされています。
ガールズバーの資金調達で融資は使える?
ご紹介したとおり、ガールズバーを開業するにあたってはさまざまな費用がかかるため、自己資金で足りない場合は資金調達をする必要があります。
資金調達の最も一般的な方法に金融機関からの融資がありますが、そもそも、ガールズバーのような業種で融資が受けられるのでしょうか。
ここでは、ガールズバーが融資を使える可能性についてお話しします。
水商売は融資を断られるケースが多い
ガールズバーは基本的にキャバクラやクラブのような風俗営業ではなく、深夜酒類飲食店に属しており飲食店の一種ですが、水商売と扱われる場合もあります。
水商売に分類される業態は、売上がスタッフの接客に左右されやすいことから、事業計画の精度や経営者の信頼性が審査時に重視される傾向にあり、金融機関へ融資を申し込んでも審査に通らないケースもあります。
また一部の業態については、過去の事例を背景に、金融機関が反社会的勢力との関係性に厳格な審査基準を設けている場合があります。
参考:金融庁|反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの推進について
日本政策金融公庫の融資は受けられる可能性がある
日本政策金融公庫では、サイトに融資対象となる業種を公開しており、融資対象業種として挙げている飲食店営業の中に「社交業」というものがあります。
社交業の業種例として『「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」による風俗営業の許可を得ている飲食店営業であって、スナック、バー、その他これに類するもの』という記載があるため、水商売であっても融資を受けられる可能性があるのです。
日本政策金融公庫では「新規開業資金」といって、無担保・無保証で最大7,200万円までの借入れが可能な融資制度があるため、ガールズバーの開業に必要な資金調達をする際は申し込みを検討しましょう。
ガールズバー開業に利用できる融資以外の資金調達方法
ガールズバーは業態によって水商売とみなされる場合もあり、一部の金融機関では融資審査が難しくなる傾向にあります。
万が一、金融機関からの融資を断られてしまった場合、どのようにして開業資金を調達すれば良いのでしょうか。
ここでは、融資以外に利用できるガールズバーの開業資金の調達方法をご紹介します。
ビジネスローンを利用する
クレジットカード会社や消費者金融が提供するビジネスローンの多くは、無担保で無保証人で申請でき、さらに銀行のプロパー融資と比較して審査に通りやすいというメリットがあります。
そのため、金融機関からの融資を断られた場合に利用を検討してみると良いでしょう。
ただし、ビジネスローンは借入限度額が制限されていたり、金利も高めに設定されていたりするケースが多い点に注意が必要です。
家族や友人からの借り入れ
金融機関からの融資を受けられなかった場合、家族や友人にあたってみるのも方法の一つです。
一人から多額の資金を調達できなくても、複数人から少額ずつお金を借りることができれば、大きな資金を用意できる可能性があります。
しかし、たとえ身近な人からの借り入れであっても、資金使途のしっかりとした説明や返済計画を示さなければ信用を失うことにもなりかねません。
そのため、貸す側が納得する説明をするのはもちろん、お金を借りる場合は必ず借用書を作成し、しっかり保管するようにしましょう。
補助金・助成金
都道府県など国や地方自治体が行っている支援制度の補助金や助成金を活用するのもおすすめです。
これらは事業者が負担した費用の一部を、国や自治体が払ってくれる制度であり、返済義務がないのが特徴となっており、ガールズバーであっても要件に該当すれば利用できる可能性があります。
ただし、補助金や助成金は原則として後払いとなっており、すぐに資金が必要な場合には他の資金調達方法を検討する必要があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める手法です。プロジェクト内容や訴求力によっては、クラウドファンディングを通じた資金調達が有効な場合もあります。
開業のメリットなどをわかりやすくプロモーションすることで出資者を募り、リターンが発生する購入型の場合は、出資者に対してサービスの利用権を配布するなどのリターンを提供します。
クラウドファンディングは資金を作るだけでなく、事前にファンを作ることも可能で、開業後の売上も期待できるなどのメリットがあります。
創業時に使える融資などを活用してガールズバーを開業しよう
ガールズバーの開業資金の調達を検討している場合、資金調達先に苦労するケースもあるでしょうが、融資先などによっては創業時の融資が受けられる可能性があります。
ただし、キャバクラやクラブのように接待を伴う営業をしていると水商売とみなされ、融資を受けられなくなる恐れがあるため注意しましょう。
また、開業時に使えるのは融資の他に、補助金や助成金、クラウドファンディングなどさまざまな資金調達方法があるため、併せて検討してみてください。
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