
ホステスは個人事業主となりますので、個人で確定申告をしなくてはいけません。
「面倒な確定申告はできればやりたくない」と思うかもしれませんが、赤字になるとしても確定申告をした方がいい理由があります。
なぜ赤字なのにわざわざ確定申告をしなくてはいけないのでしょうか。
ホステスが計上できる経費の内容や節税について、赤字でも確定申告をすべき理由についてまとめました。
ホステスの赤字とは
多くのホステスは個人事業主として、お店と業務委託契約をして働いています。
お店からは報酬を受け取っていますので、赤字になっているという認識はないかもしれません。
確定申告での赤字とは、受け取った収入から経費を引いた「所得」が赤字になる状態を指します。
ホステスが確定申告で計上できる経費
ホステスは、業務に必要なものを自分で用意します。
これらを正しく計上し、確定申告をしていかなくてはいけません。
以下のような支出は、ホステスの経費として認められますので覚えておきましょう。
- お店で着るドレス代
- アフターなどの飲食代
- ヘアセットにかかった美容院代
- 出勤時に必要なメイク代
- 通勤のための交通費
- お客さんへの電話代・通信費
- 自宅で仕事をするなら家賃
- 名刺や書籍など小物代
- お客さんへのプレゼント代
お店で着るドレス代
お店で着るためのドレスや着物は、ホステスの業務に必要なものなので経費と認められます。
ドレスを美しく着用するためにヌーブラを使用していれば、ヌーブラ購入費も経費となります。
イベントで必要なコスプレ衣装やストールなどもお店で使用しているのであれば、経費として計算しましょう。
衣装の一部として使用しているのかがボーダーラインであり、私服を購入した場合は経費になりません。
アフターなどの飲食代
同伴やアフターなどお客さんとの飲食代を自分で出した場合には、飲食代が経費となります。
待ち合わせのお店までのタクシー代や交通費を自分で出した場合も、交通費として計上できます。
同伴やアフターなどお店の外で過ごす時間は特別感があり、お客さんの満足度が上がる時間です。
ホステスにとって、お客さんとの食事は仕事の一部であると考えられるため経費と認められます。
ヘアセットにかかった美容院代
ホステスが出勤する際には、毎日ヘアセットをしなくてはいけません。
出勤前は必ず美容院でヘアセットをするというホステスも少なくないでしょう。
業務のための美容院代や特別な髪飾りを購入した時は、領収書やレシートを忘れずに保管しておきましょう。
当然ですがプライベートのためのヘアカット代は、経費とは認められません。
出勤時に必要なメイク代
ホステスが出勤する時には必ずメイクをしますので、化粧品を購入した代金も経費となります。
ファンデーションやアイシャドウなど、出勤時に使用するためのメイク用品を把握しておきましょう。
ネイル代や脱毛、エステなど、プライベートなものとの線引きが難しいものは、全額経費にできない場合があります。
仕事とプライベートを割合で分けて計算し、仕事の部分のみを経費として計上します。
通勤のための交通費
お店に行くための交通費は、ホステスの経費となります。
電車を使うのであれば電車賃、タクシーならタクシー代を証明できる領収書を保管しておきましょう。
お酒を飲まずに車で出勤しているのであれば、駐車場代やガソリン代も交通費です。
プライベートな外出と混合しないよう、出勤時の交通費のみを計上するようにしましょう。
お客さんへの電話代・通信費
ホステスは出勤時間だけが仕事ではありません。
営業のための電話をかける、お客さんとメッセージのやり取りをする、という行動も業務の範囲内となり、電話代や通信費がかかります。
仕事に必須の支出であり、これらは経費として計上できます。
電話代や通信費もプライベートとの線引きが難しいものなので、どう計上すべきか悩んでしまう人がいるかもしれません。
ホステスの業務専用のスマホや回線を契約しておくと、経費の管理がしやすくなるのでおすすめです。
自宅で仕事をするなら家賃
お店に出勤している時間だけが勤務ではなく、お客さんへの営業やメッセージのやり取りを自宅で行う場合があるでしょう。
自宅で業務を行う個人事業主は、家賃が経費として計上できます。
1日のうち、何時間くらいを営業に充てているでしょうか。
時間を計算し、家事按分で割合を計算して経費として計上していきます。
名刺や書籍など小物代
ホステスとしての業務で必要な名刺や名刺入れ、ハンカチやポーチ、ライターなども経費に含められます。
書籍はお店で使用するものではありませんが、ホステスとして知識を養うものであれば経費と認められます。
新聞代も売り上げを伸ばすための勉強の一部と考えられます。
お客さんへのプレゼント代
ホステスはお客さんへ営業の一環として、プレゼントを渡す時もプレゼント購入代が経費となります。
サラリーマンが営業先にお菓子や贈呈品をもっていくのと、同じ感覚です。
ハンカチやネクタイなどの小物、お酒など、ホステスがお客さんにプレゼントするものはさまざまです。
お客さんとの関係性や好みに合わせてプレゼントを選び、喜んでもらえるものを購入しましょう。
ホステスが確定申告で経費にできないもの
お伝えした通り、ホステスは多くのものが経費と認められます。
基本的には業務に関わるものは経費となりますが、以下のようなものは認められませんので注意しましょう。
- 遅刻罰金
- お客さんとの旅行代
- 美容整形代
遅刻罰金
ホステスは、勤務しているお店によって遅刻や当日欠勤での罰金を支払わなければいけない場合があります。
「ホステスの業務上かかった経費」と主張できそうな気がしますが、一時的な過失であり、遅刻罰金は経費と認められません。
本人の意思で回避できるものであり、業務に必ず必要なものではないからです。
お客さんとの旅行代
接待としてお客さんと旅行に行ったとしても、旅行代を全額経費にできるかはわかりません。
経費として計上すると高額になりますので、常識的に考えて難しいでしょう。
社会通念上不適切であると考えられる金額を計上していると、あらぬ疑いをかけられてしまう可能性がありますので注意しましょう。
美容整形代
ホステスは自分自身が商品なので、「美容整形もホステスとしての業務のため」と考える人がいるかもしれません。
美容整形代は税務署からの指摘が入りやすいものなので、全額を経費にするのは難しいでしょう。
私的な欲求のためであると考えられるのが一般的であり、業務に直接必要なものではないと指摘される可能性があります。
ホステスが確定申告でできる節税
確定申告をする際には、節税について考えておくべきです。
ホステスが経費を計上する以外にできる節税対策について、お伝えします。
- 経費以外の控除を利用する
- 青色申告にする
経費以外の控除を利用する
所得から一定の金額を差し引くのが、確定申告の控除です。
多くの控除を利用すると、所得税や住民税などの税金の負担を抑えられるようになります。
例えば、以下のような控除があります。
控除 | 内容 |
医療費控除 | 一定以上の医療費を払った時に受けられる控除 |
生命保険料控除 | 生命保険料や介護医療保険料を払った時に受けられる控除 |
勤労学生控除 | 働きながら通学する勤労学生が受けられる控除 |
ひとり親控除 | 本人がひとり親である時に受けられる控除 |
人によって該当するものが異なりますので、まずはご自身がどんな控除が受けられるかを調べてみましょう。
青色申告にする
確定申告で節税対策をするのであれば、白色申告でなく青色申告を選択すべきです。
青色申告にすると、最大で65万円の青色申告特別控除を活用できるようになるためです。
白色申告書よりも記帳の手間がかかるのがデメリットですが、確定申告書は毎年同じものなのでやり方を覚えてしまえば問題ないという人も多いです。
会計ソフトを利用するなど、できるだけ負担が少ない方法で確定申告できるように準備しておきましょう。
赤字のホステスは確定申告不要
確定申告は税務署に1年の所得を申告し、納税をするためのものです。
1年の所得が赤字となった場合には所得税がかかりませんので、確定申告を行う義務がありません。
ホステスという職種に関係なく、個人事業主は赤字であれば確定申告が不要です。
確定申告は領収書の整理や慣れない計算に頭を抱える人が少なくありませんので、赤字であれば「確定申告をしない」というのも選択のひとつです。
ホステスが赤字でも確定申告をすべき理由
赤字になるホステスは確定申告をする義務がありませんが、それでも確定申告をした方がいい理由があります。
ホステスが赤字でも確定申告をする理由について、お話します。
- 還付金がある
- 所得を証明できなくなる
- 国民健康保険料や住民税の算定ができなくなる
- 非課税証明書がもらえない
還付金がある
個人事業主としてお店から報酬を受け取っているホステスは、毎月報酬から源泉徴収分が天引きされています。
これは所得税を前払いしている状態となり、払いすぎた分があれば確定申告で還付金を受け取れます。
赤字のホステスは所得税が発生しないので、確定申告をすれば源泉徴収の還付を受け取れます。
還付金は、赤字の個人事業主が確定申告をする大きな理由のひとつとなるでしょう。
所得を証明できなくなる
赤字だからといって確定申告をしていないと、前年の所得を証明できる書類が何も残らない状態となります。
個人事業主なので、所得の証明が必要になると確定申告書の控えが大切な資料となります。
賃貸物件や住宅ローンを契約する時、自動車ローンを組む時、子供がいれば保育園や学童に入る時などに、所得証明が必要になります。
確定申告書は公的機関で受け付けられた記録が残る書類となりますので、赤字でも確定申告をした方がいいかもしれません。
国民健康保険料や住民税の算定ができなくなる
国民健康保険料の計算の基本は、平等割・均等割・所得割です。
所得割は前年の所得金額に応じて変動するもので、低所得者であれば保険料を安く抑えられるようになります。
確定申告をしていないと所得が証明できませんので、国民健康保険料の軽減が受けられず不利になってしまいます。
また住民税も算出できませんので、確定申告はしなくても住民税の申告だけはしなくては忘れないようにしましょう。
非課税証明書がもらえない
非課税証明書(課税証明書)とは、前年の所得に応じた個人住民税の課税額を記載した書類です。
日常生活では不要なものかもしれませんが、金融機関でローンを組む時や子供が保育園に入る時などに必要となります。
欲しい時に非課税証明書(課税証明書)を受け取れるよう、赤字でも確定申告をしておいた方がいいでしょう。
ホステスの確定申告に関するよくある質問
ホステスの確定申告に関するよくある質問をまとめました。
- 確定申告のやり方がわかりません
- スマホだけで確定申告できますか?
- 副業のホステスは何所得になりますか?
確定申告のやり方がわかりません
初めて確定申告をする時は面倒な作業に思えるかもしれませんが、無料でサポートしてくれる窓口があります。
管轄の税務署や市町村役場などで、相談してみましょう。
税理士は税のプロであり、確定申告のご相談がお受けできます。
お困りの方はぜひご相談ください。
スマホだけで確定申告できますか?
スマホで確定申告書を作成し、e-Taxで送信すれば、自宅にいながら確定申告ができます。
マイナンバーカードと、マイナンバーカードのパスワードが必要になりますので、手元に準備をしておくようにしましょう。
副業のホステスは何所得になりますか?
副業でホステスをしている場合の所得は、「雑所得」という所得に分類されます。
1年間の雑所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。
赤字のホステスも確定申告を
確定申告で経費を正しく計算すると、経費が高額になり赤字になるかもしれません。
赤字であれば所得税がかかりませんので、確定申告の義務はありません。
しかし確定申告をすれば還付金が戻るかもしれませんので、赤字でも確定申告をした方がいいでしょう。
前年の所得を証明する書類がないというのも、不安材料になってしまうかもしれません。
ホステスは経費の計算が細かく、自身で確定申告をするのは難しいと感じる方もいるでしょう。
確定申告にお悩みの際は、ぜひ税理士にご相談ください。
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