キャバクラやホストクラブなどで働いていると、お客様からブランド品のプレゼントをいただく場合があります。また、頑張って働いた自分へのご褒美として、ブランド品のアクセサリーやバッグなどを購入することもあるでしょう。
しかし、流行は常に変わっていくため、少し前まではお気に入りだったネックレスやバッグなども使用頻度が少なくなり、保管しているだけになるケースは少なくありません。使わなくなった高級ブランドのバッグや財布、靴、アクセサリーなどは、買取業者に買取を依頼すると現金に換えることができます。そのため、不要なものを買取業者に積極的に売却している人も少なくないのではないでしょうか。
しかし、ブランド品などを買取業者に売却した場合、確定申告をしなければならないケースがあることを知っていますか?
今回は、買取業者を利用した場合の確定申告の必要性や確定申告をしなかった場合に税務署にバレる可能性について解説します。
目次
買取業者に売却したら確定申告は必要?
最近は、買取業者のテレビCMが流れることも多くなりました。買取方法も店頭に持ち込む方法から、宅配便で送付するだけで査定を受けられる方法なども登場し、より気軽に買取業者を利用できる環境となっています。
では、買取業者にブランド品などを売却してお金を受け取ったら、確定申告は必要になるのでしょうか?
生活用動産の売却なら確定申告は不要
生活用動産とは、日常生活を送るうえで通常必要と認められる動産のことです。具体的には次のようなものが生活用動産に該当します。
・テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、掃除機などの家電
・ソファーやテーブル、ベッドなどの家具
・ジャケットやコート、ワンピース、パンツ、スカート、バッグ、靴などの衣類
・比較的値段の安いピアスやネックレス、指輪、ブレスレットなど
・通勤などに必要な自転車、バイク、自動車などの車両
・書籍や楽器、スポーツ用品など生活の質を高める道具や趣味のための物品
これらの生活用動産として認められるものであれば、売却しても課税対象となることはないため、確定申告は不要です。
ブランド品やジュエリーは生活用動産に該当しない場合も
生活用動産であれば、売却をして現金を得ても、課税の対象とはなりません。そのため、バッグやアクセサリーを売っても、確定申告は不要だと思うケースもあるでしょう。しかし、ブランド品を売却する際には、アクセサリーや時計などでも、生活用動産には含まれないケースがあるため注意が必要です。
国税庁では、「貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得」は、課税の対象となる旨が示されています。例えば、ブランド品でも、宝石や金などが使用され、1つあたりの買取額が30万円を超えるアクセサリーの場合、生活用品には該当しないとみなされるため、売却で得た利益は、確定申告の対象となるのです。
また、転売目的で収集したものや投資目的で収集したものなどについても、生活に必要なものとは認められないため、売却で利益を得ると課税の対象となる可能性があります。
生活用動産以外のものを売却したら確定申告が必要
生活用動産と認められるものは、買取額がいくらになっても確定申告は不要です。しかし、生活用動産以外のものを売却した場合は、確定申告をして税金を納めないと、税務署にバレる可能性があります。
ブランド品の場合であれば、買取価額が1点あたり30万円を超えるネックレスやペンダント、ピアス、指輪、ブレスレットなどは、確定申告の対象です。また、文字盤などに宝石を使ったブランド品の腕時計なども、生活用動産には該当しない可能性があるため、買取価額が30万円以上となれば、確定申告に含めなければなりません。
ブランド品の買取で得た利益にかかる税金とは
生活用動産には含まれないブランド品を買取業者に売却し、お金を受け取った場合、その利益は「譲渡所得」に該当します。
譲渡所得とは
譲渡所得とは、土地や建物、株式、ゴルフ会員権、貴金属、宝石などの資産を譲渡した際に生じる利益のことです。譲渡とは、資産の所有権を移すことを指し、買取業者への売却も譲渡の対象となります。
譲渡所得の課税方法と確定申告方法
譲渡所得の課税方法には、総合課税と分離課税の2種類があります。総合課税とは、他の所得と合計して求めた総所得金額を対象に納税額を計算する方法であり、申告分離課税は、他の所得とは合算せず、対象の所得だけで税額を計算する方法です。
土地や建物などの不動産を売却した場合に生じる譲渡所得は、申告分離課税の対象です。一方で、ジュエリーなどの買取依頼で得た利益は総合課税の対象となります。
キャバクラやホストなどのキャストとして働く方の場合、ほとんどがお店とは業務委託契約を結び、個人事業主という形でお店から報酬を受け取っています。お店から支払われる報酬から、仕事のためにかかった費用を差し引いた額は、事業所得に該当します。買取業者から受け取った生活用動産以外の売却益は、本業の事業所得と合算して確定申告をしなければなりません。確定申告の期限は、買取をしてもらった年の翌年2月16日から3月15日までです。本業の確定申告をする際に、忘れずに譲渡所得についての申告も行うようにしましょう。
また、所得税の税率は、課税所得額が高くなるほど高い税率が適用される仕組みです。したがって、買取業者への売却で得た売却益が大きくなると、課税所得額が増え、納税額も高くなります。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得の課税対象額は、資産の保有期間によって変わってきます。取得日から買取日までが5年を超えている場合に得られる利益は長期譲渡所得、5年以内の場合は短期譲渡所得に該当します。また、譲渡所得には50万円の特別控除が設定されています。
したがって、総合課税における譲渡所得の額は次のように計算できます。
・短期譲渡所得
譲渡所得額=買取価額-(取得費+売却時の手数料)-50万円
・長期譲渡所得
譲渡所得額={買取価額-(取得費+売却時の手数料)-50万円}×1/2
買取で得た利益の確定申告をしないとバレる?
ブランド品などを買取業者に売却し、利益を得ている場合、確定申告をしなければ税務署にバレるのでしょうか?
買取の無申告はバレる可能性が高い
ご説明したように、買取業者に買取を依頼しても全てのケースで確定申告が必要になるわけではありません。確定申告の必要があるのは、生活用動産以外のものを売却し、その売却益が50万円を超える場合です。
買取で得た利益についての確定申告をしていない場合、税務署にバレる可能性は高くなります。なぜなら、税務署では買取業者に対して、税務調査を実施するケースが多いからです。
買取業者に税務調査が入り、取引の実態を調べると、顧客情報から簡単に確定申告をしていない人の情報が把握されることとなります。
SNSからもバレる可能性がある
そもそも、キャバクラやホストクラブ、風俗業など、水商売で働く人は、確定申告を正しく行っていない人が多い業種として税務署から目を付けられています。税務署では、SNS上の情報も詳しくチェックしていることが分かっており、SNSにアップされているブランド品のジュエリーや買取業者に依頼して高額で売却できたといった書き込みなどもチェックしているのです。
SNSへの投稿から確定申告をしていないことがバレるケースも少なくないことを覚えておいた方がよいでしょう。
買取の確定申告をしていないことがバレると生じるリスク
生活用動産以外のジュエリーなどの買取依頼をし、年間50万円を超える売却益を得た場合、確定申告が必要です。もし、確定申告をしていなかった場合は、どのようなリスクが生じるのでしょうか。
買取の確定申告を怠ったことで生じるリスクには次のようなものがあります。
過少申告加算税の納付が求められる
買取業者に売却して得た譲渡所得を含めずに確定申告をしていた場合、課税所得額が本来よりも不足した状態になっています。そのため、税務調査で過少申告がバレると、過少申告加算税の納付が求められます。
過少申告加算税の原則税率は、以下のとおりです。
・期限内申告税額と50万円のいずれか少ない部分 10%
・期限内申告税額と50万円のいずれかを超える部分 15%
重加算税の納付が求められる
買取業者に多額の売却を行っていたにもかかわらず、売却益を隠蔽し、意図的に譲渡所得がないように見せかけていた場合などは、過少申告加算税ではなく、より税率の重い重加算税が課される可能性があります。
過少申告加算税に代えて重加算税が課される場合の税率は35%です。
延滞税の納付が求められる
延滞税とは、税金の納付が遅れたことに対して課されるペナルティです。延滞税の割合は毎年見直しが行われています。2026年1月1日~12月31日分の割合は次のとおりです。
・納期限の翌日から2ヶ月まで 2.8%
・納期限の翌日から2ヶ月を過ぎて以降 9.1%
延滞税の割合は、納期限の翌日から2ヶ月までとそれ以降で大きく変わります。また、延滞税は税金の納付が完了するまで1日単位で計算される点も特徴だといえます。
つまり、税金の納付が遅れれば遅れるほど延滞税の額は大きくなるのです。
本業の所得についても調査の対象となる
買取業者への税務調査などがきっかけとなり、譲渡所得の確定申告がなされていないことから、本業の確定申告にも調査が及ぶ可能性もあります。本業の所得についても確定申告をしていなかった場合は、先ほどご紹介した過少申告加算税ではなく、期限内に申告をしなかったことに対して課されるペナルティである無申告加算税の納付が求められます。無申告加算税の税率は過少申告加算税よりも高く、次のように定められています。
・税額が50万円以下の部分 15%
・税額が50万円超300万円以下の部分 20%
・税額が300万円超の部分 30%
また、本業の確定申告の額が不足していた場合は、譲渡所得も含めた不足分の税額の納税と過少申告加算税が求められることになります。
買取の確定申告がバレる前にすべき対策
買取業者に依頼し、所有している資産を売却して譲渡所得を得ている場合、その額が50万円を超えていれば確定申告をしなければなりません。確定申告をしていない場合は、税務調査の対象となり、過少申告加算税や無申告加算税、場合によっては重加算税が課される恐れがあります。リスクを最小限に抑えるためには、税務署に正しく確定申告をしていないことがバレる前に、自ら正しく修正申告または期限後申告を行うことが大切です。
自主的に期限後申告をするメリット
そもそも、お店からもらっていた報酬についても確定申告をしていなかった場合は、買取による譲渡所得も含めて、期限後申告を行うようにしましょう。期限後申告とは、確定申告期間を過ぎて行う申告のことです。
税務調査が実施される前には、税務署から事前に調査に入る旨の通知が入ります。この事前通知を受ける前に、自主的に期限後申告をした場合、無申告加算税は税額に関わらず5%に軽減されます。無申告加算税の原則税率は15%~30%であることに比べると、自主的な期限後申告によってペナルティの負担が大きく軽減することが分かるでしょう。
また、たとえ税務調査の事前通知を受けてからでも、調査が実施される前に期限後申告を行うと、無申告加算税の税率は10%~25%に軽減されます。
自主的に修正申告をするメリット
期限内に確定申告をしていたものの、買取によって得た譲渡所得分を申告額に含めていなかった場合や本業の申告額も不足していた場合などは、税務調査で過少申告がバレると過少申告加算税が課されます。
しかし、過少申告加算税も自主的に修正申告を行うことで軽減される措置が用意されています。税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税は課されません。また、税務調査の事前通知を受けた後でも過少申告加算税の税率は、5%と10%に軽減されます。
まとめ
ブランド品の中でもジュエリーなどを買取業者に売却した場合、譲渡所得が年間50万円を超えると確定申告が必要になります。税務署では買取業者に積極的に税務調査を実施していること、水商売の人は税務署から目を付けられていることなどから、確定申告を正しくしていないという情報は遅かれ早かれバレることとなるでしょう。
税務調査で確定申告を正しく行っていないことがバレると、無申告加算税や過少申告加算税、重加算税、延滞税などの納付が求められ、本来よりも多くの税金を負担しなければならない事態となります。税務調査の前に自主的に期限後申告や修正申告を行うと、ペナルティの負担を大きく軽減することが可能です。
期限後申告や修正申告のやり方が分からない場合などは、お早めに税理士法人松本までご相談ください。
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