「ホステスやキャバ嬢の家賃は経費にできる?」
「家賃を全額経費にすることはできる?」

このように、家賃をどのように経費として計上していいのかわからないホステスやキャバ嬢の方もいるでしょう。

ここでは、ホステスが家賃を経費にする方法やその注意点などを解説します。

また、家賃以外にも経費計上できる項目も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

ホステスやキャバ嬢は家賃を経費にできる?

ホステスやキャバ嬢として働く方が、自宅の家賃を経費として計上することは条件を満たせば可能です。

たとえば、自宅で以下のような業務を行っている場合は、「事業用スペース」とみなされることがあります。

・お客様との営業連絡やアフターフォロー
・出勤前のヘアメイクや衣装の準備
・ドレスや小物類の保管・管理

このように、ホステスの業務と自宅の利用が無関係とは言い切れないケースもあるため、家賃の一部を必要経費として申告できる可能性があります。

ただし、家賃の全額を経費にすることは認められません。

一般的には、実際の使用状況に基づいて家事按分し、多くても家賃の50%程度が上限とされています。家事按分とは、業務に使用している割合だけを経費として計上することです。

また、高額な家賃のタワーマンションなどを借りている場合、使用実態や合理的な理由がなければ、按分比率が認められにくいこともあります。

経費にできる割合は、ホステスとしての働き方や業務内容によっても異なります。もし経費計上が可能かどうか判断に迷う場合は、水商売専門の税理士法人松本までお気軽にご相談ください。

ホステスやキャバ嬢が経費と認められるための基本条件

ホステスやキャバ嬢として家賃を経費に計上するには、一定の基本条件を満たす必要があります。

この条件は、家賃に限らず、ホステス業における経費全般に共通する考え方です。

事業利用の実態がある

家賃を経費に計上するには、その支出が業務に関連していることが求められます。

つまり、自宅の一部をホステス業に活用しているという「事業利用の実態」があることが必要です。

たとえば、「ホステスやキャバ嬢は家賃を経費にできる?」で記載した例に加え、以下のようなケースが該当します。

・同伴、アフターの予定調整を自宅で行っている
・出勤前にスタッフや同僚とオンラインで打ち合わせをすることがある

これらは、自宅が単なる居住空間にとどまらず、業務と関わりがあることを示す要素とされます。

そのため、こうした実態がある場合は、家賃の一部を必要経費として計上できる可能性があります。

プライベートとの区別がある

自宅の一部をホステス業に活用していたとしても、私生活との境界が不明確なままでは、経費として認められにくくなります。

そのため、事業用として使用しているスペースが明確に区分されていることが重要なポイントです。

たとえば、以下のようなケースが該当します。

・自宅の1室を「衣装部屋」として使用しており、プライベートでは利用していない
・ホステスとしての営業活動の一環としてSNS運用を行っており、画像・動画の撮影や編集作業を特定のスペースで行っている
・撮影用の照明機材や背景布などを設置し、常に業務用として機能している空間がある

このように業務と私的利用の空間を明確に分けておくことで、家賃の一部を経費にできる根拠が強まります。

税務調査が入った際にも、「このスペースは業務に使っている」と説明しやすくなるため、可能な限り物理的・用途的に明確な区別をつけておくことが望まれます。

家事按分が適切に行われている

家賃の全額を経費として計上することは、原則として認められていません。

自宅は私的な生活の場でもあるため、業務に使用している割合だけを経費として計上する必要があります。

家事按分の方法は主に2つです。

・面積:業務に使用している部屋の面積÷自宅全体の面積
・時間:業務に使用している時間÷自宅の総使用時間

これらの計算の根拠を税務署に説明できるように、仕事スケジュールのメモを書き留めるなど、理由を明確に残しておきましょう。

ホステスやキャバ嬢の家賃を経費にする際のポイント

ホステスやキャバ嬢の家賃を経費にするポイントを2つ紹介します。これにより、家賃を経費として計上する際、税務署から納得してもらえるでしょう。

1. 家賃の領収書や契約書を保管する

家賃を経費として申告するには、「実際に家賃を支払っている」ことを証明できる書類が必要です。

たとえば、毎月の領収書や賃貸借契約書、振込明細書などが証明書類として利用できるので、必ず保管しておきましょう。

2. 事業利用割合を算出し、家事按分する

自宅の家賃を経費として計上するためには、どの程度の割合で業務に使用しているかを数値で明確にすることが重要です。

この事業利用割合は、主に「面積」または「時間」を基準として算出します。

【例】面積の場合
自宅全体の面積が40㎡で、そのうち10㎡の1室を衣装の保管や出勤準備専用の部屋として使用している場合、家賃の25%を経費にすることが可能です。

【例】時間の場合
自宅にいる時間が1日のうち10時間で、1日3時間ホステスの業務に利用している場合、家賃の30%を経費として計上できます。

この際、家の間取り図やスケジュールを1週間~1か月分ほど書き留めるなどして、家事按分の根拠を提示できるようにしておくと安心です。

ホステスが家賃以外に経費にできる家関連の項目

ホステスやキャバ嬢が自宅を業務として活用している場合、家賃以外にも経費計上できる項目がいくつかあります。

そのなかでも認められやすい傾向にある3つを紹介します。

光熱費

ホステスやキャバ嬢でも家で業務をする以上、照明やヘアアイロンの使用による電気代、スマートフォンの充電などをするため、水道光熱費が発生します。これらの支出は、ホステスとして収入を得るために間接的に必要な費用となるため、使用割合によって経費計上できます。

インターネット料金

お客様との連絡やホステス業のための情報収集などに使う通信費やWi-Fi代、仕事のためだけに借りているポケットWi-Fiなどが対象となります。業務目的で使用していることを示せる資料や記録があると、経費として認められやすくなります。

家具・収納グッズ

ドレス、アクセサリー、化粧品などを整理・保管するために使用している収納棚、ドレッサー、衣装ラック、ボックス類などの購入費は、業務用であれば経費として計上可能です。
ただし、プライベートと兼用している場合は家事按分の対象となり、業務に使用している割合に応じた金額のみが経費として認められます。

ホステスが家関連以外でも経費にできる項目の一例

ホステスやキャバ嬢が経費として計上できるのは家関連だけではありません。ほかにも計上できる項目があるので、参考にして合法的に節税していきましょう。

ドレスや衣装代

ホステスやキャバ嬢として働くうえで、ドレスやハイヒール、クラッチバッグなどは必需品です。

また、これらは仕事以外の私的な場面ではほとんど使用されないことが一般的なため、全額経費として計上できます。

ヘアセット代

出勤前に美容室などで行うヘアセットも、見た目の演出が業務の一環である以上、必要経費として認められる支出です。

その際は、領収書に「ヘアセット代」と記載してもらい、きちんと保管しておきましょう。

コスメ代

ホステスやキャバ嬢は、衣装やヘアスタイルに合わせた華やかなメイクが求められる場面も多く、業務用としてコスメを購入することがあるでしょう。

この場合、仕事のためだけに購入しているコスメは、全額を経費計上できます。一方で、プライベートでも使用している場合は、使用割合に応じて家事按分が必要になります。

プレゼント代

お客様へのプレゼント代は基本的に経費として認められるケースが多い傾向にあります。

ただし、高額すぎるプレゼントは、業務上必要な支出ではなく、個人的なプレゼントとみなされる可能性があるので、注意しましょう。

名刺代や仕事上必要な小物

名刺代やライターなど、仕事で使用する小物代は経費として認められます。

名刺はプライベートで使うことがないため、全額経費として計上可能で、喫煙する習慣がなければライターも全額経費として申告できます。

交通費

公共交通機関が利用できない時間帯の移動費用は、経費に含まれることが一般的です。

マイカーでの出勤の場合も、出勤のために利用したガソリン代やパーキング代は経費計上できます。

接客に必要な知識のための書籍代

ホステスやキャバ嬢として働いていると、経営者や医師、役員など、さまざまな職業のお客様と接する機会があります。
そのため、会話力や教養を高めるために書籍などで勉強することは、仕事の一環としてみなされる傾向にあります。

税理士に依頼した場合の報酬代

税理士に依頼する費用は基本的に全額経費計上できます。

特に、ナイトワークのように経費の判断がむずかしい業種では、税理士に依頼することで安心して本業に集中できるメリットもあります。

関連記事:ホステスやキャバ嬢の美容代は経費として落とせる?

ホステスが経費にできないケース

ホステス業では、自宅に関する費用を経費として計上できることがありますが、すべての支出が対象になるわけではありません。ホステスが経費として計上できないケースを2つ紹介します。

仕事とは無関係な使用のみの場合

ホステスやキャバ嬢が経費として計上できるのは、ホステス業務に関連がある場合のみです。そのため、ホステス業に関係のない支出は、たとえ仕事に必要そうに見えても、経費としては認められません。

たとえば、「家電や家具で、業務に使用した形跡がないもの」や「プライベートなやり取りに使っているスマートフォンの通信費」などは経費の対象外となります。

按分の根拠が曖昧な場合

たとえ業務に関連した支出であっても、按分の根拠が曖昧な場合は、税務署に経費として認められない可能性があります。

そのため、按分の合理的な根拠を明確にしておく必要があります。

・使用面積の割合:間取り図
・使用時間の割合:スケジュール表
・業務目的であることを示す具体的な活動内容:営業連絡の記録

ホステスが家賃を経費計上する際に気をつけたいポイント

ホステスが家賃を経費計上する際に気をつけたいポイントを紹介します。

領収書・レシートを必ず保管

家賃や光熱費を経費として計上する場合、賃貸契約書・支払い明細書・領収書・レシートなどの証拠資料は必ず保管しておきましょう。

確定申告時にこれらの書類を提出する義務はありませんが、以下のような場面で必要になります。

・税務調査が入ったとき
・経費の妥当性について税務署から確認を求められた場合

トラブルや否認を避けるために、最低でも3年、できれば7年程度の保存をおすすめします。

家賃を経費にした理由を明確に説明できるよう準備する

家賃やそのほかの費用を経費として計上した場合は「なぜその支出を、どの割合で経費にしたのか」を第三者に説明できるよう準備しておくことが重要です。

具体的には以下のようにまとめておきましょう。

・面積や時間をもとにした按分の根拠資料
・自宅で行っている業務内容(例:出勤準備、衣装管理、営業連絡など)
・間取り図や業務記録などの補足資料

こうした情報を整理しておくことで、税務署からの質問にもスムーズに対応でき、経費否認のリスクを下げることができます。

ホステスで家賃の経費計上に不安がある場合は「税理士法人松本」にお任せ!

確定申告時には、家の間取り図や領収書などを提出する必要がないため、「なんとなくの感覚」で家賃を経費に計上している方も少なくありません。

しかし、実際に税務調査が入った際、家事按分の根拠が曖昧であると、経費として否認されるだけでなく、追徴課税や延滞税などのペナルティが課されるおそれがあります。

特にホステスやキャバ嬢など水商売に従事する方は、過去の統計から見ても申告漏れが多い職種のひとつとされており、税務署から重点的にチェックされやすい傾向にあります。

さらに、給与が現金で支払われることが多く、確定申告をしていない方もいるため、税務署は水商売従事者に対して常に監視を強めている傾向があります。

そのため、税理士に依頼し、正確な家事按分で確定申告を提出するようにしましょう。

これにより、税務調査に入られるリスクを減らせ、仮に対象になった場合でもペナルティを受けずに済む可能性があります。

詳しくは水商売専門の税理士法人松本まで気軽にご相談ください。

まとめ

ホステスの家賃は経費として計上できます。しかし、ほとんどのケースでは50%までしか経費として認められず、明確な家事按分が求められます。そのため、家の間取り図や領収書などを7年間は保管しておくようにしましょう。

家事按分がむずかしいと感じる方は、税理士法人松本までご相談いただけると、全力で丁寧にサポートいたします。ぜひ、無料相談からご連絡ください。