水商売とも呼ばれるキャバクラは、利益率が高い業種です。そのため、これからキャバクラを開業したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、キャバクラの開業にはさまざまな資格や届出が必要なことをご存じでしょうか。

今回は、キャバクラの開業を目指す方のために、キャバクラ開業時に必要な資格や許可、開業の手順などについてご説明します。

キャバクラの開業に必要な資格や届出とは

キャバクラは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の接待飲食等営業の1号営業に分類される接待飲食店です。そのため、キャバクラを開業する際には風俗営業の許可を取得しなければなりませんが、そのほかにもさまざまな資格や許可の申請が必要となります。

キャバクラ開業時に必要な資格や許可は次のようなものです。

 

風俗営業許可

キャバクラは、風営法によって公安委員会への許可申請が義務付けられています。風俗営業許可は、公安委員会に申請する必要があり、各都道府県警察のウェブサイトから許可申請書をダウンロードすることができます。申請書は、店舗の所在地を管轄する警察署の生活安全課に提出します。

風俗営業許可の許可申請書には、申請者の名前やお店の所在地などのほか、建物の構造や客室の数、面積、照明・音響・防音設備などについても詳しく書かなければなりません。また、営業時間や飲食物、酒類の提供の有無などについて記載した書類、店舗の賃貸借契約書や建物の登記事項証明書、店舗の平面図と周囲の略図などの添付が必要です。

また、風俗営業許可申請時には、手数料として24,000円の納付が必要になります。

 

食品衛生責任者

キャバクラでは、アルコールや食べ物などの飲食物を提供することになります。食品衛生責任者は、飲食物を衛生的に管理する責任を負う人です。食品衛生法では、食品を扱う業種に対し、食品衛生責任者の設置を義務付けており、飲食物を提供するキャバクラでも食品衛生責任者の設置が必要になります。

栄養士や調理師、製菓衛生師などの資格を持つ人は、食品衛生責任者になることができます。また、これらの資格を持っていない場合でも、都道府県知事などが行う6時間程度の養成講習会を受講すれば、食品衛生責任者の資格取得が可能です。

講習会を受講する場合、受講料が必要になりますが、受講費は講習を行う食品衛生協会によって異なります。また、会場に行かずにオンラインで講習を受けられるeラーニング方式を選択できるケースもあります。

 

飲食店営業許可

キャバクラは接待飲食店に該当するため、キャバクラを開業する際には、飲食店の営業許可申請も必要です。飲食店の営業許可を申請する際には、管轄の保健所に対し、工事開始前から相談を行う必要があります。また、申請時には許可申請書のほか、施設の構造や設備に関する図面、食品衛生責任者の資格を証明するもの、手数料などが必要です。

飲食店の営業許可は工事完成予定日の10日程度前に提出することが望ましいとされています。申請時には食品衛生責任者の資格が必要になるため、キャバクラの開業を決めた場合には、早めに講習を受けるなどして準備をしておくことが大切です。

 

防火管理者

防火管理者とは、多数の人が利用する建物における火災を防止するため、消防計画を作成し、防火管理を行う責任者のことです。一定規模以上の建物の場合、建物に入居するテナントでも防火管理者を設置しなければなりません。

防火管理者には甲種と乙種の2つがあり、テナントの防火管理者は収容人数によって必要となる防火管理者資格が異なります。

防火管理者の資格は、自治体の消防庁や消防局が行う防火管理者講習を修了すると得られます。甲種防火管理者の資格は2日間、乙種防火管理者の資格は1日の講習で資格の取得が可能です。

 

キャバクラを開業する際の流れ

キャバクラの開業は、次のような手順で進めます。

 

1.出店計画を立てる

どこにお店を出店するのか、どの程度の規模にするのかを決め、お店のコンセプトも決定します。ターゲットの層を絞ることで、出店エリアや内装の雰囲気も変わってくるはずです。

出店するテナントを選ぶ際には、エリア周辺を利用する年齢層やライバル店の状況なども考慮する必要があります。また、キャバクラは風営法の対象業種であり、出店が禁止されているエリアもあるため、テナントを探す際には出店可能エリアであるかどうかも確認しておきましょう。

 

2.食品衛生責任者や防火管理者の講習を受ける

早いタイミングから食品衛生責任者や防火管理者の講習を受け、キャバクラを開業する際に必要となる資格の取得の準備も進めておくと安心です。

 

3.キャバクラの開業資金を調達する

キャバクラを開業するにあたっては、物件の取得費用や内装工事費用などが必要です。自己資金だけでは開業資金を賄えない場合は、親族や知人などからの借り入れも検討しなければなりません。身内や知人であっても、借り入れを行う際には、しっかり書面で借用書を作成しておくことが大切です。

 

4.テナントの契約と内装工事の開始

店舗運営をするテナントと契約を結び、コンセプトに合わせた内装工事を開始します。このタイミングで保健所に相談し、飲食店の営業許可についての相談を行っておきましょう。

 

5.各種届出や申請

風俗営業許可申請や飲食店の営業許可申請などを行います。また、個人事業主として開業する場合には税務署に開業届の提出が必要です。法人の場合は、会社設立手続きも必要となります。

 

6.人材募集と開業

スタッフの募集を行い、オープン日までに接客マナーなどの研修を行います。また、お店のオープンを知らせる広告や宣伝も開始し、オープン日を迎えましょう。

 

まとめ

キャバクラは、お酒を提供する飲食店ですが、接待を伴う営業スタイルとなるため、風俗営業許可申請が必要となります。また、風俗営業許可のほかにも飲食店の営業許可も必要となり、そのためには食品衛生責任者や防火管理者などの資格も取得しておかなければなりません。

食品衛生責任者や防火管理者は講習を受けなければならないため、キャバクラを開業したいと考えた時には、十分な時間的余裕をもって準備を進めることが大切です。また、開業からしばらくの間は、売上が安定しない可能性もあります。開業資金については、初期準備にかかる費用だけでなく、当面の運転資金も見込んだ額を用意しておくことをおすすめします。

 

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