キャバクラで働いた経験のある方や水商売に興味を持っている方の中には、キャバクラの経営をはじめたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。

キャバクラの経営を成功させるためには、お客様もキャストも満足できる環境を整えることが大切です。

また、キャバクラの開業にあたっては取得しなければならない許可や資格もあります。

今回は、キャバクラの経営を成功させるポイントや開業までに必要な手続きや資金調達方法などについてご説明します。

キャバクラとは

キャバクラとは、女性のキャストがお客様の隣に座り、ドリンクを提供しながら会話を楽しむタイプの飲食店です。

お客様は、好みのキャストと一緒に楽しく有意義な時間を過ごすことを目的として来店するのが一般的で、ビジネスシーンの接待の場として利用されることもあります。

また、キャバクラといえば夜のイメージが強いかもしれませんが、実際には、「朝キャバ」や「昼キャバ」など、昼間の時間帯に営業している店舗も存在します。

キャバクラ経営の魅力5

キャバクラ経営の魅力を5つ紹介します。

1. 高収益が期待できるビジネス

キャバクラはほかの飲食店の業種と比べて、客単価が高く設定されているのが大きな特徴です。

開業するエリアによって相場はある程度決まっていますが、たとえば東京・六本木のキャバクラでは、以下のような価格帯が一般的です。

・リーズナブルな店舗35万円
・高級店舗1215万円

特に六本木は、3050代の比較的年齢層の高い客層が中心で、会社役員・医師・著名人など経済的余裕のある顧客が多く来店するため、全体的に客単価が高い傾向にあります。

一方、地方都市では客単価はおおむね12万円前後が相場とされていますが、運営次第で十分に高収益を狙える業態です。

適切な価格設定とキャストの魅力づくりにより、安定的に高い利益を生み出せるのがキャバクラ経営の大きな魅力です。

2. 多くのリピーターを獲得できれば売り上げが安定しやすい

キャバクラは「人に会いに来る」性質の強い業態であるため、一度来店した新規顧客がリピーターに変わる割合が高いほど、売り上げの安定性が増します。

特に、リピーターのお客様が頻繁に来店し、毎回一定額を利用してくれるようになると、経営は非常に安定します。

さらに、そうした顧客が友人や同僚を連れてきてくれることで、新たなリピーター獲得のきっかけにもなるでしょう。

このように、顧客の固定化が売り上げの柱となる点は、キャバクラ経営の大きな魅力の一つです。

3. 営業スタイルの自由度が高い

夜にオープンしているイメージの強いキャバクラですが、朝キャバと昼キャバといった営業形態も存在します。

時間帯をずらすことで、競合する店舗の数を抑えながら集客ができます。

ターゲットとする客層や立地条件に応じて、柔軟に営業時間を設定できるため、他店舗との差別化や、空き時間・店舗スペースの有効活用につながるのも魅力です。

4. 競合店舗との差別化をはかりやすい

キャバクラは、内装の雰囲気やキャストのタイプ、イベントの内容などで、競合店舗と明確に差別化しやすい業態です。

独自のテーマやコンセプトを打ち出すことで、特定の層から根強い支持を集めることができ、競合と顧客を取り合う必要も少なくなります。

その結果、安定的かつ継続的な経営がしやすくなるのが大きな魅力です。

5. キャストの確保が比較的簡単

キャバクラは、短時間で高収入が期待できるため、会社員からフリーターまで幅広く人気があります。そのため、相場通りの時給で募集をすれば、一定数の募集が見込める点は、大きな魅力です。

また、高時給なことから業界経験者の出戻り率も高く、即戦力になる人材を採用しやすいというメリットもあります。

採用・教育のコストを抑えられるのは、経営において大きなプラス要素です。

キャバクラ経営を成功に導くポイント7つ

キャバクラの経営を成功させるために重要となるポイントを紹介します。

1. お店のコンセプトを明確にする

キャバクラと一口にいっても、さまざまなコンセプトのお店があります。カジュアルで親しみやすい雰囲気のお店にしたいのか、高級感漂う雰囲気を演出したいのかによって内装も変わってくるでしょう。

また、お店のコンセプトによってターゲットとなる客層も変わります。カジュアルな雰囲気のお店であれば、ターゲットは比較的若い年齢層になるでしょう。

反対に、ラグジュアリーな雰囲気のお店にしたいのであれば、ターゲットとなる客層は比較的年齢が高い世代か高収入を得ている層になります。

お店のコンセプトをはじめに決めておけば、出店エリアも絞り込みやすくなるため、キャバクラ経営をはじめる最初の一歩として、コンセプト決めを徹底しましょう。

2. 資金計画・事業計画を立てる

キャバクラの開業には、現実的な資金計画と、しっかりした事業計画が欠かせません。キャバクラ開業に必要な資金は最低でも約500万円が目安とされていますが、立地や内装のこだわりなどにより2,000万円ほどかかる可能性もあります。

居抜き物件であれば費用はある程度抑えられますが、スケルトン物件の場合は一からすべて内装工事をする必要があるので、クオリティや立地によっては2,000万円以上必要になることも少なくありません。

キャバクラ経営者として安定した店舗運営をしていくためには、開業にかかった初期費用や月々の人件費、仕入れ代、水道光熱費などを考慮したうえで、目標とする利益率を維持できるよう事業計画を立てることも成功には大切です。

3. 出店場所を見極める

キャバクラをはじめ、飲食店は出店する場所の選定が経営に大きな影響を与えます。

お店のコンセプトに合った客層が多いエリアの選択や、アクセスのしやすさ、ライバル店の状況などもみて、出店するエリアを選びましょう。

また、キャバクラは風営法上の1号営業に該当するため、出店できるエリアには制限が課せられています。

店舗探しをはじめる前に出店が可能なエリアであるかを確認することも大切です。

4. コンセプトに合わせて内装を改装する

店舗が決まったら、設定したコンセプトに合った内装工事を行う必要があります。内装の雰囲気は、お客様の第一印象や満足度、リピート率に直結するため、非常に重要なポイントです。

居抜き物件の場合でも、壁紙や照明、インテリアなどを変更するだけでコンセプトに近づけることが可能です。冷蔵庫や調理器具、カウンターなどの設備は、前店舗のものを再利用することで初期コストを抑えられます。

ただし、内装工事には納期のズレやトラブルが発生することもあるため、オープン日は余裕を持ったスケジュールで設定しておくのが安心です。

5. 優秀なキャストの採用と教育

どんなに魅力的なインテリアでお店を整えても、キャストの質によってキャバクラの経営は大きく左右されます。

お客様に喜んでいただくことがリピーターの獲得につながるため、リピーターを獲得できるキャストの採用と教育がキャバクラ経営の成功につながるといえます。

良い人材を採用するためには、賃金などの条件のほか、働きやすい環境を整えることも大切です。また、接客方法などキャストの教育も徹底し、お客様も楽しめる環境を整えましょう。

6. 競合店と差別化する

キャバクラを開業する際、基本的には競合店の多い繁華街に出店する方が多いでしょう。そこで、しっかりと差別化しなければ、新規顧客の流入やリピーターは期待できません。

競合の客層やキャストのタイプ、イベントの種類など、競合のリサーチを徹底し、どこで差別化をするか考えましょう。

競合の少ないジャンルで開業することが最もキャバクラ経営の成功に重要なポイントです。

7. 広告に力を入れる

オープン時には、SNSや地域の案内所などを活用し、積極的に広告・宣伝を行うことが重要です。

店舗の公式SNSを運用するのはもちろんですが、採用したキャスト本人にSNSで宣伝してもらうことが、最も効果的な集客方法の一つです。

キャバクラは「人に会いに来る」業態のため、そのキャストに会う目的で来店するお客様も少なくありません。

特に、既存顧客を抱えている経験者のキャストに宣伝を依頼することで、高い集客効果が期待できます。

また、新規顧客を獲得するうえで、地域の案内所(キャッチ紹介所)の活用も効果的です。ただし、優先的にお客様を紹介してもらうには、一定の広告費や紹介手数料が必要になるため、事前に予算を確保しておきましょう。

キャバクラ経営に必要な資格や届出とは

キャバクラは飲食物を提供する飲食店であり、風俗営業の1号営業にも該当します。したがって、キャバクラを開業する際には次のような資格や許可などが必要です。

食品衛生責任者

飲食店営業許可を取得する際に必要な資格です。栄養士や調理師等の資格を有する人のほか、講習会を修了すれば誰でも食品衛生責任者になることができます。

講習には会場で受ける方法とオンラインで受講する方法があります。

キャバクラでは、お酒やおつまみを提供するため、食品衛生責任者の資格が必要です。

キャバクラ経営を検討しているのであれば、早めに講習を受け、資格を取得しておきましょう。

防火管理者

収容人数が30人以上となるキャバクラを経営する際には、防火管理者を置かなければなりません。防火管理者になるためには、講習を受講し、所轄の消防署に専任の届出と消防計画の届出が必要です。

風俗営業許可

キャバクラは風営法上の「接待飲食等営業」の1号営業に該当します。

そのため、キャバクラを経営する際には、管轄の警察署に「風俗営業許可申請」が必要です。

飲食店営業許可

キャバクラはお酒や食べ物を提供する飲食店にも該当するため、飲食店の営業許可が必要です。営業許可を得るためには、事前に施設の設計図などを持参したうえで保健所に相談しなければなりません。

また、工事の完成予定の10日前までには、営業許可申請書のほか、施設の構造や設備の図面、食品衛生責任者の資格を証明するもの、許可申請手数料などを保健所に提出する必要があります。

開業届

個人事業主としてキャバクラを経営する場合は、税務署に開業届も提出しなければなりません。

青色申告として届出すれば、最大65万円の控除が利用できたり、経費計上が可能になったりするため、節税効果も期待できます。

開業届はオンラインで提出することも可能です。

参照:国税庁|No.2072 青色申告特別控除

キャバクラの開業に必要となる資金の目安

キャバクラ経営をはじめるにあたっては、次のような費用の準備が必要です。

出店するエリアやお店の規模などによって開業に必要な資金は変わりますが、一般的にキャバクラの開業には500万~2,000万円程度が必要になるといわれています。

物件取得費

お店を借りるために必要となる資金です。家賃のほか、仲介手数料や礼金、保証金、火災保険料などがかかります。

事業用物件の場合、保証金は家賃の数か月分となるため、物件取得にかかる費用は大きくなることを想定しておきましょう。

内装工事費

内装にこだわるほど工事費は高くなりますが、他店との差別化にもつながるため、工事費とのバランスを考えながら、コンセプトに合わせ、納得できる内装に整えましょう。

厨房設備費

冷蔵庫や製氷機、シンクなど、厨房に必要な費用を揃えるためにも費用がかかります。

ソファーやテーブル、グラスなどの備品準備費

内装工事が終わったら、ソファーやテーブルなどのインテリアを搬入する必要があります。家具を選ぶ際は、コンセプトに合った雰囲気のものにしましょう。

また、お酒を提供するグラスなどの準備も必要です。

広告宣伝費

キャバクラを開業するにあたっては、キャストをはじめとしたスタッフを募集する必要があります。

また、お客様にオープンを知らせるための宣伝もしなければなりません。

インターネットの求人サイトや広告掲載費なども必要になることを忘れないようにしましょう。

運営資金

キャバクラを開業するにあたり、店舗の内装や設備など初期費用とは別に、「運営資金」も確保しておく必要があります。

運営資金とは、開業後に発生する毎月の支出に対応するための資金で、最低でも36か月分を見積もって準備しておくと安心です。

主な運営資金の内訳は以下のとおりです。

・店舗の賃料
・人件費(キャスト・スタッフの給与、時給保証など)
・広告宣伝費(SNS・案内所・フリーペーパーなど)
・ドリンク・食材などの仕入れ費
・光熱費(電気・水道・ガス)
・雑費(備品・衣装・清掃・消耗品など)
・支払補償金やトラブル対応用の予備費

たとえば、都市部で中規模のキャバクラを運営する場合、1か月あたりの運営コストは数百万円~数千万円かかるケースも珍しくありません。特に、家賃やキャスト数によって大きく変動します。

売り上げが軌道に乗るまでの間は赤字が続くことも想定し、余裕を持った資金計画を立てることが、経営安定のポイントになります。

キャバクラ経営の資金調達方法4

キャバクラを開業する際には、内装工事の費用やソファーやテーブルなどの備品を揃える費用、冷蔵庫等の厨房設備を整える費用などがかかります。

また、テナント料やお酒の仕入れ代、キャストに支払う給料なども発生するため、開業時にはある程度の資金を準備しておく必要があります。

自己資金で足りる場合は問題ありませんが、もし足りない場合は金融機関や補助金などを活用して、資金調達しましょう。

ここでは資金調達方法を紹介します。

1. 親族から借りる

親族に借りる最大のメリットは、金融機関のように利息が原則発生しない点です。仮に利息を求められたとしても、金融機関より低い金利で貸してもらえる可能性が高くなります。

ただし、親族であっても金銭トラブルを防ぐために、借り入れの際は、借り入れの額や返済方法、返済期間などを明記した借用書を作成すると安心です。

2. 銀行ローンを利用する

銀行ローンは、まとまった資金が必要なときや、事業を拡大したいときに活用できます。銀行によっては、開業時やスモールビジネスを対象にしたビジネスローンを提供している場合もあります。

ただし、ある程度の売上実績や信用性がないと融資してもらえないことがほとんどです。銀行ローンを検討している場合は、すでに取引のある銀行に、事業計画書や売上資料など書類を持って、相談してみるとよいでしょう。

3. クラウドファンディングを利用する

クラウドファンディングは、インターネット上で、不特定多数の人から資金を集める資金調達手段です。

資金調達の目的や事業内容などについて説明し、事業についての思いを訴えることで共感してくれる人から資金を集めます。

支援のリターンとして「初回ボトル無料」や「1セット無料」などの割引やサービスを提供し、支援者側にもメリットを与えましょう。

また、リターンが発生しない寄付型のクラウドファンディングもありますが、支援の集まり方は比較的ゆるやかになる傾向にあります。

4. 投資家を見つける

これまでお世話になったキャバクラ店舗のオーナーや、お客様の中で企業に投資している方、あなたの夢を応援したいお客様など、新規店舗のオープンに融資してくれそうな投資家を見つけるのも一つの方法です。

こうした関係性のある投資家であれば、あなたの将来性を正確に見極めたうえで支援してくれることが期待でき、融資を受けやすくなるでしょう。

一方で、キャバクラ経営に興味はあっても元キャストではない方の場合、こうしたつながりを持っていないこともあります。その場合は、知人を通じて投資家を紹介してもらうといった方法を検討するとよいでしょう。

いずれの場合でも、投資家から融資を受ける際には、契約内容について十分に協議し、合意したうえで慎重に進めることが大切です。

投資家によっては、経営に関与することを求めるケースもあるため、事前に役割や責任範囲を明確にしておく必要があります。

キャバクラ経営で利用できない資金調達方法

新規開業の資金調達方法として「日本政策金融公庫の融資」と「補助金や助成金」がおすすめですが、キャバクラは「接待を伴う営業」に部類されるため、基本的にどちらも利用できません。

ただし、場合によっては、利用できる融資や補助金などがあるかもしれないので、一度日本政策金融公庫や自治体に確認してみるとよいでしょう。

まとめ

キャバクラの経営を成功させるためには、お店のコンセプトを明確にし、コンセプトに合わせたエリアの選定やリピーターを作る質の高いキャストの採用や教育が重要になります。

また、キャバクラを開業する際には、食品衛生責任者や防火管理者等の資格の取得、飲食店営業許可や風俗営業許可などの申請、開業資金の準備なども忘れてはいけません。

安定したキャバクラ経営を実現するためにも、経営者として綿密な経営計画を立て、余裕を持って開業の準備を進めるようにしましょう。

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