「キャバクラは融資を受けにくい」そんな印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、一般的にキャバクラなど風俗営業に該当する業種は他業種と比較して融資の審査が厳しくなる傾向があります。

本記事では、キャバクラが融資を受けにくい理由、融資以外の開業資金調達方法について解説します。キャバクラの開業資金の内訳や開業にあたって必要な資格や許可についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

キャバクラが融資を受けにくい理由

キャバクラは接待を伴う飲食店に該当するため、多くの場合で風俗営業法の許可」が必要とされます。風俗営業に該当する場合、少なくとも民間の信用金庫から融資を受けることは難しくなります。

例えば東京信用保証協会では、風俗営業のうち「公序良俗に反する恐れがある業種」は信用保証の対象外とされています。これは全てのキャバクラが対象外という訳ではなく、事業内容や実態によって判断が異なる場合があります。しかし、実情としては大半のキャバクラが融資を受けることが難しい状況です。

東京信用保証協会の信用保証対象外業種については以下をご確認ください。
信用保証対象外業種一覧

融資以外|キャバクラの開業資金を資金調達する方法

金融機関からの融資が受けられなかった場合、融資以外の方法で資金を用意しなくてはいけません。
ではどのように資金を工面すればよいでしょうか。
いざという時のためにも融資以外に考えられるその他の資金調達の方法も把握しておきましょう。

①家族や友人

家族や友人から借りるのも資金調達の一つの方法です。
ただし、親しい間柄だからこそ金銭問題で関係性が壊れないように配慮が必要です。
トラブルを未然に防ぐためにも、しっかりと借用書の作成や返済計画を伝えるなどし、信頼関係に傷がつかないよう配慮することが大切です。

②上司や出資者

これまでの上司やオーナーが資金を貸してくれたり、出資者となる可能性もあります。
このような場合もトラブルを未然に防ぐために書面の作成は必ず行いましょう。
金銭面についてしっかり記すことはもちろん、運営面についても書面で取り決めておくことを忘れないでください。

③クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、多くの人にインターネットを通じて事業を周知し、賛同を得られた不特定多数の支援者から少しずつ資金を集める方法です。

支援者を多く集めることができれば、思ったよりも多くの資金を調達できる可能性があります。
その反面、支援者が集まらなければ資金調達は実現できません。

クラウドファンディングでキャバクラの資金調達をする場合、注意点を押さえた上で賛同者が多数集まるようなビジネスプランを練ることが大切です。

必要な資金額はできるだけ正確に把握しよう

一般的にキャバクラの開業資金の相場は500万円〜1,500万円だといわれています。なぜこれほど差があるのでしょうか。ここでは、キャバクラの開業資金の内訳について解説します。

必要な設備資金

開業時には必要な設備が多く、費用がかさみます。
開業資金を算出する際は、あらかじめ必要となる費用を詳細に把握しておくようにしましょう。

<主な開業時にかかる費用>

①店舗物件取得費用

 店舗物件取得費用とは、店舗を借りる際の初期費用のことで、ここには月の賃貸料は含まれません。

 立地などの条件により金額は異なるため、費用相場は300万円〜500万円(賃料の5〜10ヶ月分)と差があります。予算と理想の折り合いをつけてじっくり探してみてください。

②内装・外装費

内装・外装にかかる費用の目安は一般的に50万円〜500万円と言われています。
内装費には、壁や天井、床、空調設備などが該当します。外装費は店構えや看板などを指します。

キャバクラの内装は華やかなものが多く、内装をこだわればこだわるほど費用は当然かかります。

しかし、高級感のある内装はお店のブランドイメージや雰囲気作りに寄与する場合もあるため、費用とのバランスを考えながら検討するようにしましょう。

③厨房設備費

お店の規模によって変わってきますが、一式揃えることを想定して80万円~150万円くらいはみておく良いと言われています。

④テーブル、ソファーなどの備品

一般的には50万円~100万円程かかるケースが多いようです。
こだわってインテリアや備品を統一することで、コンセプトに合ったイメージや世界観を創り出すことができます。

⑤宣伝費用

開業直後はお客様を獲得するためにも、ある程度の広告費は必要といえます

SNSを活用すればある程度は無料で宣伝することもできますが、チラシや看板も必要になるかもしれません。

また、お客様を呼び入れてもらった分、紹介料を支払う「無料案内所」も一般的な方法です。これらの有料の公告を行う場合、目安として10万円~30万円程を想定しておくと良いでしょう。

⑥求人費用

キャバクラの店舗の価値を上げていくためには、キャストの採用が店舗運営のカギを握る要素の一つです。求人サイトの利用やスカウトへの紹介料など、求人方法や掲載期間などによって費用に幅があり、目安は5万円~100万円程です。

⑦風営法の申請費用

風営法の申請費用とは、風俗営業の許可をとるためにかかる費用で役所や警察署に支払うお金です。
一般的に行政書士に依頼するケースが多く、費用は25~40万ほどが相場と言われています。

必要な運転資金

運転資金とは、お店を継続するために必要なランニングコストです。
お店の売上がなかったとしても、賃貸料・水道光熱費・人件費・仕入れなどのコストは毎月発生します。
以下、詳しく解説します。

<主なランニングコスト>

①人件費

キャバクラの人件費の理想は売上の40~45%だといわれています。
キャストの給与システムは、様々な要素が組み合わされているためキャスト成績によって変動します。

キャストの給与体系は基本給と歩合給のバランスが重要です。最低賃金を下回らないよう労働基準法の範囲内で設計しましょう。

最低賃金については以下をご確認ください。
厚生労働省|最低賃金制度とは


②賃貸料

賃貸料は変動がなく他の経費とは異なり、削減することが難しいものです。
そのため、運転資金を考える際は賃貸料を重要項目として捉えておきましょう

③水道光熱費

通常の飲食店では水道光熱費は売上の5%~7%程だといわれています。
キャバクラでは照明も一般的な飲食店よりも凝っているため、高めになることが考えられます。

意識することで削減できる費用なので、顧客がいない部分の照明や空調を落とすなど節約を心がけましょう。
また家電が古いようであれば、新しく買い替えることで消費電力が軽減できるので、大幅な費用の節約効果が期待できます。

④各種仕入れ代

お酒をはじめ、フードやおしぼり、トイレットペーパーや消毒液など備品や消耗品のことも運転資金として考えておかなくてはいけません。

一般的にはフードよりもドリンクが中心となるケースが多いため、飲食店と比べて食材の仕入れは比較的少ない傾向がありますが、提供メニューの内容によっては大きく異なる場合もあります。

ネット通販など経費が抑えられる方法を検討してみてください。

開業資金をできるだけ抑えるためのポイント

開業後はすぐに安定した売上が見込めるとは限らず、高額な初期投資は回収できないリスクがあります。そのため、開業資金はできるだけ抑えることが大切です。ここでは、開業資金をできるだけ抑えるためのポイントを2つご紹介します。

資金の使い道を細かくリストアップする

開業資金を本当に必要な分に抑えるには、資金の使い道を細かい部分までリストアップし、「何にどれくらいかかるか」を算出しておくことが重要です。
また、資金を借りる場合には「月いくらまでなら無理なく返せるか」を元に、借りられる金額ではなく「返せる金額」をベースに逆算することも忘れないようにしましょう。

居抜き物件を借りて内外装工事費や設備費を削減する

設備や内外装、造作物がそのまま使えそうな居抜き物件を借りると費用を削減できる可能性があります。特に同業種であれば使えるものが多い可能性が高く、タイミング良く見つかればメリットが大きいです。

ただし、状況によっては修繕費がかさむ場合もあるため、居抜き物件を検討する場合は細かい部分までチェックするようにしましょう。

キャバクラの経営に必要な許可

キャバクラを開業する際には、資金調達と並行して許可を得る準備も進めておきましょう。キャバクラを経営するためには、いくつかの必要な許可があります。
万が一、許可を得ないまま営業してしまった場合「無許可営業」となり罰則を受ける恐れもあります

キャバクラ経営に必要な許可は次の2つです。

  • 飲食店営業許可
  • 風俗営業許可

この2つの許可について詳しくみていきましょう。

飲食店営業許可

キャバクラは酒類や食品を提供するため、飲食店の営業許可が必要となります。
営業開始前に管轄の保健所に「食品営業許可申請」を行い、許可を得ておきます。
食品営業許可を得るためには、その手前で次の2つを整えておかなくてはなりません。

  • 食品衛生責任者を準備する
  • 設備の要件をクリアする


食品衛生責任者とは

飲食店営業許可を得るためには「食品衛生責任者」が必要です
この資格を取得するためには講習の受講が求められます。
各都道府県の各地で講習が実施されているので、「地域名+食品衛生責任者」で検索するとよいでしょう。

設備要件のクリアとは

飲食店にはクリアしておかなくてはいけない設備要件がいくつかあります。
主な要件は以下のようなものです。

・床面、内壁及び天井は、清掃、洗浄及び消毒を容易にできる材料であること
・照明設備は作業、検査及び清掃等を十分にできるような照度が確保できること
・水道水または飲用の水を供給できること など

詳しくは厚生労働省|施設基準の全体像などをご確認ください。

風俗営業許可

キャバクラは接待を伴う飲食店に該当することが多く、そのような場合には「風俗営業許可」を取得する必要があります。許可を取得するには、以下の3つの要件を満たしている必要があります。

  • 許可をもらえる「人」がいること
  • 許可をもらえる「場所」であること
  • 許可をもらえる「構造・設備」であること


人について

許可をもらう対象であり、法を守る責任者として存在する人を指します。
風俗営業の許可では、まず申請者に問題がないかが調査されます。風営法では、許可を出せない条件が細かく定められており、「人」に関するものを「人的欠格事由」と呼びます。
具体的には、「無許可風俗業などの一定の犯罪歴の有無」や「アルコールなどの中毒者でないか」なども調べられ、これらに該当すると許可を取ることができません。

 

≪許可を申請する際に提出する書類≫


場所

風俗営業を営む場所にも法律上の制限があり、周囲の生活環境や青少年の保護を目的として定められています。
具体的には、「第一種住居地域」や学校などの「保護対象施設から一定の距離が離れていること」などがあります。

構造・設備

構造・設備にもさまざまな要件があり、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 1メートル以上の高さのものを置いてはいけない
  • 暗すぎる照明をつけてはいけない
  • 外に音が漏れる防音設備ではいけない
  • お客様が利用する部屋の大きさが一定以上の広さでないといけない
  • 外からお店の中が簡単に見えてはいけない など

    これらの要件を満たしているかを十分に確認するようにしましょう。

≪証明するために提出する書類≫

  • 営業所の平面図
  • 営業所のイス・テーブル配置図
  • 営業所の音響・照明配置図
  • 営業所周辺の略図
  • 飲食店営業許可証の写し

これらを提出した上で、審査には一般的に50日前後かかることが多いようです。

また、これらの詳しい風俗営業許可については以下をご確認いただくと良いでしょう。
e-Gov法令検索|風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

 

キャバクラの融資についてのお悩みは税理士に相談を

原則として、キャバクラは融資の審査において慎重に判断される傾向があります。もしも融資が可能かの判断に迷う場合は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

税理士法人松本では、事業融資に関して多くのお客様をサポートしてきました。
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