飲食店を開業される場合には、さまざまな許可や届出が必要になります。ガールズバーを開業する際にも当然、必要となる許可や届出がありますが、風営法の許可は必要になるのでしょうか。
今回は、ガールズバーを始める際に風営法の許可が必要になるケースや不要なケース、深夜営業を行う際の注意点などについてご説明します。

 

ガールズバーと風営法の関係

ガールズバーは、女性がバーテンダーとなり、お酒を提供する飲食店です。したがって、飲食店の営業許可は必ず取得しなければなりませんが、風営法の許可も必要になるのでしょうか。

 

風営法の対象となる営業

風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という法律です。風営法の中では、風俗営業に該当する業種を指定しており風俗営業を営む場合には許可や届出が必要となることを示しています。
風営法と聞くと、性風俗関連の業種に関する法律のように感じるケースが多くなりますが、風営法では幅広い事業を風俗業と規定しています。例えば、麻雀店やゲームセンターなども風俗業に含まれるのです。
また、客の接待を伴う飲食店も風俗営業の1号営業に該当します。キャバクラやホストクラブなど、お客の隣に座ってお酒を注いだり、一緒にカラオケを歌ったりといった接待行為をする飲食店は、風俗営業の許可を取得しなければなりません。

 

ガールズバーは原則として風営法の許可は不要

しかし、昨今では、風営法違反として取り締まりを受けるガールズバーが増えています。それは、ガールズバーといっても、お店によって営業スタイルが異なるケースが多いからです。したがって、ガールズバーの中でも、営業スタイルによっては風営法の許可が必要になるケースもあります。

 

風営法の許可が必要となるガールズバー

カウンターの中から女性がお酒やおつまみを提供するスタイルのガールズバーであれば、風営法の許可は不要です。しかし、お客の席のとなりに女性が座って話をしたり、お酒を注いだりといった行為は接待に該当します。ガールズバーでも接待を伴うサービスを提供する場合は、風俗営業許可を取得していなければ、風営法違反となるのです。
したがって、ガールズバーという名前のお店であっても、実態はキャバクラに近く、特定のお客の横に座って会話を楽しむといった行為を提供する店を開く場合には、風俗営業許可を取らなければなりません。

 

ガールズバーが風営法違反で摘発された事例

風営法違反の疑いで摘発されるガールズバーのニュースは後を絶ちません。2024年の6月には無許可で従業員に客の接待をさせたとして逮捕されていた富山のガールズバーの経営者が風営法違反の罪で起訴されました。
また、神戸市でも、風俗営業許可を取らずにガールズバーを運営し、接待をしていたとして風営法違反の疑いで経営者や店長などが逮捕されています。
2020年10月には、風営法の許可を取らずに接待を伴う営業を行っていたとして新宿や渋谷、六本木のガールズバー8店舗が一斉に摘発された事例もあります。このときは、経営者や従業員、合計12人が逮捕されています。

 

ガールズバーが風営法に違反した場合のリスク

上にご紹介した事例以外にも、全国で多くのガールズバーが風営法違反の罪で摘発されています。風営法違反となった場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
また、刑事罰を受けるだけでなく、公安委員会によって行政処分が科せられる可能性もあります。風俗営業許可を得ずに、無許可でガールズバーを経営していた場合は、営業停止や許可取り消しといった重い処分が下されるリスクもあるのです。

 

ガールズバーの風俗営業許可と深夜営業

風俗営業許可を取得した場合は、接待を伴う営業を行っても風営法違反に問われることはありません。そうであれば、ガールズバーの経営を始める際には風俗営業許可を取得すればよいのではと思われるかもしれません。しかし、ガールズバーが風俗営業許可を取得することで制限されることがあります。それは深夜の営業です。

 

深夜酒類提供飲食店営業の届出とは

深夜0時以降にお客にアルコールの提供をする場合は、深夜酒類提供飲食店営業の営業開始届出書を出さなければなりません。アルコールの提供を中心とはしていないファミリーレストランなどであれば、深夜酒類提供飲食店営業の届出は不要です。しかし、お酒の提供がメインとなるガールズバーが深夜0時を超えて営業する場合には、深夜酒類提供飲食店営業の届出を行わなければなりません。

 

風俗営業許可を取ると、深夜酒類提供飲食店営業の届出は出せない

ガールズバーであれば、お酒の提供が中心であり、深夜にお酒の提供を続けるケースも少なくないでしょう。しかし、風俗営業許可を取得した場合には、深夜酒類提供飲食店営業の届出を出すことはできません。もし、風俗営業許可を取得し、深夜営業をした場合には風営法違反となります。

ガールズバーを始める際には、営業実態に合わせた許可・届出が必要

風営法に違反せず、ガールズバーを営業していくためには、営業実態に合わせた許可や届出を出すことが大切です。接待を伴う営業を行わず、深夜もお酒の提供を続けたい場合には、深夜酒類提供飲食店営業の届出を出し、スタッフには接待行為をしないよう徹底した教育をする必要があります。また、接待行為を伴うガールズバーを想定している場合には、必ず風俗営業許可を申請し、深夜0時前にはお店を閉めましょう。

まとめ

ガールズバーは女性スタッフが中心となり、お客にアルコールを提供する飲食店です。そのため、原則として風営法の許可は要りません。しかしながら、キャバクラのように、お客の隣に座ってお酒を注ぐなどの接待行為が含まれる場合には、ガールズバーであっても風俗営業許可が必要です。
風俗営業許可を取らずに接待行為をしていたとして、風営法違反の疑いで摘発されるガールズバーが続出しています。ガールズバーを開業する際にはどのような営業スタイルのお店にするのかに合わせ、必要な許可または届け出を行うようにしましょう。

 

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