「うっかり確定申告を忘れてた」、「確定申告をしなければならないことに気が付いていなかった」
そんな理由から確定申告をしていない人もいるのではないでしょうか。確定申告をしていない場合、無申告加算税や延滞税が課される恐れがあります。そのため、ペナルティを避けるためには気が付いた時点でできるだけ早く期限後申告を行うことが大切です。では、確定申告は何年前までさかのぼれるのでしょうか。
今回は、確定申告は何年前までさかのぼれるのか、過去の年分についても確定申告をできる期間や申告時の注意点などについて解説します。
確定申告は何年前までさかのぼれる?
確定申告は過去の分までさかのぼって申告をすることができます。しかし、何年前までさかのぼれるのかは、確定申告をする目的や確定申告をする時期などによって変わってきます。
確定申告でさかのぼれる期間について、次の3つのパターンに沿ってご紹介します。
・確定申告をしていなかった年分についてさかのぼって確定申告をし、納税する場合
・税金の還付を求める申告を忘れていた場合
・過去に提出した確定申告の内容を修正したい場合
確定申告をしていなかった年分について、さかのぼって確定申告をし、納税する場合
所得税の納税に関する確定申告では、前年分の所得について翌年の2月16日から3月15日までに確定申告書の提出と所得税の納付を済ませなければならないルールです。しかし何らかの事情で確定申告をせず、税金を納めていなかった場合などは、過去5年分をさかのぼり、確定申告を行うことができます。この場合、期限を過ぎて行う確定申告を「期限後申告」といいます。
確定申告期間は2月16日から3月15日までと決められていますが、期限後申告は、過去5年分までであれば、いつでも申告を行うことができます。
ただし、期限後申告を行う際には、納付すべき税額に加え、無申告加算税と延滞税の納付が求められます。なぜなら、確定申告は期限が決められているにもかかわらず、期限までに申告と税金の納付を済ませていなかったからです。
参照元:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
税金の還付を求める申告を忘れていた場合
支払い過ぎた税金の還付を求める場合も確定申告が必要です。例えば、医療費控除について申告を忘れていた場合やふるさと納税の控除申請を忘れていた場合などは、確定申告をすれば納め過ぎた税金を返してもらうことができます。この手続きは還付申告と呼ばれます。
還付申告は、該当する年の翌年の1月1日から5年間、行うことができます。還付申告は確定申告期間中に行う必要はないため、さかのぼって申告をしても期限後申告をする際のようにペナルティが科されることはありません。
参照元:国税庁「No.2030 還付申告」
過去に提出した確定申告の内容を修正したい場合
期限内に確定申告はしていたものの、提出した確定申告書に誤りがあった場合は、正しく申告をし直す必要があります。ただし、一度提出した確定申告書を修正するパターンには、納税額が不足しているパターンと本来よりも多く納め過ぎたパターンの2つに分けられ、必要な手続きも変わってきます。納税額が不足している場合に必要な手続きは「修正申告」といいます。また、納税額が多過ぎた場合などに必要な手続きは「更正の請求」です。
・修正申告
まず、期限内の確定申告において、本来よりも申告額が低くなっていた場合は修正申告と呼ばれる手続きを行い、不足分の税金について追加で納付をします。修正申告は原則として、過去5年分についてさかのぼることができます。
修正申告は修正申告書を作成して提出します。税務調査の通知を受ける前に自ら修正申告を行った場合は、申告税額が不足していることに対して課される過少申告加算税は適用されません。しかし、税金の納付が遅れた状態となっているため、延滞税の納付が求められます。
参照元:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
・更正の請求
確定申告で本来よりも税金を多く申告した場合は、更正の請求を行い、納め過ぎた税金の還付を求めることができます。また、還付申告をしたものの計算ミスなどによって還付された金額が少なかった場合なども、更正の請求を行うことで、不足分の還付額の請求ができます。
更正の請求では、更正の請求をする理由を記載した更正の請求書を提出します。その際には、事実を証明する証拠書類の添付が必要です。税務署では、更正の請求書を受け取ると、証拠書類などと照合しながら請求の正当性について審査し、問題がなければ税金の還付を受けられます。
更正の請求でさかのぼれる期間は、確定申告義務があり、通常の確定申告をした人の場合は、法定申告期限から5年です。また、申告義務はなく、還付申告のみをした場合にさかのぼれるのは、申告書を提出した日から5年以内となります。
更正の請求の場合、確定申告の状況によってさかのぼれる期間が変わってくる点に注意が必要です。
参照元:国税庁「A1-2、H1-1 所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」
過去分をさかのぼって確定申告をする方法
ご説明してきたように、確定申告では過去5年分までさかのぼれます。ここではさかのぼって確定申告を行う方法について、ご説明します。
期限後申告のやり方
期限後申告用の特別な用紙は用意されておらず、対象年分の確定申告書を使用します。過去の年分の確定申告書は、税務署の窓口または国税庁のホームページからダウンロードできます。また、国税庁の確定申告書等作成コーナーで対象の年分を作成することも可能です。
紙の確定申告書が完成したら、税務署の窓口に持参するか郵送します。また、パソコンやスマートフォンで作成した場合は、e-Taxからオンラインで提出することも可能です。
過去の年分の確定申告書はこちらからダウンロードできます。
国税庁「確定申告書(令和6年分以前用)」
修正申告のやり方
修正申告では、対象年分の申告書第一表と第二表を正しい内容で作成し、税務署に提出します。修正申告についても修正申告書のフォームが用意されているわけではありません。税務署や国税庁のホームページからさかのぼって申告を行う分の確定申告書を入手し、第一表と第二表の表題部分の空欄に「修正」と記入して使用します。第二表にある特例適用条文等の欄に、修正申告を行う項目や理由を具体的に記載し、持参または郵送で税務署に提出します。
確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成した場合は、元のデータを読み込むと前回の入力内容が反映されるため、修正したい箇所だけ修正でき、手間をかけずに修正申告書を作成できます。修正申告書もe-Taxで提出が可能です。
還付申告のやり方
還付申告をする際も必要になるのは、対象年分の確定申告書です。さかのぼって申告を行う分の確定申告書を用意し、必要事項を入力して税務署に提出します。還付申告については「還付される税金の受取場所」の欄に銀行口座を記入することを忘れないようにしましょう。
還付申告についても、紙で作成する方法のほか、確定申告書等作成コーナーなどを利用し、e-Taxで提出することもできます。
更正の請求のやり方
更正の請求については、確定申告書ではなく、対象年分の更正の請求書を作成し、税務署に提出する必要があります。更正の請求書は、税務署で入手できるほか、国税庁のホームページからもダウンロードが可能です。また、確定申告書等作成コーナーで作成し、e-Taxで提出することもできます。尚、更正の請求書を提出する際には、返還を求める根拠となる証拠書類の添付を忘れないようにしましょう。
国税庁「A1-2、H1-1 所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」
確定申告をさかのぼって行う場合の注意点
確定申告をさかのぼって行う場合には、いくつか注意しなければならない点があります。
期限後申告には無申告加算税が課される
確定申告の期限内に申告を行っておらず、期限を過ぎてから過去の分もさかのぼって申告を行う場合、無申告加算税が課されます。無申告加算税の税率は、期限後申告を行ったタイミングによって変わってきます。
・税務調査を受け、無申告を指摘されてから期限後申告を行う場合
50万円以下の部分については15%
50万円超300万円以下の部分については20%
300万円を超える部分については30%
・税務調査の事前通知を受けてから自主的に期限後申告をする場合
50万円以下の部分については10%
50万円超300万円以下の部分については15%
300万円を超える部分については25%
・税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をする場合
税額にかかわらず一律5%
また、確定申告の義務を理解しながら長年に渡って確定申告をしてこなかった場合や所得の仮装・隠蔽などの不正行為が発覚した場合は、脱税の罪に問われる可能性があります。
脱税については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
<関連記事>脱税しても時効が成立すれば罪にならないって本当?何年待てばよい?
事前通知後・税務調査後の修正申告には過少申告加算税が課される
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は課されません。しかし、事前通知後や税務調査後に修正申告を行った場合には過少申告加算税の納付が求められます。過少申告加算税の税率は次のとおりです。
・税務調査を受け、指摘を受けてから修正申告を行う場合
当初申告額と50万円のいずれか大きい額まで 10%
当初申告額と50万円のいずれか大きい額を超える部分 15%
・税務調査の事前通知を受けてから自主的に修正申告を行った場合
当初申告額と50万円のいずれか大きい額まで 5%
当初申告額と50万円のいずれか大きい額を超える部分 10%
青色申告特別控除を適用できない
青色申告をしている人の場合、さかのぼって確定申告をすることはできますが、その場合、青色申告特別控除を適用させることはできません。
青色申告特別控除は、個人事業主が確定申告をする際に適用できる節税制度です。記帳方法や申告方法などの要件を満たすと、65万円、55万円、10万円のいずれかの金額を所得から差し引くことができます。青色申告特別控除を適用させると、課税対象となる所得額が圧縮されるため、所得税はもちろん、住民税の負担額も大きく減らすことができます。
ただし、青色申告特別控除を適用できるのは、確定申告期間内に申告を行った場合に限られます。期限後申告を行う場合は、期限までに確定申告を済ませていない状況となるため、青色申告特別控除を適用することはできません。青色申告特別控除を適用できなければ、課税所得額を減らせないため、期間内に申告する場合に比べて納税額の負担が大きくなります。さらに、無申告加算税と延滞税も賦課されるため、負担する税金の額はより大きくなります。
更正の請求には審査がある
支払った税金が多過ぎたために還付を求める更正の請求は、請求したからといって必ず税金が返還されるわけではありません。更正の請求理由が不明瞭な場合や添付書類によって更正の請求に該当する事実が認められない場合は、税金が還付されないのです。
更正の請求は、一度納めた税金の返還を求める手続きであり、税務署でも慎重に審査を行う傾向がある点を理解しておきましょう。
確定申告をさかのぼるときには住民税の負担も発生する
所得税の確定申告を行うと、課税所得額についての情報は自治体と共有されます。そのため、確定申告を行うときには、住民税の申告を個別に行う必要はありません。
確定申告をさかのぼって行うときも、課税所得額の情報は自治体に共有され、税務署からのデータをもとに自治体では住民税を計算します。期限後申告を行う場合には課税所得額に応じた住民税の納付、修正申告を行った場合は増えた課税所得額に応じた所得割分の住民税の追加納付が求められます。
また、住民税については過少申告加算税や無申告加算税といったペナルティはないものの、住民税の納付が遅れたことに対するペナルティとして延滞金が課される場合がある点を覚えておいた方がよいでしょう。
ただし、さかのぼっての確定申告でも、更正の請求をした場合や還付申告をした場合などは、納め過ぎた住民税が返金される可能性があります。
まとめ
確定申告は原則として5年前までさかのぼれます。しかし、確定申告の義務のない人が還付申告をし、還付された税額が不足していたために更正の請求を行う場合は、法定申告期限から5年ではなく、確定申告書を提出した日から5年以内になる点に注意が必要です。
期限までに確定申告をしていない場合や期限内に申告はしているものの申告税額が少ない場合などは、ペナルティが科されます。しかし、税務調査が入る前に自主的に申告をし直すことでペナルティが軽減されるため、過去分についての申告や修正がある場合には早めに正しい申告書を提出するようにしましょう。
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