
ガールズバーをオープンさせるためには、開業資金の準備が必要です。これからガールズバーの開業を検討している人は、開業資金はどのくらい必要なのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、ガールズバーの開業資金の目安や調達方法、開業までに必要な許可・届出を説明します。
また、ガールズバーを順調に開業するための手順も9つのステップに分けて解説するので、これからガールズバーをオープンさせたい方は、ぜひ参考にしてください。
ガールズバーの開業資金の目安
ガールズバーの開業資金の目安は、300~500万円程度です。キャバクラの開業資金の目安と言われている1,000~2,000万円に比べると、ガールズバーの開業資金は低い傾向にあります。ガールズバーは、キャバクラほど内装にこだわる必要がなく、店舗の規模も小さくて済むため、開業資金を抑えられます。
また、カジュアルな接客で済むガールズバーは、キャストに支払う報酬の額もキャバクラより抑えられるため、開業資金の低いガールズバーは飲食店の経営が初めての方でも比較的挑戦しやすいでしょう。
ガールズバーの開業には、物件取得費用、内装工事費用、必要設備やインテリア、備品の購入費用、求人費用、広告宣伝費用、運転資金などが必要になります。
ここでは、それぞれの内訳を紹介します。
物件取得費用
ガールズバーの開業にあたっては、テナントを借りるケースがほとんどです。テナントを借りる場合、家賃のほか、保証金、礼金、仲介手数料などが発生します。保証金は、居住用の賃貸物件を借りる際に必要となる敷金と似た意味合いを持つ費用ですが、事業用テナントの場合、保証金の相場は家賃6〜10か月分程度となります。保証金の金額が高い理由は、賃料の未払いリスクに備えるためと退去時の原状回復工事の費用に充当するためです。
ガールズバーに利用できるテナントの賃料であれば、一般的な居住用物件よりも賃料は高くなるケースが多く、さらに初期費用も高額になることを覚えておきましょう。
内装工事費用
ガールズバーとして営業を開始するためには、内装をお店のコンセプトにあわせて整えなければなりません。ただし、床や天井、壁などを剥がした何もない状態のスケルトン物件を選ぶか、内装が残った状態のままの居抜き物件を選ぶかによって内装工事費は大きく異なります。
居抜き物件を借りられるようであれば、工事が必要な箇所は少なくなるため、内装工事にかかる費用の大幅な削減が可能です。一方、スケルトン物件は、デザインの自由度は高まるものの、かかる工事費は高くなります。
厨房設備やインテリアの購入費用
シンクや冷蔵庫、製氷機などの厨房設備、カウンターやスツール、照明器具などのインテリアの購入費用も必要です。居抜き物件で、すでに厨房設備が整っている場合は、インテリアの購入費用だけで済むでしょう。ただし、インテリアにこだわるあまり、高額な家具を購入してしまうと予算を超える可能性もあるため、計画的な買い物が必要です。
グラスや皿などの備品購入費用
提供するアルコールによって使うグラスの種類は変わります。お酒にあわせたグラスや、おつまみを提供する皿などの備品の購入費用も開業資金として考慮する必要があります。
求人費用
ガールズバーを開業するにあたって、女性キャストとボーイスタッフを確保する必要があります。求人媒体を利用して募集する場合、無料のものから有料のものまで幅広く、短期間で人材を確保したい場合は有料の求人媒体を利用するほうが良いでしょう。時間に余裕がある場合は、SNSを活用して募集してみるのも有効な方法の一つです。
また、求人募集を出す際に重要となるのが時給設定です。近隣のガールズバーよりも低い時給では、面接に来てくれる人は少ないでしょう。特に質の高い人材は、時給や待遇の良いお店に流れる傾向にあるため、ある程度の待遇を提示するのであれば、それに見合った資金の準備が必要です。
広告宣伝費用
ガールズバー開業には、集客するための広告宣伝費用も必要です。特に、開店日から継続的に集客できるかが、店舗運営の成功を左右するポイントになります。そのため、SNSを活用した宣伝や、Google・LINEなどの広告、地域密着型のウェブメディアなど、さまざまな媒体を活用して効果的に宣伝を行いましょう。
例えば、すでに知名度のあるキャストを採用できれば、そのキャストのSNSや常連客から集客が可能です。時給や待遇面で一定のコストはかかるかもしれませんが、広告費用が抑えられ、継続的な売り上げにつながるため、お店側にも大きなメリットがあります。
また、お店の準備段階からSNSで発信を行い、ファンを最初から作っておくのも無料でできる有効な広告方法の一つです。
広告媒体によっては有料のものもあるため、予算に応じて必要な広告を活用しましょう。
当面の運転資金
ガールズバーは、提供するお酒やおつまみなどの仕入れが発生します。また、開業後すぐにお客さんを集められるとは限りません。オープンから数か月分のキャストやスタッフに支払う人件費や外注費、水道光熱費なども運転資金として準備をしておいたほうが良いでしょう。
ガールズバー開業資金の調達方法
ガールズバー開業にかかる資金をすべて自己資金で補える場合以外、金融機関やインターネットなどを活用して資金を調達しなければいけません。
ここでは、ガールズバーの資金調達に有効な方法を5つ紹介します。
親族や知人から借りる
開業資金を親族や知人から借りる場合、金融機関のような高い利息を支払う必要がないため、ランニングコストを抑えることができます。ただし、不足分全額を用意してもらえるとは限らないので、複数人に声をかける必要が出てくる可能性もあります。もし、投資家や起業家の知人がいる場合は、その方達から資金提供をしてもらうのも有効でしょう。
ただし、親族や知人であってもお金のトラブルは人間関係に大きな影響を与えます。親しい間柄であっても、きちんと借用書を作成し、あらかじめ定めた返済期日と返済方法を守って信頼関係を壊さないようにしましょう。
銀行で融資を受ける
親族や友人からお金を借りられない場合は、銀行からの融資を検討するのが一般的でしょう。
しかし、銀行は事業実績がない事業者や新規事業に対して融資をするのが慎重になる傾向があり、審査が厳しいのが実情です。他店にはない独自のコンセプトや強みがあり、それを裏付ける実現可能な事業計画や数値目標を提示できれば、融資の可能性は高まります。
ただし、そのようなケースはめずらしいので、銀行融資に頼りすぎず、他の資金調達手段もあわせて検討しておくことが賢明です。
日本政策金融公庫から融資を受ける
銀行と並んで資金調達先として有名なのが「日本政策金融公庫」です。日本政策金融公庫は、個人事業主や中小企業を対象に事業資金融資を行っており、創業間もない事業や新規開業にも対応しています。そのため、初めてのガールズバー経営でも融資申請が可能です。
審査も銀行ほど厳しくなく、保証人が不要で、利率が低めに設定されているのが特徴です。さらに、返済期間も長めに設定できるため、資金繰りの面でも安心感があります。銀行の融資申請とあわせて、日本政策金融公庫にも申請してみることで、資金調達の成功率を高められるでしょう。
参照:日本政策金融公庫
助成金・補助金の活用
国や地方自治体の助成金や補助金の活用も資金調達に有効です。このような制度は、基本的に返済の必要がないため、使い方次第で自己資金の負担を大幅に軽減できます。
利用できる助成金や補助金の例として、「小規模事業者持続化補助金」や「創業支援助成金」などがあります。ただし、場合によってはガールズバーは該当しないケースもあるので、事前確認が必要です。
また、補助金や助成金は原則として「後払い」が多いので、開業時の資金としては活用できない点には注意しましょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金提供を募るサービスです。事業内容やビジョン、コンセプトなどを共有し、それに共感した人たちから「応援」という形で資金を提供してもらうことができます。
支援者へのお礼として、「初回のチャージ料金無料」や「ボトル1本サービス」「VIP席への優先案内」など、魅力的なリターンをつけることで、より多くの支援を集めやすくなります。
また、リターンが発生しない寄付型の仕組みもあるので、複数の選択肢を提示しておくと良いでしょう。
ガールズバーを開業するのに必要な許可・届出一覧
必要な許可・申請 |
概要 |
提出先 |
食品衛生責任者 |
1店舗につき食品衛生責任者の資格を保有している人を1人以上在籍させる必要がある。 |
保健所 |
飲食店営業許可 |
・店内で食品を調理して提供するすべての飲食店に必要な許可。
・施設工事完成予定日の10日前までに提出しなければいけない。 |
保健所 |
防火管理者 |
お店が30人以上を収容できる広さがある場合に必要な資格。 |
・都道府県知事
・消防本部及び消防署を置く市町村の消防長 ・総務大臣登録講習機関 |
深夜酒類提供飲食店営業開始届 |
・午前0時以降もお酒の提供をする場合に必要な届出。
・事前に「飲食店営業許可」の取得が必要。 |
警察署 |
風俗営業許可 |
・接待行為を伴う経営をする場合に必要な許可。ただし、深夜の接待行為は禁止。
・許可が下りるまでには約2か月かかる。 |
警察署 |
特定遊興飲食店営業許可 |
・深夜0時以降にお酒を提供しながら、遊興をさせる営業を行うために必要な許可。
・「接待行為」を行うことはできない。 |
警察署 |
開業届 |
・事業を開始したことを税務署に知らせるための書類。
・同時に「青色申告承認申請書」を提出すると、最大65万円の控除を受けられる。 |
税務署 |
ガールズバーを開業するにあたって、主に7つの許可や届出が必要とされています。ただし、実際に必要となるかどうかは、店舗の経営スタイルや営業内容によって異なります。
例えば、接待行為を伴う営業をしないガールズバーであれば、「風俗営業許可」は必要ありません。
風俗営業許可のように、取得までに長期間を要する許可もあるため、事前にスケジュールを立てて計画的に準備を進めることが重要です。
ガールズバー開業までのステップ9
ガールズバーを無事開業するまでには9つのステップが必要です。それぞれ詳しく紹介します。
ステップ1. コンセプトを決める
まず、ガールズバーを開業しようとした思いやビジョンを踏まえたコンセプト決めを行います。コンセプトから連想される店名やロゴ、イメージカラーなどを決めていきましょう。
また、コンセプトからターゲット顧客を決めます。これにより、顧客が満足するであろう店作りがスタートできます。
ステップ2. 資金計画・事業計画を立てる
ガールズバー開業には、現実的な資金計画と、明確で実現可能な事業計画の策定が必要です。事業内容や戦略、資金の使い道、収益予想など、具体的な数値や根拠のあるデータが必要です。
これらの情報は、金融機関や日本政策金融公庫に融資申請をする際に提出が求められる「創業計画書(事業計画書)」にも記載しなければいけないので、時間をかけて丁寧に作成しましょう。
ステップ3. 資金調達する
上述した資金調達方法から、ガールズバー開業に必要な資金を調達しましょう。自己資金で十分足りる場合は、資金調達は不要です。
また、開業直後から経営が軌道にのるとは限らないので、半年分ほどの運転資金を確保しておくと安心です。予期せぬ出費や売り上げの波にも対応できるように、余裕を持った資金繰りを意識しましょう。
ステップ4. 店舗を決める
コンセプトや事業計画に合う店舗を決めましょう。店舗の立地や物件は今後の経営に大きく影響を与えます。理想の店舗を見つけるのは容易ではないものの、可能な限り妥協せずに見つけることをおすすめします。
特に、コンセプトからかけ離れた条件の店舗は、融資を受けることや経営がむずかしくなるため、気をつけましょう。
ステップ5. 必要な許可と届出の提出
ガールズバーを開業するにあたって、必要な許可や届出を忘れずに提出することが重要です。もし提出を忘れてしまった場合、注意喚起で終われば良いですが、最悪の場合、営業停止処分を受けることもあります。
営業停止になれば、売り上げがゼロになる一方で、家賃や人件費などの固定費は発生し続けるため、経営に深刻な影響を及ぼします。
このような事態にならないためにも、手続きに不安がある場合は、開業支援を行っている税理士のような専門家に相談しましょう。
ステップ6. 内装や設備を整える
店舗の契約が完了したら、コンセプトに合った内装に仕上げていきます。リフォームや設備導入する際は、納期遅れや追加工事に対応できるように、余裕のあるスケジュール管理が必要です。開業日から逆算して計画的に進めていきましょう。
ステップ7. 仕入れ先の確保
お客様に提供するお酒やおつまみなどの材料を仕入れる業者を見つけます。できるだけ安く仕入れられるのが理想ですが、品質も大切にしなければリピーターの獲得にはつながりません。そのため、品質と価格のバランスを大切に、信頼できる業者を見つけましょう。
ステップ8. 求人募集する
ガールズバーで働くキャストやボーイを募集します。キャストの質は集客に大きな影響を与え、お店の収支に直結します。質の高い人材を確保できるよう求人募集には力を入れ、採用後も接客マナーや働く上でのルールなどについての教育を怠らないようにしましょう。
ステップ9. 広告・宣伝で集客する
最後に、SNSや知人の口コミ、有料広告を利用して、ガールズバーの開業を広く周知しましょう。開業準備中から集客を意識するのであれば、SNSの活用が効果的です。
改装中の店内の様子や、キャストの紹介などを開業前から発信することで、開店前からファンを獲得できる可能性があります。こうした取り組みは、実際の来店につながるケースも多いため、早い段階からのSNS活用をおすすめします。
まとめ
ガールズバーの開業資金の目安は、300万円~500万円程度です。しかし、広い店舗を想定している場合はテナントの賃料や内装にかかる費用も高くなり、採用するスタッフ・キャストの人数も多くなるため、必要になる開業資金も高くなります。また、スケルトン物件を借りる場合、こだわりのお店を作ることはできますが、内装工事の費用は高くなるでしょう。できるだけ開業資金を抑えてガールズバーを開業したいのであれば、内装をそのまま利用できるような居抜き物件を選ぶことをおすすめします。
また、ガールズバーの開業時には資金の準備以外にも許可や届出の提出、人材確保の準備も必要です。不安なく開業日を迎えられるよう、計画的に準備を進めるようにしましょう。
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