
飲食店のジャンルの1つである「コンカフェ」は、一般的なカフェとは差別化でき、独特の世界観やテーマ性があるため人気が集まっています。
しかし、コンカフェの開業を検討している方で、資金や必要な許可申請、開業までの手順などが分からない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、コンカフェの開業をスムーズに進めるために必要な初期費用や許可申請、開業までの手順を詳しく解説します。
また、コンカフェを開業するメリットや注意点についても説明していきますので、ぜひこの記事を参考に、準備を進めていきましょう。
コンカフェとは
そもそもコンカフェとは、「コンセプトカフェ」の略で、特定のテーマや世界観を全面に押し出したカフェを指します。
独自のコンセプトを持っており、それを客にも体験してもらえるよう、店内の装飾はもちろん、メニューやスタッフの衣装、接客の仕方もその世界観に合わせているのが特徴です。
「カフェ」と名付けられているものの、お酒を提供するバー業態も多くあります。
コンカフェの種類
コンカフェには様々な種類のコンセプトやテーマがありますが、特に人気の高いものは以下の通りです。
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- コスプレ系:キャストがコスプレをして接客するスタイルのカフェ
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- コラボ系:人気アニメやキャラクター、映画などとコラボしたカフェ
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- アニマル系:動物と触れ合えるカフェ
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- テーマパーク系・趣味系:ボードゲームやダーツ、カラオケなどをスタッフと一緒に楽しめるエンターテイメント性の高いカフェ
このように、コンカフェは多様なコンセプトで訪れた人を楽しませてくれるため、一定の層に高いニーズがあり、ファンを獲得しやすいです。
コンカフェとメイドカフェとの違い
コンカフェとメイドカフェは混同されがちな業態ですが、メイドカフェはコンカフェという大きなジャンルの一種としてまとめることができます。
ただし、メイドカフェはカフェ業態のお店が多く、充実した食事やドリンクの提供をしたり、ライブやショーを通じてお客さんと楽しめたりするものが多いのに対し、コンカフェはバー業態でお酒を飲みながらキャストと楽しめるものが主流となっています。
そのため、メイドカフェをコンセプトとしたコンカフェを開業したい場合は、カフェ業態にするか、バー業態にするかを検討する必要があるでしょう。
コンカフェとガールズバーとの違い
コンカフェとは間違われやすいものに、ガールズバーもあります。
ガールズバーは、女性スタッフがカウンター越しに接客を行うバーで、コンカフェと比較して接客スタイルや料金体系、営業時間、雰囲気などに以下の違いがあります。
コンカフェ | ガールズバー | |
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接客スタイル | テーマに沿った接客が行われる | 女性スタッフとカウンター越しに会話を楽しむ |
料金体系 | テーマに関連した追加料金が発生することがある | 比較的シンプルな料金体系 |
営業時間 | 昼間から営業しているケースが多い | 夜間営業が中心 |
雰囲気 | テーマに沿った独特の雰囲気 | カジュアルでフレンドリーな雰囲気 |
コンカフェを開業するメリット

コンカフェは通常のカフェよりもメリットを享受しやすいとされており、コンカフェの開業を考える方もいるでしょう。
コンカフェを開業する主なメリットは以下の通りです。
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- 集客力が高く儲かりやすい
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- スタッフを採用しやすい
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- 開業資金を抑えられる
それぞれ詳しくみていきましょう。
集客力が高く儲かりやすい
コンカフェを開業するうえで大きなメリットといえるのは、通常のカフェよりも集客力や利益率が高くなりやすく、儲かる可能性が高い点です。
テーマ性や世界観が確立されているコンカフェは、一定の層に刺さるため、趣味仲間と一緒に何度も訪れるなど、リピート率が高くなる傾向にあります。
また、料理よりもスタッフやグッズ、動物などを目当てに訪れる人が多いため、軽食やドリンクのみを提供するコンカフェも多く、その場合は通常のカフェよりも利益率が高くなり、儲かりやすいのです。
スタッフを採用しやすい
求人がしやすい点もコンカフェのメリットです。
飲食店を営むにあたって、人手不足に陥るのはよくあることで、募集をかけても集まらないケースが多いです。
しかし、自分が好きなコンセプトに合ったコンカフェで働きたいという人は多くいるため、通常のカフェよりも求人が集まりやすい傾向にあります。
スタッフの採用がスムーズに行えると飲食店の運営も安定するでしょう。
開業資金を抑えられる
接待行為を前提とするキャバクラやラウンジと比べると、コンカフェは開業資金を大幅に抑えることが可能です。
キャバクラやラウンジは内装を豪華にしなければならなかったり、広さが必要になったり、人件費も多くかかったりと、開業するために多額の資金が必要になります。
一方で、コンカフェは基本的に高級感のある内装にする必要はなく、居抜き物件を利用する方法もあるため、開業にかかる費用を抑えられるでしょう。
コンカフェ開業までの手順や準備するもの

コンカフェの開業を目指している方は、始め方や全体の流れを把握しておきましょう。
ここでは、コンカフェ開業までの手順や必要許可申請、資金について説明していきます。
コンカフェの開業までの手順
コンカフェの開業までは、以下の手順で進めていきます。
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- コンセプト設定・事業計画
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- 立地・物件選定
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- 資金調達
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- 資格・届出の手続き
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- 店舗の設備・内装の準備
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- 採用・宣伝活動
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- プレオープン・開業
特にコンセプト設定が重要であり、どのような世界観を作りたいか、ターゲットはどのような人かをはじめによく考えたうえで準備を進めていく必要があります。
約1年間を準備期間と捉え、開業前に何を行うべきか、優先順位をどうするのかを考慮しながら、開業までのスケジュールを立てましょう。
飲食店営業許可の取得が必要
コンカフェを開業するにあたり、どのような形態であっても、保健所に出向き「飲食店営業許可」の申請を行う必要があります。
主に、設備や構造に関する確認が行われますが、飲食店営業を行うための条件として、以下の項目を満たしていれば許可が問題なくおりるとされています。
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- 調理場に二層シンクがある
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- 冷蔵庫がある
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- 手洗い設備と固定の消毒装置がある
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- 扉付きの収納がある
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- トイレにも手洗い設備がある
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- 天井や床、壁がむき出しではない
コンカフェの開業資金はいくら必要?

コンカフェを開業する際に必要な初期費用は、店舗のジャンルや立地によっても異なりますが、目安としては300〜1,000万円程度となっています。
コンカフェの初期費用の内訳は以下の通りです。
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- 敷金・礼金
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- 仲介手数料
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- 内外装工事費
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- 設備工事費
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- 家具や食器、備品、消耗品などの費用
設備や内装などにこだわると、費用が高くなる傾向にあります。
なお、コンカフェが開業した直後は経営が不安定になりがちであるため、家賃や人件費など、軌道に乗るまでの運転資金も用意しておくと安心です。
中古の機器・設備を利用すれば開業資金を抑えられる
コンカフェの開業には様々な機器や設備が必要となりますが、開業資金に余裕がない場合、これらを新品で揃えずに、中古の機器を購入すれば、費用を抑えられるでしょう。
また、内装や設備がそのまま残っている居抜き物件を活用する方法もあります。
カフェやスナック、ガールズバーなどが使っていた物件に残った設備をそのまま利用すれば、設備投資費を大幅に削減することが可能です。
コンカフェ開業のための資金調達方法
コンカフェの開業には最低でも300万円程度必要ですが、資金調達の段階で頭を悩ませている人もいるでしょう。
資金調達に困っている場合は、以下の方法を検討してみるのがおすすめです。
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- 家族や知人から借りる
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- 自身の資産を売却する
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- クラウドファンディングを活用する
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- 投資家とのマッチングサービスを利用する
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- 融資を受ける
初めて起業する方に対しては銀行の融資審査は厳しくなっていますが、日本政策金融公庫や自治体などが、創業融資を支援しており、事業計画書がしっかりしていれば、低金利で融資を受けられる可能性があります。
また、近年ではクラウドファンディングを活用して開業する飲食店も増加しているので、様々な方法を検討してみましょう。
税理士に相談するのもおすすめ
コンカフェの資金調達や具体的な節税方法について詳しく知りたい方は、税理士に相談するのもおすすめです。
また、飲食店を経営するにあたって税務に関する業務を税理士に依頼すると、本業に集中できるほか、経理業務や確定申告を効率的に行い、税金の節約や適切な財務管理が実現できるでしょう。
さらに、税務調査の対象となるリスクを減らすことも可能です。
コンカフェを開業する際の注意点

コンカフェを開業するにあたっては、営業形態により許可申請や届出が必要です。
そのうえで、いくつかの注意点があります。
詳しく説明していきますので、スムーズに開業、経営していくためにもチェックしておきましょう。
風俗営業許可が必資金調達
コンカフェで「接待」に該当するサービスを行う場合、飲食店営業許可だけでなく、「風俗営業許可」も取得しなければなりません。
この「接待」がどこまでを指しているか判断が難しい方も多いでしょうが、風営法では風俗営業における接待について、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義しています。
接待とみなされる可能性が高いケースは以下の通りです。
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- 客へのお酌
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- 客との談笑
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- カラオケでの客とのデュエット
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- 客とのスキンシップ など
なお、風俗営業許可を取得しているコンカフェは、営業時間を深夜0時までとすることができます。
コンカフェが逮捕・摘発される理由
コンカフェの中には、以下の風営法違反により逮捕・摘発されるケースも少なくありません。
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- 無許可で接待をしての営業
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- 18歳未満のキャストを採用してしまうことによる年少者雇用
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- 18歳未満の客を店に入店させる行為
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- 20歳未満の客に酒を提供する行為
たとえば、コンカフェのキャストが特定の客に対して継続的に談笑したり、逆に密着してチェキを撮影したり、一緒にゲームをしたりする場合には、「接待」に該当し、風俗営業許可を取っていないと逮捕・摘発される可能性があるため、注意しなければなりません。
風俗営業許可が取れない地域もある
メイドカフェのコンセプトで物件契約後に風俗営業許可を申請しようとしたものの、風俗営業許可がおりない地域であったというケースも少なくありません。
その場合、店舗のコンセプトを大きく変更しなければならない可能性が高いです。
そのため、メイドカフェなどの接待行為を必要とするコンカフェを開業しようとする場合、物件契約時に風俗営業申請が行えるかどうか必ず確認しておくようにしましょう。
テナントの入居審査が通りにくい
コンカフェの開業において、テナントの入居審査のハードルが高く、通りにくいとされています。
大家さんが気になるポイントとしては以下の通りです。
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- 同じビルの既存テナントへの影響はないか
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- 未成年者の雇用をしていないか
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- 客引き行為をされないか
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- スタッフの派手な衣装
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- ガールズバーのような店にならないか
このように、コンカフェは「カフェ」と謳っていながらも、ガールズバーのようにお酒を提供したり接待があったりするのではないかと不安感を抱かせやすい業態です。
そのため、コンカフェのコンセプトや業務内容についてしっかり大家さんに説明するようにしましょう。
深夜酒類提供飲食店営業開始届が必要な場合がある

接待行為はしないものの、深夜0時以降に酒類を提供して営業する場合、飲食店営業許可を取得する他に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を警察署に届け出なければなりません。
バー業態のコンカフェを検討している場合はこの届出が必要です。
ここで注意しなければならないのは、風俗営業許可と深夜酒類提供飲食店の届出は併用できないという点です。
営業スタイルに違法性がないかをよく確かめたうえで経営しましょう。
コンカフェ開業までの正しい知識が必要

一般的なカフェやガールズバーなどと違い、そのお店特有の世界観が魅力的で儲かりやすいと言われているコンカフェですが、物件の確保が難しかったり、申請や届出の取得が、絶対行為に関する知識の把握など、注意しなければならない点も多くあります。
また、コンカフェの開業には300〜1,000万円程度の開業資金や運転資金が必要になるため、あらかじめ様々な対策、準備を行いながら開業準備を進めていきましょう。
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