バーテンダー

前々年の課税売上高(基準期間の課税売上高)が1,000万円を超えた場合バーを開業したい方や業務委託で働くバーテンダーの中には、「個人事業主として活動できるの?」「確定申告は必要?」「どこまで経費にできる?」と疑問を持つ方も多いでしょう。バーテンダーは店舗経営だけでなく、業務委託や出張サービスなど個人事業主として働ける職種の一つです。しかし、個人事業主になると開業届の提出や確定申告・帳簿管理などが必要になります。

この記事では、バーテンダーが個人事業主として働く仕組み・メリットやデメリット・必要な手続き・確定申告や経費の考え方について法務・税務の観点からわかりやすく解説します。

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バーテンダーは個人事業主として働ける

バー経営

バーテンダーは店舗に雇用されて働くだけでなく、個人事業主として活動することも可能です。自身でバーを開業する場合はもちろん、業務委託契約で店舗に勤務したり、イベントやパーティー会場で出張バーテンダーとして活動したりするケースもあります。

個人事業主になると、売上や経費の管理・確定申告などを自分で行う必要がありますが、働き方の自由度が高く、事業に必要な支出を経費として計上できる点が特徴です。ここでは、個人事業主の概要やバーテンダーが個人事業主として働くケース・会社員との違いについて解説します。

個人事業主とは事業を営む個人のこと

個人事業主とは、法人を設立せずに事業を行い、継続的に収入を得ている個人のことです。バーテンダーの場合は、自ら事業主として活動し、売上や経費を管理しながら収益を得る働き方が該当します。個人事業主の主な特徴は以下のとおりです。

  • ・法人を設立せずに事業を営む
  • ・開業届を提出することで事業を開始できる
  • ・売上や経費を自分で管理する
  • ・原則として確定申告が必要になる
  • ・事業に必要な支出を経費計上できる
  • ・前々年の課税売上高(基準期間の課税売上高)が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が発生する可能性がある

参考:No.6109 事業者が事業として行うものとは|国税庁

バーテンダーが個人事業主になるケース

バーテンダーが個人事業主として働くケースには、以下のようにさまざまな形態があります。

働き方

内容

バーの独立開業 自身で店舗を構え、経営を行う
間借りバー 飲食店の空き時間やスペースを借りて営業する
業務委託契約 店舗と業務委託契約を結び報酬を受け取る
出張バーテンダー イベントや結婚式などへ出向いてサービスを提供する

近年は初期費用を抑えられる間借り営業や、イベント専門の出張バーテンダーとして独立するケースも増えています。

個人事業主と会社員の違い

個人事業主と会社員では、契約形態や税金の仕組みなどが以下のように異なります。

項目 個人事業主 会社員
契約形態 業務委託契約など 雇用契約
報酬 売上・業務報酬 給与
確定申告 原則必要 基本的に不要(年末調整)
経費計上 可能 原則不可
社会保険 自分で加入(国民健康保険・国民年金など) 会社が加入手続きを行う(健康保険・厚生年金)
働き方 自由度が高い 勤務先のルールに従う

個人事業主は働き方の自由度が比較的高く、事業に必要な支出を必要経費として計上できる点が特徴です。一方で、帳簿作成や確定申告・税金の納付などを自ら行う必要があるため、事業主としての責任も伴います。独立を検討しているバーテンダーは、メリットだけでなくこうした違いも理解しておきましょう。

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バーテンダーが個人事業主になるメリット・デメリット

個人事業主

バーテンダーが個人事業主になると、働き方の自由度が高まる一方で、自身で事業を管理する責任も生じます。独立を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで判断することが大切です。

個人事業主になるメリット

個人事業主として働く主なメリットは以下のとおりです。

  • ・働く場所や時間を自由に決めやすい
  • ・必要経費を計上できる
  • ・収入アップを目指しやすい
  • ・将来の独立開業に向けた経験を積める

個人事業主は勤務時間や働く店舗を自分で選択しやすく、複数店舗との契約やイベントへの参加なども柔軟に対応しやすいです。また、業務に必要な備品代や交通費などを必要経費として計上できるため、事業にかかった費用を適切に反映できます。

さらに、自身の営業力や技術力次第で仕事の受注数を増やせるため、会社員よりも収入の増加を目指しやすい点も魅力です。将来的に自分のバーを開業したい方にとっては、店舗運営や顧客獲得の経験を積める貴重な機会にもなるでしょう。

個人事業主になるデメリット

一方で、個人事業主には以下のようなデメリットもあります。

  • ・収入が不安定になりやすい
  • ・確定申告を自分で行う必要がある
  • ・社会保険や年金を自分で管理する必要がある
  • ・病気やケガによる収入減少のリスクがある

個人事業主は毎月の収入が保証されておらず、仕事量や売上によって収入が変動します。また、帳簿作成や確定申告などの税務手続きを自身で行わなければなりません。会社員のように勤務先が社会保険の手続きを行わないため、国民健康保険や国民年金の加入・納付も自己管理が必要です。病気やケガで働けなくなった場合は収入が減少する可能性があるため、万が一に備えた資金管理も重要になります。

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個人事業主になった際の必要な手続きや準備

開業届の提出

バーテンダーとして個人事業主になる場合は、事業を円滑に運営するための準備を行うことが大切です。特に開業時は税務上の届出や収支管理の体制を整えておくことで、日々の経理や確定申告をスムーズに進めやすくなります。主な手続きや準備するとよいものは以下のとおりです。

  • ・開業届を提出する
  • ・青色申告承認申請書を提出する
  • ・事業用口座を準備する
  • ・会計ソフトを導入する

それぞれの内容について解説します。

開業届を提出する

所得税法により、事業開始日から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を所轄の税務署へ提出する義務があります。未提出に対する罰則はありませんが、開業届を提出することで事業開始日を明確にできるほか、青色申告の申請や屋号付き口座の開設などを行いやすくなります。バーを新規開業した場合だけでなく、業務委託契約で継続的にバーテンダー業務を行う場合でも、事業として収入を得ているのであれば開業届の提出を検討するとよいでしょう。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

関連記事:水商売の開業届に嘘の開業日を記入するとどうなる?リスクや訂正方法を解説

青色申告承認申請書を提出する

確定申告で青色申告を利用する場合は、開業届とは別に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。青色申告には、最大65万円の青色申告特別控除が適用される場合があるほか、赤字を翌年以降へ繰り越せるなどのメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。

  • ・最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
  • ・赤字を最長3年間繰り越せる
  • ・家族への給与を必要経費にできる場合がある(青色事業専従者給与)
  • ・事業の収支状況を把握しやすくなる

ただし、青色申告を利用するためには複式簿記による帳簿作成などが必要になるため、会計ソフトの活用がおすすめです。なお、青色申告の承認申請をしない場合は、その年の確定申告は自動的に「白色申告」扱いとなります。

参考:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

事業用口座を準備する

個人事業主になったら、プライベート用と事業用のお金を分けて管理できるよう、事業専用の銀行口座を用意しておくと便利です。個人口座と事業用口座を混在させると、どの支出が事業に関するものなのか判断しづらくなり、帳簿作成や確定申告の際に手間がかかります。例えば、以下のような取引を事業用口座にまとめることで管理しやすくなります。

  • ・バーテンダー業務の報酬入金
  • ・イベント出演料の受取
  • ・酒類や備品の購入代金
  • ・店舗家賃や通信費の支払い
  • ・広告宣伝費の支払い

事業のお金の流れを明確にすることで、売上や経費を把握しやすくなり、経理ミスの防止にもつながります。

会計ソフトの導入もおすすめ

個人事業主は日々の売上や経費を帳簿に記録し、確定申告に備える必要があります。そのため、開業初期から会計ソフトを導入しておくと経理業務を効率化できます。会計ソフトを利用する主なメリットは以下のとおりです。

  • ・売上や経費を簡単に記録できる
  • ・帳簿や決算書を自動作成できる
  • ・銀行口座やクレジットカードと連携できる
  • ・確定申告書類の作成を効率化できる
  • ・入力漏れや計算ミスを防ぎやすい

特にバーテンダーは、店舗勤務・イベント出演・出張サービスなど複数の収入源があるケースも少なくありません。取引件数が増えるほど手作業での管理は負担が大きくなるため、早い段階から会計ソフトを活用して記帳の習慣を身につけておくことが大切です。

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バーテンダーとして独立開業する際に必要な資金の目安

資金

バーを開業する際は、物件取得費や内装工事費・設備費などの初期費用が発生します。必要な資金は店舗の規模や立地によって異なりますが、一般的には数百万円から1,000万円以上かかるケースもあります。主な費用の例は以下のとおりです。

項目

費用の目安

物件取得費 50万円~300万円
内装工事費 100万円~500万円
厨房・設備費 50万円~300万円
酒類・備品の仕入れ 20万円~100万円
広告宣伝費 5万円~50万円
運転資金 100万円~300万円

バーテンダーが利用できる主な資金調達方法

バーの開業や独立にあたっては、自己資金だけでなく融資制度などを活用して資金を準備する方法があります。特に物件取得費や内装工事費・設備費などが必要になる場合があるため、事前に資金計画を立てておくことが重要です。主な資金調達方法は以下のとおりです。

  • ・自己資金
  • ・日本政策金融公庫の融資
  • ・銀行や信用金庫の融資
  • ・自治体の制度融資
  • ・補助金・助成金
  • ・クラウドファンディング

なかでも、創業時の資金調達先として利用されることが多いのが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は政府系金融機関であり、個人事業主や創業予定者向けの融資制度を提供しています。民間金融機関と比べて創業者向けの支援制度が充実しており、開業実績がない場合でも相談しやすい点が特徴です。

また、自己資金だけで開業資金を用意することが難しい場合は、銀行融資や自治体の制度融資を組み合わせる方法もあります。小規模事業者持続化補助金などの補助金制度を利用できるケースもあるため、利用できる制度がないか事前に確認しておくとよいでしょう。開業後は売上が安定するまで時間がかかることもあるため、設備費だけでなく数か月分の運転資金も含めて資金計画を立てることが大切です。

参考:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫

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個人事業主のバーテンダーは確定申告が必要

確定申告

個人事業主として活動するバーテンダーは、原則として自ら所得を計算し、確定申告を行う必要があります。会社員のように勤務先が年末調整を行ってくれるわけではないため、1年間の売上や必要経費を集計し、所得税を申告・納税しなければなりません。

ただし、すべてのケースで確定申告が必要なわけではなく、所得金額や収入状況によっては申告が不要な場合もあります。また、確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

確定申告が必要になるケース

個人事業主のバーテンダーは、1年間の所得(売上から必要経費を差し引いた金額)が基礎控除額を超える場合、原則として確定申告が必要です。例えば、以下のようなケースでは確定申告が必要になる可能性があります。

  • ・バーを経営して売上を得ている
  • ・業務委託契約でバーテンダーとして働いている
  • ・イベントやパーティーへ出張して報酬を受け取っている
  • ・副業としてバーテンダー業務を行っている

所得税が発生しない場合でも、金融機関の融資や各種手続きのために所得を証明したい場合は、確定申告を行うことがあります。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁

関連記事:何年も確定申告していない個人事業主は要注意!デメリットやペナルティなど徹底解説

確定申告が不要なケース

個人事業主であっても、年間所得が基礎控除額以下の場合は原則として所得税の確定申告は不要ですが、以下のようなケースもあるので注意が必要です。

  • ・住民税の申告が必要になる場合がある
  • ・国民健康保険料の算定資料として申告を求められる場合がある
  • ・副業の内容によっては別途申告が必要になる場合がある

所得税の確定申告が不要だからといって、すべての申告義務がなくなるわけではありません。自治体ごとのルールもあるため、必要に応じて確認しましょう。

参考:確定申告が必要な方|国税庁

白色申告と青色申告の違い

個人事業主が行う確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。それぞれの主な違いは以下のとおりです。

項目

白色申告

青色申告

事前申請 不要 必要
帳簿作成 比較的簡易 複式簿記などが必要
青色申告特別控除 なし 最大65万円
赤字の繰越し 不可 可能
必要経費の範囲 同じ 同じ

白色申告は事前手続きが不要で比較的簡単に始められます。一方、青色申告は帳簿作成の負担が増えるものの、青色申告特別控除や赤字の繰越しなどの制度を利用できます。継続的にバーテンダーとして活動する予定がある場合は、青色申告を選択する方も少なくありません。事業規模や経理体制に応じて、自分に合った申告方法を選ぶことが大切です。

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バーテンダーが経費にできるもの

経費にできるもの

個人事業主のバーテンダーは、事業に必要な支出を必要経費として計上できます。主な経費は以下のとおりです。

  • ・酒類やシロップ・果物などの材料費
  • ・グラスやシェーカーなどの備品
  • ・店舗家賃や間借り料
  • ・水道光熱費
  • ・SNS広告やホームページ制作費などの広告宣伝費
  • ・携帯電話料金やインターネット料金などの通信費
  • ・イベント出張や打ち合わせの交通費
  • ・カクテル講習会や酒類セミナーの参加費
  • ・制服やユニフォームなどの衣装代 など

これらは事業に必要な支出であれば経費として計上できます。ただし、衣装代については制服やユニフォームは経費になる可能性がありますが、プライベート利用が可能なスーツや私服は原則として経費になりません。

バーテンダーが経費計上で注意したいポイント

経費を計上する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • ・プライベート利用分は経費にできない
  • ・領収書やレシートを保管する
  • ・高額な設備は減価償却が必要になる場合がある
  • ・自宅を事業で使用している場合は家事按分が必要になる

経費として認められるのは事業に必要な支出のみです。また、経費の根拠となる領収書やレシートは必ず保管しておきましょう。なお、製氷機や冷蔵庫などの高額な設備は、購入時に全額を経費計上できない場合がある点に注意が必要です。自宅兼事務所の場合は家賃や通信費などを事業利用割合に応じて按分する必要があります。適切な経費管理を行うことで、スムーズな確定申告につながるでしょう。

参考:No.2210 必要経費の知識|国税庁

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バーテンダーとして独立する前に税金の知識を身につけよう

バーテンダー

バーテンダーは、自身でバーを開業するだけでなく、業務委託や出張サービスなどを通じて個人事業主として働くことができます。個人事業主になると働き方の自由度が高まる一方で、開業届の提出や確定申告・経費管理などを自ら行う必要があります。また、酒類の仕入れ費用や備品代・交通費など、事業に必要な支出は必要経費として計上できる場合があります。ただし、私的な支出との区分や領収書の保管などには注意が必要です。

これから独立を検討しているバーテンダーの方は、事業運営だけでなく税務管理についても正しく理解し、適切な申告を行える体制を整えておきましょう。


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