
キャバ嬢が確定申告する際に気になるのが、経費にできるものには何があるのかではないでしょうか。経費にできる場合でも、会計上のルールや仕訳、必要な書類などがあるのかも気になるところです。
経費にできるものとできないものをしっかりと把握し、経費にできるものは適切に計上することで、キャバ嬢としてのお仕事を安心して続けることができます。この記事では、確定申告に悩むキャバ嬢や水商売に従事する方の参考として役立つ内容や注意点などをわかりやすくまとめています。
確定申告で経費が重要な理由
まずは、確定申告で経費が重要となる理由について、改めて確認してみましょう。
所得税は収入から経費を差し引いた所得額から計算する
キャバ嬢を含む個人事業主、フリーランスとして働く人は、1年間に働いて得た収入について確定申告を行います。所得税の確定信仰をする場合、課税対象は収入ではなく、所得であることが重要となります。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた額のことです。収入がたくさんあったとしても、必要経費もたくさんかかっている場合、所得税の課税対象となる所得は小さくなります。
所得が大きい程所得税も大きくなり、所得税の税率も、所得額に応じて大きくなるため、確定申告の際には正確な所得を出すことが大切となるのです。
必要経費は税務署で指摘を受けやすいポイントの1つ
収入から差し引く必要経費が多いほど所得は小さくなるため、納付する所得税も小さくすることができます。ただし、それを知って悪用しようとする人もいるため、税務署では「本当に必要経費なのか」「正しい金額である証明ができるか」などを税務調査で厳しくチェックすることとなるのです。
計上した必要経費が税務調査で認められなかった場合、過少申告として修正申告を行い、認められなかった経費を除いて再計算した所得税の不足額を納付しなければなりません。
税務調査では最低でも3年分は遡って調査を受けるため、複数年に渡って同様の経費計上が見つかった場合には、所得税の不足額に加え、延滞税や過少申告税がペナルティとして課せられる可能性があります。
キャバ嬢として経費を計上する際のポイント
キャバ嬢が確定申告で経費を計上する際のポイントとしては、以下が挙げられます。
・プライベートではなく、仕事で使った費用であること
例えば、お客様への接待やお祝いなどでプレゼントを購入した場合、接待交際費として経費にすることができます。しかし、友人とカフェやレストランに行って払った飲食代を経費にすることはできません。経費にする際は、プライベートではなく仕事で使用した費用であることがわかるようにしておく必要があります。
・どこに支払い、何に使ったかが明確であること、証明できること
必要経費を計上する際は、どこに支払い、何の目的で使った費用かを明確にできる書類を保存しておくことが大切です。領収書やレシートなどは月ごとにまとめて保存しておき「〇〇様 昇進祝い」など、備考としてメモも残しておきましょう。
・記帳する際に毎回同じルールを適用して計上していること
経費にはいくつかの種類があり「広告宣伝費」「旅費交通費」「消耗品費」「接待交際費」などが挙げられます。
同じ目的で発生した経費については、毎回同じ科目で処理することが大切です。例えば、お店までの移動に使った交通費をその時の気分によって「雑費」としたり「消耗品費」で計上したりしないことが重要です。
これは企業会計の一般原則とされており、正当な理由のない限り勘定科目を変更してはいけないこととされています。ペナルティの対象となる可能性もあるため、経費にする際の勘定科目もチェックしておくようにしましょう。
キャバ嬢が確定申告で経費にできるもの
必要経費と認められるものを計上することは、適正な節税対策としておすすめです。ここでは、キャバ嬢が確定申告で経費にできるものについてピックアップしてご紹介します。
交通費
キャバ嬢が自宅からお店まで移動する際に使った電車賃やバス代、タクシー代などは、交通費として経費にすることができます。
お客さんとの同伴で出かけたお店や施設までの交通費は「旅費交通費」として経費計上が可能です。
交通費を計上する際には、領収書が出ない場合もあるため、出金伝票などへ記載して保管しておくようにしましょう。
交通費を経費にする際の注意点として、友人や家族、1人での買い物などで使用した交通費は経費にできない点が挙げられます。
どこに何の目的で行ったのかを説明できるように、領収書や伝票、または帳簿の備考欄などにメモを残しておくと良いでしょう。
衣装代
キャバクラで着用するドレスなどは、消耗品費として経費にすることが可能です。ネックレスやティアラ、ミュールなどの小物も消耗品費として経費計上できます。ドレスや小物をレンタルする際は、レンタル料を消耗品費に計上します。
衣装代を経費にする際の注意点としては、ワンピースやスーツ、アクセサリーなどの場合、デザインによってはプライベートでの着用を疑われる可能性がある点が挙げられます。また、10万円を超える高額な衣装については資産としての計上を検討するべきである点にも注意が必要です。
ヘアメイク、ネイル代
出勤前にヘアメイクやセット、ネイルをしてもらうために利用したヘアサロンやネイルサロン代は、雑費として経費にすることができます。
自宅でヘアメイクする場合に使用するスプレーやワックス、ラメやコスメ、ネイルなども経費にすることができます。使用する勘定科目は雑費のほか「美容費」という科目で管理するのも1つの方法です。
ヘアメイクやネイル代を経費にする際の注意点としては「プライベートで使用するものでない」「出勤用の特別なヘアメイクである」「経費を使わないと仕上がりが売上に影響する」といった理由が説明できるものに限られる点が挙げられます。
同じ理由でエステサロンやトレーニングジム、美容整形などにかかった費用も経費にすることができる場合があります。
とはいえ、100%プライベートに関係がないとは言い切れない費用については、税務調査で指摘を受ける可能性が高いため、すべてを経費にするのは難しいと考えた方が良いでしょう。
お客様へのプレゼント、手土産、飲食代
お客様へのプレゼントや手土産、お祝いなどで食事をご馳走した場合は、接待交際費として経費にすることが可能です。
お客様へのプレゼントやお祝いを経費にする際の注意点としては「誰に、何の目的で」が明確に説明できるようにしておくことが挙げられます。
「わからないだろう」という気持ちから、プライベートの買い物や飲食代を接待交際費とするケースはとても多く、本当に接待交際費なのかについて、税務調査で必ず質問を受けるポイントの1つとなっています。
間違えて友人や恋人、家族へのプレゼントや食事にかかった費用を経費にしないようにしましょう。
ほかにもある!キャバ嬢が経費にできるもの
上記で挙げたもの以外にも、ケース次第でキャバ嬢が経費にできるものはたくさんあります。
例えば、自宅でヘアメイクやお店のSNSへの投稿などを行っている場合、家賃の一部を経費にすることが可能です。
お客様への連絡に使用するスマートフォンやインターネット回線などの通信費も、仕事で使う割合に応じて経費に計上することができます。
ここで挙げた以外にも、経費にできるか迷うものがある場合は、税理士などに相談してみるのも1つの方法です。
キャバ嬢が確定申告する際の注意点
経費だけでなく、キャバ嬢が確定申告する際の注意点について解説します。
売上の計上漏れに注意する
確定申告で経費にできるものをまとめることも大切ですが、売上の計上漏れがないようにチェックすることも大切です。
キャバ嬢は毎月の収入が一定でないケースが多く、バックや他店で働いた際の収入などを忘れて申告してしまう可能性があります。
経費の水増しもペナルティの対象となりますが、売上の過少申告も税務調査で指摘されやすいポイントの1つです。
日払いや週払い、現金手渡しによる臨時収入などは明細を保管し、確定申告の際に漏れがないように注意しましょう。
確定申告が必要ない可能性も
キャバ嬢は多くの場合個人事業主として働きますが、お店によっては雇用契約のもと、従業員として給与を支給しているケースもあります。
「時給や出勤日が決まっている」「給与明細で所得税が引かれている」「年末調整してもらっている」という場合、確定申告や経費計上の必要がない可能性があるため、1度確認してみましょう。
無申告の期間がある場合は早めに申告する
確定申告の期間は1月1日から12月31日までの所得について、翌年の2月16日から3月15日(いずれも土日祝日の場合は翌営業日)までに申告と納税を済ませる必要があります。期限を過ぎても確定申告をすることはできますが、延滞税などのペナルティが課せられることとなります。
延滞税は、申告が遅れれば遅れるほど加算額が増えるため、申告できていない期間があることに気づいた時点で、できるだけ早く申告することが大切となります。
焦って間違った内容で申告することは避けたいところですが、申告自体をしていない状態の方がリスクは高くなります。
税務署では独自のシステムによって無申告状態のキャバ嬢を把握できるほか、第三者からのタレコミやお店への税務調査などで、お店で働くキャバ嬢の無申告が見つかることもあります。
多額の申告漏れや脱税、所得隠しなどが疑われると、重加算税などの重い追徴課税だけでなく、懲役などの刑事罰の対象となる可能性もあるため、無申告状態は早めに解消するようにしましょう。
高額なプレゼントをもらった場合も注意が必要
お客様からのプレゼントで高級時計やアクセサリー、バッグなどをもらった場合も注意が必要です。1年間で100万円を超える贈り物を受け取った場合、贈与税に該当する可能性があるからです。
バッグや洋服、小物だけでなく、現金や電子マネーなどのプレゼントも贈与税の対象となります。贈与税の確定申告も所得税と同じ期間に申告できるため、心当たりがある場合は忘れずに申告するようにします。
不安な場合は税理士などの専門家へサポートを依頼しよう
「確定申告をしたいけど、やり方が合っているかわからない」「確定申告していない年があるけど何をして良いのかわからない」など、自分の力だけでは確定申告が不安な場合は、税理士などの専門家へ相談してみるのがおすすめです。
既に依頼している税理士がいる場合でも「過去の無申告を怖くて伝えていない」「キャバ嬢の経費についてあまりよくわかっていない気がする」「税務調査の対応はできないと言われた」など、あまり良い対応をしてもらえないケースも少なくありません。
ひとくちに税理士といっても、それぞれ得意なサポートや業界、実績数などが異なるからです。
水商売や風俗業界の確定申告、税務調査のサポートに強い税理士を探して、セカンドオピニオンを聞いてみるのもおすすめです。
副業のキャバ嬢の確定申告で迷ったら税理士法人松本へご相談ください
税理士法人松本は、風俗業・キャバクラ、ホストクラブの水商売業のお客様を専門にしている税理士事務所です。風俗や水商売の業界に携わる方から多くの信頼をいただき、全国5,000件以上の相談実績を誇っています。
キャバ嬢の確定申告や過去の無申告に関する相談、税務調査対応などのご相談にも対応しています。既に顧問の税理士がいる場合でも、遠慮なくご相談ください。
ご相談予約は全国どこでも、ご相談予約はフリーダイヤルまたは専用フォーム、LINEにて受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
キャバ嬢が確定申告する場合、衣装代や交通費、接待交際費など、さまざまな費用を経費にすることができます。適正な範囲で経費計上することで所得税を節税することができますが、水商売は確定申告で不正が見つかりやすい業種でもあるため、税務調査が入りやすく、調査も厳しくなりがちです。
プライベートの出費を経費にしないこと、経費になる理由について明確に説明できることや、売上の計上漏れなどにも注意しつつ、必要に応じて税理士のサポートを受けて適正な申告、納税ができるようにしておきましょう。
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