風俗は、ほかの仕事と比べて高い報酬をもらえるため、できるだけお金を稼ぎたいという理由から風俗で働く女性も少なくありません。
しかし、実は風俗でアルバイトをしていると思っていても、実際にはアルバイトという形態での仕事ではないケースがほとんどです。アルバイトの場合は、社員で働く場合と同様に、一定の額以上を稼いでいれば、雇用主である会社が源泉徴収をして所得税や住民税を支払います。そのため、風俗で働く人が確定申告をする必要はありません。しかし、風俗の仕事の多くはアルバイトではないため、一定額以上を稼いだときには風俗嬢として働く人が自分で確定申告をし、税金を納める必要があります。もし、確定申告をせず、税金を納めなかった場合にはペナルティが科されることになるため注意が必要です。
今回は、風俗嬢のアルバイトと確定申告の必要性などについて解説します。
目次
風俗嬢の仕事はアルバイトじゃない?
アルバイトとは、短時間の仕事をする人を指す言葉です。働く時間が短いという点では、パートと同じですが、日本では、短時間の仕事をする人のうち学生やフリーターをアルバイト、主婦をパートと呼ぶことが多くなっています。
アルバイトという働き方
アルバイトは、正社員に比べて短い時間、または少ない日数で働く人を指すことが多くなっています。しかし、中にはアルバイトでありながら、週に5日、1日8時間程度の仕事をする人がいるのも事実です。実際には、働く時間だけでアルバイトと正社員を区分するのではなく、時給制で働く人やシフトで働く人などをアルバイトということも多くなっています。
アルバイトと正社員の働き方や給与の計算方法などは違いますが、どちらも、会社と雇用契約を結んで働く働き方です。つまり、アルバイトも正社員も、会社が雇用主となり、会社に雇われて働く働き方です。そのためアルバイトとして働くときは、働いた時間に応じた「給与」が会社から支払われ、アルバイトで得たお金は「給与所得」に該当します。
風俗嬢の働き方
風俗嬢として働く場合、お店と雇用契約を結んで働くケースは少なく、多くの場合は、個人事業主という扱いで、業務委託契約を結んで働いています。お店は、個人事業主である風俗嬢に仕事を依頼し、風俗嬢はその依頼を受けて仕事をしたことに対してお店から報酬を受け取ることになります。
この形態で働く場合、お店から支払われた報酬から、お店に通うまでの交通費など、仕事のためにかかった費用を差し引いた額が所得となります。また、お店から支払われる報酬は給与所得ではなく「事業所得」または「雑所得」という扱いになる点にも注意が必要です。
風俗嬢と確定申告の関係
風俗嬢として働いている人でも、一定以上のお金を稼いでいる場合は、所得税や住民税を納める義務があります。
2026年現在は、1年間に95万円を超える所得を得ている場合、確定申告が必要です。
確定申告のルール
個人事業主の場合、毎年1月1日から12月31日までに得た所得について、翌年の2月16日から3月15日までに所得税の申告をし、納税をするルールです。ただし、最終日が土日に重なる場合は翌月曜日までが期限となります。
風俗嬢の確定申告のやり方
確定申告は、確定申告書を作成して、期限内に税務署に提出することで行います。確定申告書は紙で作成して提出する方法とパソコンやスマートフォンを使って作成する方法があります。パソコンやスマートフォンを使って作成する場合には、e-Taxというシステムを使って、税務署に足を運ぶことなく、データで申告書の提出ができます。
また、確定申告書を作成すると所得税の額が算出できるため、計算によって求められた所得税を期限までに納付しなければなりません。所得税は、自動車税などのように税務署から納付書が送られてくるわけではなく、確定申告で算出した金額をもとに自分で支払う必要があります。支払方法には、PayPayなどのスマホアプリを使用して納付する方法やコンビニの窓口で現金で納付する方法、インターネットバンキングを利用する方法などがあります。
確定申告が必要な風俗嬢とは
風俗嬢として働く人であっても、全員が確定申告をしなければならないわけではありません。一定の額以上の所得がなければ、確定申告は必要なく、納税の義務も発生しません。ただし、確定申告が必要になる所得金額は、風俗嬢を本業としているか、本業を別にもっているかによって変わってきます。
風俗嬢だけをしている人の場合
ほかの仕事をしておらず、風俗嬢の仕事だけをしている人は、1年間の所得額(報酬-必要経費)が95万円を超えている場合に確定申告が必要です。
例えば、風俗嬢として1年間に100万円の報酬を受け取ったけれど、お店まで通うための交通費に6万円がかかったという人で考えてみましょう。この場合、課税所得額は100万円-6万円=94万円となるため、課税所得額が95万円以下となり、確定申告は不要です。また、風俗嬢として1年間に100万円の報酬を受け取ったけれど、お店に通う交通費は3万円だったという場合、課税所得額は100万円-3万円=97万円となり、この人は確定申告が必要となります。
このように、確定申告は、報酬の合計額ではなく、報酬から経費を差し引いた年間の所得額で考える必要があります。そのため、同じ報酬を得ていても、経費の額によって確定申告が必要であるか不要か変わってきます。
本業の合間にアルバイト感覚で風俗嬢をしている人の場合
何らかの事情で昼間は会社員として働きながら、仕事が終わった後に風俗嬢として働いている人もいるでしょう。このような人の場合は、風俗嬢の仕事だけをしている人とはまた確定申告が必要になる所得の基準が変わります。
会社員が副業として風俗嬢をしている場合は、風俗で得た所得額が年間20万円を超える場合に確定申告をしなければなりません。このとき、注意しなければならない点は、確定申告書の書き方によって住民税の納付方法が変わるという点です。
本業の場合、会社から支払われる給与の中から所得税と同様に住民税も天引きされ、会社が個人に代わって自治体に住民税の納付をしています。この納付方法を「特別徴収」といいます。風俗で得た所得について確定申告をすると、その情報については自治体にも共有される仕組みです。自治体では、風俗で得た所得にかかる住民税の支払いを求めることになりますが、納付方法は本業の給与からまとめて差し引く「特別徴収」をする方法と、副業にかかる住民税だけ納税者が自分で納める「普通徴収」を選ぶことができます。
特別徴収の場合、風俗の所得も含めて住民税が計算されるため、住民税の額が高くなり、会社に副業がバレる可能性があります。会社に副業がバレるのを防ぐためには、確定申告をする際に、住民税の納付方法について選択する欄で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶようにしましょう。
ただし、特別徴収で住民税を納付する場合でも、絶対に会社に副業がバレるわけではありません。住民税額の増加に担当者が気付かなければ、特に副業を疑われることはないでしょう。また、副業についてバレた場合であっても、バレるのは副業所得があるという事実だけであり、風俗嬢という副業の内容まで会社にバレることはありません。
風俗嬢が確定申告をしないとどうなる?
風俗嬢が確定申告をしていない場合、次のようなリスクが生じます。
税務調査の対象となり、無申告加算税が課される
一定以上のお金を稼いでいる人は、所得税を納めなければならないルールです。確定申告をしていない場合はこのルールに違反した状態となります。
税務署では、正しく確定申告をしていない人の情報をあらゆるルートから収集しており、不正が疑われる人に対して税務調査を実施しています。税務調査では税務署の調査官が自宅などを訪れ、所得の状況について細かく調査を行います。税務調査を行う際には、銀行口座の入出金履歴やお店が支払った報酬の情報などについても調査を行っているケースが多く、お金をもらっていないといっても嘘がバレることとなります。
確定申告の期限内に確定申告をしていない状態を無申告といいます。税務調査で無申告が発覚した場合は、15%~30%の無申告加算税の納付が求められます。
無申告加算税の税率は、税額によって異なり、50万円以下の部分については15%、50万円超300万円以下の部分については20%、300万円を超える部分は30%となっています。
重加算税が課される場合もある
多額の所得について長年、確定申告をしていない場合や所得を隠すような不正行為が見られた場合は、無申告加算税よりさらに税率の重い重加算税が課される場合もあります。税務調査では、調査官はある程度の情報をもって調査を実施しています。風俗業の場合は、現金で報酬が支払われるケースもあります。現金での支払いであれば税務署にはバレないだろうと思って嘘をつくと、無申告加算税ではなく、重加算税が課される可能性があるため、税務調査では決して嘘をついてはいけません。
無申告加算税に代えて重加算税が課される場合の税率は、40%にも上ります。
延滞税が課される
確定申告をしていないことで科されるペナルティは、加算税の賦課だけではありません。無申告が発覚した際には、税金の納付が遅れていることに対してのペナルティである延滞税も求められます。
延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月までとそれ以降の2段階に設定されており、令和8年1月1日~12月31日までの税率については次のようになっています。
・納期限の翌日から2ヶ月まで 2.8%
・納期限の翌日から2ヶ月を過ぎて以降 9.1%
納期限の翌日から2ヶ月までとそれ以降では、税率が3倍以上にもなっており、納付が遅れるほど高い税率が適用されることになります。また、延滞税は、税金の納付が遅れたことに対する利息的な意味合いをもつ付帯税であり、納税が完了する日まで日割りで計算される点にも注意が必要です。
無申告のリスクについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
<関連記事>何年も確定申告していない個人事業主は要注意!デメリットやペナルティなど徹底解説
風俗嬢が税務調査のリスクを抑えるための対策
アルバイトのような感覚で風俗嬢の仕事を始めた人は、確定申告が必要なことに気が付いていないかもしれません。しかし、風俗嬢で年間95万円を超える所得を得ている場合は確定申告が必要です。また、会社員の人が副業として風俗の仕事をしている場合は、風俗の所得が年間20万円を超えたら確定申告をしなければなりません。
確定申告をしていない無申告状態の場合、上にご紹介したようなリスクが生じます。これらのリスクを最小限に抑えるためには、税務調査が入る前に期限後申告をすることが大切です。
期限後申告とは
期限後申告とは確定申告の期限を過ぎてから、申告書を提出し、納税をすることです。期限後申告をした場合でも、確定申告の期限内には申告を終えていないため、無申告加算税の賦課は免れません。しかし、税務調査が実施される前に自主的に期限後申告をする場合は、税務調査を受けて期限後申告をする場合に比べ、無申告加算税の税率は大きく軽減されます。税務調査の事前通知を受ける前に期限後申告をする場合の無申告加算税の税率は、税額にかかわらず5%となります。これまで正しく確定申告をしてこなかったようであれば、早めに期限後申告を行うことをおすすめします。
報酬の額が分からない場合
風俗店の中には報酬の明細を発行していないケースが少なくありません。また、報酬明細が発行されていても保管していないケースもあるかもしれません。正しい報酬額が分からない場合は、仕事をした日数などから年間の収入額を推計する方法で確定申告することもできます。対処方法などが分からない場合などは、税理士への相談をおすすめします。
税理士法人松本は、水商売や風俗業の方々の確定申告や税務調査を多数サポートしてきた実績をもつ税理士法人です。報酬の明細や経費の領収書がない方も、お気軽にご相談ください。
まとめ
風俗業で働く人の中には、アルバイトとして仕事をしていると思っている人もいるようです。しかし、短時間の仕事であっても風俗業の場合は、アルバイトではなく個人事業主という形で仕事をしているケースが多くなります。
そのため、風俗嬢としての仕事を本業としている人は年間95万円を超える所得を得ている場合、昼間は会社員として働き、副業として風俗の仕事に就いている人は年間20万円を超える所得を得ている場合に確定申告が必要です。
これまでアルバイトだと思い、確定申告をしてこなかったという方は早めに期限後申告を行いましょう。期限後申告のやり方が分からない場合はお気軽にご相談ください。
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