水商売をしていると、現金を手渡しでもらうケースは少なくありません。ある程度まとまった額を貯金している場合、税務署にバレる可能性はあるのでしょうか。また、どのような理由でバレてしまうのか気になる方も多いでしょう。

この記事では、水商売で得たお金を貯金したことが税務署にバレるのか、問題ないケースや問題となるケースに加え、水商売の収入を扱う際の注意点について解説しています。

 

水商売で稼いだお金を貯金したら税務署にバレるのか

結論からいうと、水商売で稼いだかどうかに関わらず、貯蓄額を税務署に把握されている可能性はあります。

 

税務署は銀行口座を調べることができる

税務署では、税務調査の対象となった納税者の銀行口座を調べることが可能です。税務署では、税務調査の目的で納税者の承諾を得ることなく、金融機関へ情報の開示請求を行うことができる権限を持っているからです。

調査の目的なく無作為に誰の口座でも調べるわけではありませんが、申告内容に不審な点があるとみなされた場合には、口座の情報について開示請求されている可能性があります。

 

税務調査の対象ではないのに口座を把握されるケースはある?

自分自身が税務調査の対象となっていないのに、税務署に口座の情報を掴まれる可能性もゼロではありません。

税務調査の対象者だけでなく、対象者と金銭的に関わりがあると思われる個人の口座が調査対象とされるケースもあるからです。

税務調査は、ある日突然強制的に行われる「強制調査」と、納税者の同意を経て実施される「任意調査」の2つに大きく分けられるほか、調査対象となった納税者の取引先や従業員などに対して、事実確認のために行われる「反面調査」などもあります。特に水商売の業界においては、他の業種に比べて税務調査の対象となりやすい側面があるのです。

 

タンス貯金は税務署にバレるのか

銀行に預けるのではなく、自宅に現金を保管しておく「タンス貯金」なら、税務署にバレないのではないかと考えたくなりますが、タンス貯金も税務署にバレる可能性は高いといえます。

たとえば、高額の現金収入を得た場合、必ずその現金には出所があります。働いているお店に税務調査が入った場合、ホステスなどへ支払った金額やホステスの個人情報などを税務署へ提出することとなります。その反面調査として個人に税務調査が実施された場合、調査の途中で無申告やタンス貯金を指摘される可能性があるのです。

タンス貯金は、見つかれば意図的な所得の隠蔽などを疑われやすくなってしまいます。水商売の収入を現金手渡しでもらったとしてもタンス貯金にせず、銀行へ入金しておいた方が確定申告する際に収支を確認しやすくなるためおすすめです。

 

水商売が税務調査の対象になりやすい理由

水商売が税務調査の対象になりやすい理由としては、次のような点が挙げられます。

 

無申告や脱税などの不正が多い

水商売に従事する人の中には、これまで確定申告をしたことがない人や、申告をしていても正しい金額を申告していない人もいます。

複数のお店を渡り歩いたり、地方のお店へ出稼ぎに行ったりするなど、1か所に留まらずに働いている、または日払い、週払いなどでその都度得た収入を把握しづらい、といった環境が理由となっているケースもあるでしょう。

また、お客様から高級品や現金のプレゼントをもらった場合、金額によっては贈与税の課税対象となる場合もあります。税金に関する知識を知らずに働き続けた結果、無申告や脱税を疑われてしまう可能性が高まってしまいます。

 

現金取引が多い

水商売では、上記のような日払いや複数のお店を掛け持ちする働き方をしている人も多く、給与を振込ではなく現金手渡しなどでもらうケースも少なくありません。

現金による取引は、銀行振込に比べるとお金の流れが辿りにくいため、どこからどこへお金が動いたのかを確認する目的で、反面調査や抜き打ちの税務調査などが実施されやすいのです。

水商売に限らず、現金取引の多い小売店や飲食店なども、税務調査の対象とされやすくなっています。

 

税務署から「不正が発覚しやすい業種」としてマークされている

国税庁では、毎年税務調査で不正発覚の多い業種を発表しています。2024年11月に発表された調査結果では、2023年の不正発見割合の高かった業種は以下のようになっていました。

  1. バー、クラブ
  2. その他の飲食
  3. 外国料理
  4. 土木工事
  5. 美容
  6. 一般土木建築工事
  7. 職別土木建築工事
  8. 廃棄物処理
  9. 船舶
  10. その他の道路貨物運送

 

出典:国税庁「令和5事務年度法人税等の調査事績の概要」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/hojin_chosa/pdf/01.pdf

 

2023年だけでなく、バーやクラブなどの水商売は、税務調査で不正発見割合の高い業種の1位として何度も発表されている過去があります。税務署としても、不正が発覚しやすい業種は、他の業種よりも調査対象としてマークしたり、調査の手が厳しくなったりしやすいのです。

 

上記の結果は、法人税の税務調査の概要となりますが、個人のところに税務調査がやって来る可能性はあるのでしょうか。

 

個人にも税務調査は来るのか

税務調査は法人税だけでなく、所得税や相続税、消費税など、あらゆる税金を調査対象とします。そのため、個人事業主やフリーランスの元にも税務調査が入る可能性はあります。

水商売で働く個人のうち、税務調査されやすいパターンとしては、次のようなケースが挙げられるでしょう。

 

水商売をしていた時の収入を申告していなかったケース

「大学時代に副業で水商売をしていた際の収入を確定申告していなかった」「結婚前に水商売で収入を得ていたが、結婚後に申告するのを忘れていた」「そもそも確定申告の必要があると思っていなかった」など、さまざまな理由で確定申告をしていなかったケースです。

所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの所得が20万円を超えていた場合に必要となります。確定申告では前年度の所得について申告するため、翌年に申告することとなり、申告期限は原則として2月16日から3月15日までとなります。

3月15日を過ぎても申告することは可能ですが、延滞税などの税金が課税されることとなります。

税務調査は申告期限を過ぎてすぐに実施されることはなく、数年ほど経過してから実地調査を受け、最低3年、場合によっては5~7年ほどさかのぼって調査されるのが一般的です。

無申告の期間が長くなればなるほど、調査される期間や追徴課税が膨らんでいくため注意しましょう。

 

確定申告はしているが、申告内容に不審な点があるケース

毎年確定申告しているものの、申告した内容に不審な点があるとみなされるケースでも、税務調査が入りやすいでしょう。

税務署では独自のシステムにより、過去の膨大な申告内容や調査データを蓄積しており、同業者の申告内容と大きく異なる数値などをピックアップすることが可能となっています。

「経費に対して売上が小さすぎる」「特定の経費の額が大きすぎる」「1万円単位の計上ばかりで、適当な額を申告しているのでは」といった不審点があった場合、税務調査が入る可能性があるでしょう。

 

働いていた店舗に税務調査が入り、芋づる式に調査が入るケース

上記で挙げた通り、水商売は税務調査で不正が見つかりやすい業種の1つとされているため、働いている店舗へ税務調査が入る確率も高くなっています。

店舗がホステスなどへ給与を支払っている場合「人件費を架空計上していないか」「実際よりも多く計上していないか」などは調査されやすいポイントとなります。支払先のホステスを調査すると無申告状態が発覚するなど、芋づる式に調査で不正が見つかるケースも少なくないのです。

 

水商売以外にも多額の収入があるケース

FXや仮想通貨などの投資による収入や、時計などの高級品をフリマアプリで売却した利益、ブランド品や現金など、贈与税の課税対象となるほどのプレゼントを受け取って申告していない場合には、水商売で働いた収入が小さくても税務調査が入る可能性があります。

 

こうしたケース以外にも、第三者からのタレコミや、申告した収入に見合わない高額な買い物が多い場合など、調査が入る理由にはさまざまなケースが考えられます。

基本的に申告していない収入や隠し財産が税務署にバレないケースはほぼないと考えた方がよいでしょう。

 

税務調査で指摘されやすいポイントや注意点

水商売で税務調査が入った場合に指摘されやすいポイントや注意点について解説します。

 

収入や支出は金額や用途を把握して管理できるようにしておく

複数のお店を転々としたり、日払いや週払いで現金を受け取ったりした場合も、どこで何日働いていくら受け取ったか、といった金額や用途について明確にできるよう記載したり、銀行へ入金して備考欄に入金先を書き留めておくようにしましょう。

支出についても、お店で働く際に使うものとして購入したものと、プライベートなものとは分けて管理することが大切です。

たとえば、ホステスとして働く際にお店で着用するドレス代は経費にすることができますが、プライベートでも着用できそうなデザインのものの場合、経費と認められない可能性があるため注意が必要です。

 

請求書や領収書、明細などは必ずとっておく

買い物した際の領収書や請求書、利用明細などはとっておき、月別にまとめて保管しておくようにしましょう。

水商売で働く場合、個人事業主として確定申告が必要であるにも関わらず「雇われているからお店が税金を払ってくれている」と勘違いしてしまいがちです。

実際に労働契約を結んで所得税を差し引き、給与として支払って年末調整などにも対応してくれるお店で働く場合には、確定申告が不要なケースもありますが、反面調査などで税務署から連絡が来る可能性も考えると、収支を証明できる書類はできるだけ保管しておくことをおすすめします。

 

無申告期間があれば申告を行う

過去に水商売で働いていた期間のうち、確定申告をしていない無申告期間がある場合には、できるだけ早く解消しておくことが大切です。税務調査が入って無申告を指摘された場合、重加算税など重いペナルティの対象となる可能性があります。

税務調査で発覚する前に、自主的に申告した方が、ペナルティも軽く済ませることが可能です。

どのように申告していいかわからない場合は、無申告や水商売の確定申告などに強い税理士へ相談してみることをおすすめします。

 

水商売の税務サポートに強い税理士事務所へ相談する

「確定申告をどうすればよいのかわからない」「これまでの申告方法が合っているのか不安」「確定申告する必要があるかどうかが知りたい」など、不安や悩みをそのままにしていると、税務調査に怯えて過ごさなければならなくなってしまいます。

適正な申告、納税ができていれば、本来税務調査は必要以上に怖がるものではありません。水商売の税務サポートに強い税理士事務所へ相談するなどして正しい知識を身につけることで、安心して働くことができるようになります。

 

ホステスの確定申告や税金に関する相談は税理士法人松本へ

税理士法人松本は、風俗業・キャバクラ、ホストクラブの水商売業のお客様を専門にしている税理士事務所です。同業の人に聞いた本当かどうかわからない話に悩むよりも、水商売の業界に詳しい税金のプロである税理士へ相談するのがおすすめです。

税理士法人松本では、確定申告や税務調査、無申告状態の解消といった悩みに親身に寄り添い、最適な方法をご提案いたします。これから水商売を始めようとしている方からの開業に関するサポートなどにも対応しています。

全国どこでも、ご相談予約はフリーダイヤルまたは専用フォーム、LINEにて受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

まとめ

水商売で得たお金を貯金してまとまった額になっている場合、確定申告が必要であるにも関わらず申告をしていなかった場合には、多くの場合税務署でも把握されていると考えた方がよいでしょう。税務署では税務調査の対象となった納税者に対して、承諾を得ることなく銀行の口座情報などを開示請求できる権利を持っています。水商売は税務調査で不正が発覚しやすい業種のため、調査の手が厳しくなりやすい点や、働いているお店に税務調査が入った場合に従業員も調査対象となる可能性なども考え、毎年期限を守って申告、納税することが大切です。

無申告や自身の確定申告の方法に関する悩みがある場合は専門家へ相談して、必要以上に税務調査を怖がらずに済むようにしておきましょう。

 

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