ナイトワークで働く方の中には、夜職を本業としている人のほか、日中は別の仕事に就き、夜の空いている時間を利用してキャバクラやスナックなどで働く人も少なくありません。働き方改革の推進に伴って副業を認める会社が多い中、ダブルワークとして時間的に都合が付けやすく、短時間で効率よくお金を稼ぎやすいナイトワークを副業に選ぶ人が多いのです。
そこで気になるのが副業で稼いだお金にかかる税金です。副業所得は20万以下であれば所得税の確定申告は不要だと言われています。では、住民税についても副業所得が20万以下であれば申告の必要はないのでしょうか?
また、副業解禁の企業が増えているとはいえ、ナイトワークで働いていることを昼の会社には知られたくないと考える人が多いようです。中には、確定申告や住民税の申告をすると、会社に副業がバレるのではと不安になっているケースも見られます。
今回は、副業所得が20万以下の場合の住民税や所得税の申告の有無、住民税の申告で副業が会社にバレる理由などについて解説します。
住民税とは
住民税とは、地域社会の維持にかかる費用を地域に居住する人が負担するための税金です。毎年1月1日時点で居住している都道府県と市町村に、都道府県民税と市町村民税を合わせて納付します。
住民税の仕組み
住民税は、「均等割」と「所得割」の2つで構成されています。このうち、均等割は、所得額に関わらず住民に対し一定の金額が課されるものです。一方、所得割は前年の所得額に税率をかけて算出されます。したがって、所得割の額は所得額が増えるほど多くなる仕組みです。
副業をしていれば、当然、副業分の所得が増えるため住民税の所得割は増えることになるでしょう。
では、副業をしている人の場合、必ず住民税の納付が必要になるのでしょうか?
副業所得の20万円と住民税の関係
所得税の場合、副業所得が20万円を超えるときには、確定申告をして所得税を納付しなければならないルールです。ひるがえせば、副業所得が20万以下であれば確定申告の必要はなく、副業にかかる所得税は納付する義務がありません。
では、住民税に関しても副業所得が20万以下であれば、申告は不要なのでしょうか。
住民税は副業所得が20万以下でも申告が必要
副業所得が20万以下であれば、確定申告をする必要はありません。これは所得税には、20万以下については申告不要の特例が適用されるためです。しかし、この特例は所得税に適用されるものであり、住民税には適用されません。そのため、住民税については、副業の所得が20万以下であっても申告の義務があります。つまり、1円でも副業所得がある場合には、住民税の申告をしなければならないのです。
住民税の申告期間
本業で会社員として働いている人の場合、住民税は会社から支払われる給与から天引きされ、会社が個人に代わって自治体に納付する仕組みとなっています。そのため、会社員が自分で住民税の申告をして納付する機会はほとんどありません。
住民税の申告期間は、所得税の確定申告と同じ2月16日から3月15日までです。ただし、所得税は、確定申告期間内に納付が求められるのに対し、住民税の納付期限は納付方法によって変わってきます。
住民税の2つの納付方法
住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。
普通徴収
普通徴収とは、自治体から送付される住民税の納税通知書を使用し、自分で納税をする方法です。納付方法は自治体によって変わってくるものの、金融機関やコンビニエンスストアの窓口で現金払いをする方法のほか、スマホ決済アプリやクレジットカード、インターネットバンキング、口座振替などで納付する方法があります。支払い方法は6月、8月、10月、1月の4期に分けて分割納付する方法と、まとめて一括で納付する方法があり、状況に合わせて支払い方法を選択できます。
特別徴収
特別徴収とは、給与から住民税を天引きし、会社が個人に代わって納付する方法です。昼間に会社員として働いている人の場合は、この特別徴収と呼ばれる方法で住民税を納付しています。
副業をしている場合は、副業の所得にかかる住民税も合わせて特別徴収という形で、本業の給与から天引きし、会社から納付することも可能です。また、副業の所得分のみを普通徴収にして、本業にかかる住民税は会社から納付し、副業にかかる住民税のみを自分で納付することもできます。
副業にかかる住民税の申告方法と納付方法
副業所得が20万円を超えていても20万以下であっても、住民税は申告しなければなりません。しかし、副業所得が20万円を超えているか20万以下であるかによって住民税の申告方法は変わってくる点に注意が必要です。
副業所得が20万円を超える人の場合
副業所得が20万円を超える人の場合、住民税だけでなく、所得税の納付も必要です。所得税の納付には確定申告が必要となります。
確定申告期間は毎年原則として2月16日から3月15日までです。ただし、期限が土日に重なる場合などは翌月曜日に変更されます。この期間に所得税の確定申告書を作成し、税務署に提出したうえで、所得税の納付をしなければなりません。
所得税の確定申告をした人は、住民税の申告は不要です。これは、住民税の納付義務が免除されるという意味ではありません。確定申告書を提出した場合、税務署から課税所得についての情報が自治体に共有される仕組みとなっているため、確定申告書を提出している人は改めて住民税の申告は行う必要がないのです。
また、確定申告書には住民税の納付方法について普通徴収または特別徴収を選択できる欄があります。このとき、副業をしていることを会社に知られたくないという人は普通徴収を意味する「自分で納付」を選択すると、自宅宛てに納税通知書が送付され、会社にバレることなく、自分で住民税を納付できるようになります。
住民税の納税通知書を受け取ったら、都合のよい方法で期日までに住民税を納付しましょう。
副業所得が20万以下の人の場合
副業所得が20万以下の人は、所得税の納税は免除されるため、確定申告をする必要はありません。しかし、住民税の申告義務はあるため、確定申告と同じ2月16日から3月15日までの間に住民税の申告を行う必要があります。
住民税の申告は、市役所の市民税課、市税事務所などに住民税申告書を提出することで行います。自治体によって住民税申告書の提出場所が変わってくるため、事前にホームページなどで確認をしておくとよいでしょう。
住民税の申告は、紙の書類を作成して提出する方法と地方税ポータルシステム「eLTAX」を利用して申告する方法があります。紙の申告書を作成する場合は、住民税の申告書は自治体のホームページからダウンロードするか、窓口で入手できます。また、eLTAXは、パソコンだけでなく、スマートフォンからも利用でき、24時間いつでも申告書を提出できるため便利です。そのほか、自治体によっては独自のオンラインシステムを用意しているところもあるため、事前にホームページで確認をしておくと安心です。
住民税申告書でも納付方法を選択できるため、本業の会社からではなく、自分で納付したい場合には「自分で納付(普通徴収)」を選択することを忘れないようにしましょう。
住民税の申告に必要な書類
住民税の申告にあたっては、次のような書類が必要です。
・本人確認書類
・マイナンバーが分かる書類
・収入を証明する書類(源泉徴収票や報酬明細書など)
・各種控除を受けるための証明書
ただし、自治体によって必要となる書類が変わる場合もあるため、事前の確認をおすすめします。
副業をしている人が住民税の申告をする際の注意点
住民税は副業の収入ではなく、所得に対して課されます。経費を差し引かず、お店から支払われた報酬をそのまま所得として扱うと、課税所得額が高くなり、納付すべき税額も高くなってしまいます。住民税の申告をする際には、経費として扱える支出については、漏らさず経費として計上することが節税につながります。
副業所得とは
所得と収入は混同しやすい言葉ですが、両者には明確な違いがあります。所得とは、1年間の収入から、収入を得るためにかかった経費を差し引いた額のことです。所得税や住民税は、所得額をもとに算出されます。
したがって、ナイトワークで副業をしている人の場合もお店から受け取っている報酬の合計額に住民税が課されるわけではありません。住民税が課税されるのは、お店から支払われた報酬から仕事のために自分で支払った経費の額を差し引いた所得額となります。
夜職が経費に計上できる支出
夜職といってもさまざまな職種があるため、必要になる経費も職種によって変わってきます。ここでは、キャバ嬢やラウンジガールとして働く人を例に、経費として計上できる支出をご紹介します。
ナイトワークで接客業に就いている人が経費にできる支出は次のようなものです。
・携帯電話の料金
・お店までの交通費
・仕事が終わった後の交通費
・お客様のために購入したプレゼント代
・お客様との食事代
・衣装の購入費やレンタル費
・ヘアメイク代
それぞれの詳細についてご説明します。
携帯電話の料金
お客様への営業連絡に使用するスマートフォンの通話料や通信料は、仕事のために必要となった支出のため、経費に計上できます。副業専用の携帯電話を契約している場合は、携帯電話の料金を全額経費に計上することが可能です。ただし、プライベートな目的で使用した分については経費に計上することはできません。
お店までの交通費
本業の仕事を終えてからお店に向かうまでにかかる電車代やバス代などの交通費も経費に計上できます。
仕事が終わった後の交通費
ナイトワークの場合、仕事を終える時間が遅いために、帰宅するには電車やバスなどが終わってしまい、タクシーを使わざるを得ないこともあるでしょう。電車やバスといった公共交通機関に支払った交通費はもちろんですが、終電がなくなった場合のタクシー代も経費として計上することができます。
お客様のために購入したプレゼント代
お客様の誕生日やバレンタインデーなどには、お客様にプレゼントを用意することがあります。これらのプレゼントの購入費も仕事のために使ったお金として認められるため、経費として扱えます。ただし、友人へのプレゼント代、自分が使用するものの購入費用などはプライベートな支出となるため、経費としては扱えません。
お客様との食事代
出勤前などにお客様と食事をし、そのままお店に入ることもあるでしょう。その際の食事代を負担した場合は、食事代も経費として扱えます。ただし、食事代についても友人や同僚との食事にかかった費用などは仕事には関係ないため、経費計上は認められません。
衣装の購入費やレンタル費用
ナイトワークでは、接客時に普段は着用しない華美なドレスなどを着る機会が多くあります。これらのドレスを購入した費用やレンタルした費用も経費計上が可能です。また、ドレスをクリーニングに出す場合などは、クリーニング代も経費として扱えます。
ただし、プライベートで着用している衣服を副業でも使用しているような場合は、衣服の購入代は経費としては扱えません。
ヘアメイク代
昼間の仕事では、あまり華美なメイクやヘアスタイルをすることはできないため、ナイトワークの出勤前に美容室でヘアメイクをお願いしている人もいるかもしれません。夜職の出勤に備えたヘアメイクの料金は経費に計上できます。しかし、ヘアカラーやヘアカット代など、仕事のためとは言い切れない支出に関しては経費として扱えません。
ナイトワークの副業については以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひご一読ください。
<関連記事>キャバ嬢の副業は確定申告が必要?メリットやおすすめのやり方を解説
まとめ
本業があり、夜職で副業をしている人は、年間の所得額に関わらず住民税の納付義務が生じます。副業所得が年間20万円を超える人は、確定申告を行うことで自動的に課税所得額が自治体に通知されるため、改めて住民税の申告をする必要はありません。一方、副業所得が年間20万以下の人は所得税の確定申告は免除されるものの、住民税は納付しなければならず、自治体に住民税の申告書を提出する必要があります。
住民税の申告書は、各自治体のホームページからダウンロードするか、窓口で入手することが可能です。また、eLTAXを利用すれば、パソコンやスマートフォンから24時間申告できます。
住民税の申告を怠った場合、ペナルティとして延滞金の納付を求められる可能性があるため、副業で所得を得ている人は副業所得が年間20万以下であっても、住民税の申告を忘れずに行うようにしましょう。
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