キャバクラやガールズバーなど、複数のお店を経営している人の場合、店舗を巡回するために自転車を利用することもあるでしょう。また、お店で急なトラブルが発生した場合や食材、備品などの購入時に自転車を利用するケースもあります。

事業のために購入したものや使用したものは、経費として扱えますが、10万円以上のものについては減価償却をし、法定耐用年数に合わせて経費計上を行うルールとなっています。では、自転車を減価償却する際には、どのように計算すればよいのでしょうか。

今回は、自転車の減価償却の計算方法や法定耐用年数などについて解説します。

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自転車は経費計上できる?減価償却とは?

事業で使用する目的で取得した自転車の購入費用は、経費として扱うことができます。しかし、自転車の購入費用を経費に計上できる場合でも、全額をまとめて経費に計上できる場合と法定耐用年数に分けて経費に計上しなければならない場合があります。まずは、自転車の経費計上のルールから確認していきましょう。

自転車の購入費を経費に計上する際のルール

法人を立ち上げて、キャバクラやホストクラブ、ガールズバーなどを経営している人が事業のためだけに使用する自転車を購入した場合は、全額を経費に計上することが可能です。

一方、個人事業主としてお店を運営している人の場合は全額を経費に計上するのではなく、事業で使用する分の割合のみを経費に計上できます。

減価償却とは

減価償却とは、資産を購入した際に、購入費用をまとめて経費に計上するのではなく、資産ごとに決められている耐用年数に分けて、毎年の費用として経費に計上する方法です。これは、資産の価値は時間の経過とともに減少するという考えに基づいた会計処理の方法となります。

減価償却の考え方は、建物を基準に考えると理解しやすくなります。住宅などの不動産は減価償却の対象となりますが、同じ場所に建つ、同じ面積の建物でも、新築物件と築50年の物件では、同じ価値にはなりません。中古物件として売り出される際には、当然、時間が経った築50年の物件の方が価格は低くなるでしょう。

しかし、固定資産に該当するものすべてに減価償却での処理を適用できるわけではありません。減価償却の対象となる資産は、事業のために使用する資産のうち、時間の経過とともに価値が減少し、使用期間が1年以上、かつ取得価額が10万円以上の固定資産です。

例えば、土地は、取得価額が10万円以上で使用期間が1年以上となるケースが多くなります。しかし、土地の価値は時間の経過とともに減少するわけではありません。そのため、土地を減価償却の対象に含めることはできないのです。

減価償却の対象となる自転車とは

自転車も、時間の経過とともに価値が減少する点、使用期間が1年以上である点は減価償却対象資産の要件を満たしますが、取得価額が10万円以上であるかどうかは、自転車によって異なります。

電動自転車の場合は取得価額が10万円を超える可能性が高いでしょう。しかし、前にかごが付いているシティサイクルといわれる自転車の場合、相場は数万円で、10万円を超えるものは多くはありません。10万円未満の自転車に関しては減価償却の適用外となるため、その場合は、経費として購入した年に購入費用を計上することとなります。

また、クロスバイクやロードバイク、マウンテンバイクなどは10万円を超えるものが多くあります。プライベートでは一切使用しておらず、事業のためだけに使用しているのであれば、そのような自転車は減価償却の対象となります。しかし、あまりに高額な自転車の場合は、税務調査で厳しくチェックされる可能性が高いため、注意が必要です。

自転車の法定耐用年数は?

減価償却とは、固定資産を耐用年数に分けて経費に計上する会計処理方法です。法定耐用年数とは、固定資産を使用できるとして国が定めた期間のことであり、実際に資産を使用できる期間とは異なります。

法定耐用年数は、固定資産の種類によって細かく区分されており、自転車の法定耐用年数は2年です。

参照元:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表

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自転車の減価償却費の計算方法

減価償却費は、取得価額と耐用年数をもとに計算します。自転車の場合は、自転車の購入費用と耐用年数2年をもとに減価償却費を計算することとなります。

減価償却費の2つの計算方法

減価償却費には「定額法」と「定率法」の2つの計算方法があります。

・定額法の計算方法

定額法とは、毎年、同じ額を減価償却費として経費に計上していく方法です。定額法では減価償却費を次の計算式で求めます。

減価償却費=取得価額×定額法の償却率

減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第八では、減価償却資産の定額法の償却率を耐用年数ごとに一覧にまとめています。自転車の法定耐用年数は2年であり、償却率は0.5となっています。

したがって、15万円の自転車を取得した場合の減価償却費は「15万円×0.5=7.5万円」となり、この場合は、自転車を購入した年、翌年の2年にわたって、7.5万円ずつを経費に計上することとなります。

参照元:e-GOV「減価償却資産の耐用年数等に関する省令

・定率法の計算方法

定率法は、毎年一定の額ではなく、期首の未償却残高に一定の割合を乗じて算出される減価償却費を計上する方法です。毎年同じ額を経費に計上する定額法とは異なり、減価償却費は未償却残高が大きい1年目に経費に計上できる額が最も高く、年を追うごとに減価償却費として計上できる額は減少していきます。

定率法による減価償却費は以下の式で計算できます。

減価償却費=(取得価額-前年までの減価償却累計額)×定率法の償却率

定率法の償却率も定額法の償却率と同様、減価償却資産の耐用年数等に関する省令で決められています。耐用年数2年の自転車の償却率は1.000です。したがって、定率法で15万円の自転車の減価償却をする際には、次のように計算できます。

1年目 15万円×1.0=15万円

2年目 0円×1.0=0円

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自転車の減価償却費の計算方法の選び方

ここまでご説明してきたように、同じ金額の自転車を購入した場合でも、定額法で計算をするか、定率法で計算をするかによって減価償却費として経費に計上できる額は変わってきます。では、自転車の減価償却をする際には、どちらの計算方法を選べばよいのでしょうか。

法人の場合は原則として定率法

法人の場合は、原則として「機械設備」、「車両運搬具」、「工具器具備品」の減価償却資産については定率法で計算するとされています。

ただし、定額法での計算を希望する場合は、税務署に「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで、定額法を用いた減価償却が認められます。

また、建物や建物付属設備、構築物、ソフトウェアなどは法人でも、必ず定額法で計算しなければなりません。そのほか、無形固定資産と呼ばれる特許権や商標権、営業権、借地権なども必ず定額法で計算するルールです。

参照元:国税庁「A1-19 所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続

個人事業主の場合は原則として定額法

個人事業主の場合は、原則として減価償却資産は定額法で計算するとされています。ただし、法人同様、定率法での計算を希望する場合は、税務署に「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出すれば定率法で減価償却費を計算することも可能です。

しかし、法人同様、建物や建物付属設備、構築物、ソフトウェアなどの無形固定資産については、届出をしても定率法で計算することはできません。

10万円以上20万円未満の自転車の減価償却方法

10万円以上20万円未満の自転車については、一括償却資産として扱うことができます。一括償却資産とは、法定耐用年数に関わらず、取得した年から3年にわたって、取得価額の1/3ずつを均等に経費に計上できるルールです。15万円の自転車を購入したのであれば、毎年5万円ずつを3年にわたって減価償却することができます。

10万円以上40万円未満の自転車の減価償却方法

取得価額が10万円以上40万円未満の自転車を購入した場合は、少額減価償却資産の特例と呼ばれる措置を利用し、自転車を購入した年に、購入費用を全額経費に計上することも可能です。ただし、少額減価償却資産の特例を利用できるのは、青色申告をしている中小企業又は個人事業主です。

従来、少額減価償却資産の特例が適用できるのは、30万円未満の固定資産を取得した場合に限られていましたが、2026年度の税制改正によって上限額が40万円未満まで引き上げられています。したがって、2026年4月1日以降であれば、10万円以上40万円未満の自転車は、少額減価償却資産の特例を使って購入年度に一括して経費に組み入れることができます。しかし、2026年3月31日までに取得した自転車については、少額減価償却資産の特例が適用できるのは30万円未満であることに注意が必要です。

なお、少額減価償却資産の特例には年間限度額が設定されており、少額減価償却資産の特例を適用できるのは年間300万円が上限となります。

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自転車の具体的な減価償却費の計算方法

自転車の法定耐用年数は2年であり、法人の場合は原則として定率法、個人事業主の場合は原則として定額法で減価償却費を計算するルールです。しかし、実際に減価償却費を計算する際には、自転車を購入した月も反映させなければならない点に注意しなければなりません。

減価償却費の計算には取得日を考慮する必要がある

例えば、1月に自転車を購入した場合は、12月まで12ヶ月間にわたって使用できるため、上にご紹介したような計算方法で減価償却費を計算して問題ありません。しかし、年の途中で自転車を購入した場合には、購入した月を考慮して減価償却費を計算しなければなりません。

ここでは、次の条件で自転車を購入した場合の減価償却費の具体的な計算方法について、

法人と個人事業主に分けて説明します。

・自転車の購入価格 15万円

・購入した月 4月

・耐用年数 2年

法人の場合

事業年度を4月~3月と設定している法人の場合は、4月に自転車を購入すると、期首から自転車を保有することになるため、定率法では、はじめに示した例のように計算できます。

1年目 15万円×1.0=15万円

2年目 0円×1.0=0円

定率法で計算する際は、自転車の法定耐用年数が2年となるため、一括償却資産として扱う場合や少額減価償却資産の特例を活用する場合も、同じように自転車を購入した年に全額を経費として計上できます。

個人事業主の場合

個人事業主の場合は、法人のように自由に事業年度を設定することはできません。個人事業主の事業年度は1月~12月と限定されるため、4月に自転車を購入した場合、自転車を所有する期間は12ヶ月のうち9ヶ月となります。

したがって、購入した年に経費に計上できる減価償却費は、定額法で計算すると次のようになります。

15万円×0.5(償却率)×9/12=5万6,250円

また、翌年には1年間保有していることになるため、計上できる金額は次のように計算できます。

15万円×0.5×12/12=7万5,000円

さらに、自転車の法定耐用年数は2年間です。1年目と2年目では21ヶ月分のみの減価償却費の計上となるため、3年目に残りの3ヶ月分だけを減価償却費として計上する必要があります。この場合の計算は、以下のようになります。

15万円×0.5×3/12=1万8,750円

したがって、3年目は1万8,750円を減価償却費として計上することが可能です。

3年分を合計すると、

5万6,250円+7万5,000円+1万8,750円=15万円(購入金額)

となります。

20万円未満であれば一括償却資産として扱うと計算が簡単に

法人でも個人事業主でも減価償却資産として計算をする際には、自転車を取得した月を考慮したうえで毎年の減価償却費を計算しなければなりません。自転車の法定耐用年数が2年であっても取得した月によっては3年にわたって経費に計上する必要があり、計算の手間も発生します。そのため、自転車の取得価額が10万円以上20万円未満であれば、初年度に一括して経費に計上する一括償却資産として扱った方が計算の手間も省け、翌年度以降の計上漏れといったミスも減らせるでしょう。

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まとめ

事業のために自転車を購入した場合、自転車の購入費用は経費に計上できます。しかし、自転車の購入価格によって、消耗品として扱うか、固定資産として扱うか、経費計上方法が変わってきます。

10万円未満の自転車であれば、減価償却の対象資産とはならないため、購入した年に全額を経費に計上できます。また、10万円以上の自転車の場合は、固定資産として扱い、減価償却を行わなければなりません。ただし、20万円未満であれば一括償却資産として、3年にわたって均等に経費計上することが可能です。また、青色申告をしている中小企業や個人事業主の場合は、20万円以上40万円未満の自転車でも少額減価償却資産の特例を利用し、購入年に取得価額をまとめて経費に計上できます。

複雑な計算はミスを招く原因となるため、自転車を購入した際には一括償却資産として扱うか、少額減価償却資産の特例を利用するとよいでしょう。


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