コロナ禍の行動制限もなくなり、現在では、以前のように取引先などとお酒を飲む機会も増えているのではないでしょうか。取引先の接待をするときには、2軒目にキャバクラに行くこともあるでしょう。1軒目の料亭やレストランなどでの領収書は堂々と経費として処理できますが、キャバクラの領収書となると経費として処理していいのか不安になる場合もあるのではないでしょうか。
今回は、キャバクラの領収書の取り扱いについてご説明します。

キャバクラの領収書は経費になる?

結論から先に申し上げると、キャバクラの領収書には、経費として処理できるものと処理できないものがあります。経費として処理できるケースとできないケースについて解説します。

 

接待目的でのキャバクラの領収書は経費になる

キャバクラの領収書であっても、取引先の接待を目的として利用したのであれば、経費として処理しても何の問題もありません。この場合、キャバクラの費用は交際費として計上が可能です。また、取引先以外であっても、事業に関係する人に行う接待や慰安に類する行為であれば、交際費として計上できます。したがって、仕事に必要な接待であれば、キャバクラであっても、問題なく経費として計上できるというわけです。

 

キャバクラの領収書を経費として処理できないケースも

キャバクラの費用を経費として計上できるのは、仕事に関係した人を接待する目的で利用した場合に限られます。例えば、仕事と全く関係のない友人とキャバクラに行った場合の費用は、当然、領収書があっても経費として計上することはできません。また、従業員だけでキャバクラに行き、お酒を楽しんだ場合に領収書をもらっても、経費にはならないのです。
従業員の飲食費は、福利厚生費として処理できると考える場合もあるかもしれません。しかし、福利厚生費は、従業員全員に平等に与える場合に適用できるものであり、一部の従業員だけが参加したキャバクラでの飲食費用は福利厚生費の対象外です。
プライベートなキャバクラの領収書を交際費として計上していたことが税務調査で発覚すれば、不正な申告を行っていたという指摘を受け、修正申告を行わなければならなくなります。その場合、不足分の納税額の支払いが求められるとともに過少申告加算税などのペナルティも課せられます。

 

キャバクラの領収書を経費にする際の注意点

仕事に関連する接待などでキャバクラに行った場合であっても、キャバクラの費用を経費として計上する際には注意しなければならない点があります。なぜなら、交際費にはプライベートな領収書も計上されているケースが多いため、
税務調査では交際費の内容について厳しくチェックを行う傾向にある
からです。

 

交際費の範囲とは

まず、交際費の範囲を確認しておきましょう。国税庁では交際費について次のように示しています。
「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。」
このことから、交際費として処理できるものは事業に関係する人のためにかかった費用であることが分かります。

 

キャバクラの領収書を保存する際の注意点

さらに、国税庁では、ウェブサイト上で交際費の規定は、次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されると記載しています。

(1) 飲食等のあった年月日
(2) 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
(3) 飲食等に参加した者の数
(4) その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
(5) その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

つまり、キャバクラの領収書をプライベートな費用ではなく、仕事上の接待のために使用した費用であることを証明するためには、次の点を記載したメモを領収書と一緒に残す必要があるのです。
・キャバクラでの接待に参加した人の名前とその人との関係性(取引先など)
・参加した人の人数
また、どのような話をしたかなどについても記録しておくと、仕事上の接待のために使用した費用だということを証明しやすくなります。
税務調査では、領収書の内容について質問がなされた場合でも、話の内容まで記載しておけば、スムーズにキャバクラを訪れた際の状況について説明できるでしょう。

 

損金として計上できる交際費の範囲

交際費は原則として、損金として算入することができません。しかし、資本金の額によって、一定の額までは交際費を損金算入できる措置が用意されています。
つまり、交際費は、損金不算入という考え方なのです。したがって、損金として算入できる額には上限が定められています。そのため、たとえ接待で使ったキャバクラの費用であっても、損金算入が認められている範囲でなければ、損金としては扱えない点に注意しましょう。

 

資本金1億円以下の企業の場合

資本金が1億円以下の中小企業は、次のいずれかの金額を選択し、損金として選択ができます。
・800万円までの交際費
・交際費のうち、飲食に使った費用の50%に相当する金額

資本金1億円を超え100億円までの企業

資本金が1億円を超える企業は、交際費のうち飲食に使った費用の50%に相当する金額を損金として算入できます。

資本金100億円を超える企業

資本金100億円を超える企業は、交際費を損金に算入することはできません。

 

まとめ

キャバクラの領収書は、経費として計上できるケースと経費として計上できないケースがあります。経費として計上できるキャバクラの費用は、事業に関係する人を接待する目的で利用した場合に限られるのです。
接待の場合は、キャバクラの費用は交際費として計上できますが、領収書とともにキャバクラに行った人数や参加者の名前や会社名、キャバクラでの会話の内容などを記載したメモを残す必要があります。
正しく書類を保存しておかなければ、損金として算入できる交際費も損金として認められなくなる可能性もあるのです。キャバクラの領収書の取り扱いには十分に注意し、当日の状況を細かく記載しておくようにしましょう。

 

免責事項

当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。 当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。